32 / 78
第32話六年前~ブリリアントside~
ベリー伯爵夫人のお披露目会。
それはシュゼット側妃の公務第一歩目となりました。
貴族階級出身者が必ず身につけていなければならない社交の場での基本中の基本。これすらできないようでは側妃どころか公式愛妾としても失格でしょう。シュゼット側妃の場合、下位貴族クラスの振る舞いしか身についていません。まさに基本しかできない状態。それに加えて、教養面の知識はゼロ。この国の歴史はどうなっているのか、世界情勢は?地図は?特産品は何か?貴族の名前は? 何も知らないのです。そんな彼女が公の場で上手くできるはずがありません。結果、ユリウス王子の面子は丸潰れ。親子揃って周囲の貴族から嗤われていました。まあ、そうなるでしょうね。嘲笑している中には下位貴族の方もいたため、ユリウス王子は今にも怒りが爆発する寸前でした。国王夫妻の手前、必死に抑えていたようですがバレバレですわ。
流石に国王陛下もこれには呆れ果て、シュゼット側妃を今後公式の場に出す事を禁じられました。無難な判断でしょう。今回は身内である国内貴族だけの夜会でしたが、これが諸外国の要人の前でやらかしてしまったらと考えるとゾッとしますもの。
側妃落第の烙印を押されたシュゼット側妃は後宮から出られ、王宮にある離れの小さな館を与えられました。館の周囲は堀で囲まれ、出入りは一本の橋があるだけという場所でした。何代か前の国王が幽閉された場所だという曰く付きの館だと聞きます。
世継ぎの生母としては、あまりにもお粗末すぎる振る舞いに表舞台に出すことができないという理由で、監禁同然の生活を余儀なくされました。後宮に留め置くことは他の妃や貴族達の蔑んだ眼差しで無理だと思われたのでしょう。
シュゼット側妃が公から姿を消したところで公務に支障をきたす訳では無いので、すんなりと受け入れられました。側妃に昇進した時から今まで公務を行っていなかったツケでしょうね。周りが「王子を産み、心身ともに衰弱しているので静養が第一」という気遣いに胡坐をかいて学ばなかった結果とも言えます。まあ、甘やかした周囲も多少問題かもしれませんけど……。
元より、側妃とは名ばかりで「妃の位にいる愛妾」のようなものであったため、今更、公の場に出ること自体必要ありませんし、誰も望んでいませんでした。
しかし、ユリウス王子はそうなったのは私のせいだと仰います。私がシュゼット側妃を貶めたのだと。何故そうなるのか全く理解できません。私がいつ、どのような状況で、どのようにして彼女を貶めたというのでしょうか?
ユリウス王子曰く――
「母上は狭い館に閉じ込められて外に出歩くこともできなくなった。それもこれも貴様が他の妃達と結託して母上の嫌がる事をさせたせいだ!」
「聞いたぞ?母上が貴様たちと仲良くなろうと菓子を持参したと言うのに『毒見をしていない物は口にできない』と断ったそうだな。どういうことだ!母上が毒を盛るとでも言いたいのか!!」
「公務?母上は他の妃達と違って大変奥ゆかしい方なのだ。表に出て男達と対等に渡り歩くような方ではない」
「寝室に引きこもって、毎日、嘆き悲しんでいらっしゃる」
「今も母上は泣いているのだぞ!可哀そうだと思わないのか!!」
言い掛かりも甚だしいとはこの事です。
私は事実のみを述べました。だって本当のことですもの。それにしても、ユリウス王子は何を聞いて育ったのでしょうか……とても残念な方ですね。自分の母親なのに、何も知らないのですか。いえ、知っていても信じられないのでしょうね。
それはシュゼット側妃の公務第一歩目となりました。
貴族階級出身者が必ず身につけていなければならない社交の場での基本中の基本。これすらできないようでは側妃どころか公式愛妾としても失格でしょう。シュゼット側妃の場合、下位貴族クラスの振る舞いしか身についていません。まさに基本しかできない状態。それに加えて、教養面の知識はゼロ。この国の歴史はどうなっているのか、世界情勢は?地図は?特産品は何か?貴族の名前は? 何も知らないのです。そんな彼女が公の場で上手くできるはずがありません。結果、ユリウス王子の面子は丸潰れ。親子揃って周囲の貴族から嗤われていました。まあ、そうなるでしょうね。嘲笑している中には下位貴族の方もいたため、ユリウス王子は今にも怒りが爆発する寸前でした。国王夫妻の手前、必死に抑えていたようですがバレバレですわ。
流石に国王陛下もこれには呆れ果て、シュゼット側妃を今後公式の場に出す事を禁じられました。無難な判断でしょう。今回は身内である国内貴族だけの夜会でしたが、これが諸外国の要人の前でやらかしてしまったらと考えるとゾッとしますもの。
側妃落第の烙印を押されたシュゼット側妃は後宮から出られ、王宮にある離れの小さな館を与えられました。館の周囲は堀で囲まれ、出入りは一本の橋があるだけという場所でした。何代か前の国王が幽閉された場所だという曰く付きの館だと聞きます。
世継ぎの生母としては、あまりにもお粗末すぎる振る舞いに表舞台に出すことができないという理由で、監禁同然の生活を余儀なくされました。後宮に留め置くことは他の妃や貴族達の蔑んだ眼差しで無理だと思われたのでしょう。
シュゼット側妃が公から姿を消したところで公務に支障をきたす訳では無いので、すんなりと受け入れられました。側妃に昇進した時から今まで公務を行っていなかったツケでしょうね。周りが「王子を産み、心身ともに衰弱しているので静養が第一」という気遣いに胡坐をかいて学ばなかった結果とも言えます。まあ、甘やかした周囲も多少問題かもしれませんけど……。
元より、側妃とは名ばかりで「妃の位にいる愛妾」のようなものであったため、今更、公の場に出ること自体必要ありませんし、誰も望んでいませんでした。
しかし、ユリウス王子はそうなったのは私のせいだと仰います。私がシュゼット側妃を貶めたのだと。何故そうなるのか全く理解できません。私がいつ、どのような状況で、どのようにして彼女を貶めたというのでしょうか?
ユリウス王子曰く――
「母上は狭い館に閉じ込められて外に出歩くこともできなくなった。それもこれも貴様が他の妃達と結託して母上の嫌がる事をさせたせいだ!」
「聞いたぞ?母上が貴様たちと仲良くなろうと菓子を持参したと言うのに『毒見をしていない物は口にできない』と断ったそうだな。どういうことだ!母上が毒を盛るとでも言いたいのか!!」
「公務?母上は他の妃達と違って大変奥ゆかしい方なのだ。表に出て男達と対等に渡り歩くような方ではない」
「寝室に引きこもって、毎日、嘆き悲しんでいらっしゃる」
「今も母上は泣いているのだぞ!可哀そうだと思わないのか!!」
言い掛かりも甚だしいとはこの事です。
私は事実のみを述べました。だって本当のことですもの。それにしても、ユリウス王子は何を聞いて育ったのでしょうか……とても残念な方ですね。自分の母親なのに、何も知らないのですか。いえ、知っていても信じられないのでしょうね。
あなたにおすすめの小説
特技は有効利用しよう。
庭にハニワ
ファンタジー
血の繋がらない義妹が、ボンクラ息子どもとはしゃいでる。
…………。
どうしてくれよう……。
婚約破棄、になるのかイマイチ自信が無いという事実。
この作者に色恋沙汰の話は、どーにもムリっポい。
もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」
婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。
もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。
……え? いまさら何ですか? 殿下。
そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね?
もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。
だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。
これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。
※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。
他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
婚約破棄?とっくにしてますけど笑
蘧饗礪
ファンタジー
ウクリナ王国の公爵令嬢アリア・ラミーリアの婚約者は、見た目完璧、中身最悪の第2王子エディヤ・ウクリナである。彼の10人目の愛人は最近男爵になったマリハス家の令嬢ディアナだ。
さて、そろそろ婚約破棄をしましょうか。
奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました
水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。
それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。
しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。
王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。
でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。
◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。
◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。
◇レジーナブックスより書籍発売中です!
本当にありがとうございます!
欠席魔の公爵令嬢、冤罪断罪も欠席す 〜メイリーン戦記〜
水戸直樹
ファンタジー
王太子との婚約――それは、彼に恋したからでも、権力のためでもなかった。
魔王乱立の時代。
王も公爵も外征に出ている王都で、公爵令嬢メイリーンは“地味な婚約者”として王城に現れる。
だが、王太子は初顔合わせに現れなかった。
にもかかわらず、記録に残ったのは「公爵令嬢の欠席」。
抗議はしない。
訂正もしない。
ただ一つ、欠席という事実だけを積み上げていく。
――それが、誰にとっての不合格なのか。
まだ、誰も気づいていない。
欠席から始まる、静かなるファンタジー戦記。
【完結】婚約破棄された悪役令嬢、元婚約者を裏で裁きます
音無響一
ファンタジー
王城の大広間で、リリアーナ・エルヴァルトは婚約者である王太子から一方的に婚約破棄を言い渡される。罪を捏造され、断罪され、国外追放。誰も味方のいない中、彼女は一切の弁明をせず静かに受け入れた。
だがその夜。
彼女は別の顔を持つ。
王都の闇で依頼を受け、悪を裁く裏稼業の元締め。
今度の標的は――自分を断罪した元婚約者。
婚約は終わった。だが清算はまだ終わっていない。
表では悪役令嬢。裏では裁く側。
これは、断罪された令嬢が王都の闇を静かに切り裂く物語。