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第11話:あの男には絶対に渡さない~デイズ視点~
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翌日、僕は義母上と一緒に、義父上を見送った。
「義父上、どうかフランソアの事を、よろしくお願いします」
「ああ、分かっているよ。私もこれ以上黙っている訳にはいかないからね。何とか説得するよ」
そう言って出かけて行った義父上。義母上も不安そうだ。
「デイズ、きっとフランソアは帰って来るわ。だってこの家が、あの子の帰る場所なのですもの。あの子がいつ帰って来てもいい様に、2人で準備しておきましょう」
「そうですね、それじゃあ僕は、フランソアの部屋を確認してきます」
「私は料理長に言って、フランソアの大好物の料理をいつでも作れる様、材料等を準備してもらってくるわ」
それぞれが色々と準備に取り掛かった。昼食後は中庭のチェックもした。ダリアも綺麗に咲いている。
中庭のチェックが終わると、再びフランソアの部屋へとやって来た。フランソアがいつでも帰って来られる様、既に準備も整っている。フランソアの好きなアロマも準備した。
よし、完璧だ。
その時だった。
「デイズ様、旦那様と…お嬢様がおかえりになられました」
「何だって?フランソアが?」
今、お嬢様と言ったよな。急いで玄関に向かうと、義父上と義母上と一緒にいるフランソアの姿が。こみあげる感情を必死に抑えながら
「おかえり、フランソア」
と声を掛けた。すると、目を大きく見開き
「え?デイズお兄様?」
そう呟いたのだ。フランソアの口から僕の名前が聞けるだなんて。抱きしめたい感情を必死に抑え、僕が養子になった事を告げた。
やはりフランソアは僕に気を使って、“迷惑はかけない、落ち着いたら王都に家を借りて出ていく”なんて言い出したのだ。フランソアに僕が養子になった事を内緒にしてよかった。
とにかく君が出ていく必要は無いと告げ、そのままフランソアの部屋へと案内した。やせ細ったフランソアの手を握った時、もっと早く助けてあげられなかった事を後悔したとともに、王太子殿下に対する怒りがこみ上げて来た。
ちょうどフランソアを部屋に案内して、部屋の外で待っている時だった。
「デイズ様、大変です。王太子殿下が訪ねていらっしゃいました」
「何だって?殿下が?」
今更何をしに来たのだ!こみ上げる怒りを必死に抑えながら玄関に向かうと、既に義父上が対応していた。
「公爵、頼む。フランソアと話をさせてくれ。話せばフランソアだって僕の気持ちを分かってくれるはずだ。僕が愛しているのは、フランソアただ1人なのだから」
「今更何をおっしゃっているのですか?フランソアはずっと“自分だけを愛してくれる人と結婚したい”と申しておりました。それを踏みにじったのは、あなた様でしょう?」
義父上と殿下が言い合いをしていた。この男、あれほどフランソアを傷つけておきながら、まだ未練たらしく屋敷にやって来たというのか?
今まで感じた事のない怒りがこみ上げて来た。
「王太子殿下、お久しぶりです。義父上、今日は殿下がいらっしゃるとの連絡は頂いておりましたか?」
「…いいや、聞いていない」
「そうですか…殿下、本来貴族の家に尋ねてくるときは、必ず事前に連絡を入れるのがルールのはずです。それから、フランソアは既にあなた様のお妃候補ではありません。お妃候補ではない人間を、無理やりお妃候補に戻そうとするのは、法律で禁止されている行為です。どうかお帰り下さい!」
「どうしてデイズがここに?もしかして、フランソアが帰って来た事をもう聞きつけて…」
「僕はこの家の養子になったのですよ。お妃候補を外れたフランソアは、いずれ僕と結婚する事になるでしょう。とにかくもうあなた様のお妃候補でも何でもないのです。勝手に公爵家にやってくるだなんて!明日にでも王家に強く抗議させていただきますから!とにかくお帰り下さい。早く!」
僕の強い口調に怖気づいたのか
「分かったよ…今日のところは帰る。デイズ、君はずっとフランソアの事を好きだったことは知っている。でも、フランソアは僕のものだ。君になんて絶対に渡さないからな!」
そう吐き捨て帰って行った。何がフランソアは僕のものだ!だよ。ふざけるな!
「デイズ、ありがとう。殿下が急にいらして、少し動揺してしまった。実はお妃候補を辞退する書類を陛下に提出した時も、殿下からかなり反発されて…ただ、辞退はこちらの権利だから、受理してもらったのだが。殿下は諦めきれなかった様で、馬車まで追いかけて来たのだよ。まさか屋敷まで押しかけてくるだなんて…」
はぁ~っと、義父上がため息を付いている。
「あの様子では、きっとまだ諦めていない様ですね。義父上、明日陛下に厳しく抗議をして下さい。もし義父上1人で不安でしたら、僕も一緒に行きます。それから、フランソアをしばらく屋敷から出さないようにしましょう」
あの男の事だ、きっとまた屋敷にやって来るだろう!でも、絶対にフランソアに会わせるつもりはない。フランソアがもしあの男に会ったら、またうまく丸め込まれるかもしれない。認めたくはないが、フランソアはきっとまだあの男の事が好きだから…
「義父上、どうかフランソアの事を、よろしくお願いします」
「ああ、分かっているよ。私もこれ以上黙っている訳にはいかないからね。何とか説得するよ」
そう言って出かけて行った義父上。義母上も不安そうだ。
「デイズ、きっとフランソアは帰って来るわ。だってこの家が、あの子の帰る場所なのですもの。あの子がいつ帰って来てもいい様に、2人で準備しておきましょう」
「そうですね、それじゃあ僕は、フランソアの部屋を確認してきます」
「私は料理長に言って、フランソアの大好物の料理をいつでも作れる様、材料等を準備してもらってくるわ」
それぞれが色々と準備に取り掛かった。昼食後は中庭のチェックもした。ダリアも綺麗に咲いている。
中庭のチェックが終わると、再びフランソアの部屋へとやって来た。フランソアがいつでも帰って来られる様、既に準備も整っている。フランソアの好きなアロマも準備した。
よし、完璧だ。
その時だった。
「デイズ様、旦那様と…お嬢様がおかえりになられました」
「何だって?フランソアが?」
今、お嬢様と言ったよな。急いで玄関に向かうと、義父上と義母上と一緒にいるフランソアの姿が。こみあげる感情を必死に抑えながら
「おかえり、フランソア」
と声を掛けた。すると、目を大きく見開き
「え?デイズお兄様?」
そう呟いたのだ。フランソアの口から僕の名前が聞けるだなんて。抱きしめたい感情を必死に抑え、僕が養子になった事を告げた。
やはりフランソアは僕に気を使って、“迷惑はかけない、落ち着いたら王都に家を借りて出ていく”なんて言い出したのだ。フランソアに僕が養子になった事を内緒にしてよかった。
とにかく君が出ていく必要は無いと告げ、そのままフランソアの部屋へと案内した。やせ細ったフランソアの手を握った時、もっと早く助けてあげられなかった事を後悔したとともに、王太子殿下に対する怒りがこみ上げて来た。
ちょうどフランソアを部屋に案内して、部屋の外で待っている時だった。
「デイズ様、大変です。王太子殿下が訪ねていらっしゃいました」
「何だって?殿下が?」
今更何をしに来たのだ!こみ上げる怒りを必死に抑えながら玄関に向かうと、既に義父上が対応していた。
「公爵、頼む。フランソアと話をさせてくれ。話せばフランソアだって僕の気持ちを分かってくれるはずだ。僕が愛しているのは、フランソアただ1人なのだから」
「今更何をおっしゃっているのですか?フランソアはずっと“自分だけを愛してくれる人と結婚したい”と申しておりました。それを踏みにじったのは、あなた様でしょう?」
義父上と殿下が言い合いをしていた。この男、あれほどフランソアを傷つけておきながら、まだ未練たらしく屋敷にやって来たというのか?
今まで感じた事のない怒りがこみ上げて来た。
「王太子殿下、お久しぶりです。義父上、今日は殿下がいらっしゃるとの連絡は頂いておりましたか?」
「…いいや、聞いていない」
「そうですか…殿下、本来貴族の家に尋ねてくるときは、必ず事前に連絡を入れるのがルールのはずです。それから、フランソアは既にあなた様のお妃候補ではありません。お妃候補ではない人間を、無理やりお妃候補に戻そうとするのは、法律で禁止されている行為です。どうかお帰り下さい!」
「どうしてデイズがここに?もしかして、フランソアが帰って来た事をもう聞きつけて…」
「僕はこの家の養子になったのですよ。お妃候補を外れたフランソアは、いずれ僕と結婚する事になるでしょう。とにかくもうあなた様のお妃候補でも何でもないのです。勝手に公爵家にやってくるだなんて!明日にでも王家に強く抗議させていただきますから!とにかくお帰り下さい。早く!」
僕の強い口調に怖気づいたのか
「分かったよ…今日のところは帰る。デイズ、君はずっとフランソアの事を好きだったことは知っている。でも、フランソアは僕のものだ。君になんて絶対に渡さないからな!」
そう吐き捨て帰って行った。何がフランソアは僕のものだ!だよ。ふざけるな!
「デイズ、ありがとう。殿下が急にいらして、少し動揺してしまった。実はお妃候補を辞退する書類を陛下に提出した時も、殿下からかなり反発されて…ただ、辞退はこちらの権利だから、受理してもらったのだが。殿下は諦めきれなかった様で、馬車まで追いかけて来たのだよ。まさか屋敷まで押しかけてくるだなんて…」
はぁ~っと、義父上がため息を付いている。
「あの様子では、きっとまだ諦めていない様ですね。義父上、明日陛下に厳しく抗議をして下さい。もし義父上1人で不安でしたら、僕も一緒に行きます。それから、フランソアをしばらく屋敷から出さないようにしましょう」
あの男の事だ、きっとまた屋敷にやって来るだろう!でも、絶対にフランソアに会わせるつもりはない。フランソアがもしあの男に会ったら、またうまく丸め込まれるかもしれない。認めたくはないが、フランソアはきっとまだあの男の事が好きだから…
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