彼を傷つける者は許さない!私が皆叩き潰して差し上げましょう

Karamimi

文字の大きさ
12 / 36

第12話:魔物に襲われました

しおりを挟む
「さあ、皆も討伐に向かったし、早速やるべきことをやらないとね」

最近はケガ人もあまり出ていないため、もっぱら雑務を中心に行っている。それでも、討伐部隊にとっては大切な仕事だ。皆が少しでも快適に過ごせるよう、各テントを綺麗に掃除していく。

「もう、どうしてこうも着たものを脱ぎっぱなしにするのかしら?」

ダニーとダイ、グレイの部屋はいつもグチャグチャだ。毎日掃除しているのに、すぐに汚すのだ。早速魔法で綺麗にしていく。もちろんテントには大切な物もある。そういったものは特殊な鍵がかかった箱に入れられている為、私は触る事は出来ない。

その為、安心してテントに入り、掃除が出来るのだ。大切な物が無くなった!なんて言われたら、大変だものね。

1つ1つ丁寧に掃除を行っていく。そして…

最後はルーカス様のテント。隊長と副隊長は、それぞれ1人1つづつテントが与えられている。ルーカス様のテントは、いつも綺麗に整っている。きっと私の手を煩わせない様にと、気を使ってくれているのだろう。

洗濯物もまとめておいてくれている。ついルーカス様の洗濯物に手を伸ばし、ギューッと抱きしめた。

ルーカス様の匂いがする…て、こんな姿、本人に見られたらきっと、ドン引きされるだろう。それでもどうしてもやめられないのだ。この匂いを嗅ぐと、ものすごく落ち着くのだ。匂いを堪能した後は、魔法で掃除をし、テントを後にする。

さあ掃除も終わったし、そろそろお昼ご飯にしよう。1人厨房に来て、簡単な料理を作る。今日はホットサンドにしよう。そう思って材料を並べた時だった。

ドーンと大きな音が聞こえたのだ。
一体何の音?

外に出ると、そこにはおびただしいほどの魔物の群れが。ただ、ルーカス様の張ってくれたバリアにぶつかり、こちらには来られない様だ。それでも魔物たちはバリアを破ろうと、火を噴いたり体当たりして、攻撃してきている。

どうしよう…さすがにあんなにも沢山の魔物、1人では倒せないわ。でも、バリアがあるから大丈夫よね。そう自分に言い聞かせる。お願い…魔物たち。どうか諦めて帰って…

そう願っていたのだが…

ドーン、ドーンと一向に諦めようとしない。と、次の瞬間、バリバリとバリアが破られ、一斉にこちらに向かって魔物が飛んできたのだ。

あまりのたくさんの魔物に、足がすくむ。恐怖から服の中に入れているペンダントを握った。そう、16歳の私の誕生日に、ルーカス様が贈ってくれたペンダントだ。

大丈夫よ、一通り攻撃魔法は習ったのだから。とにかく、ここで命を落とすわけにはいかない。よし!

「炎!!」

ありったけの攻撃魔法を、魔物たちにぶつける。とにかく、攻撃の手を緩めず、ただ戦うしかない。でも…

「キャァァァ」

後ろから襲って来た魔物の攻撃を食らってしまい、そのまま木に叩きつけられた。体中痛くてたまらない。さらに私をめがけて、炎が飛んでくる。

もうダメ…

そう思った時だった。

「炎!!」

目の前まで迫っていた魔物が、一気に焼き尽くされたのだ。この声は…

「アリー、大丈夫か?」

私の前に現れたのは、なんとルーカス様だ。

「ル…カス…さま」

ルーカス様は魔物めがけて、一気に攻撃魔法を掛ける。あれほどいた魔物たちが、どんどん倒されていく。もちろん、魔物たちも負けていない。四方八方から攻撃を仕掛けているのだ。

「危ない!炎」

隙をついてルーカス様に襲い掛かる魔物を、一気に焼き払った。

「アリー、ありがとう。まだ戦えるか?」

「はい…ただ、私は戦闘能力が低いので…」

「そんな事はない、立派な炎を出せるじゃないか。それじゃあ、後ろを頼んでもいいか?」

「はい」

一旦自分に治癒魔法を掛け、すぐに後ろから迫って来る魔物たちに攻撃魔法を掛ける。ただ…私は攻撃魔法が得意ではない。どんどん魔力を消耗してしまうのだ。

「アリー、力を抜け。そんなに魔力をぶつけなくても大丈夫だ。リラックスしろ」

その言葉、お母様にも何度も言われた言葉だ。でも私は、そのリラックスが出来ない。

次の瞬間、ルーカス様に脇を掴まれたのだ。

「キャ」

脇を掴まれた事で力が抜けてしまったが、それでも立派な炎が飛んでいく。あら?この程度の魔力でも、炎が出るのね。

「お前は力が入りすぎだ。今みたいに力を抜いてやってみろ」

「はい、ありがとうございます」

つい力が入りすぎていたが、今の感覚を思い出し、攻撃魔法を掛ける。すると、少ない魔力で炎を出すことが出来た。これなら、長い時間でも戦える。

そう思っていたのが、すごい勢いでルーカス様が魔物を倒してくれたので、残り数匹になっていた。

「アリー、残りの魔物は、お前が倒せ」

「はい、雷」

「ギャァァァ」

最後の魔物は雷の魔法で倒した。その瞬間、腰が砕ける様に、その場に座り込んだ。

「アリー、大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。隊長が助けに来てくださったので。ただ…物凄く怖かったです…」

気が付くと、ポロポロと涙が溢れて来た。5年間必死に訓練を積んだはずなのに…やはりあれほど多くの魔物を目の当たりにして、初めて死を覚悟した。あの時の恐怖は、今思い出しても怖くて震えが止まらない。

「助けるのが遅くなってすまなかった。とにかく、無事でよかった」

そう言うと、ギューッと抱きしめてくれたルーカス様。この香り、いつもこっそり嗅いでいるルーカス様の洗濯物と同じ匂い…私も無意識に、ルーカス様に抱き着いた。大きくてがっちりとした体、この温もりが、ものすごく落ち着く。

結局私は、ルーカス様に抱き付き、しばらく泣き続けたのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】あなたのいない世界、うふふ。

やまぐちこはる
恋愛
17歳のヨヌク子爵家令嬢アニエラは栗毛に栗色の瞳の穏やかな令嬢だった。近衛騎士で伯爵家三男、かつ騎士爵を賜るトーソルド・ロイリーと幼少から婚約しており、成人とともに政略的な結婚をした。 しかしトーソルドには恋人がおり、結婚式のあと、初夜を迎える前に出たまま戻ることもなく、一人ロイリー騎士爵家を切り盛りするはめになる。 とはいえ、アニエラにはさほどの不満はない。結婚前だって殆ど会うこともなかったのだから。 =========== 感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。 4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。

【完結】公爵子息は私のことをずっと好いていたようです

果実果音
恋愛
私はしがない伯爵令嬢だけれど、両親同士が仲が良いということもあって、公爵子息であるラディネリアン・コールズ様と婚約関係にある。 幸い、小さい頃から話があったので、意地悪な元婚約者がいるわけでもなく、普通に婚約関係を続けている。それに、ラディネリアン様の両親はどちらも私を可愛がってくださっているし、幸せな方であると思う。 ただ、どうも好かれているということは無さそうだ。 月に数回ある顔合わせの時でさえ、仏頂面だ。 パーティではなんの関係もない令嬢にだって笑顔を作るのに.....。 これでは、結婚した後は別居かしら。 お父様とお母様はとても仲が良くて、憧れていた。もちろん、ラディネリアン様の両親も。 だから、ちょっと、別居になるのは悲しいかな。なんて、私のわがままかしらね。

【完結】婚約破棄された令嬢の毒はいかがでしょうか

まさかの
恋愛
皇太子の未来の王妃だったカナリアは突如として、父親の罪によって婚約破棄をされてしまった。 己の命が助かる方法は、友好国の悪評のある第二王子と婚約すること。 カナリアはその提案をのんだが、最初の夜会で毒を盛られてしまった。 誰も味方がいない状況で心がすり減っていくが、婚約者のシリウスだけは他の者たちとは違った。 ある時、シリウスの悪評の原因に気付いたカナリアの手でシリウスは穏やかな性格を取り戻したのだった。 シリウスはカナリアへ愛を囁き、カナリアもまた少しずつ彼の愛を受け入れていく。 そんな時に、義姉のヒルダがカナリアへ多くの嫌がらせを行い、女の戦いが始まる。 嫁いできただけの女と甘く見ている者たちに分からせよう。 カナリア・ノートメアシュトラーセがどんな女かを──。 小説家になろう、エブリスタ、アルファポリス、カクヨムで投稿しています。

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

公爵令嬢の辿る道

ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。 家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。 それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。 これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。 ※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。 追記  六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

元聖女になったんですから放っておいて下さいよ

風見ゆうみ
恋愛
私、ミーファ・ヘイメルは、ローストリア国内に五人いる聖女の内の一人だ。 ローストリア国の聖女とは、聖なる魔法と言われる、回復魔法を使えたり魔族や魔物が入ってこれない様な結界を張れる人間の事を言う。 ある日、恋愛にかまけた四人の聖女達の内の一人が張った結界が破られ、魔物が侵入してしまう出来事が起きる。 国王陛下から糾弾された際、私の担当した地域ではないのに、四人そろって私が悪いと言い出した。 それを信じた国王陛下から王都からの追放を言い渡された私を、昔からの知り合いであり辺境伯の令息、リューク・スコッチが自分の屋敷に住まわせると進言してくれる。 スコッチ家に温かく迎えられた私は、その恩に報いる為に、スコッチ領内、もしくは旅先でのみ聖女だった頃にしていた事と同じ活動を行い始める。 新しい暮らしに慣れ始めた頃には、私頼りだった聖女達の粗がどんどん見え始め、私を嫌っていたはずの王太子殿下から連絡がくるようになり…。 ※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。 ※クズがいますので、ご注意下さい。

屈強なお母さん(男)が出来ました

まる
恋愛
婚約はしていなかったけれど、成人したら結婚すると信じていた幼馴染みにふられてしまった。 ふらふらと頼りなく歩いていた私に心配し、声を掛けてくれた騎士様。 「俺がお母さんになろう」 何故そうなったかわからないが、幼馴染みの事も何もかもお空の彼方へぶっ飛ばしてくれた。 そんな屈強な『お母さん』とふられてしまった彼女は一体どうなるのでしょうか。 ○○○○○○○○○○ 背景はふんわりです。何も考えずにスッと読んでいただければ幸いですm(_ _)m 読んで下さった方、しおり、お気に入り登録どうもありがとうございました(o^^o)

【完結】さっさと婚約破棄が皆のお望みです

井名可乃子
恋愛
年頃のセレーナに降って湧いた縁談を周囲は歓迎しなかった。引く手あまたの伯爵がなぜ見ず知らずの子爵令嬢に求婚の手紙を書いたのか。幼い頃から番犬のように傍を離れない年上の幼馴染アンドリューがこの結婚を認めるはずもなかった。 「婚約破棄されてこい」 セレーナは未来の夫を試す為に自らフラれにいくという、アンドリューの世にも馬鹿げた作戦を遂行することとなる。子爵家の一人娘なんだからと屁理屈を並べながら伯爵に敵意丸出しの幼馴染に、呆れながらも内心ほっとしたのがセレーナの本音だった。 伯爵家との婚約発表の日を迎えても二人の関係は変わらないはずだった。アンドリューに寄り添う知らない女性を見るまでは……。

処理中です...