あなたの事は好きですが私が邪魔者なので諦めようと思ったのですが…様子がおかしいです

Karamimi

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第17話:アルト様はシャーラ様がお好きなのね…

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「カナリア、その女から離れるんだ!」

 声が聞こえたと同時に、シャーラ様から引き離され、そのまま抱きしめられた。この声は、アルト様だ。

「アルト、急に走り出してどうしたのだい?シャーラ嬢?それにカナリア嬢も、一体何があったのだい?」

 シモン様も後ろからやって来た。

「シモン様、実は…」

「カナリア、とにかく帰ろう。さあ、行くよ」

 私の手を取り、そのままアルト様が歩き出した。どうやらかなり怒っているらしい。どうしてこんなに怒っているのかしら?

 そのまま無言で進んでいくと、王家の馬車に乗せられた。

「カナリア、一体どういうつもりだい?どうして君が、シャーラ嬢に抱き着いていたのだい?それにどうしてあんな場所にいたのだい?僕は部屋で大人しく待っている様にと言ったよね」

 怖い顔で迫って来るアルト様に、若干恐怖を感じる。

「あの…私は…お手洗いに行きたくなって、それで…」

「お手洗いは中庭の奥にあるのかい?カナリア、シャーラ嬢にはもう関わらないでくれ!いいね、分かったね」

 どうしてアルト様は、こんなに怒っているのかしら?どうして私が、シャーラ様と関わる事を嫌がるの?

 …そうか、もう既にアルト様は、シャーラ様がお好きなのだわ。だから婚約者でもある私が、シャーラ様に酷い事をしないか、心配しているのかもしれない。実際あの時、シャーラ様は泣いていたし。私がイジメたと勘違いしたのかもしれないわ。

 いや、もしかしたらさっきシャーラ様に抱き着いていたから、私がシャーラ様に好意を持っていると勘違いしたのかしら?

 令嬢同士でも恋人関係になる人もいるものね。とにかく誤解を解かないと…

「あの、アルト様、シャーラ様とは…」

「カナリアの口から、彼女の名前は聞きたくないよ。頼む、今は黙っていて…」

 そう言われてしまったのだ。よほどシャーラ様の事がお好きなのだろう。今も私に抱き着いてきているが、きっとこれはカモフラージュ。

 シャーラ様は伯爵令嬢だ。公爵令嬢の私を敵に回しては面倒な事になると、アルト様も理解しているのだろう。

 アルト様はああ見えて用心深い。きっと私にバレない様に、演技を続けるつもりなのだわ。その証拠に、この日は夜遅くまで、アルト様がずっと私の傍にいて離れなかった。

 家に帰ると、今日のアルト様の様子を思い出す。

 アルト様があんなに取り乱すだなんて。きっと一刻も早く、シャーラ様から私を遠ざけたかったのだわ。私、そこまでアルト様に嫌われる様な事をしたかしら?

 でも、まだ正直アルト様とシャーラ様が、どこまで仲を深めているか分からない。とにかく一度、アルト様とシャーラ様がどこまで関係を深めているのか、確かめないと。

 私はこの3ヶ月、実はあまり何もしてこなかったのだ。ずっと私の傍にいてくれるアルト様を見ていると、なんだかシャーラ様と仲を深めている様には思えなかった。

 もしかしたら、話しが変わってアルト様とシャーラ様は結ばれないのでは?なんて都合のいい事を考えていたのだ。だから国を出る準備も、あまり進めていなかった。

 私が気が付かないだけで、2人の仲は既に深まりつつあるのかもしれない。とにかく、一度どこまで話が進んでいるのか、確かめないと。

 それから、早急に国を出る準備を進めないと。両親やお兄様たちにも、アルト様と婚約を解消したら心の傷を癒すため、旅に出たい旨も伝えよう。

 でも、お父様とお兄様たちが、許してくれるかしら?

 その時はお母様とお姉様に泣き付けばいいか…

 とにかくまずは、アルト様とシャーラ様の進み具合を確認しないとね…

 ただ…

 私はやっぱりアルト様が大好きだ。大好きな人の為に身を引くと決めたのに、いざその時が近づいてくると、辛いものね。

 ええい、こうなったら今日は、ヤケ炭酸ジュースとヤケサラミ食いよ!

 この日の夜、私は炭酸ジュースとサラミを暴飲暴食したのだった。

 そして翌日。

 いつもの様に学院に向かうが、珍しくアルト様の姿がない。なんだか嫌な予感がした。もしかして、早朝2人で会っているのかも…

 確か2人は、いつも人気の少ない校舎裏で会っていた様な…

 曖昧な記憶を頼りに校舎裏に向かうと、そこにはアルト様とシャーラ様の姿が。やっぱりここで密会していたのだわ。

 話し声はあまり聞こえないし、アルト様は背中を向けているので表情は見えないが、何やらシャーラ様は神妙な顔をしている。

 次の瞬間、シャーラ様が泣きだしたのだ。もしかしたら昨日の件で、アルト様に訴えているのかもしれない。

 きっとこの後、アルト様が優しくシャーラ様を抱きしめ…

 イヤ!そんな姿は見たくないわ!

 そんな思いで、クルリと反対側を向くと、急いでその場を後にした。

 まさかあんな風に、2人が会っていただなんて。それも私に気が付かれないように…

 次から次へと溢れる涙を止める事が出来ない。分かっていた事じゃない。シャーラ様とアルト様はヒーローとヒロインで、2人は猛烈に惹かれ合う事くらい。

 だからこそ私は、2人の為に身を引こう、ただ、シャーラ様とアルト様が恋仲になるまでは、アルト様の傍にいよう。

 そして2人が結ばれた暁には、私は国を出て、2人の幸せを遠くから願おう。

 そう決めたはずなのに…

 どうしてこんなに苦しいのだろう。苦しくて苦してく、たまらない。

 こんな事なら記憶が戻った時点で、婚約を解消しておけばよかったわ…
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