彼を傷つける者は許さない!私が皆叩き潰して差し上げましょう

Karamimi

文字の大きさ
32 / 36

第32話:久しぶりの我が家です

しおりを挟む
何度か休憩をはさみつつ、馬を走らせる。そして日がすっかり沈んだ頃、懐かしい王都が見えてきた。

「ルーカス様、このまま王宮に向かいますか?」

ルーカス様のお家は王宮だ。もしルーカス様が王宮に戻るのであれば、私も付いていこうと思っている。

「いいや…今日はホテルに泊まる予定になっているんだ。このまま王宮に戻るのは、危険だからね。でもアリシアはちゃんと公爵家に送り届けるから、安心して欲しい」

「あら、それなら我が家に泊まればよろしいのでは?」

私たちは婚約者だ。わざわざホテルに泊まらなくても、家に泊まれば問題ない。そう思ったのだが…

「貴族や王族の世界には、色々と決まりがあるんだ。そういえばアリシアはずっと領地で過ごしていたうえ、5年間は魔力を磨く訓練を積んでいたんだよね。これからは、公爵令嬢として…いいや、次期王妃として勉強をしてもらわないとな」

「それでしたら大丈夫ですわ。お母様をはじめ、ルーカス様のお母様の教育係をしていた婦人に、徹底的に叩き込まれましたから」

魔術を磨く傍ら、次期王妃になる為のマナーを徹底的に叩き込まれたのだ。あの5年間、本当によく頑張った。でもあの頑張りがあったから、きっと今の幸せがあるのだろう。

「君って子は…本当にどこまで努力家なんだ…」

なぜかルーカス様が苦笑いをしている。

「ルーカス様、公爵家が見えてきましたわ」

いつの間にか懐かしい公爵家が!数ヶ月留守にしただけなのに、なんだか懐かしいわね。そのまま門をくぐり、玄関へとやって来た。

「ヴィーノ坊ちゃま、バラン坊ちゃま、アリシアお嬢様、おかえりなさいませ。ルーカス殿下、ようこそいらっしゃいました」

使用人たちみんなが外に出て待っていてくれた。さらに

「ルーカス殿下、お元気そうでよかったです。ヴィーノ、バラン、長い間討伐ご苦労だったな。アリシア、お前、魔王を倒したそうじゃないか。凄いぞ!」

「アリシアちゃん、よかったわ。元気そうで!あなたが何度も意識を失ったと聞いた時、本当に心配したのよ。でも、元気そうでよかったわ」

ブライズお兄様とライラお義姉様も出迎えてくれた。ライラお義姉様は、相変わらず涙を浮かべて私を抱きしめてくれる。きっと相当心配してくれていたのだろう。

「ライラお義姉様、ご心配をおかけしてごめんなさい。でも、お陰様で私の目的は果たせましたわ」

隣にいるルーカス様の方を見て、ほほ笑んだ。

「ルーカス殿下、アリシアちゃんは本当にあなた様の為に、血の滲む様な努力を重ねてきました。もう本当に、目を塞ぎたくなるほどに…どうかアリシアちゃんの事を、幸せにしてあげて下さい」

深々と頭を下げるライラお義姉様。

「頭をお上げください、夫人。もちろんです。それにしてもこの家で一番アリシアの事を心配しているのは、まさか兄嫁とはな…」

そう言ってルーカス様が苦笑いしている。確かに我が家は皆私に対してスパルタだ。唯一ライラお義姉様だけが、私に優しい。

チラリとお兄様たちの方を見ると、お兄様たちの婚約者も駆けつけてくれていた様で、感動の再開を果たしていた。ヴィーノお兄様は22歳、バランお兄様は21歳だ。討伐を終えた今、きっと急いで結婚するのだろう。

「ルーカス殿下もアリシアちゃんも、疲れたでしょう。さあ、中へ」

お義姉様と一緒に、屋敷に入る。

「今日はあなた達が帰って来ると聞いて、ご馳走を準備したのよ。皆が元気に帰って来たのですもの。盛大にお祝いしないとね。ルーカス殿下も、ゆっくりして行ってくださいね」

お義姉様が言った通り、食堂にはたくさんのご馳走が並んでいた。

「ルーカス様、公爵家のお料理、本当に美味しいのですよ。さあ、早速頂きましょう」

久しぶりに食べる公爵家の食事は、どれも美味しい。やっぱり本物の料理人には敵わないわね。そう思っていたのだが…

「俺はアリシアの作る料理が、一番おいしいな。アリシア、また料理を作ってくれるかい?」

そう言ってくれたルーカス様。お世辞でもやっぱり嬉しい。

「もちろんですわ。ルーカス様が望むなら、いくらでも作ります」

2人で微笑み合っていると

「ルーカス殿下とアリシアちゃんは、本当に仲睦まじいわね。でも…」

チラリとヴィーノお兄様とバランお兄様の方を見るライラお義姉様。5年ぶりに婚約者に会った2人は、鼻の下をビョーンと伸ばして、嬉しそうに婚約者たちに食事を食べさせてもらっていた。

正直妹として、あんなだらしない兄たちの姿は見たくなかったのだが…

そんなお兄様の姿を見たルーカス様が

「アリシア、俺たちもあんな感じで食べさせ合おう」

なんて事を言い出したのだ。さすがに恥ずかしい…そう思ったのだが、そんな事はお構いなしに、私の口に食べ物を放り込むルーカス様。仕方ない、私もルーカス様の口に、食事を運ぶ。

そうこうしている間に、馬車チームのお父様とお母様も帰って来た。そしてこの日は、夜遅くまで食事を楽しんだのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】あなたのいない世界、うふふ。

やまぐちこはる
恋愛
17歳のヨヌク子爵家令嬢アニエラは栗毛に栗色の瞳の穏やかな令嬢だった。近衛騎士で伯爵家三男、かつ騎士爵を賜るトーソルド・ロイリーと幼少から婚約しており、成人とともに政略的な結婚をした。 しかしトーソルドには恋人がおり、結婚式のあと、初夜を迎える前に出たまま戻ることもなく、一人ロイリー騎士爵家を切り盛りするはめになる。 とはいえ、アニエラにはさほどの不満はない。結婚前だって殆ど会うこともなかったのだから。 =========== 感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。 4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。

【完結】公爵子息は私のことをずっと好いていたようです

果実果音
恋愛
私はしがない伯爵令嬢だけれど、両親同士が仲が良いということもあって、公爵子息であるラディネリアン・コールズ様と婚約関係にある。 幸い、小さい頃から話があったので、意地悪な元婚約者がいるわけでもなく、普通に婚約関係を続けている。それに、ラディネリアン様の両親はどちらも私を可愛がってくださっているし、幸せな方であると思う。 ただ、どうも好かれているということは無さそうだ。 月に数回ある顔合わせの時でさえ、仏頂面だ。 パーティではなんの関係もない令嬢にだって笑顔を作るのに.....。 これでは、結婚した後は別居かしら。 お父様とお母様はとても仲が良くて、憧れていた。もちろん、ラディネリアン様の両親も。 だから、ちょっと、別居になるのは悲しいかな。なんて、私のわがままかしらね。

【完結】婚約破棄された令嬢の毒はいかがでしょうか

まさかの
恋愛
皇太子の未来の王妃だったカナリアは突如として、父親の罪によって婚約破棄をされてしまった。 己の命が助かる方法は、友好国の悪評のある第二王子と婚約すること。 カナリアはその提案をのんだが、最初の夜会で毒を盛られてしまった。 誰も味方がいない状況で心がすり減っていくが、婚約者のシリウスだけは他の者たちとは違った。 ある時、シリウスの悪評の原因に気付いたカナリアの手でシリウスは穏やかな性格を取り戻したのだった。 シリウスはカナリアへ愛を囁き、カナリアもまた少しずつ彼の愛を受け入れていく。 そんな時に、義姉のヒルダがカナリアへ多くの嫌がらせを行い、女の戦いが始まる。 嫁いできただけの女と甘く見ている者たちに分からせよう。 カナリア・ノートメアシュトラーセがどんな女かを──。 小説家になろう、エブリスタ、アルファポリス、カクヨムで投稿しています。

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

公爵令嬢の辿る道

ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。 家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。 それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。 これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。 ※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。 追記  六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

元聖女になったんですから放っておいて下さいよ

風見ゆうみ
恋愛
私、ミーファ・ヘイメルは、ローストリア国内に五人いる聖女の内の一人だ。 ローストリア国の聖女とは、聖なる魔法と言われる、回復魔法を使えたり魔族や魔物が入ってこれない様な結界を張れる人間の事を言う。 ある日、恋愛にかまけた四人の聖女達の内の一人が張った結界が破られ、魔物が侵入してしまう出来事が起きる。 国王陛下から糾弾された際、私の担当した地域ではないのに、四人そろって私が悪いと言い出した。 それを信じた国王陛下から王都からの追放を言い渡された私を、昔からの知り合いであり辺境伯の令息、リューク・スコッチが自分の屋敷に住まわせると進言してくれる。 スコッチ家に温かく迎えられた私は、その恩に報いる為に、スコッチ領内、もしくは旅先でのみ聖女だった頃にしていた事と同じ活動を行い始める。 新しい暮らしに慣れ始めた頃には、私頼りだった聖女達の粗がどんどん見え始め、私を嫌っていたはずの王太子殿下から連絡がくるようになり…。 ※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。 ※クズがいますので、ご注意下さい。

屈強なお母さん(男)が出来ました

まる
恋愛
婚約はしていなかったけれど、成人したら結婚すると信じていた幼馴染みにふられてしまった。 ふらふらと頼りなく歩いていた私に心配し、声を掛けてくれた騎士様。 「俺がお母さんになろう」 何故そうなったかわからないが、幼馴染みの事も何もかもお空の彼方へぶっ飛ばしてくれた。 そんな屈強な『お母さん』とふられてしまった彼女は一体どうなるのでしょうか。 ○○○○○○○○○○ 背景はふんわりです。何も考えずにスッと読んでいただければ幸いですm(_ _)m 読んで下さった方、しおり、お気に入り登録どうもありがとうございました(o^^o)

【完結】さっさと婚約破棄が皆のお望みです

井名可乃子
恋愛
年頃のセレーナに降って湧いた縁談を周囲は歓迎しなかった。引く手あまたの伯爵がなぜ見ず知らずの子爵令嬢に求婚の手紙を書いたのか。幼い頃から番犬のように傍を離れない年上の幼馴染アンドリューがこの結婚を認めるはずもなかった。 「婚約破棄されてこい」 セレーナは未来の夫を試す為に自らフラれにいくという、アンドリューの世にも馬鹿げた作戦を遂行することとなる。子爵家の一人娘なんだからと屁理屈を並べながら伯爵に敵意丸出しの幼馴染に、呆れながらも内心ほっとしたのがセレーナの本音だった。 伯爵家との婚約発表の日を迎えても二人の関係は変わらないはずだった。アンドリューに寄り添う知らない女性を見るまでは……。

処理中です...