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第67話:恐ろしい事実が判明しました
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ミリアム様とカイロ様と話をした夜、再びミリアム様から通信が入った。
急いで通信に対応するため、別室へと移動する。
「ミリアム様、カイロ様、お待たせして申し訳ございません。それで、何か分かりましたか?」
このタイミングで通信が入るという事は、何らかの情報を手に入れたに違いない、私はそう踏んだのだ。
“キャリーヌ、落ち着いて。ええ…分かったわ。サミュエル殿下が苦しんでいる原因が。ただ断定はできないけれど、魔術師の話では、多分そうだろうとの事だったから…”
「魔術師様のお話しと言う事は、まさか魔法が使われているのですか?でも、我が国には魔法が使える人間は存在しません!」
我が国には魔法を使える人間は、確か存在しないはずだ。そもそも、他国でも魔法が使える人間は、本当にごく一部しかいない。それも年々減ってきていると聞く。
“落ち着いて、キャリーヌ。今から魔術師に、サミュエル殿下をモニター越しに見てもらうから、このモニターをサミュエル殿下の居る部屋へと移動してもらってもいいかしら?”
「分かりましたわ。クラミー、このモニターをサミュエル様のお部屋に移動させて」
「かしこまりました」
すぐにモニターが使用人たちの手によって、サミュエル様のお部屋へと運ばれていく。
「キャリーヌちゃん、一体何事なの?このモニターは…」
「王妃殿下、お騒がせして申し訳ございません。どうやらサミュエル様を苦しませている原因が、分かりそうとの事で。実際にモニター越しに、魔術師様にサミュエル様を見て頂こうと考えまして」
「それは本当なの?もしかして今、モニターに映っていらっしゃるのが、ミリアム殿下ですか?お隣の方は…」
“アラステ王国の王妃殿下ですね。初めまして、ミリアム・キャリア・カリアンと申します。隣にいるのは私の婚約者、公爵令息のカイロ・ファスレンですわ”
「やはりあなた様が、ミリアム殿下でしたのね。その節は本当にありがとうございました。私が至らないばかりに、息子を制御する事も出来ず、本当にお恥ずかしい限りです。それから、カイロ様とおっしゃいましたね?あなた様の事は、サミュエルから聞いております。カリアン王国に留学していた際は、息子が大変お世話になりました。本当に…」
「王妃殿下、ご挨拶はそれくらいにして、すぐにサミュエル様を診てもらいましょう」
王妃様は一度話し出すと、非常に長くなるのだ。申し訳ないが、今は一刻も早く、サミュエル様の容態を診ていただきたいのだ。
「そうね、私ったらつい。ごめんなさい。ミリアム殿下、カイロ様、よろしくお願いします」
すっと王妃様が後ろに下がった。すかさずサミュエル様の様子を、映像に映す。
“それではまずは、王妃殿下とキャリーヌ以外は、全員外に出て下さい。使用人も護衛も、全員です”
「えっ?皆を外に出すのですか?」
どうして使用人や護衛たちを、外に出すのだろう?不思議に思っていたのだが
「キャリーヌちゃん、ミリアム殿下の指示に従いましょう。あなた達、一度外に出て頂戴」
王妃様の指示で、皆が外に出ていく。もしかしたら、魔術師様をあまり色々な人に見せたくないのかもしれない。そう勝手に解釈をした。
“ありがとうございます。それでは始めましょう”
ミリアム様とカイロ様がモニターから消えたと思うと、黒いローブをまとった人が、モニター越しに現れたのだ。
きっと姿を見られたくはないのだろう。
“これは…かすかに殿下から魔力を感じる。それも、呪いの魔力を…”
「呪いの魔力ですって!それじゃあサミュエルは、誰かから呪いをかけられているとおっしゃるのですか?ですが我が国には、魔法を操れる者は存在しないはず…」
どこの国でもそうだが、魔力を持った人間は非常に貴重で、国を挙げて保護される。我が国では5歳になると、全国民を対象に、魔力の有無を調べる検査を受けなければいけないと決まっているのだ。
その為王族は、自分の国に魔力を持った人間がいるかどうかを把握している。
王妃殿下が魔力持ちがいないと言っているのだから、我が国には間違いなくいないはずだ。
“王妃殿下、落ち着いて下さい。キャリーヌ嬢、確かサミュエル殿下の首の後ろに、花の模様のアザがあるとおっしゃっていらっしゃいましたね。その部分を、モニターに映していただいてもよろしいでしょうか?”
よくわからないが、魔術師様に言われた通り、サミュエル様の首の後ろにあるアザを映した。
“やはりこの模様は、シュテルベンの花のエキスを抽出した毒の様ですね。この花は、別名呪いの花と言われているのです。この毒は非常に厄介で、体内に取り込むとすぐに吸収され同化してしまうので、どんなに優れた医療を用いても、この毒を検出する事が出来ないのです。ただ、この毒は体のどこかに、シュテルベンの花の模様がアザとして出るのが特徴なのです。サミュエル殿下は、首に出ている様ですね”
「それではこのアザの様なものは、シュテルベンと言う毒の花のエキスが原因で、出ているのですか?それで、どうすれば解毒できるのですか?お願いです、どうか今すぐ、サミュエル様を助けて下さい」
よくわからないが、どうやら私達では到底気が付けないような毒を使われていた様だ。でも、一体誰がこんな事を…
急いで通信に対応するため、別室へと移動する。
「ミリアム様、カイロ様、お待たせして申し訳ございません。それで、何か分かりましたか?」
このタイミングで通信が入るという事は、何らかの情報を手に入れたに違いない、私はそう踏んだのだ。
“キャリーヌ、落ち着いて。ええ…分かったわ。サミュエル殿下が苦しんでいる原因が。ただ断定はできないけれど、魔術師の話では、多分そうだろうとの事だったから…”
「魔術師様のお話しと言う事は、まさか魔法が使われているのですか?でも、我が国には魔法が使える人間は存在しません!」
我が国には魔法を使える人間は、確か存在しないはずだ。そもそも、他国でも魔法が使える人間は、本当にごく一部しかいない。それも年々減ってきていると聞く。
“落ち着いて、キャリーヌ。今から魔術師に、サミュエル殿下をモニター越しに見てもらうから、このモニターをサミュエル殿下の居る部屋へと移動してもらってもいいかしら?”
「分かりましたわ。クラミー、このモニターをサミュエル様のお部屋に移動させて」
「かしこまりました」
すぐにモニターが使用人たちの手によって、サミュエル様のお部屋へと運ばれていく。
「キャリーヌちゃん、一体何事なの?このモニターは…」
「王妃殿下、お騒がせして申し訳ございません。どうやらサミュエル様を苦しませている原因が、分かりそうとの事で。実際にモニター越しに、魔術師様にサミュエル様を見て頂こうと考えまして」
「それは本当なの?もしかして今、モニターに映っていらっしゃるのが、ミリアム殿下ですか?お隣の方は…」
“アラステ王国の王妃殿下ですね。初めまして、ミリアム・キャリア・カリアンと申します。隣にいるのは私の婚約者、公爵令息のカイロ・ファスレンですわ”
「やはりあなた様が、ミリアム殿下でしたのね。その節は本当にありがとうございました。私が至らないばかりに、息子を制御する事も出来ず、本当にお恥ずかしい限りです。それから、カイロ様とおっしゃいましたね?あなた様の事は、サミュエルから聞いております。カリアン王国に留学していた際は、息子が大変お世話になりました。本当に…」
「王妃殿下、ご挨拶はそれくらいにして、すぐにサミュエル様を診てもらいましょう」
王妃様は一度話し出すと、非常に長くなるのだ。申し訳ないが、今は一刻も早く、サミュエル様の容態を診ていただきたいのだ。
「そうね、私ったらつい。ごめんなさい。ミリアム殿下、カイロ様、よろしくお願いします」
すっと王妃様が後ろに下がった。すかさずサミュエル様の様子を、映像に映す。
“それではまずは、王妃殿下とキャリーヌ以外は、全員外に出て下さい。使用人も護衛も、全員です”
「えっ?皆を外に出すのですか?」
どうして使用人や護衛たちを、外に出すのだろう?不思議に思っていたのだが
「キャリーヌちゃん、ミリアム殿下の指示に従いましょう。あなた達、一度外に出て頂戴」
王妃様の指示で、皆が外に出ていく。もしかしたら、魔術師様をあまり色々な人に見せたくないのかもしれない。そう勝手に解釈をした。
“ありがとうございます。それでは始めましょう”
ミリアム様とカイロ様がモニターから消えたと思うと、黒いローブをまとった人が、モニター越しに現れたのだ。
きっと姿を見られたくはないのだろう。
“これは…かすかに殿下から魔力を感じる。それも、呪いの魔力を…”
「呪いの魔力ですって!それじゃあサミュエルは、誰かから呪いをかけられているとおっしゃるのですか?ですが我が国には、魔法を操れる者は存在しないはず…」
どこの国でもそうだが、魔力を持った人間は非常に貴重で、国を挙げて保護される。我が国では5歳になると、全国民を対象に、魔力の有無を調べる検査を受けなければいけないと決まっているのだ。
その為王族は、自分の国に魔力を持った人間がいるかどうかを把握している。
王妃殿下が魔力持ちがいないと言っているのだから、我が国には間違いなくいないはずだ。
“王妃殿下、落ち着いて下さい。キャリーヌ嬢、確かサミュエル殿下の首の後ろに、花の模様のアザがあるとおっしゃっていらっしゃいましたね。その部分を、モニターに映していただいてもよろしいでしょうか?”
よくわからないが、魔術師様に言われた通り、サミュエル様の首の後ろにあるアザを映した。
“やはりこの模様は、シュテルベンの花のエキスを抽出した毒の様ですね。この花は、別名呪いの花と言われているのです。この毒は非常に厄介で、体内に取り込むとすぐに吸収され同化してしまうので、どんなに優れた医療を用いても、この毒を検出する事が出来ないのです。ただ、この毒は体のどこかに、シュテルベンの花の模様がアザとして出るのが特徴なのです。サミュエル殿下は、首に出ている様ですね”
「それではこのアザの様なものは、シュテルベンと言う毒の花のエキスが原因で、出ているのですか?それで、どうすれば解毒できるのですか?お願いです、どうか今すぐ、サミュエル様を助けて下さい」
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