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第25話:アダムの決断~アダム視点~
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断罪も終わり、フェザー公爵の処刑も終わった。父上は王都から離れた場所で、隠居生活を送っている。ハリソンも北の地へと旅立った。フローラの両親やお兄さんのお墓も既に移動している。
後は来月に行われる国王就任式の準備をするだけだ。ハリソンが断罪され父上が王位を退いたとなれば、俺が国王になるのは必然的。幸いフローラもこの地に着いて来てくれている。
これからはフローラと共に、よりよい国を作って行こう。そう思っている。ただ…やはりフローラにとってこの地は辛いものなのか、今日も新しく出来た両親と兄の墓の前で号泣していた。
確かにいくら父親の汚名が返上され、フェザー公爵と父上が断罪されたとはいえ、フローラの気持ちは複雑だろう。でも、大丈夫だ!フローラならきっと、立派な王妃になってくれるはず!もちろん母上も、フローラを精一杯支えると言ってくれているし。
とにかくフローラに早く王宮の生活に慣れてもらえる様、俺も出来るだけ側にいよう。さあ、今日も疲れたな。そう言えば今までずっとフローラと一緒に寝ていたせいか、別々の部屋は未だに慣れない。
就任式が終わったら、結婚式の準備も進めないとな。そうだ、一度ドミスティナ王国に戻って、フローラの作ったウエディングドレスを取りに行こう。きっと自分で作ったドレスを着たいだろうし。
そんな事を考えながら、眠りに付いた。
翌朝
いつもの様に着替えを済ませたところで、執事が物凄い勢いで入って来た。
「殿下、大変です!フローラ様がいなくなりました!」
「何だって!フローラが!」
急いでフローラの部屋に行くと、そこには1枚の手紙が置かれていた。急いで手紙を手に取った。そこには
“アダム様、急に王宮を去る事、お許しください。
やはり私には、この国の王妃として生きる事は出来ません。
いくら全てが解決したとはいえ、やはりこの国を許すことが出来ないのです。そんな私が、王妃になれるはずはありません。どうか私の事は忘れて、幸せに暮らしてください。遠くから、アダム様の幸せを祈っています“
「フローラ…何て事だ…」
よく考えてみれば、フローラがこの国の王妃になんてなりたい訳がない。それなのに俺は、自分が国王にならないといけないから、自分がフローラを妻にしたいから、自分が自分がと自分の事しか考えていなかった。
俺はいつからこんな傲慢な人間になってしまったのだろう…
「殿下、今すぐフローラ様を捜索いたしましょう!」
「いいや…いくらフローラを見つけ出しても、彼女が王妃になる事はないだろう…」
「それでは、殿下の婚約者はまた別の方を探すおつもりですか?」
「すまない。今はどうしていいか分からないんだ」
ふとフローラが使っていた部屋のクローゼットを開けた。そこには、俺が買い与えた沢山のドレスたちが並んでいた。ただ、ドミスティナ王国から持ってきたワンピースたちは、きれいさっぱり無くなっていた。
そうか、フローラはドミスティナ王国で、ひっそりと暮らす事を望んでいたんだな。それなら、俺がやる事は決まっている。
「悪いが、至急貴族たちを集めてくれ。それからワードレィズ侯爵家のデーヴィドも」
「かしこまりました。すぐに招集を掛けます」
近くに控えていた執事に指示を出す。しばらくすると、貴族たちを会議室に招集したとの連絡を受けた。
早速会議室へと向かう。
「アダム、急に呼び出してどうしたの?何かトラブルでもあったの?」
心配そうな顔の母上。
「急にお呼び立てして申し訳ない。実はフローラがこの国を出て行きました」
「何ですって、フローラちゃんが!!」
母上はもちろん、他の貴族たちも口をあんぐり開けて固まっている。
「殿下、何を呑気に構えているのですか!今すぐフローラ嬢を探しましょう!」
「そうよ、きっとまだそんなに遠くには行っていないはずよ」
「いいや。フローラは王妃にはなれないとはっきり告げました。そもそも俺たちは10年前、フローラにどんな酷い事をしたのか忘れたのですか?全てが解決したからと言って、フローラの傷がいえる事は無いのです。そんなフローラに、この国の王妃になれだなんて残酷すぎます」
「それならどうするの?アダムはフローラちゃん以外と、結婚するつもりがないのでしょう?」
そう、俺はフローラ意外と結婚なんてあり得ない。
「そこで皆さんに集まって頂いたのです。俺は、次期国王の座を降ります。そしてフローラの元へ向かいます。そこで次期国王には、デーヴィドがいいと考えています。彼は王族の血を継いでいますし、とても優秀です。それに、ワードレィズ侯爵家はデーヴィドの下に2人令息がいますので、侯爵家は弟が継げば問題ないでしょう」
「アダム殿下、その様な事を言われましても困ります!とにかく、もう一度考え直してください!」
「そうですよ!あなたには王になる素質があるのです!ですから、どうかフローラ嬢を説得する方向に持って行きましょう」
必死に俺を説得しようとするワードレィズ侯爵とデーヴィド。
「いいや、フローラはもう戻ってこない。たとえ俺が王になったとしても、フローラ意外と結婚するつもりはない。となると、どちらにしろ外から養子を迎え入れる必要がある。それならば、俺ではなく他の者に王になってもらいたいんだ。デーヴィド、お前は王になるのは嫌かい?」
「嫌だなんてとんでもない!でも、やはり国王にはアダム殿下がなって頂きたいのです。その為に今まで頑張って来たのでしょう!」
確かに俺は今まで王太子として血の滲む様な努力を重ねて来た。でも今は、それすらどうでもいいほどフローラが大切なのだ。
「デーヴィド、私からもお願いしたいわ。どうかデーヴィドがアダムの代りに国王になってもらえないかしら?あなたほどの人材はいないわ!あなたならきっと、立派な王になれると思うの。皆もそう思わない?」
母上の言葉を聞き、他の貴族たちも
「王妃様がそうおっしゃられるなら、私は賛成です」
「私もデーヴィド殿なら立派な王になれるかと」
と、次々と賛成の意を表明してくれた。
「分かりました。では、私がアダム殿下に代わり国王になりましょう」
デーヴィドが承諾してくれた。
「ありがとう、デーヴィド。それじゃあ、後は頼んだ。俺は今すぐフローラを追ってこの国を出るよ。それじゃあ皆、元気で」
そう言って部屋を出ようとした時だった。
「待ってアダム!」
俺を引き留めたのは母上だ。
「アダム、今まであなたにつらく当たってごめんなさい。でも、決してあなたを愛していなかった訳ではないのよ。たとえこの国を出て平民になったとしても、あなたは私の子供よ。遠くであなたの幸せをずっと祈っているから。それから…もし可能なら、たまにはこの国にフローラちゃんと帰って来なさい。もちろん、無理強いはしないわ」
そう言って、俺を泣きながら抱きしめてくれた母上。子供の頃からずっと母上に抱きしめられるのが夢だった。まさか、こんな形で叶うなんてな…
「母上、ありがとうございます。ドミスティナ王国にも遊びに来てください。フローラの気持ちが落ち着いたら、またこの国にも必ず顔を出します。それでは母上、お体をお大事に。お元気で」
母上と別れを告げると、急いで荷物をまとめた。そして馬車に乗り込む。
待っていてくれ、フローラ!今君の元に行くから!
※次回最終話です。
後は来月に行われる国王就任式の準備をするだけだ。ハリソンが断罪され父上が王位を退いたとなれば、俺が国王になるのは必然的。幸いフローラもこの地に着いて来てくれている。
これからはフローラと共に、よりよい国を作って行こう。そう思っている。ただ…やはりフローラにとってこの地は辛いものなのか、今日も新しく出来た両親と兄の墓の前で号泣していた。
確かにいくら父親の汚名が返上され、フェザー公爵と父上が断罪されたとはいえ、フローラの気持ちは複雑だろう。でも、大丈夫だ!フローラならきっと、立派な王妃になってくれるはず!もちろん母上も、フローラを精一杯支えると言ってくれているし。
とにかくフローラに早く王宮の生活に慣れてもらえる様、俺も出来るだけ側にいよう。さあ、今日も疲れたな。そう言えば今までずっとフローラと一緒に寝ていたせいか、別々の部屋は未だに慣れない。
就任式が終わったら、結婚式の準備も進めないとな。そうだ、一度ドミスティナ王国に戻って、フローラの作ったウエディングドレスを取りに行こう。きっと自分で作ったドレスを着たいだろうし。
そんな事を考えながら、眠りに付いた。
翌朝
いつもの様に着替えを済ませたところで、執事が物凄い勢いで入って来た。
「殿下、大変です!フローラ様がいなくなりました!」
「何だって!フローラが!」
急いでフローラの部屋に行くと、そこには1枚の手紙が置かれていた。急いで手紙を手に取った。そこには
“アダム様、急に王宮を去る事、お許しください。
やはり私には、この国の王妃として生きる事は出来ません。
いくら全てが解決したとはいえ、やはりこの国を許すことが出来ないのです。そんな私が、王妃になれるはずはありません。どうか私の事は忘れて、幸せに暮らしてください。遠くから、アダム様の幸せを祈っています“
「フローラ…何て事だ…」
よく考えてみれば、フローラがこの国の王妃になんてなりたい訳がない。それなのに俺は、自分が国王にならないといけないから、自分がフローラを妻にしたいから、自分が自分がと自分の事しか考えていなかった。
俺はいつからこんな傲慢な人間になってしまったのだろう…
「殿下、今すぐフローラ様を捜索いたしましょう!」
