婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi

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第18話:早速ギルバート様と一緒に街に出ます

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「それじゃあ、早速案内してもらおうか。せっかくだから街に行こう!」

私の手を取るギルバート様。えっ?今から行くの?さすがにこの格好では街には行けないわ。

「ギルバート、落ち着け。さすがにアメリア嬢はドレスだ。ドレスで街には行けないだろう。とりあえず、シンプルなワンピースに着替えてからにしたらどうだい?」

陛下も同じ事を思ったのか、助け舟を出してくれた。でも…結局今日から案内する事は、決定事項の様ね。

「そうだな、さすがにこのドレスだと動きづらいよな。そこのメイド、アメリアを着替えさせてもらえるかい?」

近くにいたメイドに指示を出すギルバート様。えっ?王宮で着替えるの?そんな恐れ多い事、出来ないわ。お父様に目で助けを求めるが、首をゆっくりと横に振っている。どうやら、助けてはくれない様だ。

薄情なお父様ね!

「アメリア様、こちらへ」

メイドに連れて来られた先は、これまたびっくりするほど豪華な部屋だ。

「アメリア様、申し訳ございませんが、こちらに着替えて頂きますね」

メイドが持ってきたのは、淡いピンクのシンプルなワンピースだ。一体どこから持ってきたのだろう?

早速着替えていくのだが、さすが王宮で働くメイドたち。物凄く手際がいい。あっという間にワンピースを着せられた。

「こちらの帽子をお被りください」

あまり目立たない様にと、つばの深い帽子まで頭に被せてくれた。

「それでは、ギルバート殿下の元に参りましょうか」

今、明らかに可哀そうな者を見る目をして私を見たわ!そんなにギルバート様は面倒くさい人なのかしら?でも、あの陛下が“面倒を見るのが嫌だ”と言うくらいだから、きっと面倒な人なのだろう…

一気に気が重くなってきた。それに、この事を知ったオスカー様はきっと怒り狂うわよね。そっちの方も気が重い。

重い足取りでギルバート様と陛下が待つ部屋に戻る。

「やっと来たね。早速行こう」

私の手を取り、走り出すギルバート様。

「アメリア嬢、ギルバートを頼んだよ」

後ろから陛下の声が聞こえるが、返事をしている余裕はない。そのまま門まで向かうと、馬車へと乗り込んだ。街に行くと言うとこもあり、王家の紋章などは付いていないシンプルな馬車だ。

「アメリア、急に訪ねて来てびっくりしたよね。でも、あの日からずっと君に会いたいと思っていたんだ。会えて嬉しいよ」

そう言うと、満面の笑みを見せてくれたギルバート様。彼ははっきり言って美しい。こんな美しい男性に微笑まれたら、さすがにドキドキするわ。

って、ダメよ!私にはオスカー様がいるのに、他の男性にドキドキするなんて。とにかく、今日はギルバート様に満足して頂ける様、しっかり案内しないと。

「私も、まさかまたギルバート様にお会い出来るなんて思っても見ませんでしたわ。それで、ギルバート様は何処か行きたい場所はありますか?」

「そうだな、この国の市民がどういった生活を送っているのか見てみたいな」

「わかりました。では、市場に行きましょう。あそこは市民が普段買い物をする場所として栄えておりますので」

向かった先は市場だ。この市場は王都最大級の規模を誇っており、色々なものが売られている。

「物凄く賑わっているね。これじゃあ迷子になりそうだ。アメリア、手を出して」

言われるがまま手を出すと、そのままギルバート様に握られた。さすがに他の男性と手を繋ぐのはマズいわ。

「ギルバート様、私には婚約者がおりますので、このような事は…」

「伯爵からさっき聞いたけれど、まだ正式には婚約を結び直していないのだろう?それなら、君には書面上はまだ婚約者が居ないという事だ。だから、問題ないよ」

私が着替えをしている間に、どうやらお父様がギルバート様に話した様だ。お父様ったら、本当におしゃべりなんだから!

これ以上言い返せない私はギルバート様に手を握られ、市場を歩く。ふと目に留まったのは、海鮮を焼いて売っているお店だ。

「ギルバート様、このイカの丸焼き。とても美味しいですわよ。食べてみませんか?」

子供の頃、よくファビアナと一緒に食べた。これが結構おいしいのよね。それに有難い事に、ぶつ切りにして串にささっている為、食べやすい。

「アメリアが言うなら、早速食べてみよう。そうだ、あの赤いタコというものも気になるから、それぞれ1本ずつ買って2人で半分こしよう」

「あっ、でもそれはさすがにマズいんじゃあ」

私の言葉を無視し、早速タコとイカの串焼きを買って来たギルバート様。まずは私にイカを手渡してくれた。

さすがに私の食べかけをギルバート様に食べさせる訳にはいかない。

「このタコ、歯ごたえがあって美味しいね。あれ、アメリア。食べないのかい?」

「私は後で頂きますわ。ギルバート様、次はイカもどうぞ」

ギルバート様にイカを渡したのだが、なぜか受け取ろうとしない。

「アメリアに気を使われるとなんだか悲しいな。俺の事は女友達と同じだと思って扱ってほしい。女友達には、そんな気遣いなんてしないだろう?」

あら、どうやら気を使ったことがバレてしまった様だ。

「分かりましたわ。では、私も頂きますね」

早速イカ焼きにかぶり付いた。イカの表面に塗られた調味料とイカが物凄く合うのよね。久しぶりに食べたけれど、やっぱり美味しいわ。半分くらい食べ進めたところで、ギルバート様のタコと交換した。

あまりタコは食べた事が無いけれど、こっちも歯ごたえがあって美味しい。お互い食べ終わった後は、また市場を見て回る。

「カルダス王国の市場も随分と栄えているのだね。アメリア、なんだか甘い匂いがするけれど、あれはいったい何だい?」

「あれはクレープですわ。薄く焼いた生地に、クリームや果物を乗せて巻いたものです。せっかくなので、食べてみましょう。ギルバート様はどれがよろしいですか?」

私はもう決まっている。苺とカスタードのクレープだ。私は昔からクレープと言えばコレと決まっているのだ。

「俺はバナナとチョコのクレープにするよ」

早速購入し、2人でベンチに座って食べる。

「初めて食べたけれど、凄く美味しいよ。バナナとチョコ、生地がよく合っている。パッショナル王国に帰ったら、ぜひ取り入れたい料理の1つだ」

どうやら満足してくれた様で、ホッとした。と、次の瞬間。私の手を掴むと、握っていた苺のクレープをパクリと食べるギルバート様。

こ…これは…

「うん、こっちも美味しいね。苺とカスタードクリームがよく合っている。でも、俺はやっぱりバナナとチョコの方が好きだな」

私の動揺をよそに、その後普通に自分のクレープを食べ始めたギルバート様。どうやらギルバート様は、私の事を異性として見ていない様だ。ある意味有難いのだが、それはそれで少しショックな気もする。

気を取り直して、再び市場を見て回る。ある程度見終わったところで、日が沈みかかっている事に気が付いた。そうだわ、あそこに連れて行ってあげましょう。

「ギルバート様、もう少しお時間はよろしいですか?」

「ああ、構わないよ」

一旦馬車に乗り、王都の外れにある丘を目指す。

「ここから少し歩きますが、大丈夫ですか?」

「歩くのは得意だから大丈夫だよ。それより、アメリアの方が大丈夫なのかい。祭りの時も、すぐにバテていたからね」

そう言ってクスクス笑うギルバート様。そういえば、そんな事もあったわね。

「あの時は慣れない踊りに疲れただけですわ。今回は大丈夫です」

そう強がったものの、正直体力にはあまり自信がない。それでも、何とか丘を登って行く。登り終えた時には、かなり息が切れた。やっぱりこの丘を登るのは一苦労ね。

ゼーゼー言っている私をよそに、涼しい顔のギルバート様。なんだか悔しいわ。息を整え、向かった先は展望台だ。

ちょうど夕日が沈むタイミングだった様で、空が真っ赤に染まっていた。

「ここは、王都を一望できる場所なのですよ。ほら、奥の方には海も見えますでしょう」

「本当だ、それに夕日がとても奇麗だ。こんなにも美しい景色は初めて見たよ!」

そう言って嬉しそうに笑ったギルバート様。“初めて見た”はさすがに言い過ぎだろうが、それでも気に入って貰えたことは嬉しい。

しばらく景色を楽しんだところで、ギルバート様に声を掛けた。
「そろそろ戻りましょう。日が暮れてしまいますわ」

「もう少し見て居たいな。ダメかな?」

「でも、日が暮れると危険ですわ。ここは王宮からも比較的近いので、また別の日にいらしたらいかかでしょう」

私の提案にしばらく考え込んだ後

「分かったよ。それじゃあ、また今度アメリアが連れて来てね」

そう言って、なぜか私を抱きかかえたギルバート様。

「ギルバート様、一体何をなさるの?降ろして」

「アメリアは体力が無いだろう。急いで丘を降りないと日が暮れるからね。しばらくじっとしていて」

そう言って私を抱え走り出したギルバート様。涼しい顔をして丘を降りていくギルバートに対し、顔を真っ赤にして動揺するアメリアであった。
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