私を陥れる様な婚約者はいりません!彼と幸せになりますから邪魔しないで下さい

Karamimi

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第30話:ブラッド様のお陰で

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「ブラッド様、私の為にありがとうございます。あなたがいてくれるだけで、私もがんばれそうな気がしますわ」

「アントアーネは今まで、散々頑張って来たのだよ。たった1人で、あの男の悪事の証拠を集めたのだろう。それがどれほど大変だったことか。とにかく、後は俺に任せて。さあ、教室に入ろう」

 ブラッド様に手を引かれ、一緒に教室に入っていく。教室に入るや否や、皆が一斉にこちらを振り向いた。

「まあ、アントアーネ様がいらしたわ。まさかまた学院にいらっしゃるだなんて」

「それも男性を連れてきているわ。もしかして、噂の浮気相手かしら?」

 私への心無い言葉が次々と飛んでくる。ブラッド様の前でも、こんな酷い事を言うだなんて。辛くてつい俯いてしまう。

「皆様、お初にお目にかかります。リューズ王国から参りました、ブラット・ヴォーレルと申します。この国の事を学びたくて、この貴族学院に入学しました。短い間ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 アントアーネの母親と俺の母親が親友という事もあり、今は彼女の家でお世話になっております。それから」

 先ほど私の悪口を言った令嬢たちの元に、真っすぐ歩いていくブラッド様。そして

「君たち、俺の事をアントアーネの浮気相手だと言ったね。俺は10日前、この国に来たばかりなのだが。そう、アントアーネが婚約者と婚約を解消してから、俺はこの国に来た。

 それからアントアーネに会ったのも、10年ぶりだ。それなのにどうして俺とアントアーネが、浮気をしたというのだい?もちろん、証拠があるのだよね。見せてもらおうか、その証拠を」

 いつもよりも低い声で、そして全く笑顔を見せず無表情で令嬢たちに迫るブラッド様。いつもの優しいブラッド様とは、まるで別人だ。

「あの…それは…」

「この国では、証拠もないのに平気で他国の貴族の名誉を傷つける事を、よしとしているのだな。我が国では、その様な事をすれば、名誉棄損で大騒ぎになるのに」

「あの…申し訳ございません。別にあなた様を侮辱した訳ではありませんわ。ですが、アントアーネ様は本当に浮気者で…」

「アントアーネが浮気者?それじゃあ、アントアーネと浮気をしたという令息は誰だい?証拠の映像とかももちろんあるのだよね?」

 再びブラッド様が、令嬢たちに詰め寄っている。

「あの…それは…その!そう、マリア様がおっしゃっていたのですわ。ねえ、マリア様」

「えっ?私?私はアルノア様に聞いたのですわ」

「お、俺は確かライアンに…」

「俺はその、風の噂で…」

「へ~、結局誰もアントアーネの浮気相手を知らないのだね。それなのに、アントアーネを浮気者呼ばわりするだなんて。それじゃあ俺が、この女が別の男と浮気していると皆に言いふらしたら、一気に君は浮気者になるという事か。恐ろしい国だな」

「そ…それは…その…」

「とにかく、これ以上ただの噂で、アントアーネを傷つけるような事はしないでくれ!君たちがやっている事は、立派な名誉棄損であり、犯罪だ!」

 そうはっきりとクラスメートに告げたブラッド様の姿を見た瞬間、涙が込み上げてきた。ダメだ、今泣いては。そう思ったのだが、どんどん涙が溢れてくる。

「アントアーネ、どうしたの…」

「アントアーネ、どうして泣いているのだい?可哀そうに、あの男に虐められたのかい?」

 ブラッド様の言葉を遮り、私の元にやって来たのは、なんとラドル様だ。

 とっさに彼を振り払った。

 すぐにブラッド様も私の元に、駆け寄ってきてくれた。
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