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第28話:王太子殿下の帰りを待つしかありません
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「ルミナス、大丈夫?あなたが露骨に落ち込むなんて珍しいわね」
「ルミナス、しっかりして。さあ、私たちも教室に向かいましょう」
気が付くといつの間にか私の周りに、友人たちが集まって来てくれていた。そして、彼女たちに連れられ、教室へと向かう。
「それで一体何があったの?退学がどうのこうのってアナリス殿下が言っていたけれど」
「実は昨日、カルロス様たちと王族の方々が話し合った様なの。すっかりお怒りになった王太子殿下が、アナリス殿下を隣国の王太子殿下の元に嫁がせる事。さらに学院を退学させ、二度とカルロス様に近づかせない事を約束してくださったのだけれど…」
「なるほど、その約束が無下にされ、このありさまなのね」
「お兄様がね、王太子殿下は近いうちに隣国の王太子殿下と話をするため、国を出る。だから、油断は出来ない!って言っていたの。アナリス殿下の話だと、今朝王太子殿下はこの国を出られたみたいで…でもまさか、学院に普通に通っていらっしゃるだなんて」
お兄様が、陛下や王妃様はあまりあてにならないと言っていたけれど、ここまであてにならないだなんて…
「要するに、唯一アナリス殿下を止められる王太子殿下が帰っていらっしゃるまで、アナリス殿下はやりたい放題という訳ね…ルミナス、それで王太子殿下は、いつ帰っていらっしゃるの?」
「それは私にも分からないわ…」
はぁ~っと、ついため息が出てしまう。
「そんなに落ち込まないでよ、ルミナス。王太子殿下さえ帰ってこれば、アナリス殿下は隣国に嫁ぐのでしょう?それまでの辛抱じゃない。それにあなた、別にカルロス様と一緒にいなくても平気なのでしょう?」
「も…もちろん平気よ。そうよね、王太子殿下が帰っていらっしゃるまでの辛抱よね」
そう、私は決してカルロス様と会えない事が、寂しい訳ではない。アナリス殿下に絡まれるのが、面倒なだけだ。
「ルミナス、顔が引きつっているわよ。意地悪な事を言ってごめんなさい。私達はカルロス様の様にあそこまで愛情を注ぐことは出来ないけれど、カルロス様がいない間はルミナスが寂しくない様に傍にいるからね」
そう言って私の手を握ってくれる友人たち。
「だから私は、別にカルロス様が傍にいなくて寂しいとかじゃないから」
「はいはい、分かったわよ。とにかく、ルミナスは私達が守るから、安心して頂戴」
なぜか張り切る友人達。私の事を心配してくれ、守ろうとしてくれることは有難い。ただ…私が寂しがっていると思われていることが、どうしてもふに落ちないのだ。私は決して、寂しくなんてない…はずなのだ。
でも…
なぜだろう。なんだか心に穴がぽっかり空いたような、そんな空しさを感じるのは…
なんだかモヤモヤした気持ちのまま、お昼休みになった。
「ルミナス、今日は天気がいいから、テラスで食べましょう」
友人たちに連れられ、テラスへとやって来た。すると
「カルロス様、はい、あ~んして下さい」
「いい加減にしてください。俺には最愛の婚約者、ルミタンがいるのです!そもそも、今は騎士団のメンバーと食事をしているのです。それを無理やり割って入ってくるだなんて」
テラスにはカルロス様とアナリス殿下がいたのだ。2人の姿を見た瞬間、なぜか胸がチクリと痛んだ。
「ルミナス、やっぱり教室で食べましょう」
「そうね、それがいいわ。行きましょう、ルミナス」
私に気を使ってくれた友人たちが、クルリと反対方向を向かせた。でも…なぜだろう、2人から目が離せない。確かにカルロス様は、アナリス殿下に文句を言っている。でも、あれほどまでに愛情を与えられ続けていたら、いつかカルロス様の心もアナリス殿下に向くのではないか…
なぜかそんな事を考えてしまう。よく考えたら、多少強引ではあるが美しくてこの国の第三王女でもあるアナリス殿下と、公爵令息でもあるカルロス様、よくお似合いだ。
現に周りからも
「アナリス殿下とカルロス様、ああやって一緒にいらっしゃると、本当に絵になるわね」
「美男美女ですもの。もしかすると、もしかするかもよ」
そんな話が出ている。
「ルミナス、しっかりして。カルロス様の婚約者はあなたでしょう。そんな悲しそうな顔をしないで。大丈夫よ、カルロス様はあなたの事が大好きなのだから」
そう言って慰めてくれる。
「ありがとう、私は平気よ。元々好きで婚約した訳ではないし。もしカルロス様がアナリス殿下と婚約したいとおっしゃるなら、それはそれで仕方がないと思っているし」
そうだ、私は元々彼の事が好きだった訳ではないし、あれよあれよという間に婚約したのだ。だから私は、別に婚約破棄になっても…大丈夫…
「ルミナス、しっかりして。さあ、私たちも教室に向かいましょう」
気が付くといつの間にか私の周りに、友人たちが集まって来てくれていた。そして、彼女たちに連れられ、教室へと向かう。
「それで一体何があったの?退学がどうのこうのってアナリス殿下が言っていたけれど」
「実は昨日、カルロス様たちと王族の方々が話し合った様なの。すっかりお怒りになった王太子殿下が、アナリス殿下を隣国の王太子殿下の元に嫁がせる事。さらに学院を退学させ、二度とカルロス様に近づかせない事を約束してくださったのだけれど…」
「なるほど、その約束が無下にされ、このありさまなのね」
「お兄様がね、王太子殿下は近いうちに隣国の王太子殿下と話をするため、国を出る。だから、油断は出来ない!って言っていたの。アナリス殿下の話だと、今朝王太子殿下はこの国を出られたみたいで…でもまさか、学院に普通に通っていらっしゃるだなんて」
お兄様が、陛下や王妃様はあまりあてにならないと言っていたけれど、ここまであてにならないだなんて…
「要するに、唯一アナリス殿下を止められる王太子殿下が帰っていらっしゃるまで、アナリス殿下はやりたい放題という訳ね…ルミナス、それで王太子殿下は、いつ帰っていらっしゃるの?」
「それは私にも分からないわ…」
はぁ~っと、ついため息が出てしまう。
「そんなに落ち込まないでよ、ルミナス。王太子殿下さえ帰ってこれば、アナリス殿下は隣国に嫁ぐのでしょう?それまでの辛抱じゃない。それにあなた、別にカルロス様と一緒にいなくても平気なのでしょう?」
「も…もちろん平気よ。そうよね、王太子殿下が帰っていらっしゃるまでの辛抱よね」
そう、私は決してカルロス様と会えない事が、寂しい訳ではない。アナリス殿下に絡まれるのが、面倒なだけだ。
「ルミナス、顔が引きつっているわよ。意地悪な事を言ってごめんなさい。私達はカルロス様の様にあそこまで愛情を注ぐことは出来ないけれど、カルロス様がいない間はルミナスが寂しくない様に傍にいるからね」
そう言って私の手を握ってくれる友人たち。
「だから私は、別にカルロス様が傍にいなくて寂しいとかじゃないから」
「はいはい、分かったわよ。とにかく、ルミナスは私達が守るから、安心して頂戴」
なぜか張り切る友人達。私の事を心配してくれ、守ろうとしてくれることは有難い。ただ…私が寂しがっていると思われていることが、どうしてもふに落ちないのだ。私は決して、寂しくなんてない…はずなのだ。
でも…
なぜだろう。なんだか心に穴がぽっかり空いたような、そんな空しさを感じるのは…
なんだかモヤモヤした気持ちのまま、お昼休みになった。
「ルミナス、今日は天気がいいから、テラスで食べましょう」
友人たちに連れられ、テラスへとやって来た。すると
「カルロス様、はい、あ~んして下さい」
「いい加減にしてください。俺には最愛の婚約者、ルミタンがいるのです!そもそも、今は騎士団のメンバーと食事をしているのです。それを無理やり割って入ってくるだなんて」
テラスにはカルロス様とアナリス殿下がいたのだ。2人の姿を見た瞬間、なぜか胸がチクリと痛んだ。
「ルミナス、やっぱり教室で食べましょう」
「そうね、それがいいわ。行きましょう、ルミナス」
私に気を使ってくれた友人たちが、クルリと反対方向を向かせた。でも…なぜだろう、2人から目が離せない。確かにカルロス様は、アナリス殿下に文句を言っている。でも、あれほどまでに愛情を与えられ続けていたら、いつかカルロス様の心もアナリス殿下に向くのではないか…
なぜかそんな事を考えてしまう。よく考えたら、多少強引ではあるが美しくてこの国の第三王女でもあるアナリス殿下と、公爵令息でもあるカルロス様、よくお似合いだ。
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そう言って慰めてくれる。
「ありがとう、私は平気よ。元々好きで婚約した訳ではないし。もしカルロス様がアナリス殿下と婚約したいとおっしゃるなら、それはそれで仕方がないと思っているし」
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