6 / 27
第6話:中々うまく進まないものです
しおりを挟む
平民の暮らしを間近に見られたことで、グンとこの国から出て行く計画が進んだ様な気がして、なんだか嬉しかった。でもそれと同時に、リアム様とのお別れの時間が迫っていると思うと、胸がチクリと痛む。
私ったら本当に弱いわ。いずれ追い出される身。それならリアム様の名誉の為にも、自分から出て行くと決めたのに。複雑な感情を抱いたまま、王宮へと戻って来た。馬車から降りると
「レティシア、一体どこに行っていたんだ!物凄く心配したんだよ」
物凄い勢いでリアム様に抱きしめられた。なるほど、優しいリアム様の事だ。今はまだ婚約者でもある私を気遣ってくれているのだろう。
「少し街の様子を見て来ただけですわ。次期王妃になる身としては、ある程度平民の生活を知っておく必要があると思いまして。ですからこれからも…」
「勝手に王宮の外に出ては駄目だろう!どうして僕に1言声を掛けなかったんだ。お前たちも何をしているんだ!とにかく、金輪際1人で街に出る事を禁ずる。いいね」
そう言うと、私を抱きかかえて歩き出したリアム様。今までなら純粋に心配してくれていると、素直に嬉しかった。でもリアム様の本心を知っている今、こんな事をされても辛いだけだ。
「自分で歩けますわ。降ろしてください」
リアム様の腕から抜け出そうとするものの
「コラ、じっとしてないと危ないだろう。とにかく大人しくするんだ!」
なぜか怒られてしまった。そうか、いずれ婚約破棄をすると決まっていても、優しいリアム様はその時が来るまでは、私を今まで通り大切にして下さるつもりなんだろう。でもそれだと、ミランダ様に悪いわ。そんな事を考えているうちに、自室へと戻って来た。
「今日はこの部屋で一緒に晩ご飯を食べよう。今運ばせるよ」
えっ?この部屋で一緒にですって。そんな嬉しい事をされたら、リアム様と離れる時もっと辛くなってしまう。断ろうとした時だった。
“殿下、ミランダ嬢がお見えです”
リアム様の耳元でそう呟く執事。私に聞こえない様にかなり小声で呟いているが、生憎私は地獄耳。はっきりと聞こえた。
「分かった。とりあえず客間に通しておいてくれ。レティシア、悪いがどうしても外せない急用が入ったんだ。ごめんね」
「大丈夫ですわ。お仕事なのでしょう?どうぞ私の事は気にせず、早く行ってあげて下さい」
ミランダ様の所に…
ずっとずっと思い続けた相手がやって来たのだ。私なんかよりも愛するミランダ様を選ぶのは当然の事。分かっていても、やはり辛いもの。それでもここは、笑顔で見送らないと。必死に笑顔を作る。
「本当にごめんね、レティシア。それじゃあ」
急いで出て行くリアム様の後姿を見つめる。これでいいのよ、これで。何度も自分に言い聞かせる。その後、部屋に夕食が運ばれてきた。きっとここで食べないと、またリアム様に無駄な心配をさせてしまう。正直食欲は無かったが、気合で全て食べきった。
今日は久しぶりに街に出て沢山歩いたので、かなり疲れた。とにかく今日は早く寝よう。早めにベッドで休む事にしたのであった。
翌日から、再び図書館へと向かう。本当は街に出たいのだが、生憎リアム様に街に出る事は禁止されている。もしかしたら、私が人と繋がる事を警戒しているのかもしれない。
街に行けない事で、思う様に準備を進める事が出来ない。それでも、着々と準備を進めていく。いつも使用人にお願いしている事も「自分でやってみたい」と伝え、着替えや湯あみなども少しずつ覚えている。
他にも、家事に関する本も毎日の様に読んでいる。もちろんアモーレ王国に行く為の交通手段や、どの街に住むかも念入りに調べる。今目星を付けているのは、アモーレ王国の南にある、小さな港の村だ。とても美しい海があるらしい。主に漁業で生計を立てており、女性たちは魚介類を加工する仕事を始め、貝殻や珊瑚などを使ってアクセサリーを作る仕事もしているらしい。さらに穏やかな人が多いとの事。
他にもいくつか候補の街を選んだ。よし、これで準備は随分進んだわ。でも…
図書館で調べる事は出来ても、実際街に行かないと出来ないこともある。例えばお父様が残してくれたお金は、銀行に預かってもらっている。まずは銀行に行ってお金を引き出さないといけない。
それにアモーレ王国に行く為には、船に乗って行くのだが、予め船のチケットを購入しなければいけない。それも街に行かないと出来ないのだ。
どうしよう…このままだと、いつまでたってもこの国から出られない。それにうまく街に出られたとしても、護衛騎士たちがいる限り、お金を引き出したりチケットを買ったりは出来ないわ。
そんな事をしたら、私が国を出て行こうとしている事がバレてしまう。一体どうすればいいのかしら?
私ったら本当に弱いわ。いずれ追い出される身。それならリアム様の名誉の為にも、自分から出て行くと決めたのに。複雑な感情を抱いたまま、王宮へと戻って来た。馬車から降りると
「レティシア、一体どこに行っていたんだ!物凄く心配したんだよ」
物凄い勢いでリアム様に抱きしめられた。なるほど、優しいリアム様の事だ。今はまだ婚約者でもある私を気遣ってくれているのだろう。
「少し街の様子を見て来ただけですわ。次期王妃になる身としては、ある程度平民の生活を知っておく必要があると思いまして。ですからこれからも…」
「勝手に王宮の外に出ては駄目だろう!どうして僕に1言声を掛けなかったんだ。お前たちも何をしているんだ!とにかく、金輪際1人で街に出る事を禁ずる。いいね」
そう言うと、私を抱きかかえて歩き出したリアム様。今までなら純粋に心配してくれていると、素直に嬉しかった。でもリアム様の本心を知っている今、こんな事をされても辛いだけだ。
「自分で歩けますわ。降ろしてください」
リアム様の腕から抜け出そうとするものの
「コラ、じっとしてないと危ないだろう。とにかく大人しくするんだ!」
なぜか怒られてしまった。そうか、いずれ婚約破棄をすると決まっていても、優しいリアム様はその時が来るまでは、私を今まで通り大切にして下さるつもりなんだろう。でもそれだと、ミランダ様に悪いわ。そんな事を考えているうちに、自室へと戻って来た。
「今日はこの部屋で一緒に晩ご飯を食べよう。今運ばせるよ」
えっ?この部屋で一緒にですって。そんな嬉しい事をされたら、リアム様と離れる時もっと辛くなってしまう。断ろうとした時だった。
“殿下、ミランダ嬢がお見えです”
リアム様の耳元でそう呟く執事。私に聞こえない様にかなり小声で呟いているが、生憎私は地獄耳。はっきりと聞こえた。
「分かった。とりあえず客間に通しておいてくれ。レティシア、悪いがどうしても外せない急用が入ったんだ。ごめんね」
「大丈夫ですわ。お仕事なのでしょう?どうぞ私の事は気にせず、早く行ってあげて下さい」
ミランダ様の所に…
ずっとずっと思い続けた相手がやって来たのだ。私なんかよりも愛するミランダ様を選ぶのは当然の事。分かっていても、やはり辛いもの。それでもここは、笑顔で見送らないと。必死に笑顔を作る。
「本当にごめんね、レティシア。それじゃあ」
急いで出て行くリアム様の後姿を見つめる。これでいいのよ、これで。何度も自分に言い聞かせる。その後、部屋に夕食が運ばれてきた。きっとここで食べないと、またリアム様に無駄な心配をさせてしまう。正直食欲は無かったが、気合で全て食べきった。
今日は久しぶりに街に出て沢山歩いたので、かなり疲れた。とにかく今日は早く寝よう。早めにベッドで休む事にしたのであった。
翌日から、再び図書館へと向かう。本当は街に出たいのだが、生憎リアム様に街に出る事は禁止されている。もしかしたら、私が人と繋がる事を警戒しているのかもしれない。
街に行けない事で、思う様に準備を進める事が出来ない。それでも、着々と準備を進めていく。いつも使用人にお願いしている事も「自分でやってみたい」と伝え、着替えや湯あみなども少しずつ覚えている。
他にも、家事に関する本も毎日の様に読んでいる。もちろんアモーレ王国に行く為の交通手段や、どの街に住むかも念入りに調べる。今目星を付けているのは、アモーレ王国の南にある、小さな港の村だ。とても美しい海があるらしい。主に漁業で生計を立てており、女性たちは魚介類を加工する仕事を始め、貝殻や珊瑚などを使ってアクセサリーを作る仕事もしているらしい。さらに穏やかな人が多いとの事。
他にもいくつか候補の街を選んだ。よし、これで準備は随分進んだわ。でも…
図書館で調べる事は出来ても、実際街に行かないと出来ないこともある。例えばお父様が残してくれたお金は、銀行に預かってもらっている。まずは銀行に行ってお金を引き出さないといけない。
それにアモーレ王国に行く為には、船に乗って行くのだが、予め船のチケットを購入しなければいけない。それも街に行かないと出来ないのだ。
どうしよう…このままだと、いつまでたってもこの国から出られない。それにうまく街に出られたとしても、護衛騎士たちがいる限り、お金を引き出したりチケットを買ったりは出来ないわ。
そんな事をしたら、私が国を出て行こうとしている事がバレてしまう。一体どうすればいいのかしら?
95
あなたにおすすめの小説
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
愛される日は来ないので
豆狸
恋愛
だけど体調を崩して寝込んだ途端、女主人の部屋から物置部屋へ移され、満足に食事ももらえずに死んでいったとき、私は悟ったのです。
──なにをどんなに頑張ろうと、私がラミレス様に愛される日は来ないのだと。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
余命わずかな私は、好きな人に愛を伝えて素っ気なくあしらわれる日々を楽しんでいる
ラム猫
恋愛
王城の図書室で働くルーナは、見た目には全く分からない特殊な病により、余命わずかであった。悲観はせず、彼女はかねてより憧れていた冷徹な第一騎士団長アシェンに毎日愛を告白し、彼の困惑した反応を見ることを最後の人生の楽しみとする。アシェンは一貫してそっけない態度を取り続けるが、ルーナのひたむきな告白は、彼の無関心だった心に少しずつ波紋を広げていった。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも同じ作品を投稿しています
※全十七話で完結の予定でしたが、勝手ながら二話ほど追加させていただきます。公開は同時に行うので、完結予定日は変わりません。本編は十五話まで、その後は番外編になります。
悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?
いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー
これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。
「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」
「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」
冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。
あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。
ショックで熱をだし寝込むこと1週間。
目覚めると夫がなぜか豹変していて…!?
「君から話し掛けてくれないのか?」
「もう君が隣にいないのは考えられない」
無口不器用夫×優しい鈍感妻
すれ違いから始まる両片思いストーリー
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
【完結】貴方をお慕いしておりました。婚約を解消してください。
暮田呉子
恋愛
公爵家の次男であるエルドは、伯爵家の次女リアーナと婚約していた。
リアーナは何かとエルドを苛立たせ、ある日「二度と顔を見せるな」と言ってしまった。
その翌日、二人の婚約は解消されることになった。
急な展開に困惑したエルドはリアーナに会おうとするが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる