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第10話:話が急すぎてついていけません
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貴族学院主催の夜会の翌日。
今日は貴族学院がお休みだ。昨日遅くまで夜会を開いていたから、ゆっくり休んで欲しいとの事らしい。
せっかくなので、今日は朝寝坊してもいいわよね。そう思っていたのだが…
「お嬢様、いつまで寝ていらっしゃるのですか。朝食のお時間です。起きて下さい」
なぜかメイドにたたき起こされたのだ。
「昨日遅かったのよ。少しくらい朝寝坊してもいいじゃない」
「いいえ、いけません。旦那様が今すぐお嬢様をたたき起こしてこいとの事ですので」
「えっ、お父様が…」
お父様が私を呼び出すなんて、ろくなことはない。もしかして昨日、何か粗相を働いたかしら?でも昨日は、ずっとクラスの皆といたのよ。両親が来ていた事すら気が付かないくらいだったのに。
もしかして、お料理をバクバク食べていたことがいけなかったのかしら?とにかく、面倒だが早く行かないと。
急いで着替えを済ませ、食堂へと向かった。
「お父様、おはようございます。あの…私は何かいたしましたか?」
恐る恐るお父様に確認した。
「おはよう、アンリ。実は今日、急遽ダニルーディン伯爵家に行く事になってな。朝食後、すぐに向かうからお前も準備しなさい」
「えっ、グレイズの家に。一体何しにいくのですか?」
「詳しい話は、伯爵家に着いてからだ。とにかく、すぐに朝食を食べなさい」
一体グレイズの家に何の用があるというのかしら?疑問に思いつつ、食事を済ます。部屋に戻ると、すぐにドレスに着替えさせられた。今日はグリーンのドレスだ。
着替えが済むと、両親の待つ玄関へと向かった。
「お待たせしてごめんなさい。さあ、参りましょう」
両親と一緒に馬車に乗り込み、ダニルーディン伯爵家を目指す。そういえば、こうやって両親と一緒に伯爵家に向かうのは久しぶりだわ。
「お父様、どうして急にグレイズの家に向かうのですか?一体今日、何があるのですか?」
改めてお父様に聞いた。でもなぜか返事をしないどころか、スッと目線をそらされた。どうやら私を無視している様だ。何なのよ、この人。娘を無視するなんて。
「お母様、今日は何があるのですか?」
すかさずお母様に聞く。
「そうねぇ、私もよく分からないのよ。ただ夫人と久しぶりにゆっくりお茶を楽しもうと思っているの。楽しみだわ」
そう言って満面の笑みを浮かべるお母様。お茶を楽しむために、わざわざ家族で伯爵家に向かうの?そんなの、あり得ないでしょう…
「アンリ、着いたぞ」
あっという間に伯爵家に着いてしまった。結局今日来た理由を聞けずじまいだ。でも、もう伯爵家に着いたのだからまあいいわ。
久しぶりにやって来た伯爵家。そのまま客間に通される。
すると、なぜか正装をしたグレイズとご両親が待っていた。まるでお見合いみたいね。
「やだ、グレイズ、あなた今日はどうしたの?昨日みたいにびしっと決めて」
つい笑いがこみ上げてきた。
「うるさいな、さっさと座れよ」
なぜか機嫌が悪いグレイズ。何なのよ、一体!グレイズの向かいに座ると、両親が私をはさむ様に両端に座った。
「アンリ、今日は来てくれてありがとう。今日来てもらったのは他でもない。グレイズとアンリを婚約させようと思ってな」
えっ?婚約?
グレイズのお父様の言っている意味が分からず、固まってしまう。そんな私に、今度はグレイズが話しかけてきた。
「アンリ、俺は子供の時から、アンリが好きだ。俺はお前と結婚したいと、ずっと思っていた。本当はお前が俺を好きになってくれるまで待とうと思ったが、今はそんな悠長な事を言っている場合ではなくなったからな。とにかく、俺と婚約しろ。これは親同士が決めた事だ!お前に拒否権はない」
つまり、本当に私とグレイズは婚約するそうだ。それに今、さらっと私の事を好きと言ったわよね。あのグレイズが、私を…
「アンリ、伯爵とグレイズの言った通り、今日お前とグレイズを婚約させる。お前は放っておくとまた暴走するからな。これからは、グレイズにしっかり見張ってもらう予定だ」
「お父様…誰が暴走するですって?失礼ではありませんか?」
「本当の事だろう。とにかく、お前はグレイズと今日、婚約するんだ。わかったな?」
そう言い切られてしまった。
これは夢かしら?私がグレイズを意識し始めた途端婚約だなんて。こんな出来すぎた話があるのかしら?
「アンリ、返事をしないか」
何も答えない私に向かって、お父様が叫んだ。
「分かりましたわ。グレイズ、私もあなたが…その…す…好き…よ…だから、その…」
恥ずかしくなって俯いてしまう。
「アンリ、今俺の事を好きと言ったか?」
ものすごい勢いで私の方にやって来たグレイズ。もう、恥ずかしいんだから聞き返さないでよ。恥ずかしくて頷く事しかできない。
「お前、俺が好きなら好きとさっさと言えよ!俺が今日、どれだけ緊張したか分かっているのか?」
「そんな事、言える訳ないじゃない!第一、つい数ヶ月前まで私は、エディソン様に夢中だったのだから…」
「確かにアンリは、マッキーノ侯爵令息に夢中だったもんな。とにかく、アンリもグレイズが好きなら、問題ないな。すぐに婚約の手続きを進めよう」
その後はあれよあれよという間に、私とグレイズの婚約手続きが進められたのだった。
今日は貴族学院がお休みだ。昨日遅くまで夜会を開いていたから、ゆっくり休んで欲しいとの事らしい。
せっかくなので、今日は朝寝坊してもいいわよね。そう思っていたのだが…
「お嬢様、いつまで寝ていらっしゃるのですか。朝食のお時間です。起きて下さい」
なぜかメイドにたたき起こされたのだ。
「昨日遅かったのよ。少しくらい朝寝坊してもいいじゃない」
「いいえ、いけません。旦那様が今すぐお嬢様をたたき起こしてこいとの事ですので」
「えっ、お父様が…」
お父様が私を呼び出すなんて、ろくなことはない。もしかして昨日、何か粗相を働いたかしら?でも昨日は、ずっとクラスの皆といたのよ。両親が来ていた事すら気が付かないくらいだったのに。
もしかして、お料理をバクバク食べていたことがいけなかったのかしら?とにかく、面倒だが早く行かないと。
急いで着替えを済ませ、食堂へと向かった。
「お父様、おはようございます。あの…私は何かいたしましたか?」
恐る恐るお父様に確認した。
「おはよう、アンリ。実は今日、急遽ダニルーディン伯爵家に行く事になってな。朝食後、すぐに向かうからお前も準備しなさい」
「えっ、グレイズの家に。一体何しにいくのですか?」
「詳しい話は、伯爵家に着いてからだ。とにかく、すぐに朝食を食べなさい」
一体グレイズの家に何の用があるというのかしら?疑問に思いつつ、食事を済ます。部屋に戻ると、すぐにドレスに着替えさせられた。今日はグリーンのドレスだ。
着替えが済むと、両親の待つ玄関へと向かった。
「お待たせしてごめんなさい。さあ、参りましょう」
両親と一緒に馬車に乗り込み、ダニルーディン伯爵家を目指す。そういえば、こうやって両親と一緒に伯爵家に向かうのは久しぶりだわ。
「お父様、どうして急にグレイズの家に向かうのですか?一体今日、何があるのですか?」
改めてお父様に聞いた。でもなぜか返事をしないどころか、スッと目線をそらされた。どうやら私を無視している様だ。何なのよ、この人。娘を無視するなんて。
「お母様、今日は何があるのですか?」
すかさずお母様に聞く。
「そうねぇ、私もよく分からないのよ。ただ夫人と久しぶりにゆっくりお茶を楽しもうと思っているの。楽しみだわ」
そう言って満面の笑みを浮かべるお母様。お茶を楽しむために、わざわざ家族で伯爵家に向かうの?そんなの、あり得ないでしょう…
「アンリ、着いたぞ」
あっという間に伯爵家に着いてしまった。結局今日来た理由を聞けずじまいだ。でも、もう伯爵家に着いたのだからまあいいわ。
久しぶりにやって来た伯爵家。そのまま客間に通される。
すると、なぜか正装をしたグレイズとご両親が待っていた。まるでお見合いみたいね。
「やだ、グレイズ、あなた今日はどうしたの?昨日みたいにびしっと決めて」
つい笑いがこみ上げてきた。
「うるさいな、さっさと座れよ」
なぜか機嫌が悪いグレイズ。何なのよ、一体!グレイズの向かいに座ると、両親が私をはさむ様に両端に座った。
「アンリ、今日は来てくれてありがとう。今日来てもらったのは他でもない。グレイズとアンリを婚約させようと思ってな」
えっ?婚約?
グレイズのお父様の言っている意味が分からず、固まってしまう。そんな私に、今度はグレイズが話しかけてきた。
「アンリ、俺は子供の時から、アンリが好きだ。俺はお前と結婚したいと、ずっと思っていた。本当はお前が俺を好きになってくれるまで待とうと思ったが、今はそんな悠長な事を言っている場合ではなくなったからな。とにかく、俺と婚約しろ。これは親同士が決めた事だ!お前に拒否権はない」
つまり、本当に私とグレイズは婚約するそうだ。それに今、さらっと私の事を好きと言ったわよね。あのグレイズが、私を…
「アンリ、伯爵とグレイズの言った通り、今日お前とグレイズを婚約させる。お前は放っておくとまた暴走するからな。これからは、グレイズにしっかり見張ってもらう予定だ」
「お父様…誰が暴走するですって?失礼ではありませんか?」
「本当の事だろう。とにかく、お前はグレイズと今日、婚約するんだ。わかったな?」
そう言い切られてしまった。
これは夢かしら?私がグレイズを意識し始めた途端婚約だなんて。こんな出来すぎた話があるのかしら?
「アンリ、返事をしないか」
何も答えない私に向かって、お父様が叫んだ。
「分かりましたわ。グレイズ、私もあなたが…その…す…好き…よ…だから、その…」
恥ずかしくなって俯いてしまう。
「アンリ、今俺の事を好きと言ったか?」
ものすごい勢いで私の方にやって来たグレイズ。もう、恥ずかしいんだから聞き返さないでよ。恥ずかしくて頷く事しかできない。
「お前、俺が好きなら好きとさっさと言えよ!俺が今日、どれだけ緊張したか分かっているのか?」
「そんな事、言える訳ないじゃない!第一、つい数ヶ月前まで私は、エディソン様に夢中だったのだから…」
「確かにアンリは、マッキーノ侯爵令息に夢中だったもんな。とにかく、アンリもグレイズが好きなら、問題ないな。すぐに婚約の手続きを進めよう」
その後はあれよあれよという間に、私とグレイズの婚約手続きが進められたのだった。
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