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第10話:フランソアをお妃候補にしておきたくない~デイズ視点~
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それでも僕は、フランソアをただ待っている事なんて出来ない。それに何よりも、あんな扱いを受けているフランソアが、王太子殿下と無事婚約したからといって、幸せになれるだなんて思えない。
さて、どうしたものか…
そう考えていた時だった。たまたま参加した夜会で、お妃候補の家族たちの話し声が聞こえてきたのだ。
「このままいくと、やはりフランソア殿が王太子殿下の婚約者になってしまう。娘は殿下を思い、厳しい王妃教育にも耐えて来たのに…これじゃあまりにも娘が可哀そうすぎる」
「家もそうだ!そもそも家は、殿下と同じ歳だから、6年も王宮に縛られてきたのだぞ。それなのに、お妃になれないだなんて、あまりにも酷い話だとは思わないか?」
どうやらお妃候補として今まで頑張って来た娘を、不憫に思っている様だ。
「皆様、こんなところに集まって、お妃候補のお話しをされているのですか?」
僕が話しかけると
「イヤ…その…」
と、ばつが悪そうにしている。
「そう言えば、昔は王族は一夫多妻制だったそうですね。あの頃と同じように、一夫多妻制でしたら、お妃候補皆が幸せになれるのに…あっ、でも今の時代、そんなものははやらないですよね」
そう、昔は王族のみ一夫多妻制だったのだ。でも、妻同士の激しい対立や、王子の暗殺事件などが多発したため、一夫多妻制は廃止され、一夫一妻制が採用された。
ちなみに今の王妃殿下は後妻だ。前の王妃殿下は、第一王子を生んだ後、産後の肥立ちが悪く、命を落としたとの事だ。さすがに王妃の座を開けておけないとの事で、今の王妃殿下が輿入れしてきたのだ。
本来であれば、元王妃殿下が産んだ第一王子が王太子殿下になるはずだったが、体が弱いとの事で辞退し、今は母親の実家の領地でひっそりと暮らしているとの事。
一説によると、今の王妃殿下が自分の息子を王太子にしたいが為に、第一王子を何度も暗殺しようとしたとか。それで第一王子の母親の実家でもあるパーソティ侯爵家が中心となり、彼を守るため、王宮を出たという噂がある。
まあ、今の時点でもこれだけ問題が多いのだから、一夫多妻制になんてしたら、大問題になること間違いなしだがな…さすがにこんな話に、まんまの乗っかったりはしないか。
そう思っていたのだが…
「確かに一夫多妻制に戻せば、娘も殿下の妻になれるし、もしかすると王太子殿下を生むことが出来るかもしれないな…これはいいかもしれない」
と、なぜか盛り上がっている。
そんな彼らをしり目に、僕はそのまま彼らの元を去った。きっと彼らは、王太子殿下に一夫多妻制を訴えるだろう。
もし王族が再び一夫多妻制になれば、絶対にフランソアはお妃候補を辞退するはずだ。彼女はずっと“私だけを愛してくれる方と結婚したい”と言っていたからだ。
でも…さすがにフランソアを愛している王太子殿下が、一夫多妻制を受け入れる訳がないか…
あれほどフランソアに執着していたのだから…
そう思っていたのだが、ある日義父上がため息を付いて帰って来た。
「王太子殿下は、娘をバカにしているのか?あろう事か、一夫多妻制にしたいなんて言い出したんだ!“せっかく僕の為に一生懸命王妃教育を受けてくれたのだから、彼女たちみんなを受け入れたい”とね…」
はぁ~っとため息を付く義父上。
嘘だろう…
僕がお妃候補者の親に話した内容を、まさか王太子殿下が受け入れるだなんて…
「義父上、それは本当ですか?でも、殿下はフランソアの事を愛しているのではないのですか?」
「私もそう思って聞いたのだが…“僕はフランソアを誰よりも愛しているよ。だから、フランソアが寂しくない様に、沢山愛情を注ぐよ。その愛情が、ほんの少し他の令嬢に行くだけだから、そんなに心配しなくても大丈夫だよ”と、ふざけたことを言っていた」
あの王太子、馬鹿なのか?フランソアはずっと“自分だけを愛してくれる人と結婚したい”と言っていたではないか!でも、これではっきりとした、あの男はただの女好きだったという事を。
「そんな…あなた、何とかならないのですか?それじゃあ、あまりにもフランソアが不憫だわ。あの子、後半年でやっと自分だけを愛してもらえると、必死に今まで耐えて来たのに…」
義母上が義父上に訴えている。
「貴族会議で決まったのだから、仕方がないよ…といっても、王族とお妃候補の親たちの意見でほぼ決まった様なものだがな。王妃殿下も、万が一ジェーン殿下の婚約者が子供を産めなかったら、第一王子でもあるラファエル殿下に王位が移るのではと心配している様でな。何が何でも、沢山ジェーン殿下の子供を残したいようなんだ…」
「あの腹黒王妃殿下の考えそうなことだわ!そう言えばラファエル殿下派が、少しずつ動きだしている様ね」
「そうだね、元々王太子殿下は第一王子でもあるラファエル殿下がなるはずだったからね。もしかすると、ラファエル殿下とジェーン殿下の王位争いも起こるかもしれない…とにかく、一夫多妻制になった今、さすがにフランソアをお妃候補にしておく訳にはいかない。明日陛下や王太子殿下から、一夫多妻制になった事が、お妃候補に伝えられるみたいだから、折を見てフランソアに会って来るよ」
「それなら僕も行きます!フランソアが心配だ!」
きっとフランソアはショックを受けるだろう。
