11 / 78
第11話八年前~ブリリアントside~
しおりを挟む悪い予感と言うのは当たるもの。
私の心配は的中していました。
「今日は母上と久しぶりに会う予定だったと言うのに。あの母娘のせいで会えなくなってしまったではないか!それも貴族の遊戯に付き合わされるなど堪ったものではない!!」
「ユリウス様、お声を落としてください。聞こえてしまいますよ」
「ふん。他の連中も煩く喋っているではないか。僕達の声など聞こえるものか」
「シュゼット様も残念がっておりました。今日の日をそれは楽しみになさっておいででした」
「母上と会う貴重な時間を削ってまで参加する意味が分からん。こんなもの時間の無駄使いだろう」
「シャイン公爵令嬢が主催なさった音楽会はユリウス様のために開催なさったと聞き及んでいます。参加されている方々もユリウス様と同年代の子女も多くいらっしゃっています。恐らく、交流会の意味も含まれているのでしょう」
「余計な気遣いだな。貴族と言ってもどうせ高位貴族ばかりだろう。ボンクラどもと交友関係を広げても意味がない。次期国王として必要なのは優秀な臣下だけだ。あの小娘はそれが分かっていない」
「お言葉が過ぎます。ユリウス様」
「本当のことだろ。そもそも僕はあの小娘を婚約者だと認めていない。父上が勝手に決めたものだ」
「……国王陛下のお気持ちを考えれば当然のことかと」
「だから、僕の気持ちは無視されると言うわけか。ふざけた話だ」
「陛下はユリウス様に後見人を付けたいとのお考えなのです。それがシャイン公爵家ならこれ以上にない後ろ盾となるでしょう」
「だから、何故そうなる。後見なら母上だけで十分だ。わざわざ公爵家に後見してもらう必要はない」
「シュゼット様の御実家は伯爵家ですが、貴族階級の中では新参者の扱いになっております。それに、シャイン公爵家のお力があれば殿下の王太子としての地位はより盤石なものに出来ると陛下はお考えなのでしょう」
「ふん。くだらんな。結局は父上の為の婚約か。反吐が出る。王妃の猶子になったせいで王宮での生活を強いられているんだ。……全てはあいつのせいだ!」
「お声が大きいですよ」
「心配するな。誰も聞いていない」
「ですが、どこで誰が聞かれているとも限りません。ユリウス様が王位に就くことが叶わなくなるかもしれません」
「そんなことはない。僕以外に誰が王になれるというんだ。父上の子供は僕一人だぞ?」
「それでもです。ユリウス様の立太子を快く思わない者達もおります」
「分かっている。そんな連中は、いずれは排除するつもりだ。その為にも今は我慢してやるさ」
「……程々になさいませ」
「分かってる。お前は本当に心配性な奴だな」
「申し訳ありません。ですが、ユリウス様の身を案じての事ですので」
「分かっているさ」
王子達の会話。
それが誰にも気付かれていない筈がありません。
彼らは公爵家を、そして貴族を馬鹿にし過ぎです。
公爵家の使用人たちがそこらかしこに居るというのに迂闊にも程があるというもの。
110
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ
タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。
灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。
だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。
ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。
婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。
嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。
その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。
翌朝、追放の命が下る。
砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。
――“真実を映す者、偽りを滅ぼす”
彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。
地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」
婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からなくなっていました。
婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/01 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過
2022/07/29 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過
2022/02/15 小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位
2022/02/12 完結
2021/11/30 小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位
2021/11/29 アルファポリス HOT2位
2021/12/03 カクヨム 恋愛(週間)6位
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる