【完結】「めでたし めでたし」から始まる物語

つくも茄子

文字の大きさ
49 / 67

49.ソニアside

しおりを挟む
 
「な、なに……これ…………?」

 後宮の改築だと聞いて部屋の移動を促された。
 新しい部屋に移動して欲しい、って。
 改築が終わるまでだって。
 そう言われてきた部屋に、思わずポカーンと口を開け、入室と同時に立ちつくしてしまった。元の部屋とは全く違う狭くて簡素な部屋。広すぎるくらいの空間、豪華な内装に煌びやかな調度品の数々。その部屋から一転して、狭くてみすぼらしい小さな部屋に移された。なんで!?
 実家の部屋より少し広い程度。後宮に来る前ならそれでも良かった。この部屋でも十分贅沢だって思えた。でも、今は違うでしょう!?私にこんなみすぼらしい部屋で寝起きしろっていうの!?ふざけないで!!
 慌てて担当に問い合わせれば部屋移動は既に決定していることだと伝えられ唖然とした。
 私を置いて勝手に決められていたの。
 他の使用人たちもその事を知っていたらしくて、知らないのは私だけだった。


 その後、私が元の部屋に戻る事は二度となかった。




 どうして……? そればかりが頭を占める。
 なんでよ。何故私ばっかりこんな目に遭うの? こんな扱いはおかしい!! 私は王太子の妻よ!側妃なのに!誰よりも愛されるべき人間じゃないの!? 

 この部屋に越してきてから一度もレーモンは来ない。
 新しいドレスも宝石もない。

 我慢の限界だった。



「気の毒よね」

「なにが?」

「側妃様の事よ。あんなに愛されてたっていうのに、寵愛がなくなればこんなところに閉じ込められるんだもの」

「あのね、それはソニア側妃様だけの話しでしょ?」

「まあね、他に妃っていないもん。でもさぁ、やっぱり平民の妃の末路は悲惨だってことかな?」

「そりゃあね、後ろ盾がないもの仕方ないわよ。これが貴族の御令嬢ならまた別だったでしょうけどね」


 下働きのメイドがこそこそと話す声が聞こえる。
 気に入らない。


「やっぱりさぁ、子供がいなかったのが痛かったよね」

「それはあるね。ソニア側妃様に女の子でも良いから子供が居たらまた待遇は違っただろうさ」


 子供、子供、子供……!
 煩い!煩い!煩い!

 できないものは仕方ないじゃない!
 なんで今更そんな事を言うのよ!!

 もう嫌よ!
 こんな生活!!

 

しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

あなたが捨てた花冠と后の愛

小鳥遊 れいら
恋愛
幼き頃から皇后になるために育てられた公爵令嬢のリリィは婚約者であるレオナルド皇太子と相思相愛であった。 順調に愛を育み合った2人は結婚したが、なかなか子宝に恵まれなかった。。。 そんなある日、隣国から王女であるルチア様が側妃として嫁いでくることを相談なしに伝えられる。 リリィは強引に話をしてくるレオナルドに嫌悪感を抱くようになる。追い打ちをかけるような出来事が起き、愛ではなく未来の皇后として国を守っていくことに自分の人生をかけることをしていく。 そのためにリリィが取った行動とは何なのか。 リリィの心が離れてしまったレオナルドはどうしていくのか。 2人の未来はいかに···

【完結】偽者扱いされた令嬢は、元婚約者たちがどうなろうと知ったことではない

風見ゆうみ
恋愛
クックルー伯爵家の長女ファリミナは、家族とはうまくいっていないものの、婚約者であり、若き侯爵のメイフとはうまくいっていると思っていた。 メイフとの結婚が近づいてきたある日、彼がファリミナの前に一人の女性を連れてきた。メイフに寄り添う可憐な女性は、こう名乗った。 「わたくし、クックルー伯爵家の長女、ファリミナと申します」 この女性は平民だが、メイフの命の恩人だった。メイフは自分との結婚を望む彼女のためにファリミナの身分を与えるという暴挙に出たのだ。 家族や友人たちは買収されており、本当のファリミナを偽者だと訴える。 メイフが用意したボロ家に追いやられたファリミナだったが、メイフの世話にはならず、平民のファリとして新しい生活を送ることに決める。 ファリとして新しい生活の基盤を整えた頃、元家族はファリミナがいたことにより、自分たちの生活が楽だったことを知る。そして、メイフは自分が馬鹿だったと後悔し始め、自分を愛しているはずのファリミナに会いに行くのだが――。

最初から間違っていたんですよ

わらびもち
恋愛
二人の門出を祝う晴れの日に、彼は別の女性の手を取った。 花嫁を置き去りにして駆け落ちする花婿。 でも不思議、どうしてそれで幸せになれると思ったの……?

なぜ、虐げてはいけないのですか?

碧井 汐桜香
恋愛
男爵令嬢を虐げた罪で、婚約者である第一王子に投獄された公爵令嬢。 処刑前日の彼女の獄中記。 そして、それぞれ関係者目線のお話

婚約破棄されなかった者たち

ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。 令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。 第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。 公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。 一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。 その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。 ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。

【完結】高嶺の花がいなくなった日。

恋愛
侯爵令嬢ルノア=ダリッジは誰もが認める高嶺の花。 清く、正しく、美しくーーそんな彼女がある日忽然と姿を消した。 婚約者である王太子、友人の子爵令嬢、教師や使用人たちは彼女の失踪を機に大きく人生が変わることとなった。 ※ざまぁ展開多め、後半に恋愛要素あり。

恩知らずの婚約破棄とその顛末

みっちぇる。
恋愛
シェリスは婚約者であったジェスに婚約解消を告げられる。 それも、婚約披露宴の前日に。 さらに婚約披露宴はパートナーを変えてそのまま開催予定だという! 家族の支えもあり、婚約披露宴に招待客として参加するシェリスだが…… 好奇にさらされる彼女を助けた人は。 前後編+おまけ、執筆済みです。 【続編開始しました】 執筆しながらの更新ですので、のんびりお待ちいただけると嬉しいです。 矛盾が出たら修正するので、その時はお知らせいたします。

王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~

由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。 両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。 そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。 王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。 ――彼が愛する女性を連れてくるまでは。

処理中です...