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第38話:ミリアム殿下と話をしました~サミュエル視点~
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「実はキャリーヌには、まだ話をしていないのです。キャリーヌには、その…」
夫人がちらりと目線を送った先に目をやると、金色の髪をした少女が立っていた。その隣には、彼女に寄り添うように金髪の男性が立っている。きっと彼女の恋人なのだろう。男性が少女の手を強く握っているのが見て取れる。
少女は僕やキャリーヌと同じ歳くらい。そうか、この子がミリアム殿下だな!
「あなた様が、ミリアム殿下ですね。お初に目にかかります、アラステ王国の第二王子、サミュエル・グロッサム・アラステと申します。この度は殿下のお陰で、国は落ち着き、そしてこうやってキャリーヌを迎えに来ることが出来ました。本当にありがとうございました」
笑顔で彼女に話しかけた。ただ、なぜか固まったまま動かない。
「あの…私は…」
何かを言いかけたかと思うと、隣にいる男性の方を向いたのだ。そんな王女を見つめ、頷く男性。この2人、きっと強い絆で結ばれているのだろう。僕とキャリーヌも、2人の様になれたら…
仲睦まじい2人を見ていると、ついそんな事を考えてしまう。
「サミュエル殿下、この後お話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ええ、構いませんよ、あなた様には本当に感謝しておりますし」
僕の返答を聞き、ホッとした顔のミリアム殿下。この人、人と話をするのが苦手なのだろうか?僕と話をするときも、かなり緊張している様だし。
その後僕が使わせてもらう部屋に案内してもらい、一息ついた後、ミリアム殿下が待つ部屋へとやって来た。彼女の隣には、やはり恋人と思われる男性の姿が。
「お待たせして申し訳ございません。ミリアム殿下、改めてお礼を言わせてください。今回の件、本当にありがとうございました。あなた様のお陰で、我が国は救われました。あなた様のお陰で、キャリーヌも楽しく過ごしていると聞いております。本当に、なんとお礼を言っていいか…」
彼女のお陰で、全てが上手くいった。今回の留学の件も、ミリアム殿下のお陰でスムーズに話しが進んだのだ。
「お礼を言うのは私の方ですわ。キャリーヌのお陰で、私の人生は180度変わったのです。私はなんと申しますか…人に気持ちを伝えるのが苦手で…そのせいで友人もおらず。その上家族は忙しく、ずっと孤独だったのです。そんな中、キャリーヌが現れて。キャリーヌは不器用で人の気持ちを逆なでしてしまう私を受け入れてくれたのです。彼女のお陰で、今の幸せがあるのです。全てキャリーヌのお陰なのです」
俯き加減で言葉を選ぶ様に呟くミリアム殿下。確かに彼女は、人と話すのが苦手な様に見受けられるが…
「サミュエル殿下、ご挨拶が遅くなり、申し訳ございません。ミリアムの婚約者の、カイロ・ファスレンと申します。今回、ミリアムと一緒に同席させていただきますことを、どうかご理解ください」
ミリアム殿下の隣に座っていた男性が、自己紹介をしてくれた。やはりミリアム殿下の婚約者だったのだな。
「カイロ殿とおっしゃられるのですね。サミュエルです、どうかよろしくお願いいたします。それにしてもお2人は、本当に仲睦まじいのですね」
きっとミリアム殿下が心配で、彼も同席したのだろう。さっきからずっと、ミリアム殿下の手を握っているし…もしかして、僕を警戒しているのかな?なんだかそんな気がするのは、気のせいだろうか…
「実は私たちは、つい3ヶ月ほど前までは、一緒に過ごすことはおろか、話しすらろくにしたことがなかったのです。私もミリアムも、お互い嫌われていると勘違いしていて…そんな私たちの誤解を解き、お互いの気持ちを伝えあえるきっかけを作ってくれたのが、キャリーヌ嬢なのです。彼女のお陰で、今の私たちがあるのです。本当にキャリーヌ嬢には、何とお礼を言っていいか…」
「カイロ様もおっしゃった通り、キャリーヌには、返しても返しきれない程の恩があるのです。私にとってキャリーヌはかけがえのない親友であり、女神様の様な存在。私がキャリーヌにしたことなど、大したことはありませんわ。ですから、どうかお礼は言わないで下さい。キャリーヌが私の幸せを願い動いてくれたように、私もキャリーヌには誰よりも幸せになって欲しいのです。その為に、あなた様の留学を手助けいたしました。ただ、キャリーヌは、あなた様に罪悪感を抱いている様で…」
言いにくそうに、ミリアム殿下が呟いたのだ。まさかキャリーヌは、7年半前のあの件を気にしているのだろうか?
「ミリアム殿下、もしかしてキャリーヌは、僕ではなく兄上を選んだことを、未だに気にしているのですか?あれは仕方がなかった事なのです」
僕はあの日起きた事を、ミリアム殿下に話した。キャリーヌがどんな思いで、兄上を選んだのか。あの後、キャリーヌは泣きながら謝罪していたことを。
「8歳の少女にそんな酷い事を!みんな勝手ですわ!でも、一番勝手なのは、第一王子ですわ!キャリーヌを何だと思っているのかしら?第一王子も、貴族たちも皆許せないわ!」
一気に怒りをあらわにしたミリアム殿下、この人、こんなに感情をむき出しにする人だったのだな…
「ミリアム殿下、落ち着いて下さい。ですので、キャリーヌが罪悪感を抱く事はないのです。それから僕は、今でもキャリーヌを愛しています。今度こそ、僕の手でキャリーヌを幸せにしたいと考えております。もちろん、キャリーヌの気持ちが最優先ですが」
真っすぐミリアム殿下を見つめ、そう告げた。その為に僕は、この地にやって来たのだから。
夫人がちらりと目線を送った先に目をやると、金色の髪をした少女が立っていた。その隣には、彼女に寄り添うように金髪の男性が立っている。きっと彼女の恋人なのだろう。男性が少女の手を強く握っているのが見て取れる。
少女は僕やキャリーヌと同じ歳くらい。そうか、この子がミリアム殿下だな!
「あなた様が、ミリアム殿下ですね。お初に目にかかります、アラステ王国の第二王子、サミュエル・グロッサム・アラステと申します。この度は殿下のお陰で、国は落ち着き、そしてこうやってキャリーヌを迎えに来ることが出来ました。本当にありがとうございました」
笑顔で彼女に話しかけた。ただ、なぜか固まったまま動かない。
「あの…私は…」
何かを言いかけたかと思うと、隣にいる男性の方を向いたのだ。そんな王女を見つめ、頷く男性。この2人、きっと強い絆で結ばれているのだろう。僕とキャリーヌも、2人の様になれたら…
仲睦まじい2人を見ていると、ついそんな事を考えてしまう。
「サミュエル殿下、この後お話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ええ、構いませんよ、あなた様には本当に感謝しておりますし」
僕の返答を聞き、ホッとした顔のミリアム殿下。この人、人と話をするのが苦手なのだろうか?僕と話をするときも、かなり緊張している様だし。
その後僕が使わせてもらう部屋に案内してもらい、一息ついた後、ミリアム殿下が待つ部屋へとやって来た。彼女の隣には、やはり恋人と思われる男性の姿が。
「お待たせして申し訳ございません。ミリアム殿下、改めてお礼を言わせてください。今回の件、本当にありがとうございました。あなた様のお陰で、我が国は救われました。あなた様のお陰で、キャリーヌも楽しく過ごしていると聞いております。本当に、なんとお礼を言っていいか…」
彼女のお陰で、全てが上手くいった。今回の留学の件も、ミリアム殿下のお陰でスムーズに話しが進んだのだ。
「お礼を言うのは私の方ですわ。キャリーヌのお陰で、私の人生は180度変わったのです。私はなんと申しますか…人に気持ちを伝えるのが苦手で…そのせいで友人もおらず。その上家族は忙しく、ずっと孤独だったのです。そんな中、キャリーヌが現れて。キャリーヌは不器用で人の気持ちを逆なでしてしまう私を受け入れてくれたのです。彼女のお陰で、今の幸せがあるのです。全てキャリーヌのお陰なのです」
俯き加減で言葉を選ぶ様に呟くミリアム殿下。確かに彼女は、人と話すのが苦手な様に見受けられるが…
「サミュエル殿下、ご挨拶が遅くなり、申し訳ございません。ミリアムの婚約者の、カイロ・ファスレンと申します。今回、ミリアムと一緒に同席させていただきますことを、どうかご理解ください」
ミリアム殿下の隣に座っていた男性が、自己紹介をしてくれた。やはりミリアム殿下の婚約者だったのだな。
「カイロ殿とおっしゃられるのですね。サミュエルです、どうかよろしくお願いいたします。それにしてもお2人は、本当に仲睦まじいのですね」
きっとミリアム殿下が心配で、彼も同席したのだろう。さっきからずっと、ミリアム殿下の手を握っているし…もしかして、僕を警戒しているのかな?なんだかそんな気がするのは、気のせいだろうか…
「実は私たちは、つい3ヶ月ほど前までは、一緒に過ごすことはおろか、話しすらろくにしたことがなかったのです。私もミリアムも、お互い嫌われていると勘違いしていて…そんな私たちの誤解を解き、お互いの気持ちを伝えあえるきっかけを作ってくれたのが、キャリーヌ嬢なのです。彼女のお陰で、今の私たちがあるのです。本当にキャリーヌ嬢には、何とお礼を言っていいか…」
「カイロ様もおっしゃった通り、キャリーヌには、返しても返しきれない程の恩があるのです。私にとってキャリーヌはかけがえのない親友であり、女神様の様な存在。私がキャリーヌにしたことなど、大したことはありませんわ。ですから、どうかお礼は言わないで下さい。キャリーヌが私の幸せを願い動いてくれたように、私もキャリーヌには誰よりも幸せになって欲しいのです。その為に、あなた様の留学を手助けいたしました。ただ、キャリーヌは、あなた様に罪悪感を抱いている様で…」
言いにくそうに、ミリアム殿下が呟いたのだ。まさかキャリーヌは、7年半前のあの件を気にしているのだろうか?
「ミリアム殿下、もしかしてキャリーヌは、僕ではなく兄上を選んだことを、未だに気にしているのですか?あれは仕方がなかった事なのです」
僕はあの日起きた事を、ミリアム殿下に話した。キャリーヌがどんな思いで、兄上を選んだのか。あの後、キャリーヌは泣きながら謝罪していたことを。
「8歳の少女にそんな酷い事を!みんな勝手ですわ!でも、一番勝手なのは、第一王子ですわ!キャリーヌを何だと思っているのかしら?第一王子も、貴族たちも皆許せないわ!」
一気に怒りをあらわにしたミリアム殿下、この人、こんなに感情をむき出しにする人だったのだな…
「ミリアム殿下、落ち着いて下さい。ですので、キャリーヌが罪悪感を抱く事はないのです。それから僕は、今でもキャリーヌを愛しています。今度こそ、僕の手でキャリーヌを幸せにしたいと考えております。もちろん、キャリーヌの気持ちが最優先ですが」
真っすぐミリアム殿下を見つめ、そう告げた。その為に僕は、この地にやって来たのだから。
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