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8.変わらない長男2
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「息子を犯罪者に仕立て上げるつもりかよ!?」
仕立て上げるも何も傷害罪で捕まってもおかしくはない案件だ。自覚していないのか?突き出されても文句は言えまい。
「貴様のような息子など知らん」
「除籍処分になったらもう親でも子でもねぇって言うつもりかよ……」
「当たり前だろう。除籍にするというのはそういうことだ。お前も理解してこの家を出た身だろう」
「そ……それは……」
「それともそんな覚悟もなく出て行ったのか?」
「……」
どうやら図星のようだ。
都合が悪くなるとだんまりを決め込むクセも変わっていない。
「浅はかな奴だな」
「……」
「末端の貴族ですら除籍される意味は知っているぞ?」
「……」
「なのに貴様は何だ?知らなかったのか?だからいまだにバークロッドの名前を語っているのか?」
「……」
「それとも分かっていて使っているのか?それなら相当、質が悪いな」
「……」
「どうした?なぜ黙っている。図星を突かれたから言い返せないのか?自分に都合が悪くなるとだんまりを決め込む。子供の頃からの悪いクセはいまだに直っていないようだな。用件がないならさっさと去れ」
畳みかけるように言うと、セオドラは下を向いたまま小さな声で応えていた。
「……用件ならある」
「ほぉ、このバークロッド公爵の時間を割いてまで話す内容だ。随分と有意義な内容なんだろうな」
「……か、金を借りたい」
セオドラの言葉に、私は、ペンを置いた。
そうして真っすぐに息子を見る。下を向いたまま目を合わせようとはしない。
重苦しい沈黙が部屋を支配した。
恥を恥じとも思わない図々しすぎる息子も、さすがに金に困って借りに来たと告げるのは恥ずかしかったらしい。
だが……。
「貴様に貸す金などない」
はっきりと断りの返答をした。
すると焦ったのか、顔を上げて言いつのってきた。
「ま、待ってくれ! 理由を聞いてくれ!!」
「聞く必要はない。どうせ碌でもない内容だろう」
三年前までは何不自由のない暮らしをしていた身だ。
平民になったからといってすぐに順応できるとは思ってはいない。そもそも順応などできないだろう。金銭感覚からして平民寄りにはできないはずだ。
それ以前に働いているのだろうか?
セオドラが平民と一緒に真面目に働く姿など想像もできない。
本人は否定するだろうが、セオドラの平民への差別は酷いものだ。無自覚なのだろう。平民を同じ人として見ていない時すらあった。
そんな息子からの金の無心だ。
おおかた借金で首がまわらなくなったからだろう。生活費を稼ぐためにギャンブルにのめり込んだか?
それとも一攫千金を狙ってアホな投資でもしたのか。
どちらにしても碌でもない理由なのは明らかだった。
私がそう思案していると、沈黙に耐えかねたセオドラが叫んだ。
「子供ができたんだ!」
……碌でもない話だとは分かっていたが、さすがに……これは……。想像もしていなかった。
「今、一緒に暮らしている女が妊娠した。俺の子供だ。腹の子が目立つ前に籍を入れたい。女にも花嫁衣裳を着させてやりたい。子供ができればなにかと入り用になるだろうし、今住んでるところも手狭になる。もっと広い家で――」
「我が家には関係ない話だ」
アホな話をいつまでも聞いてはいられない。
喋り続けるアホにはさっさと出ていってもらおう。
仕立て上げるも何も傷害罪で捕まってもおかしくはない案件だ。自覚していないのか?突き出されても文句は言えまい。
「貴様のような息子など知らん」
「除籍処分になったらもう親でも子でもねぇって言うつもりかよ……」
「当たり前だろう。除籍にするというのはそういうことだ。お前も理解してこの家を出た身だろう」
「そ……それは……」
「それともそんな覚悟もなく出て行ったのか?」
「……」
どうやら図星のようだ。
都合が悪くなるとだんまりを決め込むクセも変わっていない。
「浅はかな奴だな」
「……」
「末端の貴族ですら除籍される意味は知っているぞ?」
「……」
「なのに貴様は何だ?知らなかったのか?だからいまだにバークロッドの名前を語っているのか?」
「……」
「それとも分かっていて使っているのか?それなら相当、質が悪いな」
「……」
「どうした?なぜ黙っている。図星を突かれたから言い返せないのか?自分に都合が悪くなるとだんまりを決め込む。子供の頃からの悪いクセはいまだに直っていないようだな。用件がないならさっさと去れ」
畳みかけるように言うと、セオドラは下を向いたまま小さな声で応えていた。
「……用件ならある」
「ほぉ、このバークロッド公爵の時間を割いてまで話す内容だ。随分と有意義な内容なんだろうな」
「……か、金を借りたい」
セオドラの言葉に、私は、ペンを置いた。
そうして真っすぐに息子を見る。下を向いたまま目を合わせようとはしない。
重苦しい沈黙が部屋を支配した。
恥を恥じとも思わない図々しすぎる息子も、さすがに金に困って借りに来たと告げるのは恥ずかしかったらしい。
だが……。
「貴様に貸す金などない」
はっきりと断りの返答をした。
すると焦ったのか、顔を上げて言いつのってきた。
「ま、待ってくれ! 理由を聞いてくれ!!」
「聞く必要はない。どうせ碌でもない内容だろう」
三年前までは何不自由のない暮らしをしていた身だ。
平民になったからといってすぐに順応できるとは思ってはいない。そもそも順応などできないだろう。金銭感覚からして平民寄りにはできないはずだ。
それ以前に働いているのだろうか?
セオドラが平民と一緒に真面目に働く姿など想像もできない。
本人は否定するだろうが、セオドラの平民への差別は酷いものだ。無自覚なのだろう。平民を同じ人として見ていない時すらあった。
そんな息子からの金の無心だ。
おおかた借金で首がまわらなくなったからだろう。生活費を稼ぐためにギャンブルにのめり込んだか?
それとも一攫千金を狙ってアホな投資でもしたのか。
どちらにしても碌でもない理由なのは明らかだった。
私がそう思案していると、沈黙に耐えかねたセオドラが叫んだ。
「子供ができたんだ!」
……碌でもない話だとは分かっていたが、さすがに……これは……。想像もしていなかった。
「今、一緒に暮らしている女が妊娠した。俺の子供だ。腹の子が目立つ前に籍を入れたい。女にも花嫁衣裳を着させてやりたい。子供ができればなにかと入り用になるだろうし、今住んでるところも手狭になる。もっと広い家で――」
「我が家には関係ない話だ」
アホな話をいつまでも聞いてはいられない。
喋り続けるアホにはさっさと出ていってもらおう。
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