33 / 78
第33話五年前~ブリリアントside~
しおりを挟む
私達は常識の範囲内で教育に当たらせていました。
だいたい、菓子を持参したと言いますが、アレはシュゼット側妃の手作りだとお聞きしています。王族の口を付けるものは全て事前に毒見されるのは基本。その規則を破る行いをする方が悪いに決まっているではありませんか。仲良くなりたいと言うのなら、茶会の時に楽しそうに振る舞えばいいだけのこと。会話の輪に入って和気あいあいとすれば宜しいのに、何時までも世を儚んだ悲劇のヒロインのような顔でいるのですもの。付き合い切れません。
『菓子を焼いている暇がおありなら、歴史の本でも読んだら如何ですか?』
そう口に出した私は悪くありません。
本当に、私達の貴重な時間を使っているのですから、もう少し真面目に取り組んで欲しかったですわ。
もしかして、それを「虐め」と捉えているのですか?
シュゼット側妃と何度か会ううちに彼女の本質というものが見えてきました。
彼女は何時もどんな時でも「悲劇のヒロイン」なのです。
周りの人間が助けてあげなくては……と思わせる雰囲気を出して周囲が察してくれるのを待っているだけなのです。そして周りはその雰囲気を感じ取り、勝手にシュゼット側妃の為に行動を起こすのでしょう。彼女が自分から行動を起こす事はありません。ただ黙って悲し気な顔でいるだけです。だから、彼女の望む行動を行わない私達が悪いとでも言うのでしょうか?
それは、ただ単に怠慢だとしか言えませんわ。シュゼット側妃は一度も何もしようとしなかったのですから……。
「私達は何もしておりません。全てはシュゼット側妃の行動の結果ですわ」
「嘘をつくな!母上は何も言ってはいなかったぞ?」
「では、どうしてこのようなことになったのか御自分で考えられたことはありますか?今まで公務に就かれていなかったシュゼット側妃が異常なのです。それでも、王太子の生母ということで公の場に立たなければなりません。一介の王子の母とは立場が違いますからね。もっとも、シュゼット側妃が『王太子の生母』の地位を返上していればまた話は違ったかもしれませんが……そうでない以上は嫌でも公の場で『王太子の生母の責任』を果たしていただかなければなりません。まあ、結果がアレでしたが、内輪の夜会で良かったと思わなければなりませんね」
「なんだと!?」
ユリウス王子は顔を真っ赤にして怒り出しました。事実を述べただけですのに、何故怒るのでしょう。どうも、母君の事になると盲目的といいますか、客観的にみられないといいますか……マザコンだからでしょうか?
「殿下は、側妃としての責務を放棄しているシュゼット様が失態を犯して大した咎めもなく、これから先も王宮に住み続けられる理由を御存知ないのですか?」
「なんのことだ!?」
「王妃殿下の口添えがあったので王宮に留まる事ができているんですよ」
「なに!? 王妃が母上を幽閉したのか!!」
「何故そのような解釈になるのですか。違いますわ。陛下はシュゼット側妃から『妃の称号』と『王太子の生母の地位』を返上させて修道院に隠遁させるつもりだったのです。それを、王妃殿下が『王太子はいまだ幼く、実母の存在が必要だ』と訴えてくださったからこそ今の状態になっているんです。勿論、私や他の妃方も王妃殿下の言葉に一理あると考え賛同致しました。感謝されこそ恨まれる覚えはございません」
「やはりそうか!貴様たちのせいだったのか!!」
更に怒り出したユリウス王子はそのまま去って行きました。
今度はどのように歪曲したのでしょう? 謎ですわ。
だいたい、菓子を持参したと言いますが、アレはシュゼット側妃の手作りだとお聞きしています。王族の口を付けるものは全て事前に毒見されるのは基本。その規則を破る行いをする方が悪いに決まっているではありませんか。仲良くなりたいと言うのなら、茶会の時に楽しそうに振る舞えばいいだけのこと。会話の輪に入って和気あいあいとすれば宜しいのに、何時までも世を儚んだ悲劇のヒロインのような顔でいるのですもの。付き合い切れません。
『菓子を焼いている暇がおありなら、歴史の本でも読んだら如何ですか?』
そう口に出した私は悪くありません。
本当に、私達の貴重な時間を使っているのですから、もう少し真面目に取り組んで欲しかったですわ。
もしかして、それを「虐め」と捉えているのですか?
シュゼット側妃と何度か会ううちに彼女の本質というものが見えてきました。
彼女は何時もどんな時でも「悲劇のヒロイン」なのです。
周りの人間が助けてあげなくては……と思わせる雰囲気を出して周囲が察してくれるのを待っているだけなのです。そして周りはその雰囲気を感じ取り、勝手にシュゼット側妃の為に行動を起こすのでしょう。彼女が自分から行動を起こす事はありません。ただ黙って悲し気な顔でいるだけです。だから、彼女の望む行動を行わない私達が悪いとでも言うのでしょうか?
それは、ただ単に怠慢だとしか言えませんわ。シュゼット側妃は一度も何もしようとしなかったのですから……。
「私達は何もしておりません。全てはシュゼット側妃の行動の結果ですわ」
「嘘をつくな!母上は何も言ってはいなかったぞ?」
「では、どうしてこのようなことになったのか御自分で考えられたことはありますか?今まで公務に就かれていなかったシュゼット側妃が異常なのです。それでも、王太子の生母ということで公の場に立たなければなりません。一介の王子の母とは立場が違いますからね。もっとも、シュゼット側妃が『王太子の生母』の地位を返上していればまた話は違ったかもしれませんが……そうでない以上は嫌でも公の場で『王太子の生母の責任』を果たしていただかなければなりません。まあ、結果がアレでしたが、内輪の夜会で良かったと思わなければなりませんね」
「なんだと!?」
ユリウス王子は顔を真っ赤にして怒り出しました。事実を述べただけですのに、何故怒るのでしょう。どうも、母君の事になると盲目的といいますか、客観的にみられないといいますか……マザコンだからでしょうか?
「殿下は、側妃としての責務を放棄しているシュゼット様が失態を犯して大した咎めもなく、これから先も王宮に住み続けられる理由を御存知ないのですか?」
「なんのことだ!?」
「王妃殿下の口添えがあったので王宮に留まる事ができているんですよ」
「なに!? 王妃が母上を幽閉したのか!!」
「何故そのような解釈になるのですか。違いますわ。陛下はシュゼット側妃から『妃の称号』と『王太子の生母の地位』を返上させて修道院に隠遁させるつもりだったのです。それを、王妃殿下が『王太子はいまだ幼く、実母の存在が必要だ』と訴えてくださったからこそ今の状態になっているんです。勿論、私や他の妃方も王妃殿下の言葉に一理あると考え賛同致しました。感謝されこそ恨まれる覚えはございません」
「やはりそうか!貴様たちのせいだったのか!!」
更に怒り出したユリウス王子はそのまま去って行きました。
今度はどのように歪曲したのでしょう? 謎ですわ。
96
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ
タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。
灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。
だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。
ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。
婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。
嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。
その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。
翌朝、追放の命が下る。
砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。
――“真実を映す者、偽りを滅ぼす”
彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。
地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」
婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からなくなっていました。
婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/01 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過
2022/07/29 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過
2022/02/15 小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位
2022/02/12 完結
2021/11/30 小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位
2021/11/29 アルファポリス HOT2位
2021/12/03 カクヨム 恋愛(週間)6位
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる