【完結】不協和音を奏で続ける二人の関係

つくも茄子

文字の大きさ
60 / 78

第60話経済問題~大臣side~

しおりを挟む
 これ以上は焼け石に水だ。

 流石はブリリアント様といったところだろう。

 かの公爵令嬢は、商売の才能もある。
 帝国に移住してからは、その才能をより発揮していた。

 彼女が王妃になっていたら我が国は間違いなく栄えたであろう。
 同じような政策を打ち出すにしても、国王陛下よりもずっと現実的な発想と実行力があったからな。悔やんでも悔やみきれない。私も陛下の事をとやかくいえないのだ。所詮は女の身だと侮っていた部分があった。公爵令嬢が諸外国に与える影響力は我々が思っていたよりもずっと強かったのだ。彼女は我々の想像をはるかに超える先を見据えていた。その慧眼を我々は過小評価していた。彼女の才覚と行動力が今になって我々を苦しめるなど想像もしなかった。

 陛下も薄々ブリリアント様の影響だと気付いていた。

 現実を知るいい機会だと思ったのはこの時だ。
 何時までも夢物語では国が保たない。いずれ現実を見て頂く必要があった。その為にも一度国の内外をしっかりと知る必要がある。そう思ったのだ。
 それは正しかった。
 しかし、ある意味で間違いだった。

 挫折を知らない陛下が耐えられる筈がなかった。
 現実を直視した陛下の心はポッキリと折れてしまわれた。それを支える為に重臣達は全力を尽くさなければならなかった。それが臣下としての務めであった。


「大臣、金が足りないのなら王家の資産を吐き出そう」

「何を仰います!?」

「それが一番いいではないか!」

「王家の資産で賄い切れるとお思いですか!!」

「当座はそれで持つだろう?」

 陛下のいう事は正しい。しかし間違ってもいる。
 この御方には国を動かすという自覚がない。いや、理解出来ていない。だから無謀とも思える発言をする。しかもそれを当然のように口にするのだ。
 私は心底ゾッとした。
 陛下がそんな事を口にされた日には王国は瞬く間に立ち行かなくなる。
 確かに暫くの間なら持つだろう。だが、見通しの立たない予算など直ぐに使い切ってしまう。その時に残るのは、莫大な負債を抱えた王国だけである。それは破滅を意味するのだ。王国の終焉といってもいい。陛下はその事が分からないのか?

「それと……他国の王族との婚姻を急いでくれ。この国を支援してくれる国ならどこでも構わない。どんな王女が嫁いでこようとも我慢しよう」

 私は言葉が出なかった。余りの発言に眩惑すら覚えた。一体何を言っているんだ!
 他国の王女がこの国に嫁いで来てくれると本気で思っているのだろうか!?
 無理だ!
 政略の旨味がない。
 それどころか属国扱いされかねない!!
 他国に支援を要請するという発想は良い。と言うよりも、それ以外に方法がない状態だった。

 問題はこの国を支援してくれる奇特な国があるかと問われると……難しい。

 一つあるにはあるが……。
 陛下が果たして納得するかどうか……。


 

しおりを挟む
感想 75

あなたにおすすめの小説

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

「婚約破棄だ」と笑った元婚約者、今さら跪いても遅いですわ

ゆっこ
恋愛
 その日、私は王宮の大広間で、堂々たる声で婚約破棄を宣言された。 「リディア=フォルステイル。お前との婚約は――今日をもって破棄する!」  声の主は、よりにもよって私の婚約者であるはずの王太子・エルネスト。  いつもは威厳ある声音の彼が、今日に限って妙に勝ち誇った笑みを浮かべている。  けれど――。 (……ふふ。そう来ましたのね)  私は笑みすら浮かべず、王太子をただ静かに見つめ返した。  大広間の視線が一斉に私へと向けられる。  王族、貴族、外交客……さまざまな人々が、まるで処刑でも始まるかのように期待の眼差しを向けている。

甘そうな話は甘くない

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
「君には失望したよ。ミレイ傷つけるなんて酷いことを! 婚約解消の通知は君の両親にさせて貰うから、もう会うこともないだろうな!」 言い捨てるような突然の婚約解消に、困惑しかないアマリリス・クライド公爵令嬢。 「ミレイ様とは、どなたのことでしょうか? 私(わたくし)には分かりかねますわ」 「とぼけるのも程ほどにしろっ。まったくこれだから気位の高い女は好かんのだ」 先程から散々不満を並べ立てるのが、アマリリスの婚約者のデバン・クラッチ侯爵令息だ。煌めく碧眼と艶々の長い金髪を腰まで伸ばした長身の全身筋肉。 彼の家門は武に長けた者が多く輩出され、彼もそれに漏れないのだが脳筋過ぎた。 だけど顔は普通。 10人に1人くらいは見かける顔である。 そして自分とは真逆の、大人しくか弱い女性が好みなのだ。 前述のアマリリス・クライド公爵令嬢は猫目で菫色、銀糸のサラサラ髪を持つ美しい令嬢だ。祖母似の容姿の為、特に父方の祖父母に溺愛されている。 そんな彼女は言葉が通じない婚約者に、些かの疲労感を覚えた。 「ミレイ様のことは覚えがないのですが、お話は両親に伝えますわ。それでは」 彼女(アマリリス)が淑女の礼の最中に、それを見終えることなく歩き出したデバンの足取りは軽やかだった。 (漸くだ。あいつの有責で、やっと婚約解消が出来る。こちらに非がなければ、父上も同意するだろう) この婚約はデバン・クラッチの父親、グラナス・クラッチ侯爵からの申し込みであった。クライド公爵家はアマリリスの兄が継ぐので、侯爵家を継ぐデバンは嫁入り先として丁度良いと整ったものだった。  カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています。

処理中です...