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第3章 心が繋がる時
12.隠者は万が一を2つ用意する
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私の目の前に、ソファーに座ったメリーベルさんとその両脇には、サブマスとエリーナさんがいる。猫足のテーブルの上には、紅花の妖精。対面のソファーには私と精霊たち。
「では、最後にもう一度、実際に魔力の流れや護石も含めて説明しますね」
妖精も含めた目の前に、それぞれの魔法紋様を出す。
「これは、魔力量や魔力の流れ方を始め、それぞれの方の現在の状態を視るために使います。基本的に気にしないでくださって大丈夫です」
「あ、あの…」
「はい?」
「呪文は…」
「詠唱破棄…いえ、これは無詠唱…」
メリーベルさん、エリーナさんまでアワアワしている。またやってしまった。
「……まあ、今はお気になさらずに。私は…その、サブマス…メリーベルさんのお父様の先生…らしいので、そういうことで…いいです…よね?サブマスター…」
「もちろんです」
しどろもどろの私の言い分に、サブマスは被せ気味に答えてくれた。助かった。私は机の上の紙をメリーベルさんにどうぞと渡しつつ、口を開いた。
「そして、次にこれを唱えてから、妖精に名前をつけてあげてください。名前は昔から考えてあると言うことでしたね?…あ、口には出さないで下さい」
「はい!初めて会った時から、心の中で呼んでいる名前がありますから」
メリーベルさんの目がキラキラと輝き、丸い頬は紅潮してピンク色だ。透き通るような肌だが血色が良いので病的に見える事は決してなく、むしろ輝くようなオーラすら感じる。目鼻立ちも整っていて、目元や鼻筋はサブマス似、笑うとエクボのできる口元はエリーナさんそのまま。贔屓目に言っても美少女だ。将来は美女確定だろう。
(ええと、魔力量は…サブマスの7割くらいかな。あ、エリーナさんの方が魔力総量は多いのね。意外…)
メリーベルさんに見惚れて脱線しそうだった思考を各人の紋様に戻した。
「これを読んでから…『私と妖精は、今日からゆっくりと末長く友情を育んで共に育って行きます』」
「はい。これを読む事で、魔力を危険量まで持って行かれるのを防ぎます。何らかの事故で魔力の枯渇がおこりそうな場合は、これで…」
サブマスとエリーナさんの前に、もう一枚ずつ紋様を出した。
「これで、メリーベルさんに魔力を必要分だけあげることができます。私が合図したら、お二人はその紋様に触れていてください。その方が楽だと思います」
「…魔力譲渡……属性による拒否反応は、この紋様が防ぐのですか?」
「はい、これは魔力の属性を無属性に持っていくと言うか、より魔力そのものに変換するものです。出力…つまりメリーベルさんに流れる方の速度は、メリーベルさん自身の魔力の減りに応じて変わりますが…万が一ご自身の魔力で足りないようなら、これでお二人の魔力を使えば大丈夫かと」
何やらブツブツサブマスが言っているが、とりあえず説明を続けることにする。
「その場合は、エリーナさんの方が魔力総量が多いようなので、まずはエリーナさんからある程度譲渡してもらって、その後にサブマスにお願いしましょうね」
「えっ⁉︎」
「ええっ⁉︎」
そのように設定します、と続けようとしたらサブマスとエリーナさんが素っ頓狂な声を出した。
「今、なんと…?」
「そうそう、私の方が魔力総量が多い…?」
何をそんなに驚いているのだろうか。私は普通に返事をした。
「…はい。そうですが……何か…?」
「…いえ、いいえ!いまはメリーベルですわ!」
「そうです、そうですね。それは後ほど」
若干アワアワしているお二人が気になるといえば気になるが、机の上でぴょんぴょん飛び跳ねている妖精も気になるので、次に移ることにする。
「そして、最後はこの護石です。これはまあ、保険のようなものですが…万が一の事があっても、ある程度ならこれで身を守れますので、皆様ポケットに入れるか、膝の上にでも置いていて下さい」
手のひらほどの大きさの、大きなメダルのような護石を3つ、それぞれの名前を彫り込んでから渡した。
サブマスは雪の結晶模様、エリーナさんにはフリージアの花、メリーベルさんにはマーガレットの花を内側に彫り込んであるものを渡す。
「マーガレットですね!可愛いです!」
メリーベルさんが笑顔でお礼を言ってくれたので、私もほっこりした。
「お気に召してもらえて良かったです。…では、心の準備はよろしいですか?」
「はい!」
とりあえず、今回の術と万が一混じるのが嫌だったので、私は隠蔽と認識阻害を全て外して、メリーベルさんに合図した。
「それでは、いつでもいいですよ」
メリーベルさんが、輝くような笑顔で頷き、サブマスとエリーナさんの喉がごくりと動くのが分かった。
「では、最後にもう一度、実際に魔力の流れや護石も含めて説明しますね」
妖精も含めた目の前に、それぞれの魔法紋様を出す。
「これは、魔力量や魔力の流れ方を始め、それぞれの方の現在の状態を視るために使います。基本的に気にしないでくださって大丈夫です」
「あ、あの…」
「はい?」
「呪文は…」
「詠唱破棄…いえ、これは無詠唱…」
メリーベルさん、エリーナさんまでアワアワしている。またやってしまった。
「……まあ、今はお気になさらずに。私は…その、サブマス…メリーベルさんのお父様の先生…らしいので、そういうことで…いいです…よね?サブマスター…」
「もちろんです」
しどろもどろの私の言い分に、サブマスは被せ気味に答えてくれた。助かった。私は机の上の紙をメリーベルさんにどうぞと渡しつつ、口を開いた。
「そして、次にこれを唱えてから、妖精に名前をつけてあげてください。名前は昔から考えてあると言うことでしたね?…あ、口には出さないで下さい」
「はい!初めて会った時から、心の中で呼んでいる名前がありますから」
メリーベルさんの目がキラキラと輝き、丸い頬は紅潮してピンク色だ。透き通るような肌だが血色が良いので病的に見える事は決してなく、むしろ輝くようなオーラすら感じる。目鼻立ちも整っていて、目元や鼻筋はサブマス似、笑うとエクボのできる口元はエリーナさんそのまま。贔屓目に言っても美少女だ。将来は美女確定だろう。
(ええと、魔力量は…サブマスの7割くらいかな。あ、エリーナさんの方が魔力総量は多いのね。意外…)
メリーベルさんに見惚れて脱線しそうだった思考を各人の紋様に戻した。
「これを読んでから…『私と妖精は、今日からゆっくりと末長く友情を育んで共に育って行きます』」
「はい。これを読む事で、魔力を危険量まで持って行かれるのを防ぎます。何らかの事故で魔力の枯渇がおこりそうな場合は、これで…」
サブマスとエリーナさんの前に、もう一枚ずつ紋様を出した。
「これで、メリーベルさんに魔力を必要分だけあげることができます。私が合図したら、お二人はその紋様に触れていてください。その方が楽だと思います」
「…魔力譲渡……属性による拒否反応は、この紋様が防ぐのですか?」
「はい、これは魔力の属性を無属性に持っていくと言うか、より魔力そのものに変換するものです。出力…つまりメリーベルさんに流れる方の速度は、メリーベルさん自身の魔力の減りに応じて変わりますが…万が一ご自身の魔力で足りないようなら、これでお二人の魔力を使えば大丈夫かと」
何やらブツブツサブマスが言っているが、とりあえず説明を続けることにする。
「その場合は、エリーナさんの方が魔力総量が多いようなので、まずはエリーナさんからある程度譲渡してもらって、その後にサブマスにお願いしましょうね」
「えっ⁉︎」
「ええっ⁉︎」
そのように設定します、と続けようとしたらサブマスとエリーナさんが素っ頓狂な声を出した。
「今、なんと…?」
「そうそう、私の方が魔力総量が多い…?」
何をそんなに驚いているのだろうか。私は普通に返事をした。
「…はい。そうですが……何か…?」
「…いえ、いいえ!いまはメリーベルですわ!」
「そうです、そうですね。それは後ほど」
若干アワアワしているお二人が気になるといえば気になるが、机の上でぴょんぴょん飛び跳ねている妖精も気になるので、次に移ることにする。
「そして、最後はこの護石です。これはまあ、保険のようなものですが…万が一の事があっても、ある程度ならこれで身を守れますので、皆様ポケットに入れるか、膝の上にでも置いていて下さい」
手のひらほどの大きさの、大きなメダルのような護石を3つ、それぞれの名前を彫り込んでから渡した。
サブマスは雪の結晶模様、エリーナさんにはフリージアの花、メリーベルさんにはマーガレットの花を内側に彫り込んであるものを渡す。
「マーガレットですね!可愛いです!」
メリーベルさんが笑顔でお礼を言ってくれたので、私もほっこりした。
「お気に召してもらえて良かったです。…では、心の準備はよろしいですか?」
「はい!」
とりあえず、今回の術と万が一混じるのが嫌だったので、私は隠蔽と認識阻害を全て外して、メリーベルさんに合図した。
「それでは、いつでもいいですよ」
メリーベルさんが、輝くような笑顔で頷き、サブマスとエリーナさんの喉がごくりと動くのが分かった。
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