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第65話:今後について
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カルロス様と一緒に王都に戻って来てから早1ヶ月。お兄様も1週間程度現場で作業を行い、無事帰って来た。ただ、まだまだ復旧までには莫大な時間が掛かるとの事。前回に比べ討伐が長引いてしまったため、ほぼ街が壊滅させられてしまったらしい。
今順番に騎士団員が、現地に向かって復興作業を行っているとの事。
「ルミタン、浮かない顔をしてどうしたのだい?ルミタンの好きなお菓子があるよ。さあ、食べて」
私が考え事をしていたせいか、カルロス様が話しかけて来た。まだ完全に怪我が治っていないカルロス様は、自宅で療養中だ。ちょうど貴族学院から帰って来て、カルロス様の様子を見に来ていたところなのだ。
「何でもありませんわ。カルロス様、来月の卒業式は出られそうですか?」
そう、来月には貴族学院の卒業式が迫っているのだ。
「ああ、出られるよ。怪我も順調に治ってきている様だし。それに半年後には俺とルミタンの結婚式もあるしね。いつまでも寝てはいられない」
私たちは卒業したら、半年後に結婚式を挙げる事になっている。本当は卒業式の翌月に予定していたのだが、魔物討伐などがあったため、半年遅らせたのだ。それでも結婚式の準備は順調で、すでに公爵家の敷地内に、私たちの新居も建ててもらっている。
「お坊ちゃま、ルミナス様、カリオスティーノ侯爵と元夫人がいらしております」
「えっ?お兄様とお母様が?」
一体何しに来たのかしら?
「分かったよ、ありがとう。ルミタン、俺が2人を呼んだんだ。今後の話をするためにね。さあ、行こうか」
今後の話とは、一体どういう事だろう。よくわからないが、カルロス様と一緒に居間へと向かった。
居間にはお兄様とお母様、さらにカルロス様のご両親も待っていた。私とカルロス様も並んで座る。
「皆様、今日は来ていただいてありがとうございます。実は俺、騎士団を辞めようと思っていて…」
えっ…騎士団を辞める?一体どういう事?
「カルロス殿、騎士団を辞めるとは、一体どういう事なのですか?あなた様は、騎士団長就任が決まっているではありませんか?」
「そうですわ。カルロス様はずっと騎士団長に憧れて来たのでしょう。それなのに、どうして…」
お兄様もお母様もあり得ないと言った表情で、カルロス様を見つめている。ただ、公爵様と夫人は既に話を聞いていたのか、何も言わない。
「俺は元騎士団長に憧れて騎士団に入りました。元騎士団長の様に、沢山の人を助けたい、今もその気持ちに変わりはありません。でも…」
そう言うと私の方を見つめるカルロス様。
「俺は最愛のルミタンを悲しませてしまった。父上から聞いたよ、俺の為に、ほとんど休憩もせずに現地に来てくれたり、病室でずっと看病をしてくれたのだってね。君は侯爵令嬢で、本来であればそんな過酷な事とは無縁だったはずだ。それなのに、俺と婚約したばかりに、要らぬ苦労を掛けてしまった。それにまたいつ不届き者が現れ、魔物を刺激するか分からない。俺が騎士団にいる限り、魔物討伐は避けられない任務なのだから…」
「カルロス様…」
「だからこそ、騎士団を辞め、これからはルミタンとの未来を歩んでいこうと決めたんだ。俺は騎士団長になる事よりも、ルミタンの方が大切だからね。ルミタン、気が付くのが遅くなってすまなかった。これからはもう、君を不安にさせる事も悲しませることもないから」
そう言って少し悲しそうに笑ったカルロス様。
「カルロス殿、本当にそれでいいのですか?騎士団長になる事を目標に、それこそ血の滲む様な努力を重ねてきたのでしょう?俺はあなたが誰よりも努力してきたことを知っている。だからこそ、夢半ばで諦めて欲しくないんだ!」
お兄様が必死にカルロス様に訴えている。
「ドリトル先輩…申し訳ございません、あなた様に託された夢を、叶えることはできません。本当にすみませんでした」
カルロス様がお兄様に頭を下げた。
「カルロス様…あの…私が言うのも何ですが、どうか騎士団を続けて下さい。私、今回の件で改めて分かったのです。騎士団員の方がいて下さるから、民たちはもちろん、私たちも王都で平和に暮らせるのだと。それから魔物の件ですが、東の森に人が入れない様に、完全に東の森のある街を封鎖してしまってはいかがでしょうか?」
「街を封鎖するとは?」
「私は今回、初めて現地に行って思ったのです。あれほどまでに沢山の被害を出してしまう魔物たちを刺激しないためにも、今回壊滅状態になった街自体を、騎士団が管理するのです。騎士団が街自体を管理し、街には一般市民が入れない様にすれば、東の森に近づく者もいなくなるかと…」
毎回被害を受けている街は、東の森を囲む様な形状をした街だ。その街自体を封鎖して騎士団が管理すれば、誰も森に近づけないのではないかと考えたのだ。森に近づかなければ、魔物を刺激する事もない。
「街自体を封鎖するか…ルミナス嬢は面白い事を考えるね。でも、確かにそうすれば、森に近づく不審な者たちもいなくなるな…ただ街を封鎖すると簡単に言うが、どうやって封鎖するのだい?」
「そうですね…大変ですが、厚い壁で覆ってしまうとかですかね」
「厚い壁で覆うか…ルミナス、街全体に壁を作るだなんて、それこそ気が遠くなる作業だ。さすがにそれは出来ないだろう」
「いいや、侯爵。今の街の壊滅状態を考えれば、復旧させるよりも、もう囲って人が住めない様にした方がいいかもしれない。あの街に住んでいた民たちには、移住費用を支払って別の街に移住してもらおう。とにかく、魔物に近づく不届き物を排除する仕組みを作らないと、いつまでたっても命がけで魔物を討伐し続けないといけない!今回は特に被害が大きかったんだ。この際思い切った事をした方がいいかもしれない。一度陛下に相談してみよう」
「分かりました。確かにルミナスが言っていた事が実現できれば、魔物たちが襲ってくるリスクもぐんと減るでしょう。向こうはこちらが手を出さなければ、襲ってこないのだから…カルロス殿、これから大変になりそうだ。次期騎士団長として、力を貸してくれるかい?」
お兄様がカルロス様に問いかける。
「カルロス様、どうかもう、魔物自体が襲ってこない、平和な国を作ってください。次期騎士団長として。どうかお願いします」
カルロス様に向かって私も頭を下げた。
「ルミタン、本当にそれでいいのかい?」
「ええ、もちろんですわ」
「ありがとう、それじゃあ、早速騎士団内でも話をしてみるよ。父上と侯爵は、陛下に話しをして下さい」
どうやらカルロス様は騎士団を続けてくれる様だ。それにこれからは、魔物が襲ってこない国づくりも始まりそうだし。なんだか未来が楽しみになって来た。
※次回最終話です。
よろしくお願いします。
今順番に騎士団員が、現地に向かって復興作業を行っているとの事。
「ルミタン、浮かない顔をしてどうしたのだい?ルミタンの好きなお菓子があるよ。さあ、食べて」
私が考え事をしていたせいか、カルロス様が話しかけて来た。まだ完全に怪我が治っていないカルロス様は、自宅で療養中だ。ちょうど貴族学院から帰って来て、カルロス様の様子を見に来ていたところなのだ。
「何でもありませんわ。カルロス様、来月の卒業式は出られそうですか?」
そう、来月には貴族学院の卒業式が迫っているのだ。
「ああ、出られるよ。怪我も順調に治ってきている様だし。それに半年後には俺とルミタンの結婚式もあるしね。いつまでも寝てはいられない」
私たちは卒業したら、半年後に結婚式を挙げる事になっている。本当は卒業式の翌月に予定していたのだが、魔物討伐などがあったため、半年遅らせたのだ。それでも結婚式の準備は順調で、すでに公爵家の敷地内に、私たちの新居も建ててもらっている。
「お坊ちゃま、ルミナス様、カリオスティーノ侯爵と元夫人がいらしております」
「えっ?お兄様とお母様が?」
一体何しに来たのかしら?
「分かったよ、ありがとう。ルミタン、俺が2人を呼んだんだ。今後の話をするためにね。さあ、行こうか」
今後の話とは、一体どういう事だろう。よくわからないが、カルロス様と一緒に居間へと向かった。
居間にはお兄様とお母様、さらにカルロス様のご両親も待っていた。私とカルロス様も並んで座る。
「皆様、今日は来ていただいてありがとうございます。実は俺、騎士団を辞めようと思っていて…」
えっ…騎士団を辞める?一体どういう事?
「カルロス殿、騎士団を辞めるとは、一体どういう事なのですか?あなた様は、騎士団長就任が決まっているではありませんか?」
「そうですわ。カルロス様はずっと騎士団長に憧れて来たのでしょう。それなのに、どうして…」
お兄様もお母様もあり得ないと言った表情で、カルロス様を見つめている。ただ、公爵様と夫人は既に話を聞いていたのか、何も言わない。
「俺は元騎士団長に憧れて騎士団に入りました。元騎士団長の様に、沢山の人を助けたい、今もその気持ちに変わりはありません。でも…」
そう言うと私の方を見つめるカルロス様。
「俺は最愛のルミタンを悲しませてしまった。父上から聞いたよ、俺の為に、ほとんど休憩もせずに現地に来てくれたり、病室でずっと看病をしてくれたのだってね。君は侯爵令嬢で、本来であればそんな過酷な事とは無縁だったはずだ。それなのに、俺と婚約したばかりに、要らぬ苦労を掛けてしまった。それにまたいつ不届き者が現れ、魔物を刺激するか分からない。俺が騎士団にいる限り、魔物討伐は避けられない任務なのだから…」
「カルロス様…」
「だからこそ、騎士団を辞め、これからはルミタンとの未来を歩んでいこうと決めたんだ。俺は騎士団長になる事よりも、ルミタンの方が大切だからね。ルミタン、気が付くのが遅くなってすまなかった。これからはもう、君を不安にさせる事も悲しませることもないから」
そう言って少し悲しそうに笑ったカルロス様。
「カルロス殿、本当にそれでいいのですか?騎士団長になる事を目標に、それこそ血の滲む様な努力を重ねてきたのでしょう?俺はあなたが誰よりも努力してきたことを知っている。だからこそ、夢半ばで諦めて欲しくないんだ!」
お兄様が必死にカルロス様に訴えている。
「ドリトル先輩…申し訳ございません、あなた様に託された夢を、叶えることはできません。本当にすみませんでした」
カルロス様がお兄様に頭を下げた。
「カルロス様…あの…私が言うのも何ですが、どうか騎士団を続けて下さい。私、今回の件で改めて分かったのです。騎士団員の方がいて下さるから、民たちはもちろん、私たちも王都で平和に暮らせるのだと。それから魔物の件ですが、東の森に人が入れない様に、完全に東の森のある街を封鎖してしまってはいかがでしょうか?」
「街を封鎖するとは?」
「私は今回、初めて現地に行って思ったのです。あれほどまでに沢山の被害を出してしまう魔物たちを刺激しないためにも、今回壊滅状態になった街自体を、騎士団が管理するのです。騎士団が街自体を管理し、街には一般市民が入れない様にすれば、東の森に近づく者もいなくなるかと…」
毎回被害を受けている街は、東の森を囲む様な形状をした街だ。その街自体を封鎖して騎士団が管理すれば、誰も森に近づけないのではないかと考えたのだ。森に近づかなければ、魔物を刺激する事もない。
「街自体を封鎖するか…ルミナス嬢は面白い事を考えるね。でも、確かにそうすれば、森に近づく不審な者たちもいなくなるな…ただ街を封鎖すると簡単に言うが、どうやって封鎖するのだい?」
「そうですね…大変ですが、厚い壁で覆ってしまうとかですかね」
「厚い壁で覆うか…ルミナス、街全体に壁を作るだなんて、それこそ気が遠くなる作業だ。さすがにそれは出来ないだろう」
「いいや、侯爵。今の街の壊滅状態を考えれば、復旧させるよりも、もう囲って人が住めない様にした方がいいかもしれない。あの街に住んでいた民たちには、移住費用を支払って別の街に移住してもらおう。とにかく、魔物に近づく不届き物を排除する仕組みを作らないと、いつまでたっても命がけで魔物を討伐し続けないといけない!今回は特に被害が大きかったんだ。この際思い切った事をした方がいいかもしれない。一度陛下に相談してみよう」
「分かりました。確かにルミナスが言っていた事が実現できれば、魔物たちが襲ってくるリスクもぐんと減るでしょう。向こうはこちらが手を出さなければ、襲ってこないのだから…カルロス殿、これから大変になりそうだ。次期騎士団長として、力を貸してくれるかい?」
お兄様がカルロス様に問いかける。
「カルロス様、どうかもう、魔物自体が襲ってこない、平和な国を作ってください。次期騎士団長として。どうかお願いします」
カルロス様に向かって私も頭を下げた。
「ルミタン、本当にそれでいいのかい?」
「ええ、もちろんですわ」
「ありがとう、それじゃあ、早速騎士団内でも話をしてみるよ。父上と侯爵は、陛下に話しをして下さい」
どうやらカルロス様は騎士団を続けてくれる様だ。それにこれからは、魔物が襲ってこない国づくりも始まりそうだし。なんだか未来が楽しみになって来た。
※次回最終話です。
よろしくお願いします。
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