23 / 66
第23話:早く何とかしないと~カルロス視点~
しおりを挟む
「父上、一体どういう事ですか?今日学院に、アナリス殿下が編入してきたのですよ。彼女はもう二度と俺には接触させないと、陛下に約束させたはずでしょう。それなのに、どうして!」
学院から帰ると、父上に詰め寄った。まさかあの女が再び俺の前に現れるだなんて。それもあろう事か、ルミタンを傷つけようとしたのだ。許せる理由がない!
「落ち着きなさい、カルロス。実は先日陛下からアナリス殿下の帰国の話を聞いたんだよ。お前とルミナス嬢の婚約をどこからともなく聞きつけた様でね。もちろん、陛下も王妃殿下も帰国を阻止しようと頑張ったみたいなのだが、強行突破で帰って来たらしい。それに他国からも、小さいながらトラブルを起こしていたらしくてね。まあ、色々と困った姫様だ」
何が困った姫様だ!だよ。ふざけないでくれ。
「今日俺にベッタリだったんだ。その上、ルミタンに怪我をさせて!あの女は何をしでかすか分からないから、あの女の事が片付くまでは、俺も極力ルミタンと距離を置く事にしました。俺がルミタンの傍にいれば、直接危害を加えてくるだろうから。とにかく今すぐ侯爵家に連絡を入れて、ルミタンの護衛を徹底させましょう」
「その件なのだが、さすがドリトル殿だ。既にドリトル殿の方から、明日にでも会いたいと連絡が来ている。どうやらドリトル殿の耳にもアナリス殿下の件は入っている様で、侯爵家でも厳重警戒で行きますとの事だ」
さすがドリトル、未だに騎士団員たちと繋がっている事もあって、人脈も広い。きっとあの事件の事も、既に耳に入っているのだろう。あいつがルミタンの兄で助かった。
「分かりました。それでしたら俺も明日、貴族学院を休んで話し合いに参加します。ルミタンには我が家の護衛も付けましょう。とにかく馬車での移動が心配だ。厳重警戒で行かないと!陛下にも強く抗議をしないと!」
「そうだな、侯爵との話し合いは午後からだから、午前中は一緒に登城して、陛下に抗議をしよう。カルロスも言いたい事は山ほどあるだろう。それにしてもアナリス殿下には困ったものだね…」
困ったどころではない。俺はあの女の顔を見ると、虫唾が走るほどイライラするんだ。あの女は昔からそうだった。俺が稽古で叱責を受けていると
“カルロス様に暴言を吐くとは何事なのですか?カルロス様をもっと丁寧に扱いなさい”
と叫んだり、他の騎士団に文句を言ったりとやりたい放題。騎士団を出入り禁止になっても、王女という身分を振りかざし、無視して入って来るし…
今日もまた、やりたい放題だったな…
騎士団員以外の入場禁止場所に勝手に入ったり、別の騎士団員に文句を言ったり。騎士団長が相当お怒りだったから、今頃王宮に苦情が言っているだろうが…
なんだか今日はどっと疲れた。急いで10代目ルミタンぬいぐるみを取り出す。最近は寝るとき以外取り出していなかったな。今日は昼からずっとルミタンに会っていない。今から会いに行きたいが、さすがに今からは迷惑だろう。それにどうやらあの女、俺にスパイを付けている様で、逐一行動を監視させているし。
本来スパイというものは相手に気づかれない様に付けるものだ。というよりも、次期騎士団長の俺にスパイなんて付けても、すぐに見破られる事くらいわからないのか?もちろん、明日このスパイの件も陛下に厳しく抗議しないと。
明日の朝一にでも、スパイたちをとっ捕まえて、陛下に突き出してやらないとな。さすがに我が家の中までは入れない様で、外で暇そうにしてやがる。あいつら、仕事する気があるのか?まあいい。
俺は通信機を取り出した。もちろん、愛しのルミタンの声を聞くためだ。通信機のボタンを押すと
“カルロス様ですか?”
思った以上に早く出てくれたぞ。もしかして、ルミタンも俺からの通信を待っていたのか?そんな事を考えてしまう。
「あぁ、愛しのルミタン。寂しい思いをさせてしまってごめんね。今すぐにでもルミタンの元に行って、抱きしめたいよ」
ルミタンの声を聞いたら、一気に感情が溢れ出す。
“落ち着いて下さい、カルロス様。それよりも、アナリス殿下の件は大丈夫だったのですか?”
「ああ…ルミタンにもいらぬ心配をさせてしまってごめんね。明日学院を休んで、朝一で陛下に抗議に行ってくるよ。午後には君の兄上が来てくれるみたいだし。ドリトル殿には、色々と迷惑を掛けて本当にすまないと思っているよ」
“そうなのですね、分かりましたわ。陛下への抗議でアナリス殿下が落ち着いて下さるといいのですが…兄の事は気にしないで下さい。どうかカルロス様も、十分お気を付けください。その…アナリス殿下の事…”
「ルミタンが俺の事を心配してくれるなんて嬉しいよ。俺は大丈夫だ。ただ…ルミタンに会えなくて寂しくて死にそうだけれどね。とにかく、あまり長引かせない様に、さっさとケリをつけるから待っていてね。愛しているよ、ルミタン」
“もう、また私をからかって。元気そうでよかったですわ。それでは、失礼します”
そう言うと通信が切れてしまった。ルミタンは相変わらず照れ屋だな。よし、ルミタンの声を聞けたし、明日はしっかり抗議をしないと!
学院から帰ると、父上に詰め寄った。まさかあの女が再び俺の前に現れるだなんて。それもあろう事か、ルミタンを傷つけようとしたのだ。許せる理由がない!
「落ち着きなさい、カルロス。実は先日陛下からアナリス殿下の帰国の話を聞いたんだよ。お前とルミナス嬢の婚約をどこからともなく聞きつけた様でね。もちろん、陛下も王妃殿下も帰国を阻止しようと頑張ったみたいなのだが、強行突破で帰って来たらしい。それに他国からも、小さいながらトラブルを起こしていたらしくてね。まあ、色々と困った姫様だ」
何が困った姫様だ!だよ。ふざけないでくれ。
「今日俺にベッタリだったんだ。その上、ルミタンに怪我をさせて!あの女は何をしでかすか分からないから、あの女の事が片付くまでは、俺も極力ルミタンと距離を置く事にしました。俺がルミタンの傍にいれば、直接危害を加えてくるだろうから。とにかく今すぐ侯爵家に連絡を入れて、ルミタンの護衛を徹底させましょう」
「その件なのだが、さすがドリトル殿だ。既にドリトル殿の方から、明日にでも会いたいと連絡が来ている。どうやらドリトル殿の耳にもアナリス殿下の件は入っている様で、侯爵家でも厳重警戒で行きますとの事だ」
さすがドリトル、未だに騎士団員たちと繋がっている事もあって、人脈も広い。きっとあの事件の事も、既に耳に入っているのだろう。あいつがルミタンの兄で助かった。
「分かりました。それでしたら俺も明日、貴族学院を休んで話し合いに参加します。ルミタンには我が家の護衛も付けましょう。とにかく馬車での移動が心配だ。厳重警戒で行かないと!陛下にも強く抗議をしないと!」
「そうだな、侯爵との話し合いは午後からだから、午前中は一緒に登城して、陛下に抗議をしよう。カルロスも言いたい事は山ほどあるだろう。それにしてもアナリス殿下には困ったものだね…」
困ったどころではない。俺はあの女の顔を見ると、虫唾が走るほどイライラするんだ。あの女は昔からそうだった。俺が稽古で叱責を受けていると
“カルロス様に暴言を吐くとは何事なのですか?カルロス様をもっと丁寧に扱いなさい”
と叫んだり、他の騎士団に文句を言ったりとやりたい放題。騎士団を出入り禁止になっても、王女という身分を振りかざし、無視して入って来るし…
今日もまた、やりたい放題だったな…
騎士団員以外の入場禁止場所に勝手に入ったり、別の騎士団員に文句を言ったり。騎士団長が相当お怒りだったから、今頃王宮に苦情が言っているだろうが…
なんだか今日はどっと疲れた。急いで10代目ルミタンぬいぐるみを取り出す。最近は寝るとき以外取り出していなかったな。今日は昼からずっとルミタンに会っていない。今から会いに行きたいが、さすがに今からは迷惑だろう。それにどうやらあの女、俺にスパイを付けている様で、逐一行動を監視させているし。
本来スパイというものは相手に気づかれない様に付けるものだ。というよりも、次期騎士団長の俺にスパイなんて付けても、すぐに見破られる事くらいわからないのか?もちろん、明日このスパイの件も陛下に厳しく抗議しないと。
明日の朝一にでも、スパイたちをとっ捕まえて、陛下に突き出してやらないとな。さすがに我が家の中までは入れない様で、外で暇そうにしてやがる。あいつら、仕事する気があるのか?まあいい。
俺は通信機を取り出した。もちろん、愛しのルミタンの声を聞くためだ。通信機のボタンを押すと
“カルロス様ですか?”
思った以上に早く出てくれたぞ。もしかして、ルミタンも俺からの通信を待っていたのか?そんな事を考えてしまう。
「あぁ、愛しのルミタン。寂しい思いをさせてしまってごめんね。今すぐにでもルミタンの元に行って、抱きしめたいよ」
ルミタンの声を聞いたら、一気に感情が溢れ出す。
“落ち着いて下さい、カルロス様。それよりも、アナリス殿下の件は大丈夫だったのですか?”
「ああ…ルミタンにもいらぬ心配をさせてしまってごめんね。明日学院を休んで、朝一で陛下に抗議に行ってくるよ。午後には君の兄上が来てくれるみたいだし。ドリトル殿には、色々と迷惑を掛けて本当にすまないと思っているよ」
“そうなのですね、分かりましたわ。陛下への抗議でアナリス殿下が落ち着いて下さるといいのですが…兄の事は気にしないで下さい。どうかカルロス様も、十分お気を付けください。その…アナリス殿下の事…”
「ルミタンが俺の事を心配してくれるなんて嬉しいよ。俺は大丈夫だ。ただ…ルミタンに会えなくて寂しくて死にそうだけれどね。とにかく、あまり長引かせない様に、さっさとケリをつけるから待っていてね。愛しているよ、ルミタン」
“もう、また私をからかって。元気そうでよかったですわ。それでは、失礼します”
そう言うと通信が切れてしまった。ルミタンは相変わらず照れ屋だな。よし、ルミタンの声を聞けたし、明日はしっかり抗議をしないと!
66
あなたにおすすめの小説
【完結】公爵家の妾腹の子ですが、義母となった公爵夫人が優しすぎます!
ましゅぺちーの
恋愛
リデルはヴォルシュタイン王国の名門貴族ベルクォーツ公爵の血を引いている。
しかし彼女は正妻の子ではなく愛人の子だった。
父は自分に無関心で母は父の寵愛を失ったことで荒れていた。
そんな中、母が亡くなりリデルは父公爵に引き取られ本邸へと行くことになる
そこで出会ったのが父公爵の正妻であり、義母となった公爵夫人シルフィーラだった。
彼女は愛人の子だというのにリデルを冷遇することなく、母の愛というものを教えてくれた。
リデルは虐げられているシルフィーラを守り抜き、幸せにすることを決意する。
しかし本邸にはリデルの他にも父公爵の愛人の子がいて――?
「愛するお義母様を幸せにします!」
愛する義母を守るために奮闘するリデル。そうしているうちに腹違いの兄弟たちの、公爵の愛人だった実母の、そして父公爵の知られざる秘密が次々と明らかになって――!?
ヒロインが愛する義母のために強く逞しい女となり、結果的には皆に愛されるようになる物語です!
完結まで執筆済みです!
小説家になろう様にも投稿しています。
愛人の子を寵愛する旦那様へ、多分その子貴方の子どもじゃありません。
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵家の令嬢だったシアには結婚して七年目になる夫がいる。
夫との間には娘が一人おり、傍から見れば幸せな家庭のように思えた。
が、しかし。
実際には彼女の夫である公爵は元メイドである愛人宅から帰らずシアを蔑ろにしていた。
彼女が頼れるのは実家と公爵邸にいる優しい使用人たちだけ。
ずっと耐えてきたシアだったが、ある日夫に娘の悪口を言われたことでとうとう堪忍袋の緒が切れて……!
ついに虐げられたお飾りの妻による復讐が始まる――
夫に報復をするために動く最中、愛人のまさかの事実が次々と判明して…!?
愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の伯爵令嬢だったエミリアは長年の想い人である公爵令息オリバーと結婚した。
しかし、夫となったオリバーとの仲は冷え切っていた。
オリバーはエミリアを愛していない。
それでもエミリアは一途に夫を想い続けた。
子供も出来ないまま十年の年月が過ぎ、エミリアはオリバーにもう一つの家庭が存在していることを知ってしまう。
それをきっかけとして、エミリアはついにオリバーとの離婚を決意する。
オリバーと離婚したエミリアは第二の人生を歩み始める。
一方、最愛の愛人とその子供を公爵家に迎え入れたオリバーは後悔に苛まれていた……。
愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。
悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい
廻り
恋愛
第18回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました。応援してくださりありがとうございました!
王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。
ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。
『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。
ならばと、シャルロットは別居を始める。
『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。
夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。
それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
愛する夫が目の前で別の女性と恋に落ちました。
ましゅぺちーの
恋愛
伯爵令嬢のアンジェは公爵家の嫡男であるアランに嫁いだ。
子はなかなかできなかったが、それでも仲の良い夫婦だった。
――彼女が現れるまでは。
二人が結婚して五年を迎えた記念パーティーでアランは若く美しい令嬢と恋に落ちてしまう。
それからアランは変わり、何かと彼女のことを優先するようになり……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる