29歳のいばら姫~10年寝ていたら年下侯爵に甘く執着されて逃げられません

越智屋ノマ

文字の大きさ
2 / 35

【1】レイ

しおりを挟む
私が修道女になったのは、16歳のときのことだ。
オルドー子爵家の長女として生まれた私にはダミアンという名の婚約者がおり、将来的に私は子爵家当主となってダミアンとともに領地を治めていくはずだった。

……だけれど、運命というのは色々分からないもので。

結論を述べると、私は次期当主の地位も婚約者も失った。
腹違いの妹であるキャロラインに、奪い取られる形である。ダミアンは私と婚約していたくせに、キャロラインと恋仲になっていたらしい。

家族から厄介払いされた私は、なんだかんだと理由を付けられ片田舎の『ミリュレー修道院』へ送られる羽目になった。

……ありふれた大衆劇の筋書きみたいで安っぽいとは思うけれど、事実なのだから仕方ない。

二度と私が世俗に戻れないようにするため、家族はわざわざ私を王都の修道会本部まで連れて行き、『命ある限り神に仕える』という終身誓願の儀式までやらせた。……いわゆる『令嬢の修道院送り』では、終身誓願まではやらせないのが一般的なのだけれど。

家族がどれほど私を目障りに思っていたのかは、想像に難しくない。

「エルダお姉さまと、もう二度と会えないなんて! わたし、悲しくて泣いてしまいそう」
「我が儘を言ってはダメよ、キャロライン。エルダさんだって、つらいんだから。でももう、これ以上家に縛り付けてはいけないわ」
「お母様……分かったわ。ねえ、お姉さま、家のことは私とダミアン様に任せて、これからは修道院で穏やかな祈りの日々を過ごしてね?」
「お元気でね、エルダさん」

……と、異母妹と義母が茶番劇をやっているのを視界の端に流しながら、私は馬車に乗り込んだ。この馬車で、私はこれからミリュレー修道院へと向かう。

私は御者に「出発して頂戴」と命じると、自分で馬車の扉を閉めた。
からり、からりと動き出す馬車の中、私はひとりで溜息をつく。

異母妹と義母が私を見送りに来たのは、どうせ私の泣き顔でも眺めるつもりだったのだろう。……泣く訳ないでしょ、冗談じゃないわ。その一方で父は、すでに私を無価値と断じているためか、見送りにも来なかった。

「……どうでもいいわ。あんな人達」

あの人たちは私を追放したつもりなのだろうけれど、私はむしろ清々していた。
あんな家とお別れできるなら、修道院送りだって大歓迎だ。

   *

オルドー子爵領から馬車でおよそ1週間。
たどりついたミリュレー修道院は、ブドウ畑に囲まれてなだらかな丘陵地にぽつんと建っていた。
この修道院は特定の貴族の庇護下にあるのではなく、自ら保有する広大な荘園からの収入で独立した運営を行っていると聞く。

修道院長室の扉を叩くと、中から老婆の声が返ってきた。
「入りな」
ひどく酒枯れした声だ。どうやら修道院長は、前情報ウワサ通りの人らしい。

「お初にお目にかかります、マザー・グレンナ。オルドー子爵家から参りました、エルダと申します。日々の務めに励みますので、どうぞよろし――」

「冗談じゃないねぇ!! あたしゃ、あんたみたいな小娘は要らないよ」
あいさつの途中で、修道院長は鼻で笑ってそう吐き捨てていた。

「寄付金をたんまり弾むって言うから引き受けてやったのに、オルドー子爵家ときたら支払いの段階になって分割だなんだと渋ってきやがった。金にもならないお貴族様の令嬢なんざ、あたしゃ手元に置く気はないね! さっさと帰んな」

と、その老婆――修道院長マザー・グレンナは吠えていた。

(本当に噂通りだわ。クセが強いおばあさんねぇ)

そう。マザー・グレンナは凄まじく個性的な女性だった。
どこをどう見ても修道女という雰囲気ではなく、野盗の女首領のほうが絶対に似合う。痩せた体としわだらけの顔の中央にそびえる鉤鼻《かぎばな》は、絵本に出てくる魔女そのものの外見だ。

……でも私は、そんな彼女を見て「嫌いじゃないな」と思った。
外面ばかり良くて陰湿な義母や妹と比べれば、マザー・グレンナの豪快さはむしろ気持ちがいいくらいだ。

だから私は一歩進み出て、マザー・グレンナにほほえみかけた。

「マザー・グレンナ。私にチャンスをくださいませんか? きっとお役に立ってみせますわ」

マザーは、紫の目でぎろりと私を睨みつけている。
「はン。お前みたいな小娘が何の役に立つってんだい」

「料理、洗濯、掃除、裁縫、写本の作成、ご入用とあれば経理関係もお任せください。こう見えて私、実家では随分と鍛えられましたから」
「どうせすぐ泣いて逃げ出すさ」
「泣いて逃げるか笑って居着くか、どうか楽しみにしていてくださいな」

彼女はしばらく口をへの字にしていたが、やがて「口だけは達者なようだね」とニヤリと唇を吊り上げた。

「あたしゃ、グズと根性なしが大嫌いさ。弱音を上げたらすぐ追い出してやるから覚悟しな」


   *

修道院長のマザー・グレンナは、わがままで守銭奴で大酒豪な人だった。

しかも気に入らない修道女をすぐに追い出してしまうから、ミリュレー修道院にはここ十年ほどマザー以外の修道女はいなかったらしい。たった一人で修道院や荘園内の諸々を切り盛りしてきたというのだから、マザー・グレンナは本当に凄まじいおばあさんだ。

「グズと根性なしは大嫌いさ!! 酒がまずくなるからねぇ!」
が院長の口癖だったから、追い出されずに暮らし続けた私はおそらく『役に立つ根性ありの女』と認定されたのだろう。院長にこき使われながらも、楽しい日々を送っていた。

そして、私の暮らしに喜びを与えてくれたのは、マザーだけではない。
修道院の敷地内には孤児院が併設されていて、そこで暮らす13人の孤児たちと共同生活を送っていた。

その13人の中の一人が、ラファエル様だった。

他の子たちはマザー・グレンナが拾って鍛え上げた子たちだけれど、ラファエル様だけは私が保護した子どもだった――。


   *

ある日の夕暮れ時。
院長のおつかいで、私が他領の街に来ていたときのこと――。

「おい、ガキ! ぶつかっておいてなんだ? 謝りもしねえで逃げる気か」
という野太い罵声が路地裏のほうから聞こえてきて、私はびくりとしてしまった。

ただごとではないと思って警戒しながら路地裏に踏み込んでみる。二人のゴロツキが10歳くらいの男の子に絡んでいるのが見えた。

男の子は、ひどく痩せていた。衣服はボロボロ、全身が汚れにまみれている。
蒼白な顔で立ち尽くすその子を、ゴロツキたちが見下ろしていた。

「ご……ごめんなさい」
「あん? 聞こえねぇよガキが!!」
「謝って済むと思ってンのか、あぁ?」

ゴロツキが、その男の子を突き飛ばした。尻もちをついて怯えるその子を、ゴロツキたちは嗜虐的な顔をしながら蹴りつけていたぶり始めた。
(……大変だわ!)
私は、血相を変えてその場から駆け去った。

「このガキ、ここらじゃ見かけねえ顔だな。親に捨てられて、うろついてる口か?」
「こいつ、よく見りゃキレイな顔してやがる」
「本当だな、こういうガキは金持ちの変態野郎に高値で売れるぜ?」
「そりゃいい。さっさと連れていこうぜ」
「い、いやだ。はなして――」
「うるせぇ!」
ゴロツキたちが少年を引きずって行こうとした、ちょうどそのとき。


「おい貴様ら! そこで何をやっている!!」


鋭い叫びとともに、憲兵たちが駆け付けた。
私は騒ぎを見てすぐに、憲兵を呼びにいったのだ。私が現場に再び駆けつけたときにはすでに、警備兵たちがゴロツキ二人を連行しているところだった。

ポカンとした顔で立ち尽くしている少年を見て、私がホッと胸をなでおろした。しかし、次の瞬間――。
「大丈夫かい、坊や」
と憲兵に呼びかけられた少年が、びくりと身をすくませているのが見えた。

「坊やは、どこの子だい?」
「ぼ、ぼくは……」

少年はなかなか答えない。きっと、答えられないのだろう。おろおろして、今にも泣き出しそうな顔をしている。

(あの子、どう見ても訳アリね)

着ているシャツやズボンはひどく汚れていたけれど、元が上質なものだったのが見て取れる。上流階級の家出息子か……あるいは麗しい容姿を気に入られて、上流階級に違法な手段で囲われていた子という可能性もある。

(どちらにしても、放っておくわけにはいかないわ)

このままだと憲兵に連れて行かれて、身元を洗い出されることになる。
それをあの子が望んでいないのは、明らかだった。
だから私は、とっさに声を張り上げた。

「レイ!」
ふと思いついた名がレイだった。
ちょうど雲間から現れた夕日が光線rayとなって路地裏に降り注いでいたから。そして彼のシャンパンのような色味を帯びた金髪が、夕日の中で光を放って見えたから。

「レイ……! ああ、無事でよかった!!」
面識もないその少年のもとに駆け寄って、私はまるで親しい家族にするように抱きしめてみせた。
少年は、蒼白な顔のまま呆然としている。

「兵士さま、レイを助けてくださって本当にありがとうございます!」
「あなたは……」
「私はシスター・エルダ。ミリュレー修道院の修道女です。レイはうちの修道院で保護している子で、今日は私と一緒におつかいに来ていたのですが、迷子になってしまって……」

ぎゅう、と少年を抱きしめながら、私は憲兵に頭を下げた。

「本当にありがとうございました! さぁ行きましょう、レイ。早く帰って、傷の手当てをしましょうね」

憲兵に引き留められることはなく、少年の手を引いてその場から立ち去ることができた。

「…………おねえさん」
「しぃ。このまま歩いて。だいじょうぶ、私はあなたの味方よ」

曲がり角を曲がってさらに先を進み、憲兵が完全に見えなくなってから私は立ち止まった。少年と目の高さを合わせ、握っていた華奢な手を包み込んで笑いかける。

「坊や、……何か事情があるのよね? 困っているなら、私が面倒を見るわ」

   *

少年を修道院に連れて帰ると、マザー・グレンナが怒鳴りつけてきた。

「おいエルダ! 何だい、このひょろひょろのモヤシみたいな小僧は!? ヘンなもん拾ってくるんじゃないよ。あたしゃ根性のあるやくにたつガキしか手元に置く気はないんだからね!」

少年はびくりとおびえていたけれど、私にとっては完全に予想通りの反応だった。
私がニコニコしながら黙っていると、院長は居心地悪そうな顔になってきた。

「……ちッ。…………グズだったらすぐ追い出すからね!?」

そう。なんだかんだで、この院長は子どもに優しいのだ。
ハッとした様子でいつもの極悪な表情に戻ると、マザー・グレンナは少年をぎろりと睨みつけた。

「おい小僧、追い出されたくなきゃがんばりな! エルダ、あんたが小僧をきっちり鍛えてやるんだよ!? 拾った者の責任さ!」

足音けたたましく、マザー・グレンナは部屋から出ていった。

「よかったわね、院長がオーケーしてくれて」
「お……オーケー……?」
「ええ。今の院長の言葉を翻訳すると『ようこそミリュレー修道院へ。これからがんばってね♪』という意味になるの」
クセが強い老婆だが悪人ではないので、私はマザー・グレンナが大好きだ。

「というわけで、今日からよろしくね。坊や!」
ぽかんとしている少年に、私はウインクをしてみせた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】嫌われ公女が継母になった結果

三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。 わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

【完結】妹に存在を奪われた令嬢は知らない 〜彼女が刺繍に託した「たすけて」に、彼が気付いてくれていたことを〜

桜野なつみ
恋愛
存在を消された伯爵家の長女・ビオラ。声を失った彼女が、唯一想いを託せたのは針と糸だった。 白いビオラの刺繍に縫い込まれた「たすけて」の影文字。 それを見つけたのは、彼女の母の刺繍に人生を変えられた青年だった──。 言葉を失った少女と、針の声を聴く男が紡ぐ、静かな愛の物語。

【完結】私のことを愛さないと仰ったはずなのに 〜家族に虐げれ、妹のワガママで婚約破棄をされた令嬢は、新しい婚約者に溺愛される〜

ゆうき
恋愛
とある子爵家の長女であるエルミーユは、家長の父と使用人の母から生まれたことと、常人離れした記憶力を持っているせいで、幼い頃から家族に嫌われ、酷い暴言を言われたり、酷い扱いをされる生活を送っていた。 エルミーユには、十歳の時に決められた婚約者がおり、十八歳になったら家を出て嫁ぐことが決められていた。 地獄のような家を出るために、なにをされても気丈に振舞う生活を送り続け、無事に十八歳を迎える。 しかし、まだ婚約者がおらず、エルミーユだけ結婚するのが面白くないと思った、ワガママな異母妹の策略で騙されてしまった婚約者に、婚約破棄を突き付けられてしまう。 突然結婚の話が無くなり、落胆するエルミーユは、とあるパーティーで伯爵家の若き家長、ブラハルトと出会う。 社交界では彼の恐ろしい噂が流れており、彼は孤立してしまっていたが、少し話をしたエルミーユは、彼が噂のような恐ろしい人ではないと気づき、一緒にいてとても居心地が良いと感じる。 そんなブラハルトと、互いの結婚事情について話した後、互いに利益があるから、婚約しようと持ち出される。 喜んで婚約を受けるエルミーユに、ブラハルトは思わぬことを口にした。それは、エルミーユのことは愛さないというものだった。 それでも全然構わないと思い、ブラハルトとの生活が始まったが、愛さないという話だったのに、なぜか溺愛されてしまい……? ⭐︎全56話、最終話まで予約投稿済みです。小説家になろう様にも投稿しております。2/16女性HOTランキング1位ありがとうございます!⭐︎

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

大好きだった旦那様に離縁され家を追い出されましたが、騎士団長様に拾われ溺愛されました

Karamimi
恋愛
2年前に両親を亡くしたスカーレットは、1年前幼馴染で3つ年上のデビッドと結婚した。両親が亡くなった時もずっと寄り添ってくれていたデビッドの為に、毎日家事や仕事をこなすスカーレット。 そんな中迎えた結婚1年記念の日。この日はデビッドの為に、沢山のご馳走を作って待っていた。そしていつもの様に帰ってくるデビッド。でもデビッドの隣には、美しい女性の姿が。 「俺は彼女の事を心から愛している。悪いがスカーレット、どうか俺と離縁して欲しい。そして今すぐ、この家から出て行ってくれるか?」 そうスカーレットに言い放ったのだ。何とか考え直して欲しいと訴えたが、全く聞く耳を持たないデビッド。それどころか、スカーレットに数々の暴言を吐き、ついにはスカーレットの荷物と共に、彼女を追い出してしまった。 荷物を持ち、泣きながら街を歩くスカーレットに声をかけて来たのは、この街の騎士団長だ。一旦騎士団長の家に保護してもらったスカーレットは、さっき起こった出来事を騎士団長に話した。 「なんてひどい男だ!とにかく落ち着くまで、ここにいるといい」 行く当てもないスカーレットは結局騎士団長の家にお世話になる事に ※他サイトにも投稿しています よろしくお願いします

愛を知らない「頭巾被り」の令嬢は最強の騎士、「氷の辺境伯」に溺愛される

守次 奏
恋愛
「わたしは、このお方に出会えて、初めてこの世に産まれることができた」  貴族の間では忌み子の象徴である赤銅色の髪を持って生まれてきた少女、リリアーヌは常に家族から、妹であるマリアンヌからすらも蔑まれ、その髪を隠すように頭巾を被って生きてきた。  そんなリリアーヌは十五歳を迎えた折に、辺境領を収める「氷の辺境伯」「血まみれ辺境伯」の二つ名で呼ばれる、スターク・フォン・ピースレイヤーの元に嫁がされてしまう。  厄介払いのような結婚だったが、それは幸せという言葉を知らない、「頭巾被り」のリリアーヌの運命を変える、そして世界の運命をも揺るがしていく出会いの始まりに過ぎなかった。  これは、一人の少女が生まれた意味を探すために駆け抜けた日々の記録であり、とある幸せな夫婦の物語である。 ※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」様にも短編という形で掲載しています。

【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」  お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。  賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。  誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。  そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。  諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。

処理中です...