1 / 27
第1話:大好きな人には別に好きな人がいるそうです
しおりを挟む
今日もいつもの様に、大好きなエディソン様の元にやって来た。
「エディソン様、ハンカチに刺繍を入れてきましたの。受け取っていただけますか?」
エディソン様に近づき、ハンカチを渡した。周りには令嬢たちがエディソン様を囲っている。
「悪いがこれは受け取れないよ。すまない…」
少し困った顔をしたエディソン様がそう言って、ハンカチを返してきたのだ。せっかく10日かけて入れたのに…
ショックでついシュンとしてしまう。
「ちょっとあなた、いい加減にしなさいよ。いつもいつも図々しくエディソン様の元にやって来て。そもそもここは、3年棟よ」
「そうよ、毎回毎回押しかけてきて、エディソン様が迷惑している事、いい加減気が付きなさい」
さらに令嬢たちからも責められ、私は増々シュンとする。
「まあまあ、彼女も悪気があって来ている訳ではないのだから。さあ、もう2年棟に戻りなさい」
エディソン様に促され、2年棟に戻る。
「お前、またマッキーノ侯爵令息のところに行っていたのかよ」
は~っとため息をつきながら私に話しかけてきたのは、幼馴染で伯爵令息のグレイズだ。燃えるような赤い髪に、グリーンの瞳をしている。
「うるさいわね、グレイズには関係ないでしょう」
初めてエディソン様に出会ったのは、1年半前。貴族学院の入学式で迷子になった私を助けてくれたのが、エディソン様だった。その優しい微笑に、私は一目で恋に落ちた。
それ以降、毎日一学年上のエディソン様に会いに行っている。ただ、エディソン様は見た目が美しいだけでなく、頭もよく武術にも優れている、さらに優しいとあって、令嬢たちの憧れの的なのだ。
その為、エディソン様より爵位が低く、さらに1学年下の私が毎日エディソン様に会いに行く事を、快く思っていない令嬢たち。何度も嫌味を言われたり、特には突き飛ばされたりしたこともあった。
それでもエディソン様の笑顔を見ると、どんなに辛い事があっても、耐えられたのだが…
「お前、最近マッキーノ侯爵令息から避けられているのだろう。この前の夜会も、お前とだけダンスを踊っていなかっただろう。いい加減諦めろ、あまりしつこいと、マッキーノ侯爵家から抗議が来るぞ」
う…確かに私はこの前の夜会の時、エディソン様を誘って、おもいっきり断られた。でもエディソン様は、私以外の令嬢とは楽しそうにダンスを踊っていたのよね…
分かっているわよ…私だってエディソン様に嫌われている事くらい。でも、好きなものは好きなのだ。
「とにかく、これ以上マッキーノ侯爵令息に近づくのは止めろよ。お前がそんなんだから、貴族学院2年になった今でも、友達ができないのだろう?」
「それは私が4年間、領地に行っていたからよ。それに、友達ならグレイズがいるわ」
私は子供の頃体が弱く、8歳から12歳まで、自然豊かな領地で暮らしていたのだ。さらに入学してからずっとエディソン様を追い掛け回していたことから、令嬢たちがドン引きしてしまい、気が付いたら幼馴染のグレイズだけが、こうやって私に話しかけてきてくれる。
そもそも令嬢特有の群れみたいなのが苦手な私は、1人でも平気なのだ。
「は~、お前がそう言うのならいいけれど、もう14歳なのだから、いい加減現実を見ろよ」
そう言って去って行った。何よ、もう!グレイズったら!…とは思ったもののグレイズの言う通り、もう諦めた方がいいのかしら?
いいえ、やっぱり諦められないわ。せめてエディソン様が正式に誰かと婚約するまで、諦めないのだから!
授業が終わると、再び3年棟を目指して、猛ダッシュする。3年棟に着くと、いた!エディソン様だわ。声を掛けようとした時だった。
美しいストロベリーブロンドの髪をした女性が、エディソン様と楽しそうに話しをしている。確か彼女は、侯爵令嬢のネリア様だわ。エディソン様に寄り添い、2人で微笑み合っている。
エディソン様のあんなにも楽しそうな顔、初めて見たわ…
「あら、あなた凝りもせずまた来たの。残念だったわね、エディソン様とネリアは、お互い愛し合っているのよ。見て、あんなにもお似合いな2人を。あなたがどう転んでも、エディソン様とは釣り合わないのだから、諦めなさい」
私に話しかけてきたのは、ネリア様の友人の様だ。
「あの…エディソン様とネリア様は、愛し合っているのですか?」
「だからそう言っているでしょう?近々婚約を結ぶ予定よ。エディソン様は無駄に優しいから、ネリアも随分と不安な思いをしていたのよ。あなたみたいなハイエナ令嬢たちが、エディソン様を追い掛け回すから…」
ハイエナ令嬢だなんて…
でも、追い掛け回していたのは確かだ。
「あなた達の様なハイエナ令嬢って、本当に図々しくて自分の事しか考えていないでしょう?だから万が一ネリアとエディソン様が付き合っている事を知ったら、ネリアに危害が及ぶのではないかと、エディソン様も警戒していた様よ」
は~っと、ため息をつきながら、私をジト目で睨んでいる。
「あなたもいい加減諦めなさい。逆立ちしたって、ネリアには勝てないのだから。これはあなたの為に言っているのよ。いつまでもエディソン様に付きまとっていると、いよいよ抗議文を送られるわよ。とにかく、自分の立ち位置をよく考える事ね」
そう言って令嬢は去って行ったのだった。
~あとがき~
新連載始めました。
よろしくお願いいたしますm(__)m
「エディソン様、ハンカチに刺繍を入れてきましたの。受け取っていただけますか?」
エディソン様に近づき、ハンカチを渡した。周りには令嬢たちがエディソン様を囲っている。
「悪いがこれは受け取れないよ。すまない…」
少し困った顔をしたエディソン様がそう言って、ハンカチを返してきたのだ。せっかく10日かけて入れたのに…
ショックでついシュンとしてしまう。
「ちょっとあなた、いい加減にしなさいよ。いつもいつも図々しくエディソン様の元にやって来て。そもそもここは、3年棟よ」
「そうよ、毎回毎回押しかけてきて、エディソン様が迷惑している事、いい加減気が付きなさい」
さらに令嬢たちからも責められ、私は増々シュンとする。
「まあまあ、彼女も悪気があって来ている訳ではないのだから。さあ、もう2年棟に戻りなさい」
エディソン様に促され、2年棟に戻る。
「お前、またマッキーノ侯爵令息のところに行っていたのかよ」
は~っとため息をつきながら私に話しかけてきたのは、幼馴染で伯爵令息のグレイズだ。燃えるような赤い髪に、グリーンの瞳をしている。
「うるさいわね、グレイズには関係ないでしょう」
初めてエディソン様に出会ったのは、1年半前。貴族学院の入学式で迷子になった私を助けてくれたのが、エディソン様だった。その優しい微笑に、私は一目で恋に落ちた。
それ以降、毎日一学年上のエディソン様に会いに行っている。ただ、エディソン様は見た目が美しいだけでなく、頭もよく武術にも優れている、さらに優しいとあって、令嬢たちの憧れの的なのだ。
その為、エディソン様より爵位が低く、さらに1学年下の私が毎日エディソン様に会いに行く事を、快く思っていない令嬢たち。何度も嫌味を言われたり、特には突き飛ばされたりしたこともあった。
それでもエディソン様の笑顔を見ると、どんなに辛い事があっても、耐えられたのだが…
「お前、最近マッキーノ侯爵令息から避けられているのだろう。この前の夜会も、お前とだけダンスを踊っていなかっただろう。いい加減諦めろ、あまりしつこいと、マッキーノ侯爵家から抗議が来るぞ」
う…確かに私はこの前の夜会の時、エディソン様を誘って、おもいっきり断られた。でもエディソン様は、私以外の令嬢とは楽しそうにダンスを踊っていたのよね…
分かっているわよ…私だってエディソン様に嫌われている事くらい。でも、好きなものは好きなのだ。
「とにかく、これ以上マッキーノ侯爵令息に近づくのは止めろよ。お前がそんなんだから、貴族学院2年になった今でも、友達ができないのだろう?」
「それは私が4年間、領地に行っていたからよ。それに、友達ならグレイズがいるわ」
私は子供の頃体が弱く、8歳から12歳まで、自然豊かな領地で暮らしていたのだ。さらに入学してからずっとエディソン様を追い掛け回していたことから、令嬢たちがドン引きしてしまい、気が付いたら幼馴染のグレイズだけが、こうやって私に話しかけてきてくれる。
そもそも令嬢特有の群れみたいなのが苦手な私は、1人でも平気なのだ。
「は~、お前がそう言うのならいいけれど、もう14歳なのだから、いい加減現実を見ろよ」
そう言って去って行った。何よ、もう!グレイズったら!…とは思ったもののグレイズの言う通り、もう諦めた方がいいのかしら?
いいえ、やっぱり諦められないわ。せめてエディソン様が正式に誰かと婚約するまで、諦めないのだから!
授業が終わると、再び3年棟を目指して、猛ダッシュする。3年棟に着くと、いた!エディソン様だわ。声を掛けようとした時だった。
美しいストロベリーブロンドの髪をした女性が、エディソン様と楽しそうに話しをしている。確か彼女は、侯爵令嬢のネリア様だわ。エディソン様に寄り添い、2人で微笑み合っている。
エディソン様のあんなにも楽しそうな顔、初めて見たわ…
「あら、あなた凝りもせずまた来たの。残念だったわね、エディソン様とネリアは、お互い愛し合っているのよ。見て、あんなにもお似合いな2人を。あなたがどう転んでも、エディソン様とは釣り合わないのだから、諦めなさい」
私に話しかけてきたのは、ネリア様の友人の様だ。
「あの…エディソン様とネリア様は、愛し合っているのですか?」
「だからそう言っているでしょう?近々婚約を結ぶ予定よ。エディソン様は無駄に優しいから、ネリアも随分と不安な思いをしていたのよ。あなたみたいなハイエナ令嬢たちが、エディソン様を追い掛け回すから…」
ハイエナ令嬢だなんて…
でも、追い掛け回していたのは確かだ。
「あなた達の様なハイエナ令嬢って、本当に図々しくて自分の事しか考えていないでしょう?だから万が一ネリアとエディソン様が付き合っている事を知ったら、ネリアに危害が及ぶのではないかと、エディソン様も警戒していた様よ」
は~っと、ため息をつきながら、私をジト目で睨んでいる。
「あなたもいい加減諦めなさい。逆立ちしたって、ネリアには勝てないのだから。これはあなたの為に言っているのよ。いつまでもエディソン様に付きまとっていると、いよいよ抗議文を送られるわよ。とにかく、自分の立ち位置をよく考える事ね」
そう言って令嬢は去って行ったのだった。
~あとがき~
新連載始めました。
よろしくお願いいたしますm(__)m
1,213
あなたにおすすめの小説
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
あなた方が後悔しても私にはどうでもいいことです
風見ゆうみ
恋愛
チャルブッレ辺境伯家の次女である私――リファーラは幼い頃から家族に嫌われ、森の奥で一人で暮らしていた。
私を目の敵にする姉は、私の婚約者や家族と結託して、大勢の前で婚約を破棄を宣言し私を笑いものにしようとした。
しかし、姉たちの考えなどお見通しである。
婚約の破棄は大歓迎。ですが、恥ずかしい思いをするのは、私ではありませんので。
愛を求めることはやめましたので、ご安心いただけますと幸いです!
風見ゆうみ
恋愛
わたしの婚約者はレンジロード・ブロフコス侯爵令息。彼に愛されたくて、自分なりに努力してきたつもりだった。でも、彼には昔から好きな人がいた。
結婚式当日、レンジロード様から「君も知っていると思うが、私には愛する女性がいる。君と結婚しても、彼女のことを忘れたくないから忘れない。そして、私と君の結婚式を彼女に見られたくない」と言われ、結婚式を中止にするためにと階段から突き落とされてしまう。
レンジロード様に突き落とされたと訴えても、信じてくれる人は少数だけ。レンジロード様はわたしが階段を踏み外したと言う上に、わたしには話を合わせろと言う。
こんな人のどこが良かったのかしら???
家族に相談し、離婚に向けて動き出すわたしだったが、わたしの変化に気がついたレンジロード様が、なぜかわたしにかまうようになり――
【完結】記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。
ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。
毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。
本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました
音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。
____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。
だから私は決めている。
この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。
彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。
……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。
あなたの妻にはなりません
風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。
彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。
幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。
彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。
悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。
彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。
あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。
悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。
「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」
婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢
alunam
恋愛
婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。
既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……
愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……
そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……
これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。
※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定
それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる