59 / 61
第2章
第27話:とにかく逃げるのみです
しおりを挟む
ミミリィさんの手を握り、走り出そうとした時だった。
「おい、部屋に誰もいないぞ!」
「嘘だろう、あんなにグルグル巻きにしておいたのに、逃げられるはずはない」
男たちの叫び声が聞こえて来た。まずい。とっさにミミリィさんの腕を引っ張り、建物の影に隠れる。
「おい、見てみろ。ロープを使って逃げたんだ。クソ!すぐにボスに知らせろ!」
まずい、逃げた事がバレてしまった。
「ミミリィさん、とにかく逃げましょう。この街の騎士団の本部に行けば、きっとかくまってもらえるはずよ」
「でも、騎士団の本部ってどこにあるのかしら?」
確かにここがどこなのか、全くわからない。でも、街には必ず騎士団が常駐しているはずだ。とにかく、私たちに出来る事は逃げるしかない。
「とにかく逃げましょう」
ミミリィさんの手を引き、必死に走り出す。既に夜更けなのか、街は静まり返っている。とにかく逃げないと。そんな思いで走り続けた。
「キャーー」
「ミミリィさん、大丈夫?」
石に躓いて転んでしまったミミリィさん。
「ええ、大丈夫よ。でも、靴が…」
ずっと走っていたせいか、靴はボロボロだ。ふと自分の靴を見ると、こちらもボロボロ。
「仕方ない。裸足で走りましょう。とにかく逃げないと!」
靴を脱ぎ捨て、再び手を取り合い走り出す。でも次の瞬間。
「おい、居たか?」
「いいえ、見当たりません」
「クソ、あの女ども、どこに逃げやがったんだ!この街の騎士団に入られたら終わりだ。騎士団の周りを見張れ!」
「わかりました」
犯人たちの話し声が聞こえた。とっさに建物の影に隠れたため見つからなかったが、すぐそばまで迫ってきている様だ。隣で震えるミミリィさんをそっと抱きしめる。私も正直怖い、でも今は!
「ミミリィさん、騎士団に向かうのは厳しそうね。とにかく、朝になるまで何とか逃げ切るしかなさそうですわ」
再び狭い路地を進んでいく。裸足で走っているせいで、足が痛い。きっと足はボロボロだろう。それでも何とか逃げ切らないと。
「もうダメ、スカーレットさん、私はいいから、あなただけで逃げて」
そう言って座り込んでしまった。
「何を言っているの?あなたを置いて1人では逃げられないわ」
正直私ももう限界だ。気が付くと、瞳から大きな涙が溢れていた。グレイ様、助けて下さい。グレイ様…
何度も何度も心の中で呟く。そんな私を見て、ミミリィさんも泣いていた。しばらく2人で泣いた後、立ち上がったミミリィさん。
「スカーレットさん、弱音を吐いてごめんなさい。少し休んだので大丈夫ですわ。さあ、参りましょう」
私の手を握り、そう言ったミミリィさん。再び2人で走り出し、角を曲がったところで誰かにぶつかった。こんな場所で人にぶつかる何て、まさか、犯人?
もうダメ、捕まっちゃう。そう思い、きゅっと目を閉じミミリィさんと抱き合う。でも…
「あなたは、スカーレットさんですね。お隣はミミリィさん。よかった、ご無事だったのですね」
ゆっくり目を開けると、そこには騎士団の服を着た男性が3人立っていた。
「とにかく騎士団長と副騎士団長に知らせろ!」
「2人とも、裸足ではありませんか。怪我もしている様ですし。すぐに手当てを行いましょう」
騎士団員の顔を見た瞬間、張りつめていた糸が切れ、ミミリィさんと抱き合って泣いた。よかった、助かったんだわ。そうだ、泣いている場合ではない。
「私たちが捕らえられていた屋敷に、犯人のボスと呼ばれる人がいます。とても大きな建物で、3階建てでした。色は暗くてはっきりとは見えませんでしたが、大きな道路沿いで、奥には教会がありました。それから、隣に大きな倉庫が2つ並んでいました。もし犯人がまだ回収していなければ、3階の窓から私たちが脱出した時に使ったロープが垂れているはずです」
必死にアジトの場所を説明した。そんな私を見た団員が
「さすが騎士団長の奥さんだ。しっかりしているな」
そう言って笑っていた。私、笑われる様なおかしなことを言ったかしら?
「情報ありがとうございます。この街の騎士団と協力して、すぐにアジト特定に努めます。とにかくお2人は…」
「スカーレット!!!」
「ミミリィ!!!」
この声は!
「グレイ様」
「スティーブン」
物凄い勢いで走って来たのは、グレイ様と副騎士団長様だ。そのままグレイ様に抱きしめられた。
「スカーレット、怖い思いをさせてすまなかった!」
「グレイ様、会いたかったです!まさかこの街まで助けに来てくださったのですか?」
「当たり前だ!それより、手と足が傷だらけじゃないか。すぐに手当てをしないと」
私を抱きかかえ、歩き出したグレイ様。久しぶりに感じるグレイ様のぬくもり…ふとミミリィさんの方を見ると、ミミリィさんも副騎士団長様に抱きかかえられていた。
よかった、もう安心ね。
「おい、部屋に誰もいないぞ!」
「嘘だろう、あんなにグルグル巻きにしておいたのに、逃げられるはずはない」
男たちの叫び声が聞こえて来た。まずい。とっさにミミリィさんの腕を引っ張り、建物の影に隠れる。
「おい、見てみろ。ロープを使って逃げたんだ。クソ!すぐにボスに知らせろ!」
まずい、逃げた事がバレてしまった。
「ミミリィさん、とにかく逃げましょう。この街の騎士団の本部に行けば、きっとかくまってもらえるはずよ」
「でも、騎士団の本部ってどこにあるのかしら?」
確かにここがどこなのか、全くわからない。でも、街には必ず騎士団が常駐しているはずだ。とにかく、私たちに出来る事は逃げるしかない。
「とにかく逃げましょう」
ミミリィさんの手を引き、必死に走り出す。既に夜更けなのか、街は静まり返っている。とにかく逃げないと。そんな思いで走り続けた。
「キャーー」
「ミミリィさん、大丈夫?」
石に躓いて転んでしまったミミリィさん。
「ええ、大丈夫よ。でも、靴が…」
ずっと走っていたせいか、靴はボロボロだ。ふと自分の靴を見ると、こちらもボロボロ。
「仕方ない。裸足で走りましょう。とにかく逃げないと!」
靴を脱ぎ捨て、再び手を取り合い走り出す。でも次の瞬間。
「おい、居たか?」
「いいえ、見当たりません」
「クソ、あの女ども、どこに逃げやがったんだ!この街の騎士団に入られたら終わりだ。騎士団の周りを見張れ!」
「わかりました」
犯人たちの話し声が聞こえた。とっさに建物の影に隠れたため見つからなかったが、すぐそばまで迫ってきている様だ。隣で震えるミミリィさんをそっと抱きしめる。私も正直怖い、でも今は!
「ミミリィさん、騎士団に向かうのは厳しそうね。とにかく、朝になるまで何とか逃げ切るしかなさそうですわ」
再び狭い路地を進んでいく。裸足で走っているせいで、足が痛い。きっと足はボロボロだろう。それでも何とか逃げ切らないと。
「もうダメ、スカーレットさん、私はいいから、あなただけで逃げて」
そう言って座り込んでしまった。
「何を言っているの?あなたを置いて1人では逃げられないわ」
正直私ももう限界だ。気が付くと、瞳から大きな涙が溢れていた。グレイ様、助けて下さい。グレイ様…
何度も何度も心の中で呟く。そんな私を見て、ミミリィさんも泣いていた。しばらく2人で泣いた後、立ち上がったミミリィさん。
「スカーレットさん、弱音を吐いてごめんなさい。少し休んだので大丈夫ですわ。さあ、参りましょう」
私の手を握り、そう言ったミミリィさん。再び2人で走り出し、角を曲がったところで誰かにぶつかった。こんな場所で人にぶつかる何て、まさか、犯人?
もうダメ、捕まっちゃう。そう思い、きゅっと目を閉じミミリィさんと抱き合う。でも…
「あなたは、スカーレットさんですね。お隣はミミリィさん。よかった、ご無事だったのですね」
ゆっくり目を開けると、そこには騎士団の服を着た男性が3人立っていた。
「とにかく騎士団長と副騎士団長に知らせろ!」
「2人とも、裸足ではありませんか。怪我もしている様ですし。すぐに手当てを行いましょう」
騎士団員の顔を見た瞬間、張りつめていた糸が切れ、ミミリィさんと抱き合って泣いた。よかった、助かったんだわ。そうだ、泣いている場合ではない。
「私たちが捕らえられていた屋敷に、犯人のボスと呼ばれる人がいます。とても大きな建物で、3階建てでした。色は暗くてはっきりとは見えませんでしたが、大きな道路沿いで、奥には教会がありました。それから、隣に大きな倉庫が2つ並んでいました。もし犯人がまだ回収していなければ、3階の窓から私たちが脱出した時に使ったロープが垂れているはずです」
必死にアジトの場所を説明した。そんな私を見た団員が
「さすが騎士団長の奥さんだ。しっかりしているな」
そう言って笑っていた。私、笑われる様なおかしなことを言ったかしら?
「情報ありがとうございます。この街の騎士団と協力して、すぐにアジト特定に努めます。とにかくお2人は…」
「スカーレット!!!」
「ミミリィ!!!」
この声は!
「グレイ様」
「スティーブン」
物凄い勢いで走って来たのは、グレイ様と副騎士団長様だ。そのままグレイ様に抱きしめられた。
「スカーレット、怖い思いをさせてすまなかった!」
「グレイ様、会いたかったです!まさかこの街まで助けに来てくださったのですか?」
「当たり前だ!それより、手と足が傷だらけじゃないか。すぐに手当てをしないと」
私を抱きかかえ、歩き出したグレイ様。久しぶりに感じるグレイ様のぬくもり…ふとミミリィさんの方を見ると、ミミリィさんも副騎士団長様に抱きかかえられていた。
よかった、もう安心ね。
43
あなたにおすすめの小説
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
【完結】気味が悪いと見放された令嬢ですので ~殿下、無理に愛さなくていいのでお構いなく~
Rohdea
恋愛
───私に嘘は通じない。
だから私は知っている。あなたは私のことなんて本当は愛していないのだと──
公爵家の令嬢という身分と魔力の強さによって、
幼い頃に自国の王子、イライアスの婚約者に選ばれていた公爵令嬢リリーベル。
二人は幼馴染としても仲良く過ごしていた。
しかし、リリーベル十歳の誕生日。
嘘を見抜ける力 “真実の瞳”という能力に目覚めたことで、
リリーベルを取り巻く環境は一変する。
リリーベルの目覚めた真実の瞳の能力は、巷で言われている能力と違っていて少々特殊だった。
そのことから更に気味が悪いと親に見放されたリリーベル。
唯一、味方となってくれたのは八歳年上の兄、トラヴィスだけだった。
そして、婚約者のイライアスとも段々と距離が出来てしまう……
そんな“真実の瞳”で視てしまった彼の心の中は───
※『可愛い妹に全てを奪われましたので ~あなた達への未練は捨てたのでお構いなく~』
こちらの作品のヒーローの妹が主人公となる話です。
めちゃくちゃチートを発揮しています……
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
契約結婚の相手が優しすぎて困ります
みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。
婚約破棄されたけれど、どうぞ勝手に没落してくださいませ。私は辺境で第二の人生を満喫しますわ
鍛高譚
恋愛
「白い結婚でいい。
平凡で、静かな生活が送れれば――それだけで幸せでしたのに。」
婚約破棄され、行き場を失った伯爵令嬢アナスタシア。
彼女を救ったのは“冷徹”と噂される公爵・ルキウスだった。
二人の結婚は、互いに干渉しない 『白い結婚』――ただの契約のはずだった。
……はずなのに。
邸内で起きる不可解な襲撃。
操られた侍女が放つ言葉。
浮かび上がる“白の一族”の血――そしてアナスタシアの身体に眠る 浄化の魔力。
「白の娘よ。いずれ迎えに行く」
影の王から届いた脅迫状が、運命の刻を告げる。
守るために剣を握る公爵。
守られるだけで終わらせないと誓う令嬢。
契約から始まったはずの二人の関係は、
いつしか互いに手放せない 真実の愛 へと変わってゆく。
「君を奪わせはしない」
「わたくしも……あなたを守りたいのです」
これは――
白い結婚から始まり、影の王を巡る大いなる戦いへ踏み出す、
覚醒令嬢と冷徹公爵の“運命の恋と陰謀”の物語。
---
突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。
橘ハルシ
恋愛
ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!
リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。
怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。
しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。
全21話(本編20話+番外編1話)です。
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
婚約者に捨てられた私ですが、なぜか宰相様の膝の上が定位置になっています
さら
恋愛
王太子との婚約を一方的に破棄され、社交界で居場所を失った令嬢エリナ。絶望の淵に沈む彼女の前に現れたのは、冷徹と名高い宰相だった。
「君の居場所は、ここだ」
そう言って彼は、ためらいもなくエリナを自らの膝の上に抱き上げる。
それ以来、エリナの定位置はなぜか宰相様の膝の上に固定されてしまう。
周囲からの嘲笑や陰口、そして第一王子派の陰謀が二人を取り巻くが、宰相は一切怯むことなく、堂々とエリナを膝に抱いたまま権力の中枢に立ち続ける。
「君がいる限り、私は負けぬ」
その揺るぎない言葉に支えられ、エリナは少しずつ自信を取り戻し、やがて「宰相の妻」としての誇りを胸に刻んでいく。
舞踏会での公然の宣言、王妃の承認、王宮評議会での糾弾――数々の試練を経ても、二人の絆は揺らがない。むしろ宰相は、すべての人々の前で「彼女こそ我が誇り」と高らかに示し、エリナ自身もまた「膝の上にいることこそ愛の証」と誇らしく胸を張るようになっていく。
そしてついに、宰相は人々の前で正式に求婚を告げる。
「エリナ。これから先、どんな嵐が来ようとも――君の定位置は私の膝の上だ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる