支援魔術師の俺、美女だらけの仲間と世界を救う

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第17章「魔女の嫉妬──孤独が揺らぐ瞬間」

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アリシアの覚醒から数日が経った。
五人は魔境の入り口に差し掛かっていた。
「ここから先が、魔境ですか……」
蓮は前方を見た。
暗い森が広がっている。
木々は枯れ、空気は重苦しい。
「ええ」
アリシアは頷いた。
「ここから先は、強力な魔物が徘徊しています」
「気をつけないとな」
健太は剣の柄に手をかけた。
「行こう」
五人は魔境へと足を踏み入れた。

だが、その時──
リリアは一人、後ろを歩いていた。
「……」
表情は暗く、何かを考え込んでいる。
「リリア、大丈夫?」
セラが心配そうに尋ねた。
「ええ、大丈夫よ」
リリアは素っ気なく答えた。
「……そう」
セラは少し寂しそうだった。

その夜、五人は森の中で野営した。
リリアは一人、焚き火から離れた場所に座っていた。
「……」
本を読んでいるふりをして、実は何も頭に入ってこない。
心の中は、モヤモヤとした感情でいっぱいだった。
「リリア、夕飯できたよ」
蓮が声をかけた。
「……後で食べるわ」
「え、でも……」
「いいから」
リリアは冷たく言い放った。
「一人にして」
「……わかった」
蓮は困惑した表情で去っていった。

リリアは膝を抱えた。
「何やってるの、私……」
自己嫌悪に陥る。
「神谷に、冷たく当たってしまった……」
だが、どうしても優しくできなかった。
理由は、わかっている。
嫉妬。
昨日、アリシアが覚醒した時のこと。
蓮は、アリシアにずっと寄り添っていた。
心配そうに、優しく。
「私じゃなくて、アリシアだった……」
リリアは拳を握りしめた。
「神谷は、アリシアのことが好きなのかしら……」
考えれば考えるほど、苦しくなる。
「……」
リリアは空を見上げた。
星が、冷たく輝いていた。

リリアは、自分の過去を思い出していた。
幼い頃、両親を魔物に殺された。
それからは、親戚の家を転々とした。
だが、誰もリリアを本当の意味で愛してくれなかった。
「リリア、あなたは天才なんだから、もっと頑張りなさい」
「魔法学院に入れたんだから、成績を上げなさい」
「私たちの期待に応えなさい」
親戚たちは、リリアに期待ばかりをかけた。
だが、リリアという人間を見てくれなかった。
「私は……ただの道具だったのね」
リリアは、心を閉ざした。
誰も信じない。
誰にも頼らない。
一人で生きていく。
そう決めた。

魔法学院でも、リリアは孤独だった。
12歳で入学した彼女は、周囲の学生たちより5歳も年下だった。
「見て、あの子。飛び級で入ったらしいわよ」
「天才なんですって」
「でも、生意気よね」
周囲は、リリアを疎んじた。
嫉妬と、劣等感。
誰もリリアに近づこうとしなかった。
「……別にいいわ」
リリアは、一人で図書館にこもった。
本だけが、リリアの友達だった。

だが、蓮と出会って──
全てが変わった。
初めて、自分を認めてくれる人がいた。
初めて、仲間ができた。
初めて──
愛する人ができた。
「神谷……」
リリアは顔を赤らめた。
「あなたと出会えて、私は変わった」
「孤独じゃなくなった」
だが──
「でも、私だけじゃない……」
アリシアもセラも、蓮のことが好きだ。
「私は……三人の中の一人でしかない……」
リリアは寂しさを感じた。
「神谷は、誰を選ぶのかしら……」
不安が胸を締め付ける。
「もし、私じゃなかったら……」
リリアは目を閉じた。
「……また、一人になるのね」

その時、後ろから声がした。
「リリア」
振り向くと、蓮が立っていた。
「神谷……」
「さっきは、ごめん。無理に話しかけて」
蓮は謝った。
「いいえ……こちらこそ、冷たく当たってしまって……」
リリアは顔を伏せた。
「ごめんなさい」
「気にしてないよ」
蓮はリリアの隣に座った。
「何か、悩んでる?」
「……」
リリアは答えなかった。
だが、蓮は優しく待っていた。
しばらく沈黙が続いた後──
「神谷」
「うん?」
「私、あなたに聞きたいことがあるの」
リリアは勇気を出して尋ねた。
「あなたは……誰が好きなの?」
「え……?」
蓮は驚いた。
「アリシア、私、セラ……三人の中で」
「……」
蓮は答えに窮した。
「ごめん……まだ、答えが出せない」
「……そう」
リリアは寂しそうに笑った。
「やっぱり、そうよね」
「でも……」
蓮は真剣な目で言った。
「リリアのことは、とても大切に思ってる」
「……」
「仲間として、友達として、そして……」
蓮は少し顔を赤らめた。
「一人の女性として」
「……!」
リリアは驚いた。
「本当に……?」
「うん」
蓮は頷いた。
「リリアは、すごく魅力的だよ」
「頭がいいし、魔法も強いし、それに……」
蓮は照れくさそうに言った。
「とても綺麗だと思う」
「……」
リリアは顔を真っ赤にした。
「そんな……言わないで……」
「え、なんで?」
「だって……恥ずかしいじゃない……」
リリアは顔を隠した。
蓮は微笑んだ。
「でも、本当のことだよ」
「……」
リリアは少し嬉しそうだった。

しばらく二人は、静かに星空を見上げていた。
「ねえ、神谷」
「うん?」
「私ね……ずっと一人だったの」
リリアは静かに語り始めた。
「両親を失ってから、誰も私を愛してくれなかった」
「みんな、私の才能だけを見て、私という人間を見てくれなかった」
「……」
蓮は黙って聞いていた。
「だから、私は心を閉ざしたの」
「誰も信じないって、決めたの」
「でも……」
リリアは蓮を見た。
「あなたと出会って、変わった」
「初めて、誰かを信じてもいいと思えた」
「初めて……」
リリアは涙ぐんだ。
「誰かを好きになった」
「リリア……」
「だから……怖いの」
リリアは涙を拭った。
「もし、あなたが私を選ばなかったら……」
「また、一人に戻ってしまうんじゃないかって」
「そんなことない」
蓮は即座に答えた。
「俺が誰を選んでも、リリアは仲間だよ」
「家族みたいなものだよ」
「……」
「だから、一人にはならない」
蓮は優しく微笑んだ。
「ずっと一緒だよ」
「……ありがとう」
リリアは小さく微笑んだ。
「少し、楽になったわ」

だが、その時──
森の奥から、強力な魔力が放たれた。
「この魔力……!」
リリアは立ち上がった。
「強力な魔物……!」
「みんなを起こさないと!」
蓮も立ち上がった。
二人は急いで野営地に戻った。

「みんな、起きて!」
蓮が叫んだ。
「何だ!?」
健太が飛び起きた。
「魔物が来ます!」
リリアが叫んだ。
その瞬間──
巨大な魔獣が、森から現れた。
体長10メートル。
三つの頭を持つ犬。
ケルベロス。
「ケルベロス……!」
アリシアは驚愕した。
「Sランクの魔物……!」
「Sランク……!?」
蓮は緊張した。
今まで戦った中で、最強の敵だ。
「みんな、気をつけて!」

ケルベロスは咆哮を上げた。
ガオオオオッ!
その咆哮だけで、周囲の木々が揺れた。
「くっ……」
蓮は支援魔法を発動した。
「グランド・サポート!」
四人の体が光り輝いた。
「行きます!」
アリシアが突撃した。
だが、ケルベロスは一つの頭で炎を吐いた。
「くっ……!」
アリシアは咄嗟に避けた。
「はあっ!」
健太が斬りかかる。
だが、ケルベロスの皮膚は硬く、剣が弾かれた。
「硬い……!」
「あたしが行く!」
セラが拳を振るった。
だが、ケルベロスの尾が、セラを殴り飛ばした。
「ぐはっ……!」
「セラ!」
三人は苦戦していた。

「くそっ……このままじゃ……」
蓮は焦った。
その時、リリアが前に出た。
「私に任せて」
「リリア……?」
「私の魔法で、奴を倒すわ」
リリアは杖を構えた。
「でも、一人じゃ危険だ!」
「大丈夫」
リリアは微笑んだ。
「あなたが、支援してくれるから」
「……!」
蓮は頷いた。
「わかった。全力で支援する」
「ありがとう」
リリアは詠唱を始めた。
「氷よ、全てを凍らせよ──」
蓮は最大限の支援魔法を発動した。
「オーバードライブ・サポート!」
リリアの体が、激しく輝いた。
「この力……!」
リリアは感じた。
これまでにない魔力が、体中を駆け巡る。
「行ける……!」
リリアは叫んだ。
「──アブソリュート・ゼロ!」
森全体が、一瞬で凍りついた。
木々が氷に覆われ、地面が凍り、そして──
ケルベロスの体が、完全に凍結した。
「……」
ケルベロスは動けない。
「今よ!」
リリアが叫んだ。
「みんな、攻撃して!」
「はあああっ!」
アリシア、健太、セラが同時に攻撃した。
ガシャァァンッ!
凍ったケルベロスが、粉々に砕けた。
「やった……!」

