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第3章 心が繋がる時
13.紅花の妖精の名は
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メリーベルさんは紅花の妖精を見つめて、にこりと笑って手を胸のところで組んだ。
「私と妖精は、今日からゆっくりと末長く友情を育んで共に育って行きます。あなたの名前は…」
紅花の妖精は微動だにせずメリーベルさんを見つめている。
「あなたの名前はルールー。ずっと前から、そう呼んだら来てくれたのはあなたよね?」
その途端、ピカッと紅花の妖精の身体が光った。思っていたより強い。カメラのフラッシュくらいの光で、思わず手をかざしてしまう。
(あ、これはちょっと…)
(主様!)
(危ないよ!)
(強すぎますの!)
精霊達の念話がこだまするように頭の中に響く。
(大丈夫よ。一応念のために予想はしてたから)
多分、気持ちが昂りすぎて、ちょっとやそっと音読させただけでは抑えが効かなくなったのだろう。
メリーベルさんとルールーと名付けられた妖精の間に紋様を挟むように入れる。魔力の流れを緩やかにするためだ。
(ルールー、嬉しいのはわかるけど、あんまりはしゃぐとメリーベルさんが大変よ?)
無理矢理念話をルールーに繋げる。ルールーがビクッとこちらを見た。
(良かったね。あとは、メリーベルさんの言った通り、2人でゆっくり…まずはメリーベルさんが大人になってもっと魔力が多くなるまでは、今はこれ以上の進化は自重した方がいいわ)
大丈夫、焦らなくてもお互いに一緒に頑張れば、多分お互いの願いは叶うんじゃないかな。そんな風に思えた。
ルールーは頷いて軽く目を閉じる。ふわりとメリーベルさんの魔力の繭のようなものが現れて、ルールーを包み込んだ。
「あ…」
それでも、メリーベルさんの魔力は、多分3分の2は減っただろう。でも、多分それでも足りなかったようで…。
「あっ…」
「えっ…」
ほぼタイムラグ無しにエリーナさんとサブマスの魔力も3分の1くらいずつ持って行かれた筈だ。ちなみに、メリーベルさんの発声からここまで2秒くらい。魔力の移動をゆるやかにする紋様を準備はしていたとはいえ、間に合って良かったと胸を撫で下ろした。本当は私の魔力をそのまま渡しながら名付けをするのを考えたのだが、それでは名付けの危険度が伝わらないとカルラ達に注意されて、この方法を採用した。しかし、瞬間的にどう見てもメリーベルさんの魔力総量の2倍近い量を持っていくのにはびっくりした。
(これ、多分1人でやるのはかなり危険だわね…精霊魔法が流行らない訳だわ)
ふと思い出して、精霊達を見る。
(私、一度にみんなに名付けした気がするんだけど…)
「ルールー!」
メリーベルさんの大きな声に、ふとそちらを見ると、ルールーを包んでいた光の繭が、ふわふわと剥がれ落ちるように開いた。
そこにいたのは、身長は15センチくらい、頭頂部が金髪で毛先が赤…という見事なグラデーションの髪の毛とルビーのような瞳をした、シンプルなワンピース姿の幼児…人間なら4.5歳程度の子供の姿をした、紅花の妖精…おそらくは進化した、ルールーだった。
「サブマス、エリーナさん…」
わいわいはしゃぐ精霊達にかこまれたルールーを見て、感極まっているエリーナさんの背後に移動して、 サブマスとエリーナさんに声をかける。2人とも表情が抜け落ちて、ソファに完全に身体を預けるようにして座っている。なんだか申し訳なくなって2人に軽く治癒をかけた。
「り、リッカさん…」
「一瞬、見えました…」
ギギギ、と音がしそうな動きで2人の顔がこちらを向いて、同時に2人の口が開いた。
「ええ、なかなか…強烈な名付けでしたから……」
魔力を一度に引き出される際に、メリーベルさんの魔力と直に触れたような形になった。特に身体に影響は無いのだが、感覚共有の魔法と少し似たような形になったのは偶然だった。
「すみません、思っていたより魔力を取られる速さが速くなってしまいまして…普段の魔法はこんな風には減りませんよね?体調は如何ですか?」
「そそそ、そんなことより!見えましたわ!」
「黄色と赤の妖精が…」
2人は今度はお互いの手を取り合って固まっている。まあ、紋様を見る限り体調は大丈夫なようなので、少し時間をおけば落ち着くだろう。ふと視線を感じてそちらを見ると、執事さんが私に一礼して、ドアの向こうに消え、すぐにティーワゴンを押して戻ってきた。その音に気づくと、すぐにサブマスとエリーナさんはハッとして姿勢を正した。
(すごいな。執事さん…)
執事さんは、先程とは違う紅茶を優雅にサーブしてくれた。多分、この中で1番冷静だったのはこの人だろう。私はそんなことを呑気に考えていた。
「私と妖精は、今日からゆっくりと末長く友情を育んで共に育って行きます。あなたの名前は…」
紅花の妖精は微動だにせずメリーベルさんを見つめている。
「あなたの名前はルールー。ずっと前から、そう呼んだら来てくれたのはあなたよね?」
その途端、ピカッと紅花の妖精の身体が光った。思っていたより強い。カメラのフラッシュくらいの光で、思わず手をかざしてしまう。
(あ、これはちょっと…)
(主様!)
(危ないよ!)
(強すぎますの!)
精霊達の念話がこだまするように頭の中に響く。
(大丈夫よ。一応念のために予想はしてたから)
多分、気持ちが昂りすぎて、ちょっとやそっと音読させただけでは抑えが効かなくなったのだろう。
メリーベルさんとルールーと名付けられた妖精の間に紋様を挟むように入れる。魔力の流れを緩やかにするためだ。
(ルールー、嬉しいのはわかるけど、あんまりはしゃぐとメリーベルさんが大変よ?)
無理矢理念話をルールーに繋げる。ルールーがビクッとこちらを見た。
(良かったね。あとは、メリーベルさんの言った通り、2人でゆっくり…まずはメリーベルさんが大人になってもっと魔力が多くなるまでは、今はこれ以上の進化は自重した方がいいわ)
大丈夫、焦らなくてもお互いに一緒に頑張れば、多分お互いの願いは叶うんじゃないかな。そんな風に思えた。
ルールーは頷いて軽く目を閉じる。ふわりとメリーベルさんの魔力の繭のようなものが現れて、ルールーを包み込んだ。
「あ…」
それでも、メリーベルさんの魔力は、多分3分の2は減っただろう。でも、多分それでも足りなかったようで…。
「あっ…」
「えっ…」
ほぼタイムラグ無しにエリーナさんとサブマスの魔力も3分の1くらいずつ持って行かれた筈だ。ちなみに、メリーベルさんの発声からここまで2秒くらい。魔力の移動をゆるやかにする紋様を準備はしていたとはいえ、間に合って良かったと胸を撫で下ろした。本当は私の魔力をそのまま渡しながら名付けをするのを考えたのだが、それでは名付けの危険度が伝わらないとカルラ達に注意されて、この方法を採用した。しかし、瞬間的にどう見てもメリーベルさんの魔力総量の2倍近い量を持っていくのにはびっくりした。
(これ、多分1人でやるのはかなり危険だわね…精霊魔法が流行らない訳だわ)
ふと思い出して、精霊達を見る。
(私、一度にみんなに名付けした気がするんだけど…)
「ルールー!」
メリーベルさんの大きな声に、ふとそちらを見ると、ルールーを包んでいた光の繭が、ふわふわと剥がれ落ちるように開いた。
そこにいたのは、身長は15センチくらい、頭頂部が金髪で毛先が赤…という見事なグラデーションの髪の毛とルビーのような瞳をした、シンプルなワンピース姿の幼児…人間なら4.5歳程度の子供の姿をした、紅花の妖精…おそらくは進化した、ルールーだった。
「サブマス、エリーナさん…」
わいわいはしゃぐ精霊達にかこまれたルールーを見て、感極まっているエリーナさんの背後に移動して、 サブマスとエリーナさんに声をかける。2人とも表情が抜け落ちて、ソファに完全に身体を預けるようにして座っている。なんだか申し訳なくなって2人に軽く治癒をかけた。
「り、リッカさん…」
「一瞬、見えました…」
ギギギ、と音がしそうな動きで2人の顔がこちらを向いて、同時に2人の口が開いた。
「ええ、なかなか…強烈な名付けでしたから……」
魔力を一度に引き出される際に、メリーベルさんの魔力と直に触れたような形になった。特に身体に影響は無いのだが、感覚共有の魔法と少し似たような形になったのは偶然だった。
「すみません、思っていたより魔力を取られる速さが速くなってしまいまして…普段の魔法はこんな風には減りませんよね?体調は如何ですか?」
「そそそ、そんなことより!見えましたわ!」
「黄色と赤の妖精が…」
2人は今度はお互いの手を取り合って固まっている。まあ、紋様を見る限り体調は大丈夫なようなので、少し時間をおけば落ち着くだろう。ふと視線を感じてそちらを見ると、執事さんが私に一礼して、ドアの向こうに消え、すぐにティーワゴンを押して戻ってきた。その音に気づくと、すぐにサブマスとエリーナさんはハッとして姿勢を正した。
(すごいな。執事さん…)
執事さんは、先程とは違う紅茶を優雅にサーブしてくれた。多分、この中で1番冷静だったのはこの人だろう。私はそんなことを呑気に考えていた。
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