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9.変わらない長男3
「なっ!なんだと!?子供ができるんだぞ!あんたにとっては孫だ!孫ができて嬉しくないのかよ!? あ、あんたたち……常々言ってやがっただろ? 早く婚約者を決めろ、結婚は早めにしろ、世継ぎを早々に作れってな。……俺はそれをしてやったんだぞ……?」
威勢よく言っていたが最後は理解できないと言わんばかりだった。
まったく、この男ときたら。アホだろうか?
一体いつの話をしているのか。
跡取りとしての自覚を持ってもらいたかったからこそ言っていた言葉だ。
早く結婚して子供をと言っていたのは、少子化傾向にある高位貴族の現実を見据えてのことだ。
そもそも、セオドラが幼い頃に顔合わせにと連れて来られた婚約者候補達に暴言を吐きまくっていたせいで、ご破算になったが。
『なんだよ、このブス』
『お前、鏡見たことないの? ブスがうつるだろ。あっち行けよ』
『あ? 化粧してんのか? ブスが化粧なんかしてんじゃねーよ』
『くっせ~。香水の量減らせよな』
などなど。
セオドラの口の悪さに令嬢達は大泣き。
これが普通の貴族令息だったのならともかく、相手は公爵家の跡取り息子。
神童と名高い美貌のセオドラから容赦なく浴びせられる暴言に、令嬢達の心はへし折られたに違いない。
見ていた私もドン引きしたくらいだ。
暴言ばかりの悪ガキに嫁がせるわけにはいかない、と各家が判断したのも頷ける。
学園に入って友人ができたと知った時は喜んだものだが……。
その友人達の影響だろうか。
いつしか夜遊びを覚え、こちらが驚くほどのプレイボーイぶりを発揮するようになった。
女好きというわけではない。
言うなれば、来るもの拒まず去るもの追わず。
節操もなく、取っ替え引っ替え。
浮気性なのかと疑ったものだ。
オリビアは「あれは、ただ単に性欲が強いだけです」と呆れていたが。
どこで育て方を間違ったのだろうか。
甘やかしてきたつもりはない。
嫡男として、最高の教育を受けさせてきた。
なのに、この体たらくはなんだ?
「貴様はアホか?子供ができたから金をくれ?女と結婚したいから金を寄越せ?なんだそれは。ふざけているのか」
「は……?可愛い孫が生まれれば親がなにかと準備するもんだろ?」
アホはアホなことを言い放った。
誰だこのアホにそんな訳の分からない入れ知恵をしたのは。
「どこでそんな話を聞いた?」
「え……だって……同棲してる女が……。周りの女達だってそう言ってたぞ。親ってものは、子供より孫が可愛いもんだって。だから孫に金をかけてくれるって。……違うのか?」
なるほど。
女からの情報だったか。
まあ、あながち間違いではない。
ただしそれは、普通に祝福された者同士に限った話だ。
廃嫡した息子の孫を可愛がる祖父などいない。
「……市井ではそうかもしれんな。だが、我が家が貴様の子供に金をくれてやるいわれはない」
「なんでだよ!?」
「貴様は我が家の籍を抜けたからだ。つまり、赤の他人。なぜ金をやらねばならん?」
「な……っ!」
「それほど金が必要だと言うのなら、ジョシュア・ラスコットからでも借りればいいだろう。彼とは学生時代からつるんでいた仲間ではないか」
「ジョシュアなら自分の領地にいるんだ……」
「知っている。あの醜聞の的になった女と一緒なのだろう」
「ああ、そうだ。コニーの療養には静かな場所がいいんだと……だからラスコット伯爵領に行っている。直り次第、王都に戻って来るって……」
馬鹿正直にそれを信じたのか。
少し考えれば分かることだ。
ラスコット伯爵子息は王都に戻って来ることはない――と。
威勢よく言っていたが最後は理解できないと言わんばかりだった。
まったく、この男ときたら。アホだろうか?
一体いつの話をしているのか。
跡取りとしての自覚を持ってもらいたかったからこそ言っていた言葉だ。
早く結婚して子供をと言っていたのは、少子化傾向にある高位貴族の現実を見据えてのことだ。
そもそも、セオドラが幼い頃に顔合わせにと連れて来られた婚約者候補達に暴言を吐きまくっていたせいで、ご破算になったが。
『なんだよ、このブス』
『お前、鏡見たことないの? ブスがうつるだろ。あっち行けよ』
『あ? 化粧してんのか? ブスが化粧なんかしてんじゃねーよ』
『くっせ~。香水の量減らせよな』
などなど。
セオドラの口の悪さに令嬢達は大泣き。
これが普通の貴族令息だったのならともかく、相手は公爵家の跡取り息子。
神童と名高い美貌のセオドラから容赦なく浴びせられる暴言に、令嬢達の心はへし折られたに違いない。
見ていた私もドン引きしたくらいだ。
暴言ばかりの悪ガキに嫁がせるわけにはいかない、と各家が判断したのも頷ける。
学園に入って友人ができたと知った時は喜んだものだが……。
その友人達の影響だろうか。
いつしか夜遊びを覚え、こちらが驚くほどのプレイボーイぶりを発揮するようになった。
女好きというわけではない。
言うなれば、来るもの拒まず去るもの追わず。
節操もなく、取っ替え引っ替え。
浮気性なのかと疑ったものだ。
オリビアは「あれは、ただ単に性欲が強いだけです」と呆れていたが。
どこで育て方を間違ったのだろうか。
甘やかしてきたつもりはない。
嫡男として、最高の教育を受けさせてきた。
なのに、この体たらくはなんだ?
「貴様はアホか?子供ができたから金をくれ?女と結婚したいから金を寄越せ?なんだそれは。ふざけているのか」
「は……?可愛い孫が生まれれば親がなにかと準備するもんだろ?」
アホはアホなことを言い放った。
誰だこのアホにそんな訳の分からない入れ知恵をしたのは。
「どこでそんな話を聞いた?」
「え……だって……同棲してる女が……。周りの女達だってそう言ってたぞ。親ってものは、子供より孫が可愛いもんだって。だから孫に金をかけてくれるって。……違うのか?」
なるほど。
女からの情報だったか。
まあ、あながち間違いではない。
ただしそれは、普通に祝福された者同士に限った話だ。
廃嫡した息子の孫を可愛がる祖父などいない。
「……市井ではそうかもしれんな。だが、我が家が貴様の子供に金をくれてやるいわれはない」
「なんでだよ!?」
「貴様は我が家の籍を抜けたからだ。つまり、赤の他人。なぜ金をやらねばならん?」
「な……っ!」
「それほど金が必要だと言うのなら、ジョシュア・ラスコットからでも借りればいいだろう。彼とは学生時代からつるんでいた仲間ではないか」
「ジョシュアなら自分の領地にいるんだ……」
「知っている。あの醜聞の的になった女と一緒なのだろう」
「ああ、そうだ。コニーの療養には静かな場所がいいんだと……だからラスコット伯爵領に行っている。直り次第、王都に戻って来るって……」
馬鹿正直にそれを信じたのか。
少し考えれば分かることだ。
ラスコット伯爵子息は王都に戻って来ることはない――と。
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