「デイズの気持ちは嬉しいが、どうか家で待っていて欲しい。それに、フランソアを説得できるか分からないし、すぐに連れて帰る事は無理だろうから」
義父上にそう言われてしまった。仕方ない、義父上に託すしかないか…
さて、どうしたものか…
そう考えていた時だった。たまたま参加した夜会で、お妃候補の家族たちの話し声が聞こえてきたのだ。
「このままいくと、やはりフランソア殿が王太子殿下の婚約者になってしまう。娘は殿下を思い、厳しい王妃教育にも耐えて来たのに…これじゃあまりにも娘が可哀そうすぎる」
「家もそうだ!そもそも家は、殿下と同じ歳だから、6年も王宮に縛られてきたのだぞ。それなのに、お妃になれないだなんて、あまりにも酷い話だとは思わないか?」
どうやらお妃候補として今まで頑張って来た娘を、不憫に思っている様だ。
「皆様、こんなところに集まって、お妃候補のお話しをされているのですか?」
僕が話しかけると
「イヤ…その…」
と、ばつが悪そうにしている。
「そう言えば、昔は王族は一夫多妻制だったそうですね。あの頃と同じように、一夫多妻制でしたら、お妃候補皆が幸せになれるのに…あっ、でも今の時代、そんなものははやらないですよね」
そう、昔は王族のみ一夫多妻制だったのだ。でも、妻同士の激しい対立や、王子の暗殺事件などが多発したため、一夫多妻制は廃止され、一夫一妻制が採用された。
ちなみに今の王妃殿下は後妻だ。前の王妃殿下は、第一王子を生んだ後、産後の肥立ちが悪く、命を落としたとの事だ。さすがに王妃の座を開けておけないとの事で、今の王妃殿下が輿入れしてきたのだ。
本来であれば、元王妃殿下が産んだ第一王子が王太子殿下になるはずだったが、体が弱いとの事で辞退し、今は母親の実家の領地でひっそりと暮らしているとの事。
一説によると、今の王妃殿下が自分の息子を王太子にしたいが為に、第一王子を何度も暗殺しようとしたとか。それで第一王子の母親の実家でもあるパーソティ侯爵家が中心となり、彼を守るため、王宮を出たという噂がある。
まあ、今の時点でもこれだけ問題が多いのだから、一夫多妻制になんてしたら、大問題になること間違いなしだがな…さすがにこんな話に、まんまの乗っかったりはしないか。
そう思っていたのだが…
「確かに一夫多妻制に戻せば、娘も殿下の妻になれるし、もしかすると王太子殿下を生むことが出来るかもしれないな…これはいいかもしれない」
と、なぜか盛り上がっている。
そんな彼らをしり目に、僕はそのまま彼らの元を去った。きっと彼らは、王太子殿下に一夫多妻制を訴えるだろう。
もし王族が再び一夫多妻制になれば、絶対にフランソアはお妃候補を辞退するはずだ。彼女はずっと“私だけを愛してくれる方と結婚したい”と言っていたからだ。
でも…さすがにフランソアを愛している王太子殿下が、一夫多妻制を受け入れる訳がないか…
あれほどフランソアに執着していたのだから…
そう思っていたのだが、ある日義父上がため息を付いて帰って来た。
「王太子殿下は、娘をバカにしているのか?あろう事か、一夫多妻制にしたいなんて言い出したんだ!“せっかく僕の為に一生懸命王妃教育を受けてくれたのだから、彼女たちみんなを受け入れたい”とね…」
はぁ~っとため息を付く義父上。
嘘だろう…
僕がお妃候補者の親に話した内容を、まさか王太子殿下が受け入れるだなんて…
「義父上、それは本当ですか?でも、殿下はフランソアの事を愛しているのではないのですか?」
「私もそう思って聞いたのだが…“僕はフランソアを誰よりも愛しているよ。だから、フランソアが寂しくない様に、沢山愛情を注ぐよ。その愛情が、ほんの少し他の令嬢に行くだけだから、そんなに心配しなくても大丈夫だよ”と、ふざけたことを言っていた」
あの王太子、馬鹿なのか?フランソアはずっと“自分だけを愛してくれる人と結婚したい”と言っていたではないか!でも、これではっきりとした、あの男はただの女好きだったという事を。
「そんな…あなた、何とかならないのですか?それじゃあ、あまりにもフランソアが不憫だわ。あの子、後半年でやっと自分だけを愛してもらえると、必死に今まで耐えて来たのに…」
義母上が義父上に訴えている。
「貴族会議で決まったのだから、仕方がないよ…といっても、王族とお妃候補の親たちの意見でほぼ決まった様なものだがな。王妃殿下も、万が一ジェーン殿下の婚約者が子供を産めなかったら、第一王子でもあるラファエル殿下に王位が移るのではと心配している様でな。何が何でも、沢山ジェーン殿下の子供を残したいようなんだ…」
「あの腹黒王妃殿下の考えそうなことだわ!そう言えばラファエル殿下派が、少しずつ動きだしている様ね」
「そうだね、元々王太子殿下は第一王子でもあるラファエル殿下がなるはずだったからね。もしかすると、ラファエル殿下とジェーン殿下の王位争いも起こるかもしれない…とにかく、一夫多妻制になった今、さすがにフランソアをお妃候補にしておく訳にはいかない。明日陛下や王太子殿下から、一夫多妻制になった事が、お妃候補に伝えられるみたいだから、折を見てフランソアに会って来るよ」
「それなら僕も行きます!フランソアが心配だ!」
きっとフランソアはショックを受けるだろう。
「デイズの気持ちは嬉しいが、どうか家で待っていて欲しい。それに、フランソアを説得できるか分からないし、すぐに連れて帰る事は無理だろうから」
義父上にそう言われてしまった。仕方ない、義父上に託すしかないか…
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