「いいや…いくらフローラを見つけ出しても、彼女が王妃になる事はないだろう…」
「それでは、殿下の婚約者はまた別の方を探すおつもりですか?」
「すまない。今はどうしていいか分からないんだ」
ふとフローラが使っていた部屋のクローゼットを開けた。そこには、俺が買い与えた沢山のドレスたちが並んでいた。ただ、ドミスティナ王国から持ってきたワンピースたちは、きれいさっぱり無くなっていた。
そうか、フローラはドミスティナ王国で、ひっそりと暮らす事を望んでいたんだな。それなら、俺がやる事は決まっている。
「悪いが、至急貴族たちを集めてくれ。それからワードレィズ侯爵家のデーヴィドも」
「かしこまりました。すぐに招集を掛けます」
近くに控えていた執事に指示を出す。しばらくすると、貴族たちを会議室に招集したとの連絡を受けた。
早速会議室へと向かう。
「アダム、急に呼び出してどうしたの?何かトラブルでもあったの?」
心配そうな顔の母上。
「急にお呼び立てして申し訳ない。実はフローラがこの国を出て行きました」
「何ですって、フローラちゃんが!!」
母上はもちろん、他の貴族たちも口をあんぐり開けて固まっている。
「殿下、何を呑気に構えているのですか!今すぐフローラ嬢を探しましょう!」
「そうよ、きっとまだそんなに遠くには行っていないはずよ」
「いいや。フローラは王妃にはなれないとはっきり告げました。そもそも俺たちは10年前、フローラにどんな酷い事をしたのか忘れたのですか?全てが解決したからと言って、フローラの傷がいえる事は無いのです。そんなフローラに、この国の王妃になれだなんて残酷すぎます」
「それならどうするの?アダムはフローラちゃん以外と、結婚するつもりがないのでしょう?」
そう、俺はフローラ意外と結婚なんてあり得ない。
「そこで皆さんに集まって頂いたのです。俺は、次期国王の座を降ります。そしてフローラの元へ向かいます。そこで次期国王には、デーヴィドがいいと考えています。彼は王族の血を継いでいますし、とても優秀です。それに、ワードレィズ侯爵家はデーヴィドの下に2人令息がいますので、侯爵家は弟が継げば問題ないでしょう」
「アダム殿下、その様な事を言われましても困ります!とにかく、もう一度考え直してください!」
「そうですよ!あなたには王になる素質があるのです!ですから、どうかフローラ嬢を説得する方向に持って行きましょう」
必死に俺を説得しようとするワードレィズ侯爵とデーヴィド。
「いいや、フローラはもう戻ってこない。たとえ俺が王になったとしても、フローラ意外と結婚するつもりはない。となると、どちらにしろ外から養子を迎え入れる必要がある。それならば、俺ではなく他の者に王になってもらいたいんだ。デーヴィド、お前は王になるのは嫌かい?」
「嫌だなんてとんでもない!でも、やはり国王にはアダム殿下がなって頂きたいのです。その為に今まで頑張って来たのでしょう!」
確かに俺は今まで王太子として血の滲む様な努力を重ねて来た。でも今は、それすらどうでもいいほどフローラが大切なのだ。
「デーヴィド、私からもお願いしたいわ。どうかデーヴィドがアダムの代りに国王になってもらえないかしら?あなたほどの人材はいないわ!あなたならきっと、立派な王になれると思うの。皆もそう思わない?」
母上の言葉を聞き、他の貴族たちも
「王妃様がそうおっしゃられるなら、私は賛成です」
「私もデーヴィド殿なら立派な王になれるかと」
と、次々と賛成の意を表明してくれた。
「分かりました。では、私がアダム殿下に代わり国王になりましょう」
デーヴィドが承諾してくれた。
「ありがとう、デーヴィド。それじゃあ、後は頼んだ。俺は今すぐフローラを追ってこの国を出るよ。それじゃあ皆、元気で」
そう言って部屋を出ようとした時だった。
「待ってアダム!」
俺を引き留めたのは母上だ。
「アダム、今まであなたにつらく当たってごめんなさい。でも、決してあなたを愛していなかった訳ではないのよ。たとえこの国を出て平民になったとしても、あなたは私の子供よ。遠くであなたの幸せをずっと祈っているから。それから…もし可能なら、たまにはこの国にフローラちゃんと帰って来なさい。もちろん、無理強いはしないわ」
そう言って、俺を泣きながら抱きしめてくれた母上。子供の頃からずっと母上に抱きしめられるのが夢だった。まさか、こんな形で叶うなんてな…
「母上、ありがとうございます。ドミスティナ王国にも遊びに来てください。フローラの気持ちが落ち着いたら、またこの国にも必ず顔を出します。それでは母上、お体をお大事に。お元気で」
母上と別れを告げると、急いで荷物をまとめた。そして馬車に乗り込む。
待っていてくれ、フローラ!今君の元に行くから!
※次回最終話です。
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