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第9話:ルミタンとの出会い~カルロス視点~
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「カルロス、お前ってやつは!黙って街に出て行っただけでなく、裏路地に行くだなんて。一体何を考えているのだ!騎士団長自らお前の捜索に協力してくださったのだぞ。本当にこのバカ息子が!」
いつも穏やかな父上が珍しく怒っている。それだけの事を俺はしたのだから、仕方がないのだが…
「ごめんなさい、父上。もう二度と屋敷を勝手に出たりはしません。その代わり、騎士団に入団したいです!」
俺も騎士団長の様に、強くて優しい男になりたい。彼の様になるためには、騎士団に入団しないと!そう思ったのだ。
「カルロス、騎士団というのは、この国を守る非常に重要な部隊なんだ。生半可な気持ちでなるものではない」
「俺は生半可な気持なんかじゃない!騎士団長の様に強くて優しくて、人の役に立つような人間になりたいのです。父上、お願いします」
父上に向かって何度も頭を下げた。
「しかし…」
難色を示す父上。母上もなんとも言えない顔をしている。
「カルロス君は、俺みたいになりたいのかい?でも、騎士団の仕事は非常に大変だよ。あまりの辛さに、何十人もの騎士団員たちが、数日で逃げ出していくくらいだ。君はそんな厳しい稽古に耐えられるかい?」
いつの間にか戻って来ていた騎士団長に、話しかけられたのだ。
「もちろんです。俺、毎日が退屈で、それで街に出ていたのです。でも俺にも目標が出来ました。あなたという目標が。だから、どうか騎士団に入団させてください。お願いします」
団長に向かって頭を下げる。
「クラッセル公爵、カルロス君を騎士団に入団させてあげてはいかがでしょうか?彼がこんなに真剣な表情をしているのですし、やらせてみる価値はあるかと」
「…騎士団長様がそうおっしゃるのなら…分かりました。どうか息子の事をよろしくお願いします」
父上が騎士団長に頭を下げたのだ。やった!これで俺も騎士団に入れる。
早速騎士団への入団手続きを済ませ、晴れて俺は騎士団員になった。ただ
「カルロス、その程度でへばっていてどうする!もっとかかってこい」
「待って下さい…少し休憩を…」
「休憩などない!勝手に座り込んだ罰として、今から練習場を50週走って来い!早くしろ!」
恐ろしい様な檄が飛ぶ。
俺が思っていた以上に過酷な現場だ。それも憧れて入ったはずの騎士団長にはほとんど会う事が出来ない。まあ、下っ端の俺に何て構っている余裕は、騎士団長にはないのだろう。
正直辛すぎる。もう辞めたい…
毎日毎日ボロボロになるまで稽古をさせられ、怒鳴られ、完全に心が折れそうになる。今日こそ騎士団を辞めると言おう。でも…まだ入団して間もないのに…
でも、もう無理だ。
そう思い、稽古を付けくれている先輩に
「あの…俺、騎士団を…」
「カルロス、どうしたんだ?まさか騎士団を辞めたいなんていわないよな?それで、どうしたんだ?」
俺が辞めたいと言えない様に、上手く誘導する先輩。何なんだこいつ!
「いいえ…何でもありません」
「そうか、それならいいんだ。無駄口叩いている暇があるなら、もっと練習して早く強くなれよ」
そう言って去っていく先輩。その後も毎日毎日、先輩に厳しく指導される。それがまた辛くて辛くて…
本当に騎士団での日々は憂鬱で、朝になるとお腹が痛くなるくらいだ。
そんな日々が続いたある日の事。
今日も朝からみっちりしごかれ、ぐったりと倒れ込む。クソ、あの男、妖怪か怪物か何かなのか?あれだけ動いたのに、普通に歩いているぞ。そう言えばあいつ、騎士団長の息子だとか言っていたな。
そう、俺に稽古をつけてくれているのは、騎士団長の息子のドリトルなのだ。騎士団長と顔はよく似ているが、毎日恐ろしい顔をして怒鳴りまくっている姿は、まさに鬼でしかない。今も眉間に皺を寄せて、険しい顔をしてこちらを見ている。
そろそろ“そんなところでだらけていないで、シャキッとしろ!”と怒られる頃だ。仕方ない、起き上がるか。そう思っても体が思う様に動かない。すると、こちらに近づいてくるドリトル。ヤバい、怒られる!その時だった。
「お兄様、ここにいたのね。お弁当を持ってきたのよ」
金色の髪に青色の大きな瞳をした女の子が嬉しそうにこちらに走って来る。騎士団に女の子がいるだなんて、珍しいな…
「ルミナス、こんなむさ苦しいところに来てはダメではないか?それも1人で来たのかい?」
今までに見た事がないほど、優しい微笑を浮かべながら、やって来た女の子を受け止めるドリトル。この子、ルミナスというのか。よく見ると、騎士団長に似ているな…
「お母様と来たのよ。お母様はお父様とお話をしているわ。あら?あなたは…」
俺に気が付いた女の子が、ゆっくりとこちらにやって来たのだ。
いつも穏やかな父上が珍しく怒っている。それだけの事を俺はしたのだから、仕方がないのだが…
「ごめんなさい、父上。もう二度と屋敷を勝手に出たりはしません。その代わり、騎士団に入団したいです!」
俺も騎士団長の様に、強くて優しい男になりたい。彼の様になるためには、騎士団に入団しないと!そう思ったのだ。
「カルロス、騎士団というのは、この国を守る非常に重要な部隊なんだ。生半可な気持ちでなるものではない」
「俺は生半可な気持なんかじゃない!騎士団長の様に強くて優しくて、人の役に立つような人間になりたいのです。父上、お願いします」
父上に向かって何度も頭を下げた。
「しかし…」
難色を示す父上。母上もなんとも言えない顔をしている。
「カルロス君は、俺みたいになりたいのかい?でも、騎士団の仕事は非常に大変だよ。あまりの辛さに、何十人もの騎士団員たちが、数日で逃げ出していくくらいだ。君はそんな厳しい稽古に耐えられるかい?」
いつの間にか戻って来ていた騎士団長に、話しかけられたのだ。
「もちろんです。俺、毎日が退屈で、それで街に出ていたのです。でも俺にも目標が出来ました。あなたという目標が。だから、どうか騎士団に入団させてください。お願いします」
団長に向かって頭を下げる。
「クラッセル公爵、カルロス君を騎士団に入団させてあげてはいかがでしょうか?彼がこんなに真剣な表情をしているのですし、やらせてみる価値はあるかと」
「…騎士団長様がそうおっしゃるのなら…分かりました。どうか息子の事をよろしくお願いします」
父上が騎士団長に頭を下げたのだ。やった!これで俺も騎士団に入れる。
早速騎士団への入団手続きを済ませ、晴れて俺は騎士団員になった。ただ
「カルロス、その程度でへばっていてどうする!もっとかかってこい」
「待って下さい…少し休憩を…」
「休憩などない!勝手に座り込んだ罰として、今から練習場を50週走って来い!早くしろ!」
恐ろしい様な檄が飛ぶ。
俺が思っていた以上に過酷な現場だ。それも憧れて入ったはずの騎士団長にはほとんど会う事が出来ない。まあ、下っ端の俺に何て構っている余裕は、騎士団長にはないのだろう。
正直辛すぎる。もう辞めたい…
毎日毎日ボロボロになるまで稽古をさせられ、怒鳴られ、完全に心が折れそうになる。今日こそ騎士団を辞めると言おう。でも…まだ入団して間もないのに…
でも、もう無理だ。
そう思い、稽古を付けくれている先輩に
「あの…俺、騎士団を…」
「カルロス、どうしたんだ?まさか騎士団を辞めたいなんていわないよな?それで、どうしたんだ?」
俺が辞めたいと言えない様に、上手く誘導する先輩。何なんだこいつ!
「いいえ…何でもありません」
「そうか、それならいいんだ。無駄口叩いている暇があるなら、もっと練習して早く強くなれよ」
そう言って去っていく先輩。その後も毎日毎日、先輩に厳しく指導される。それがまた辛くて辛くて…
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そんな日々が続いたある日の事。
今日も朝からみっちりしごかれ、ぐったりと倒れ込む。クソ、あの男、妖怪か怪物か何かなのか?あれだけ動いたのに、普通に歩いているぞ。そう言えばあいつ、騎士団長の息子だとか言っていたな。
そう、俺に稽古をつけてくれているのは、騎士団長の息子のドリトルなのだ。騎士団長と顔はよく似ているが、毎日恐ろしい顔をして怒鳴りまくっている姿は、まさに鬼でしかない。今も眉間に皺を寄せて、険しい顔をしてこちらを見ている。
そろそろ“そんなところでだらけていないで、シャキッとしろ!”と怒られる頃だ。仕方ない、起き上がるか。そう思っても体が思う様に動かない。すると、こちらに近づいてくるドリトル。ヤバい、怒られる!その時だった。
「お兄様、ここにいたのね。お弁当を持ってきたのよ」
金色の髪に青色の大きな瞳をした女の子が嬉しそうにこちらに走って来る。騎士団に女の子がいるだなんて、珍しいな…
「ルミナス、こんなむさ苦しいところに来てはダメではないか?それも1人で来たのかい?」
今までに見た事がないほど、優しい微笑を浮かべながら、やって来た女の子を受け止めるドリトル。この子、ルミナスというのか。よく見ると、騎士団長に似ているな…
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俺に気が付いた女の子が、ゆっくりとこちらにやって来たのだ。
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