35 / 50
第35話:本当に君って子は…~ディーノ視点~
しおりを挟む
「ヴィクトリア、夫人も落ち着いてくれ。とにかく座ってゆっくり話をしましょう」
急いで2人の間に入り、夫人からヴィクトリアを引き離すと、彼女を僕の隣に座らせた。彼女は絶対に渡さない、そんな思いでヴィクトリアの腰をギュッと掴む。
そんな僕の焦りとは裏腹に、ゆっくりお茶を飲むヴィクトリア。
「お父様、お母様、私は家に帰るつもりはありませんわ」
両親を見てヴィクトリアがはっきりとそう告げたのだ。僕の耳がおかしくなったのか?あのヴィクトリアが帰るつもりはないとは、一体どういうことなのだ?全く訳が分からない。侯爵も夫人も父上も目を見開き固まっている。ただ、母上だけが優美にお茶を飲んでいるではないか。
「ヴィクトリア、あなたは何を言っているの?毒殺されそうになったのよ。私はあなたの命の危機に晒されてまで、あなたに王妃になって欲しいなんて望んでいないわ」
「そうだぞ、ヴィクトリア。やはりヴィクトリアには荷が重かったのだよ。一緒に侯爵家に帰ろう」
ヴィクトリアの両親が必死にヴィクトリアに訴えている。
「お父様、お母様、今回の毒混入事件は、私に対する犯人からの宣戦布告なのです。いわば挑戦状の様なもの。相手から勝負を挑まれているのに、のこのこ逃げ帰るだなんて、そんな恥ずかしい事は出来ませんわ」
「何を訳の分からない事を言っているの?おバカな事を言っていないで、一緒に帰りましょう」
夫人があり得ないと言った表情を浮かべ、必死に訴えている。まさかスープに毒を入れられて、怯えるどころか勝負を挑まれていると思うだなんて。ヴィクトリアの想像力には、毎回驚かされるばかりだ。
「夫人、ヴィクトリアもこう言っています。それに今後は僕が必ずヴィクトリアを守りますので、どうか見守ってくださいませんでしょうか」
「私は殿下に守ってもらわなくても大丈夫ですわ。とにかく私は、王宮を離れるつもりはございません。もう、クロハはすぐにお父様に報告するのだから。次からは何も言わないからね」
近くに控えていたヴィクトリアの専属メイドに、文句を言いながら頬を膨らませている。
「ヴィクトリアちゃんもこう言っている事ですし、どうかヴィクトリアちゃんをこのままディーノお妃候補として王宮で生活をさせてあげてもらえないかしら?」
「シーディス侯爵、私からも頼む。無事お妃候補の期間が終わったら、シーディス侯爵家は正式に公爵に爵位を上げるつもりだ。領地も今までよりも大きな土地を与える予定でいる。だからどうか頼む」
母上だけでなく、父上までもが必死にシーディス侯爵と夫人に訴えている。さすがのシーディス侯爵もこれ以上は言えないだろう。
「分かりました。ヴィクトリア本人が王宮に残りたいと申しておりますし、私共はこれ以上何も言いません。ヴィクトリア、あまり無理はするなよ。どうかヴィクトリアの事をよろしくお願いします」
シーディス侯爵と夫人がついに折れた様で、僕たちに頭を下げて来たのだ。一時はどうなるかと思ったが、これでヴィクトリアは僕のお妃候補のままでいてくれたぞ。
それにしてもあのヴィクトリアが、まさか自ら王宮に留まる事を選んでくれるだなんて。それが何よりも嬉しい。ヴィクトリアと幸せな日々を送るためにも、何が何でもヴィクトリアを守らないと!
「少し娘と話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
急に侯爵がそんな事をいいだしたのだ。もしかして僕たちのいないところで、ヴィクトリアを説得するつもりか?
「ええ、構いませんわ。それでは私たちは部屋から出ていきましょう。ディーノも行くわよ」
母上が笑顔で返答し、そのまま僕の腕を掴むと、部屋から出された。
「母上、侯爵はきっとヴィクトリアを説得するつもりです。このまま親子だけにしてもいいのですか?」
「心配いらないわ。侯爵や夫人よりもヴィクトリアちゃんの方が一枚も二枚も上手よ。侯爵たちにヴィクトリアちゃんを丸め込めやしないわ。あの子は本当にすごい子だから…」
確かにヴィクトリアはすごい子だ。そういえば母上、ヴィクトリアが王宮に残る事を知っていた様な感じだったな。
「母上はヴィクトリアが王宮に残る事を知っていた様な口ぶりでしたが…」
「ええ、知っていたわ。侯爵たちと話す前に、ヴィクトリアちゃんと話をしたもの」
そうだったのか、だから母上は、ヴィクトリアがここに残る選択をするという事を知っていたのだな。
「ディーノが思っている以上に、ヴィクトリアちゃんはエネルギッシュな子ね。それに知識量が半端ないし。あの子が次期王妃になってくれたら、我が国はもっと発展するでしょう。ただ、ヴィクトリアちゃんが正式にお妃に内定した時、なんて言うかしら?ディーノも大変ね」
母上がクスクスと笑っている。確かにヴィクトリアは、すんなりと僕のお妃にはなってくれないだろう。でも、その点に関してはある程度秘策を準備している。それに意外とヴィクトリアは単純な性格をしているから、上手く丸め込むつもりだ。
それよりも今は、ヴィクトリアの命を狙っているフィドーズ公爵家をなんとかしないと。
※次回、ヴィクトリア視点に戻ります。
よろしくお願いします。
急いで2人の間に入り、夫人からヴィクトリアを引き離すと、彼女を僕の隣に座らせた。彼女は絶対に渡さない、そんな思いでヴィクトリアの腰をギュッと掴む。
そんな僕の焦りとは裏腹に、ゆっくりお茶を飲むヴィクトリア。
「お父様、お母様、私は家に帰るつもりはありませんわ」
両親を見てヴィクトリアがはっきりとそう告げたのだ。僕の耳がおかしくなったのか?あのヴィクトリアが帰るつもりはないとは、一体どういうことなのだ?全く訳が分からない。侯爵も夫人も父上も目を見開き固まっている。ただ、母上だけが優美にお茶を飲んでいるではないか。
「ヴィクトリア、あなたは何を言っているの?毒殺されそうになったのよ。私はあなたの命の危機に晒されてまで、あなたに王妃になって欲しいなんて望んでいないわ」
「そうだぞ、ヴィクトリア。やはりヴィクトリアには荷が重かったのだよ。一緒に侯爵家に帰ろう」
ヴィクトリアの両親が必死にヴィクトリアに訴えている。
「お父様、お母様、今回の毒混入事件は、私に対する犯人からの宣戦布告なのです。いわば挑戦状の様なもの。相手から勝負を挑まれているのに、のこのこ逃げ帰るだなんて、そんな恥ずかしい事は出来ませんわ」
「何を訳の分からない事を言っているの?おバカな事を言っていないで、一緒に帰りましょう」
夫人があり得ないと言った表情を浮かべ、必死に訴えている。まさかスープに毒を入れられて、怯えるどころか勝負を挑まれていると思うだなんて。ヴィクトリアの想像力には、毎回驚かされるばかりだ。
「夫人、ヴィクトリアもこう言っています。それに今後は僕が必ずヴィクトリアを守りますので、どうか見守ってくださいませんでしょうか」
「私は殿下に守ってもらわなくても大丈夫ですわ。とにかく私は、王宮を離れるつもりはございません。もう、クロハはすぐにお父様に報告するのだから。次からは何も言わないからね」
近くに控えていたヴィクトリアの専属メイドに、文句を言いながら頬を膨らませている。
「ヴィクトリアちゃんもこう言っている事ですし、どうかヴィクトリアちゃんをこのままディーノお妃候補として王宮で生活をさせてあげてもらえないかしら?」
「シーディス侯爵、私からも頼む。無事お妃候補の期間が終わったら、シーディス侯爵家は正式に公爵に爵位を上げるつもりだ。領地も今までよりも大きな土地を与える予定でいる。だからどうか頼む」
母上だけでなく、父上までもが必死にシーディス侯爵と夫人に訴えている。さすがのシーディス侯爵もこれ以上は言えないだろう。
「分かりました。ヴィクトリア本人が王宮に残りたいと申しておりますし、私共はこれ以上何も言いません。ヴィクトリア、あまり無理はするなよ。どうかヴィクトリアの事をよろしくお願いします」
シーディス侯爵と夫人がついに折れた様で、僕たちに頭を下げて来たのだ。一時はどうなるかと思ったが、これでヴィクトリアは僕のお妃候補のままでいてくれたぞ。
それにしてもあのヴィクトリアが、まさか自ら王宮に留まる事を選んでくれるだなんて。それが何よりも嬉しい。ヴィクトリアと幸せな日々を送るためにも、何が何でもヴィクトリアを守らないと!
「少し娘と話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
急に侯爵がそんな事をいいだしたのだ。もしかして僕たちのいないところで、ヴィクトリアを説得するつもりか?
「ええ、構いませんわ。それでは私たちは部屋から出ていきましょう。ディーノも行くわよ」
母上が笑顔で返答し、そのまま僕の腕を掴むと、部屋から出された。
「母上、侯爵はきっとヴィクトリアを説得するつもりです。このまま親子だけにしてもいいのですか?」
「心配いらないわ。侯爵や夫人よりもヴィクトリアちゃんの方が一枚も二枚も上手よ。侯爵たちにヴィクトリアちゃんを丸め込めやしないわ。あの子は本当にすごい子だから…」
確かにヴィクトリアはすごい子だ。そういえば母上、ヴィクトリアが王宮に残る事を知っていた様な感じだったな。
「母上はヴィクトリアが王宮に残る事を知っていた様な口ぶりでしたが…」
「ええ、知っていたわ。侯爵たちと話す前に、ヴィクトリアちゃんと話をしたもの」
そうだったのか、だから母上は、ヴィクトリアがここに残る選択をするという事を知っていたのだな。
「ディーノが思っている以上に、ヴィクトリアちゃんはエネルギッシュな子ね。それに知識量が半端ないし。あの子が次期王妃になってくれたら、我が国はもっと発展するでしょう。ただ、ヴィクトリアちゃんが正式にお妃に内定した時、なんて言うかしら?ディーノも大変ね」
母上がクスクスと笑っている。確かにヴィクトリアは、すんなりと僕のお妃にはなってくれないだろう。でも、その点に関してはある程度秘策を準備している。それに意外とヴィクトリアは単純な性格をしているから、上手く丸め込むつもりだ。
それよりも今は、ヴィクトリアの命を狙っているフィドーズ公爵家をなんとかしないと。
※次回、ヴィクトリア視点に戻ります。
よろしくお願いします。
345
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
私が生きていたことは秘密にしてください
月山 歩
恋愛
メイベルは婚約者と妹によって、崖に突き落とされ、公爵家の領地に倒れていた。
見つけてくれた彼は一見優しそうだが、行方不明のまま隠れて生きて行こうとする私に驚くような提案をする。
「少年の世話係になってくれ。けれど人に話したら消す。」
【完結】見返りは、当然求めますわ
楽歩
恋愛
王太子クリストファーが突然告げた言葉に、緊張が走る王太子の私室。
この国では、王太子が10歳の時に婚約者が二人選ばれ、そのうちの一人が正妃に、もう一人が側妃に決められるという時代錯誤の古いしきたりがある。その伝統に従い、10歳の頃から正妃候補として選ばれたエルミーヌとシャルロットは、互いに成長を支え合いながらも、その座を争ってきた。しかしーー
「私の正妃は、アンナに決めたんだ。だから、これからは君たちに側妃の座を争ってほしい」
微笑ながら見つめ合う王太子と子爵令嬢。
正妃が正式に決定される半年を前に、二人の努力が無視されるかのようなその言葉に、驚きと戸惑いが広がる。
※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))
婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね
ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。
失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。
【完結】レイハート公爵夫人の時戻し
風見ゆうみ
恋愛
公爵夫人である母が亡くなったのは、私、ソラリアが二歳になり、妹のソレイユが生まれてすぐのことだ。だから、母の記憶はないに等しい。
そんな母が私宛に残していたものがあった。
青色の押し花付きの白い封筒に入った便箋が三枚。
一枚目には【愛するソラリアへ】三枚目に【母より】それ以外、何も書かれていなかった。
父の死後、女性は爵位を継ぐことができないため、私は公爵代理として、領民のために尽くした。
十九歳になった私は、婚約者に婿入りしてもらい、彼に公爵の爵位を継いでもらった。幸せな日々が続くかと思ったが、彼との子供を授かったとわかった数日後、私は夫と実の妹に殺されてしまう。
けれど、気がついた時には、ちょうど一年前になる初夜の晩に戻っており、空白だったはずの母からの手紙が読めるようになっていた。
殺されたことで羊の形をした使い魔が見えるようになっただけでなく『時戻しの魔法』を使えるようになった私は、爵位を取り返し、妹と夫を家から追い出すことに決める。だが、気弱な夫は「ソラリアを愛している。別れたくない」と泣くばかりで、離婚を認めてくれず――。
私と幼馴染と十年間の婚約者
川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。
それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。
アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。
婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?
【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる