2 / 27
第2話:家族にも説得されました
しおりを挟む
あまりにも幸せそうな2人を目の当たりした私は、そのままフラフラと校門までやって来た。
私、ハイエナ令嬢と呼ばれていたなんて…
確かに私は、今までエディソン様の事を考えずに、毎日毎日押しかけていた。最近特に私の事を避けている事はわかっていたけれど…
まさかエディソン様に、最愛の人がいたなんて…
あまりのショックに、放心状態のまま馬車に乗り込もうとした時だった。
「アンリお嬢様、そちらは他の方の馬車です」
御者が慌てて私を連れ戻した。いくらショックだったからと言って、まさか他の人の馬車に乗り込もうとするなんて。私ったら、何をしているのかしら…
「ごめんなさい!」
急いで間違えて乗り込みそうになった馬車の御者に頭を下げ、自分の馬車へと乗り込んだ。そうだわ、こんな日は!
「丘に向かってくれる?」
「丘でございますか?わかりました」
辛い事や悲しい事があったら、校舎裏で泣く。それでもダメなときは、王都の外れにある小さな丘へと向かうのだ。丘に着くと、早速近くにあった木に登った。4年間、自然豊かな領地で過ごした私は、木登りや川遊びをして育った。生憎王都には自然があまりない。ただこの丘にだけは、少しだけ緑があるのだ。
木の枝に腰を下ろし、王都の街の眺める。この丘から見る領地の街並みが好きなのだ。
王都に戻って来て1年半。私はずっとエディソン様を追いかけてきた。もちろん、その事に後悔はない。でも…
これ以上エディソン様を追いかけても、エディソン様はもちろん、恋人のネリア様にも迷惑が掛かる事になる。
それに何より、今まで散々令嬢たちに嫌味や暴言を吐かれて来た。さすがにもう疲れてしまった。そろそろ、潮時なのかもしれないわね。
そんな事を考えていると、街が夕焼けで真っ赤に染まっていた。
「綺麗な夕焼け…そういえば領地に旅立つ前に、ここで男の子と一緒に過ごしたのよね。あの子、今頃どうしているのかしら?」
懐かしい記憶が蘇る。いい加減私も、前に進まないとね!
美しい夕焼けを見ていたら、なんだか前に進めそうな気がして来た。再び馬車に乗り込み、家に帰って来た。着替えを済ませ、夕食を頂くため食堂へと向かう。
「アンリ、お前まだエディソン様を追い回しているらしいな。今日、令嬢たちから俺の元に抗議が来たよ。いい加減諦めろ。お前がいくらエディソン様にまとわりついたとしても、迷惑に思われるだけだ。そもそも、俺の身にもなってくれ。お前みたいな妹を持ったせいで、俺まで令嬢たちに文句を言われるんだぞ」
私が席に付くなり、すぐに文句を言うお兄様。1学年上のお兄様は、エディソン様と同級生。私がエディソン様を追い回すことを快く思っておらず、事あるごとに文句を言ってくるのだ。
「あなた、まだマッキーノ侯爵令息を追い掛け回してるの?この前、公衆の面前でダンスを断られていたじゃない。いい加減諦めなさい。マッキーノ侯爵夫人からも “これ以上息子に関わらないで欲しい”と言われているのですよ。そもそも伯爵令嬢が、侯爵令息を追い回すなんて、何を考えているの?もし正式にマッキーノ侯爵家から抗議文が届いたら、どうするつもりよ」
「アンリの気持ちはわかる。でも、マッキーノ侯爵令息は、スカーディス侯爵家のネリア譲と近々婚約を結ぶという噂だ。これ以上お前が頑張っても、もう無理だ。諦めなさい」
お父様やお母様からも、諦めろと言われてしまった。それにお父様にまでエディソン様とネリア様が婚約するという話が耳に入っているのなら、きっと事実なのだろう。
「分かりましたわ…もう、諦めます…」
どう頑張っても無理だものね。それにもう疲れたし…
「やっとわかってくれたか!よかった。それじゃあ、明日からもう3年棟には絶対来るなよ。いいな、分かったな!もし来たら、ただじゃ置かないからな」
お兄様に念押しされる。お兄様ったら、昔は優しかったのに。でも、私のせいでお兄様にも沢山迷惑を掛けてしまったのよね…
「お兄様、今までごめんなさい。もう二度と3年棟には行かないから、安心して」
「わ…わかってくれたらいいんだ。とにかく、食事にしよう」
素直に私が謝ったものだから、急にお兄様が焦り出した。
「アンリ、あなたは少し暴走してしまう事があるけれど、大人しくしていればとても魅力的な令嬢よ。そうだわ、あなたもそろそろ婚約者を決めないとね。婚約者が出来れば、きっとあなたも落ち着くわ」
婚約者か…
私の場合、貴族学院だけでなく夜会でもエディソン様を追い回していた。そんな私を嫁に貰ってくれるという、物好きは現れるのかしら…
とにかく今は、エディソン様を忘れる事に専念しないと。
でも、忘れる事なんて出来るのかしら…
私、ハイエナ令嬢と呼ばれていたなんて…
確かに私は、今までエディソン様の事を考えずに、毎日毎日押しかけていた。最近特に私の事を避けている事はわかっていたけれど…
まさかエディソン様に、最愛の人がいたなんて…
あまりのショックに、放心状態のまま馬車に乗り込もうとした時だった。
「アンリお嬢様、そちらは他の方の馬車です」
御者が慌てて私を連れ戻した。いくらショックだったからと言って、まさか他の人の馬車に乗り込もうとするなんて。私ったら、何をしているのかしら…
「ごめんなさい!」
急いで間違えて乗り込みそうになった馬車の御者に頭を下げ、自分の馬車へと乗り込んだ。そうだわ、こんな日は!
「丘に向かってくれる?」
「丘でございますか?わかりました」
辛い事や悲しい事があったら、校舎裏で泣く。それでもダメなときは、王都の外れにある小さな丘へと向かうのだ。丘に着くと、早速近くにあった木に登った。4年間、自然豊かな領地で過ごした私は、木登りや川遊びをして育った。生憎王都には自然があまりない。ただこの丘にだけは、少しだけ緑があるのだ。
木の枝に腰を下ろし、王都の街の眺める。この丘から見る領地の街並みが好きなのだ。
王都に戻って来て1年半。私はずっとエディソン様を追いかけてきた。もちろん、その事に後悔はない。でも…
これ以上エディソン様を追いかけても、エディソン様はもちろん、恋人のネリア様にも迷惑が掛かる事になる。
それに何より、今まで散々令嬢たちに嫌味や暴言を吐かれて来た。さすがにもう疲れてしまった。そろそろ、潮時なのかもしれないわね。
そんな事を考えていると、街が夕焼けで真っ赤に染まっていた。
「綺麗な夕焼け…そういえば領地に旅立つ前に、ここで男の子と一緒に過ごしたのよね。あの子、今頃どうしているのかしら?」
懐かしい記憶が蘇る。いい加減私も、前に進まないとね!
美しい夕焼けを見ていたら、なんだか前に進めそうな気がして来た。再び馬車に乗り込み、家に帰って来た。着替えを済ませ、夕食を頂くため食堂へと向かう。
「アンリ、お前まだエディソン様を追い回しているらしいな。今日、令嬢たちから俺の元に抗議が来たよ。いい加減諦めろ。お前がいくらエディソン様にまとわりついたとしても、迷惑に思われるだけだ。そもそも、俺の身にもなってくれ。お前みたいな妹を持ったせいで、俺まで令嬢たちに文句を言われるんだぞ」
私が席に付くなり、すぐに文句を言うお兄様。1学年上のお兄様は、エディソン様と同級生。私がエディソン様を追い回すことを快く思っておらず、事あるごとに文句を言ってくるのだ。
「あなた、まだマッキーノ侯爵令息を追い掛け回してるの?この前、公衆の面前でダンスを断られていたじゃない。いい加減諦めなさい。マッキーノ侯爵夫人からも “これ以上息子に関わらないで欲しい”と言われているのですよ。そもそも伯爵令嬢が、侯爵令息を追い回すなんて、何を考えているの?もし正式にマッキーノ侯爵家から抗議文が届いたら、どうするつもりよ」
「アンリの気持ちはわかる。でも、マッキーノ侯爵令息は、スカーディス侯爵家のネリア譲と近々婚約を結ぶという噂だ。これ以上お前が頑張っても、もう無理だ。諦めなさい」
お父様やお母様からも、諦めろと言われてしまった。それにお父様にまでエディソン様とネリア様が婚約するという話が耳に入っているのなら、きっと事実なのだろう。
「分かりましたわ…もう、諦めます…」
どう頑張っても無理だものね。それにもう疲れたし…
「やっとわかってくれたか!よかった。それじゃあ、明日からもう3年棟には絶対来るなよ。いいな、分かったな!もし来たら、ただじゃ置かないからな」
お兄様に念押しされる。お兄様ったら、昔は優しかったのに。でも、私のせいでお兄様にも沢山迷惑を掛けてしまったのよね…
「お兄様、今までごめんなさい。もう二度と3年棟には行かないから、安心して」
「わ…わかってくれたらいいんだ。とにかく、食事にしよう」
素直に私が謝ったものだから、急にお兄様が焦り出した。
「アンリ、あなたは少し暴走してしまう事があるけれど、大人しくしていればとても魅力的な令嬢よ。そうだわ、あなたもそろそろ婚約者を決めないとね。婚約者が出来れば、きっとあなたも落ち着くわ」
婚約者か…
私の場合、貴族学院だけでなく夜会でもエディソン様を追い回していた。そんな私を嫁に貰ってくれるという、物好きは現れるのかしら…
とにかく今は、エディソン様を忘れる事に専念しないと。
でも、忘れる事なんて出来るのかしら…
1,247
あなたにおすすめの小説
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
【完結】捨てたものに用なんかないでしょう?
風見ゆうみ
恋愛
血の繋がらない姉の代わりに嫁がされたリミアリアは、伯爵の爵位を持つ夫とは一度しか顔を合わせたことがない。
戦地に赴いている彼に代わって仕事をし、使用人や領民から信頼を得た頃、夫のエマオが愛人を連れて帰ってきた。
愛人はリミアリアの姉のフラワ。
フラワは昔から妹のリミアリアに嫌がらせをして楽しんでいた。
「俺にはフラワがいる。お前などいらん」
フラワに騙されたエマオは、リミアリアの話など一切聞かず、彼女を捨てフラワとの生活を始める。
捨てられる形となったリミアリアだが、こうなることは予想しており――。
冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
【完結】記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。
ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。
毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。
愛を求めることはやめましたので、ご安心いただけますと幸いです!
風見ゆうみ
恋愛
わたしの婚約者はレンジロード・ブロフコス侯爵令息。彼に愛されたくて、自分なりに努力してきたつもりだった。でも、彼には昔から好きな人がいた。
結婚式当日、レンジロード様から「君も知っていると思うが、私には愛する女性がいる。君と結婚しても、彼女のことを忘れたくないから忘れない。そして、私と君の結婚式を彼女に見られたくない」と言われ、結婚式を中止にするためにと階段から突き落とされてしまう。
レンジロード様に突き落とされたと訴えても、信じてくれる人は少数だけ。レンジロード様はわたしが階段を踏み外したと言う上に、わたしには話を合わせろと言う。
こんな人のどこが良かったのかしら???
家族に相談し、離婚に向けて動き出すわたしだったが、わたしの変化に気がついたレンジロード様が、なぜかわたしにかまうようになり――
あなたの妻にはなりません
風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。
彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。
幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。
彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。
悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。
彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。
あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。
悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。
「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
9番と呼ばれていた妻は執着してくる夫に別れを告げる
風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から言いたいことを言えずに、両親の望み通りにしてきた。
結婚だってそうだった。
良い娘、良い姉、良い公爵令嬢でいようと思っていた。
夫の9番目の妻だと知るまでは――
「他の妻たちの嫉妬が酷くてね。リリララのことは9番と呼んでいるんだ」
嫉妬する側妃の嫌がらせにうんざりしていただけに、ターズ様が側近にこう言っているのを聞いた時、私は良い妻であることをやめることにした。
※最後はさくっと終わっております。
※独特の異世界の世界観であり、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる