私を陥れる様な婚約者はいりません!彼と幸せになりますから邪魔しないで下さい

Karamimi

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第31話:私だって黙っていません

「アントアーネ、どうして僕を振り払うのだい?それに君、泣いているじゃないか。その男に泣かされたのだろう。可哀そうに、さあ、こっちにおいで」

 再び私に触れようとしたラドル様をかわした。

「確かにこの涙は、ブラッド様に泣かされたものです。ですが、この涙は悲しいからではありません。うれし涙なのです。今までこの学院に、私の味方は一人もいなかった。ずっとひとりぼっちだった。

 誰も私の言う事など、聞いてくれなかった。私はずっと、悪者だった。でも今は、私を信じてくれる人がいる。私の為に、言い返してくれる人がいる。それが嬉しくてたまらないのです。

 ブラッド様だけが、私の唯一の味方…私はずっと、私の味方になってくれる人が欲しかったのです。私の気持ちに寄り添ってくれる人が。だから今、私は猛烈に嬉しくて泣いているのです」

「アントアーネ、僕だって君の事を…」

「ブラッディ伯爵令息様、私たちはもう、婚約を解消したのです。どうか気軽に名前を呼ぶのは、控えて下さい。それから、私の性格が悪すぎて非常に苦労したのですよね。それならどうか、もう私には関わらないで下さい。

 皆様、私はもう二度と彼には近づきません。ですので、どうかご安心を」

「アントアーネ、僕は…」

「ラドル、この女がもう二度とお前に近づかないと言っているのだから、もういいじゃないか」

「そうだよ、なんか厄介な男もこの女についている様だし。もう関わるのは止めようぜ。下手に関わって、難癖をつけられても面倒だからな」

「ぜひそうしてください。私たちもあなた方には関わりませんので」

 言いたい事が言えた。それだけで、なんだか心が軽くなる。

 それもこれも、ブラッド様のお陰だ。

 その後先生から、改めてブラッド様の紹介がされた。彼は非常に優秀な様で、武術や学問において、リューズ王国では一目置かれるほど優れているらしい。

 現に剣の稽古では

「君たち、大丈夫かい?怪我をしない様に戦ったのだが…」

 次々と令息たちを倒してしまったのだ。このクラスで一番剣が上手かったラドル様ですら、ブラッド様には全く歯が立たなかったらしい。

 そしてお昼休み。

「アントアーネ、一緒に食事をしよう。今日は君の大好きな料理をたくさん作ってもらったよ。最近少しずつ食欲は戻った様だけれど、まだまだ痩せているからね。しっかり食べないと」

 私のお世話を甲斐甲斐しく焼いてくるブラッド様。

「はい、口を開けて」

「もう、ブラッド様ったら。1人で食べられますわ」

「でも俺がきちんと監視しないと、君はすぐに食べないからね。昨日もあまり食べていなかっただろう。しっかり食べないと、また高熱を出してしまうよ。誰かさんのせいで、2回も高熱を出したのだから」

 チラリと視線を向けたブラッド様。彼の視線の先には、こちらを睨みつけているラドル様の姿が。

「ブラッド様、あの人の事は気にしないようにしましょう。過ぎた事ですから。それに私は、ブラッド様がいてくれるので、もう大丈夫ですわ。私、絶対に貴族学院を笑顔で卒業してみせます」

 もう一人じゃない。ブラッド様がいてくれるだけで、私も強くなれる。もうあいつらなんかに、絶対に負けない。

「ああ、その意気だ。やっぱりアントアーネは、笑顔が一番可愛いよ」

 可愛い…その言葉を聞いた瞬間、一気に鼓動が早くなるのを感じた。

 きっとブラッド様には、深い意味はないのだろう。それなのに、どうしてこんなに胸が高鳴るのだろう。

「アントアーネ、大丈夫かい?少し顔が赤いよ。もしかしてまた熱が…」

「いいえ、何でもありませんわ。さあ、頂きましょう」

 何だか体中が熱い。それにまだ胸がドキドキしている。私、一体どうしてしまったのかしら?

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