だが、次の瞬間──
蓮は地面に倒れた。
「神谷!」
リリアが駆け寄った。
「大丈夫……?」
「うん……ちょっと……疲れただけ……」
蓮は弱々しく笑った。
「リリアの魔法……すごかった……」
「……」
リリアは涙ぐんだ。
「ありがとう……あなたのおかげよ……」
「いや……リリアが凄いんだよ……」
蓮は目を閉じた。
「良かった……みんな……無事で……」
そして、意識を失った。

翌朝、蓮は目を覚ました。
「あれ……?」
テントの中で、寝かされていた。
「目が覚めた?」
リリアが隣に座っていた。
「リリア……」
「昨夜は、ありがとう」
リリアは微笑んだ。
「あなたの支援のおかげで、勝てたわ」
「いや、リリアの魔法が凄かったんだよ」
「……」
リリアは少し照れくさそうだった。
「ねえ、神谷」
「うん?」
「私、もう大丈夫」
リリアは優しく微笑んだ。
「嫉妬してたけど、もう大丈夫」
「リリア……」
「あなたが誰を選んでも、私は受け入れるわ」
リリアは蓮の手を握った。
「だって、あなたは私の大切な人だから」
「選ばれなくても、仲間として一緒にいられる」
「それだけで、幸せよ」
「……」
蓮は胸が温かくなった。
「ありがとう、リリア」
「どういたしまして」
リリアは立ち上がった。
「さあ、起きて。みんな、朝ごはんの準備してるわよ」
「うん」
蓮は立ち上がった。

テントを出ると、アリシアとセラが朝食を作っていた。
「神谷さん、起きたんですね!」
アリシアは嬉しそうに言った。
「良かった~」
セラも笑顔だった。
「お腹空いたでしょ? いっぱい食べて!」
「ありがとう」
蓮は笑顔で答えた。
五人は、朝食を囲んで談笑した。
リリアは、以前のような暗い表情ではなかった。
穏やかに、笑顔で。
「リリア、元気になったね」
セラが言った。
「ええ」
リリアは微笑んだ。
「色々、吹っ切れたから」
「良かった」
アリシアも微笑んだ。

だが、リリアの心の奥底には──
まだ、蓮への想いが残っていた。
「神谷……」
リリアは心の中で呟いた。
「私、あなたのことが本当に好き」
「でも、無理には求めないわ」
「あなたが幸せなら、それでいい」
リリアは空を見上げた。
青い空が広がっていた。
「……でも、諦めたわけじゃないわよ」
リリアは小さく笑った。
「正々堂々と、アリシアやセラと競争するわ」
リリアは拳を握りしめた。
「私も、負けないんだから」

その日、五人は再び旅を続けた。
「魔王城まで、あとどれくらいですか?」
蓮が尋ねた。
「おそらく、あと二週間ほどです」
アリシアが答えた。
「二週間か……」
「長いな」
健太が呟いた。
「でも、みんなと一緒なら楽しいよ」
セラが笑った。
「そうね」
リリアも微笑んだ。
「みんなと一緒なら、どんな困難も乗り越えられるわ」
五人は笑い合った。

だが、彼らが知らないうちに──
魔王城では、魔王軍の幹部たちが会議を開いていた。
「トリニティが、こちらに向かっている」
「このまま放置すれば、城まで到達する」
「どうする?」
「……」
玉座に座る人影が、静かに答えた。
「待て」
「彼らを、ここまで来させよ」
「そして──」
人影は冷笑した。
「一網打尽にする」
闇の中で、不吉な笑い声が響いた。
新たな脅威が、静かに近づいていた。

だが、今はまだ──
五人は希望を胸に、前へ進んでいく。
仲間と共に。
信じ合いながら。
そして──
それぞれの想いを胸に。
リリアは、もう孤独ではなかった。
大切な仲間がいる。
愛する人がいる。
それだけで、十分だった。
「神谷、ありがとう」
リリアは心の中で呟いた。
「あなたと出会えて、本当に良かった」
青い空の下、五人は歩き続けた。
魔王城へ。
運命の地へ。
そして──
それぞれの答えが出る場所へ。
物語は、クライマックスへと向かっていく。

その夜、リリアは一人、日記を書いていた。
「今日、私は大切なことに気づいた」
「愛することは、独占することじゃない」
「相手の幸せを願うこと」
「そして、自分自身も幸せでいること」
リリアはペンを置いた。
「神谷、私はあなたが好き」
「でも、あなたを縛りたくない」
「だから──」
リリアは微笑んだ。
「あなたが選ぶ人が、あなたを幸せにしてくれますように」
窓の外には、満月が輝いていた。
リリアの心は、穏やかだった。
嫉妬も、孤独も、もうなかった。
ただ──
愛する人への、純粋な想いだけが残っていた。
それで、十分だった。
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