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第61話:サミュエル様のお陰で毎日が楽しいです
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「キャリーヌ、今日は王宮に来てくれてありがとう。ただ、兄上はなんというか、まだキャリーヌが兄上の事を好いていると思い込んでいる様だから、明日から僕が送り迎えをするから。勝手に王宮には来ない事、分かったね」
貴族の方たちや陛下、王妃殿下に挨拶を終えた後、サミュエル様に連れられ、公爵家に戻って来た。どうやらサミュエル様もお父様も、ジェイデン殿下の事を物凄く警戒している様だ。
「私ははっきりと、ジェイデン殿下に気持ちを伝えました。ですからきっと、ジェイデン殿下も私の事は諦めて下さるでしょう。それにサミュエル様の多忙さを考えると、送り迎えをして頂く訳にはいきませんわ。護衛もおりますし、1人でも王宮に行けますわ」
急遽王太子になる事が決まったサミュエル様、ただでさえ激務なのに、その上私の為に3ヶ月もカリアン王国に留学していたのだ。きっと今、目が回るほど忙しいはず。これ以上、サミュエル様の手を煩わせる訳にはいかない。
「キャリーヌが思っているほど、兄上は理解力のある人間ではないよ。もしかしたら、キャリーヌを誘拐してしまうかもしれない。公爵とも相談して、王宮はもちろん、公爵家にも厳重な警備を行う事になったが、それでも不安で仕方がないんだよ。キャリーヌ、頼むからどうか、僕の言う事を聞いて欲しい」
サミュエル様が、私をギュッと抱きしめた。正直ジェイデン殿下がそこまでするとは思えないが、サミュエル様がそう言うなら…
「分かりましたわ。サミュエル様がそれで安心してくださるなら、サミュエル様の言う通りにいたします。ごめんなさい、いつも私の事で、サミュエル様にお手間を取らせてしまって…」
「何を言っているのだい?僕はキャリーヌが傍にいてくれるだけで、幸せなんだ。それに送り迎えだって、僕が安心したいがための、僕の我が儘なんだ。そんな我が儘を受け入れてくれて、ありがとう。3ヶ月後には僕の王太子就任と、キャリーヌとの正式な婚約発表が控えている。僕が正式に王太子に就任した暁には、兄上には家臣に降りてもらい、新たに準備した屋敷に住んでもらう事になっている。だから、あと3ヶ月の辛抱だよ」
そう、私たちは3ヶ月後、正式に婚約を結ぶと同時に、サミュエル様が王太子に就任するのだ。就任式にはミリアム様とカイロ様、お姉様夫婦、さらにカリアン王国の王太子夫妻やグランズ王国の両陛下、ディステル王国の両陛下も参列予定になっているのだ。
他国の王族の方たち、それも我が国よりもずっと大きな国の方たちが参加してくださるとあって、準備に大忙しなのだ。私も久しぶりにミリアム様と直接会えるため、とても楽しみにしている。
それに3ヶ月後には、正式にサミュエル様の婚約者になれるのだ。彼を支えられる様に、もっと頑張らないと。
「それじゃあ僕は、王宮に戻るね。本当はもっともっとキャリーヌと一緒にいたいのだけれど…正式に婚約を結んだら、ずっと一緒にいようね」
「ええ、もちろんですわ。サミュエル様、大好きです」
「僕も、愛しているよ」
ちゅっと私の唇に口づけをしたサミュエル様が、笑顔で馬車に乗り込んでいく。そんな彼に向かって手を振った。気持ちが通じ合ってから、サミュエル様は私に、たっぷりの愛情を注いでくださっている。
いいや…
気持ちが通じ合う前から、彼は私に愛情を沢山注いでいてくれていたのに、私が気が付かなかったのだろう。それにしてもサミュエル様ったら、よほどジェイデン殿下が気になるのね。
もう私は、ジェイデン殿下の事は何とも思っていないのだけれど。でも、こうやって心配してもらえると、やはり嬉しい。
そして翌日から、私はサミュエル様の言いつけ通り、毎朝サミュエル様に迎えに来てもらい、夕食を王宮で頂いた後、再びサミュエル様に送って来てもらうという日々を送る事になった。
さらにアラステ王国でも私に友人をと考えて下さったサミュエル様が、私の為に王妃殿下と相談して、同じ年くらいの令嬢たちを頻繁に王宮に招待し、お茶会を開いてくれる様になったのだ。
ジェイデン殿下と婚約していた時は、公務や慈善活動、王妃教育が忙しかったし、たまに出る夜会も、ずっとジェイデン殿下の傍にいたため、令嬢たちと話をする機会がなかったのだ。
アラステ王国の令嬢たちも、カリアン王国の令嬢たちと同様、話してみるといい子たちばかり。少しずつだが、仲の良い令嬢たちも出来始めて来た。
サミュエル様は、少しでも私がカリアン王国で暮していた環境に近づけようと、色々と気を使ってくれているのだ。ただでさえ王太子就任式を控え、大忙しなのに、こんなに私に気を使って下さるだなんて…
でもそのお陰で、私は日々充実した時間を送っている。
ちなみにジェイデン殿下だが、何度も私に話しかけてこようとしていたが、そのたびに護衛たちに連れて行かれるという日々を送っている。
あれほどまでにはっきりと気持ちを伝えたのに、まだ諦めていないだなんて…
でも、いくらジェイデン殿下が私と婚約を結び直したいと考えても、さすがにもう私は彼を愛する自信はない。
ジェイデン殿下が未だに絡んでくるということ以外は、毎日が楽しくて幸せでたまらない。この幸せが、ずっと続く。この時の私は、そう信じていたのだった。
貴族の方たちや陛下、王妃殿下に挨拶を終えた後、サミュエル様に連れられ、公爵家に戻って来た。どうやらサミュエル様もお父様も、ジェイデン殿下の事を物凄く警戒している様だ。
「私ははっきりと、ジェイデン殿下に気持ちを伝えました。ですからきっと、ジェイデン殿下も私の事は諦めて下さるでしょう。それにサミュエル様の多忙さを考えると、送り迎えをして頂く訳にはいきませんわ。護衛もおりますし、1人でも王宮に行けますわ」
急遽王太子になる事が決まったサミュエル様、ただでさえ激務なのに、その上私の為に3ヶ月もカリアン王国に留学していたのだ。きっと今、目が回るほど忙しいはず。これ以上、サミュエル様の手を煩わせる訳にはいかない。
「キャリーヌが思っているほど、兄上は理解力のある人間ではないよ。もしかしたら、キャリーヌを誘拐してしまうかもしれない。公爵とも相談して、王宮はもちろん、公爵家にも厳重な警備を行う事になったが、それでも不安で仕方がないんだよ。キャリーヌ、頼むからどうか、僕の言う事を聞いて欲しい」
サミュエル様が、私をギュッと抱きしめた。正直ジェイデン殿下がそこまでするとは思えないが、サミュエル様がそう言うなら…
「分かりましたわ。サミュエル様がそれで安心してくださるなら、サミュエル様の言う通りにいたします。ごめんなさい、いつも私の事で、サミュエル様にお手間を取らせてしまって…」
「何を言っているのだい?僕はキャリーヌが傍にいてくれるだけで、幸せなんだ。それに送り迎えだって、僕が安心したいがための、僕の我が儘なんだ。そんな我が儘を受け入れてくれて、ありがとう。3ヶ月後には僕の王太子就任と、キャリーヌとの正式な婚約発表が控えている。僕が正式に王太子に就任した暁には、兄上には家臣に降りてもらい、新たに準備した屋敷に住んでもらう事になっている。だから、あと3ヶ月の辛抱だよ」
そう、私たちは3ヶ月後、正式に婚約を結ぶと同時に、サミュエル様が王太子に就任するのだ。就任式にはミリアム様とカイロ様、お姉様夫婦、さらにカリアン王国の王太子夫妻やグランズ王国の両陛下、ディステル王国の両陛下も参列予定になっているのだ。
他国の王族の方たち、それも我が国よりもずっと大きな国の方たちが参加してくださるとあって、準備に大忙しなのだ。私も久しぶりにミリアム様と直接会えるため、とても楽しみにしている。
それに3ヶ月後には、正式にサミュエル様の婚約者になれるのだ。彼を支えられる様に、もっと頑張らないと。
「それじゃあ僕は、王宮に戻るね。本当はもっともっとキャリーヌと一緒にいたいのだけれど…正式に婚約を結んだら、ずっと一緒にいようね」
「ええ、もちろんですわ。サミュエル様、大好きです」
「僕も、愛しているよ」
ちゅっと私の唇に口づけをしたサミュエル様が、笑顔で馬車に乗り込んでいく。そんな彼に向かって手を振った。気持ちが通じ合ってから、サミュエル様は私に、たっぷりの愛情を注いでくださっている。
いいや…
気持ちが通じ合う前から、彼は私に愛情を沢山注いでいてくれていたのに、私が気が付かなかったのだろう。それにしてもサミュエル様ったら、よほどジェイデン殿下が気になるのね。
もう私は、ジェイデン殿下の事は何とも思っていないのだけれど。でも、こうやって心配してもらえると、やはり嬉しい。
そして翌日から、私はサミュエル様の言いつけ通り、毎朝サミュエル様に迎えに来てもらい、夕食を王宮で頂いた後、再びサミュエル様に送って来てもらうという日々を送る事になった。
さらにアラステ王国でも私に友人をと考えて下さったサミュエル様が、私の為に王妃殿下と相談して、同じ年くらいの令嬢たちを頻繁に王宮に招待し、お茶会を開いてくれる様になったのだ。
ジェイデン殿下と婚約していた時は、公務や慈善活動、王妃教育が忙しかったし、たまに出る夜会も、ずっとジェイデン殿下の傍にいたため、令嬢たちと話をする機会がなかったのだ。
アラステ王国の令嬢たちも、カリアン王国の令嬢たちと同様、話してみるといい子たちばかり。少しずつだが、仲の良い令嬢たちも出来始めて来た。
サミュエル様は、少しでも私がカリアン王国で暮していた環境に近づけようと、色々と気を使ってくれているのだ。ただでさえ王太子就任式を控え、大忙しなのに、こんなに私に気を使って下さるだなんて…
でもそのお陰で、私は日々充実した時間を送っている。
ちなみにジェイデン殿下だが、何度も私に話しかけてこようとしていたが、そのたびに護衛たちに連れて行かれるという日々を送っている。
あれほどまでにはっきりと気持ちを伝えたのに、まだ諦めていないだなんて…
でも、いくらジェイデン殿下が私と婚約を結び直したいと考えても、さすがにもう私は彼を愛する自信はない。
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