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第2章
第26話:脱出作戦開始です
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冷たい馬車の荷台に乗せられ、走り出した馬車。一体どこに連れていかれるのだろう…隣には同じく縛られたミミリィさんが泣いていた。
「ミミリィさん、ごめんなさい。我が家に来ていたばかりに、あなたまで一緒に捕まってしまったわ」
ミミリィさんに頭を下げた。もしかしたら家に来ていなければ、ミミリィさんは攫われなかったかもしれないのだ。
「犯人たちの会話からして、私も狙われていた様だから、きっとスカーレットさんの家に来ていなくても、我が家に押しかけていたはずよ。だから謝らないで」
泣きながらもそう言ってくれたミミリィさん。恐怖から2人で身を寄せ合い、馬車が停まるのを待つ。しばらく走ると、馬車が停まった。
「さあ、こっちに来い」
そう言うと、私とミミリィさんをそれぞれ担ぐと、そのまま歩き出した男たち。すると、一軒の大きな家の中に入って行く。ここがこの人たちのアジト?でも、アジトは北の森の中と聞いていたわ。それにしても広いお屋敷ね。
ついキョロキョロと見てしまう。お屋敷の中を進むと、階段を上がり一番奥の部屋に入れられた。縛られている上から、さらに柱に縛りつけられた。
「ここまで縛っておく必要はあるのか?こいつら、弱そうな女だぞ」
「万が一逃げられたら大変だからな。とにかく、ここまでしておけば安心だろう」
「それもそうだな。明日うまく行くかにかかっているんだもんな。うまくいけば、明日には仲間たちと一緒にとんずらだ!せっかくだから、前祝と行こうぜ。逃げる時、うまい酒を持ってきたんだ」
「バカ、酒何て飲んでいるのがボスにバレたら大目玉だぞ」
そんなふざけた会話をしながら出て行った男たち。お酒を飲むだなんて、随分と余裕ね。でも、これはチャンスだわ。
「ミミリィさん、相手は完全に油断しているし、さっさとここから逃げ出しましょう」
「何を言っているの?私たち、こんなにグルグル巻きに縛られているのよ。どうやって…て、スカーレットさん?」
まずは柱に縛られているロープから解いた。
「実は私、前の街にいた時に出来た友人から、ロープ抜けや鍵開けの技術を教わっていたの。柱などに縛り付けられる前に、大きく深呼吸をして上半身に筋力を集中させたの。そうすることで、体が少し大きくなった状態で縛られる。そして力を抜くと、ロープに隙間が出来て抜けられる様になるのよ」
最初はなぜこんな事まで覚えないといけないのだろう。そう思ったが、リンダさんが
“いい、何が起こるかわからないのよ。覚えておいて損はないわ!”
そう言って教えてくれたのだ。でもあの短期間で教わったことが、この場でうまく行くなんて。さあ次は、腕に縛られた縄を解かないとね。
確か手を握ったり閉じたりするとロープの隙間が出来ると言っていた。さらに縛られるとき少しでも隙間が空くようにと、腕を思いっきり外側に引っ張っていたから、既に少し隙間が出来ている。よし、何とかほどけたわ。
「凄いわ、スカーレットさん。とにかくあなただけでも逃げて、誰か呼んできて」
「何を言っているの?待っていて、すぐにロープを外すから」
ふと周りを見ると、灯りの為ローソクに火がともっている。これだ!ミミリィさんがやけどをしない様に、ゆっくりとローソクの火を当てていく。時間がかかってしまったが、うまく焼き切れた。
さて、どうやって逃げようかしら?一応リンダさんから鍵の開け方も教わっている。でも、万が一外に見張りがいたら、すぐに捕まってしまう。そんな事を考えていると
「スカーレットさん、この窓から逃げられそうよ」
近くにあった窓を開けるミミリィさん。すぐに窓に近づき外を見るが、ここは3階の様で、普通には降りられそうにない。
「ミミリィさん、さすが3階からは降りられないわ」
そう伝えると
「あら、さっき私たちを縛っていたロープがあるわ。これを繋ぎ合わせれば、きっと降りられるはず」
確かにロープを使えば降りられるかもしれない。でも、女性の腕力では、体を支えきれずに落下してしまうかもしれない。そうだわ。
「スカーレットさん、何をなさっているのですか?」
「私たち、自慢じゃないけれど腕力がないでしょう?だから、こうやって一定の間隔で結び目を作っておくことで、ここに足を引っかけられるのではと思ったの」
「まあ、それは素晴らしいですわ。確かに自慢ではないですが、腕力はありませんものね」
そう言って笑ったミミリィさん。よかった、少しは元気になった様だ。
しっかりロープを柱にくくりつけ、窓から垂らす。
「それじゃあ、私から降りるわ」
まず最初は、私からロープを伝っておりていく。結び目があるものの、やはり腕だけで降りるのはかなり大変だ。それにロープが揺れて物凄く怖い。でも、助かる方法はこれしかない!かなり時間がかかったが、何とか降りられた。手は擦りむけ、血が出てしまっているが仕方がない。
次はミミリィさんの番だ。ゆっくりとロープを伝っておりてくるミミリィさん。やはり怖い様で、時折ロープに捕まり、動けず震える場面も何度もあった。それでも何とか降りて来た。ミミリィさんの手も、擦りむけて血だらけだ。
「ミミリィさん、よく頑張ったわね。さあ、とにかく逃げましょう」
とにかく一刻も早くこの建屋から離れないと!
「ミミリィさん、ごめんなさい。我が家に来ていたばかりに、あなたまで一緒に捕まってしまったわ」
ミミリィさんに頭を下げた。もしかしたら家に来ていなければ、ミミリィさんは攫われなかったかもしれないのだ。
「犯人たちの会話からして、私も狙われていた様だから、きっとスカーレットさんの家に来ていなくても、我が家に押しかけていたはずよ。だから謝らないで」
泣きながらもそう言ってくれたミミリィさん。恐怖から2人で身を寄せ合い、馬車が停まるのを待つ。しばらく走ると、馬車が停まった。
「さあ、こっちに来い」
そう言うと、私とミミリィさんをそれぞれ担ぐと、そのまま歩き出した男たち。すると、一軒の大きな家の中に入って行く。ここがこの人たちのアジト?でも、アジトは北の森の中と聞いていたわ。それにしても広いお屋敷ね。
ついキョロキョロと見てしまう。お屋敷の中を進むと、階段を上がり一番奥の部屋に入れられた。縛られている上から、さらに柱に縛りつけられた。
「ここまで縛っておく必要はあるのか?こいつら、弱そうな女だぞ」
「万が一逃げられたら大変だからな。とにかく、ここまでしておけば安心だろう」
「それもそうだな。明日うまく行くかにかかっているんだもんな。うまくいけば、明日には仲間たちと一緒にとんずらだ!せっかくだから、前祝と行こうぜ。逃げる時、うまい酒を持ってきたんだ」
「バカ、酒何て飲んでいるのがボスにバレたら大目玉だぞ」
そんなふざけた会話をしながら出て行った男たち。お酒を飲むだなんて、随分と余裕ね。でも、これはチャンスだわ。
「ミミリィさん、相手は完全に油断しているし、さっさとここから逃げ出しましょう」
「何を言っているの?私たち、こんなにグルグル巻きに縛られているのよ。どうやって…て、スカーレットさん?」
まずは柱に縛られているロープから解いた。
「実は私、前の街にいた時に出来た友人から、ロープ抜けや鍵開けの技術を教わっていたの。柱などに縛り付けられる前に、大きく深呼吸をして上半身に筋力を集中させたの。そうすることで、体が少し大きくなった状態で縛られる。そして力を抜くと、ロープに隙間が出来て抜けられる様になるのよ」
最初はなぜこんな事まで覚えないといけないのだろう。そう思ったが、リンダさんが
“いい、何が起こるかわからないのよ。覚えておいて損はないわ!”
そう言って教えてくれたのだ。でもあの短期間で教わったことが、この場でうまく行くなんて。さあ次は、腕に縛られた縄を解かないとね。
確か手を握ったり閉じたりするとロープの隙間が出来ると言っていた。さらに縛られるとき少しでも隙間が空くようにと、腕を思いっきり外側に引っ張っていたから、既に少し隙間が出来ている。よし、何とかほどけたわ。
「凄いわ、スカーレットさん。とにかくあなただけでも逃げて、誰か呼んできて」
「何を言っているの?待っていて、すぐにロープを外すから」
ふと周りを見ると、灯りの為ローソクに火がともっている。これだ!ミミリィさんがやけどをしない様に、ゆっくりとローソクの火を当てていく。時間がかかってしまったが、うまく焼き切れた。
さて、どうやって逃げようかしら?一応リンダさんから鍵の開け方も教わっている。でも、万が一外に見張りがいたら、すぐに捕まってしまう。そんな事を考えていると
「スカーレットさん、この窓から逃げられそうよ」
近くにあった窓を開けるミミリィさん。すぐに窓に近づき外を見るが、ここは3階の様で、普通には降りられそうにない。
「ミミリィさん、さすが3階からは降りられないわ」
そう伝えると
「あら、さっき私たちを縛っていたロープがあるわ。これを繋ぎ合わせれば、きっと降りられるはず」
確かにロープを使えば降りられるかもしれない。でも、女性の腕力では、体を支えきれずに落下してしまうかもしれない。そうだわ。
「スカーレットさん、何をなさっているのですか?」
「私たち、自慢じゃないけれど腕力がないでしょう?だから、こうやって一定の間隔で結び目を作っておくことで、ここに足を引っかけられるのではと思ったの」
「まあ、それは素晴らしいですわ。確かに自慢ではないですが、腕力はありませんものね」
そう言って笑ったミミリィさん。よかった、少しは元気になった様だ。
しっかりロープを柱にくくりつけ、窓から垂らす。
「それじゃあ、私から降りるわ」
まず最初は、私からロープを伝っておりていく。結び目があるものの、やはり腕だけで降りるのはかなり大変だ。それにロープが揺れて物凄く怖い。でも、助かる方法はこれしかない!かなり時間がかかったが、何とか降りられた。手は擦りむけ、血が出てしまっているが仕方がない。
次はミミリィさんの番だ。ゆっくりとロープを伝っておりてくるミミリィさん。やはり怖い様で、時折ロープに捕まり、動けず震える場面も何度もあった。それでも何とか降りて来た。ミミリィさんの手も、擦りむけて血だらけだ。
「ミミリィさん、よく頑張ったわね。さあ、とにかく逃げましょう」
とにかく一刻も早くこの建屋から離れないと!
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