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第39話:貴族学院主催の夜会に参加します
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「お嬢様、こちらの青いドレス、本当に素敵ですわね。ドレスにエメラルドの宝石がちりばめられておりますわ」
「さすがブラッド様が、贈って下さっただけの事はございますわ。今日のお嬢様は、月の女神様みたいですわ」
「あら、お嬢様の笑顔は太陽の様ですから、太陽の女神ですわね」
「もう、皆。お世辞はそれくらいにしてちょうだい。確かに素敵なドレスね。ブラッド様に、お礼を言わないと」
私には勿体ないくらい、素敵なドレスだ。
貴族学院卒業まで1ヶ月を切った今日は、年に一度の貴族学院主催の夜会だ。この日の為に、ブラッド様がドレスを贈って下さった。これがブラッド様と参加できる、最後の夜会だろう。目いっぱい楽しもうと思っている。
「さあ、仕上がりましたよ。ブラッド様が首を長くしてお待ちでしょうから、早く行って差し上げて下さいませ」
使用人たちが、目を輝させている。彼女たちは一体何を言っているのかしら。どうしてブラッド様が、首を長くして待っているというの?そう思いながら部屋から出ると、なんとブラッド様が待っていてくれたのだ。
「ブラッド様、わざわざ待っていて下さったのですか?」
「ああ、もちろんだよ。今日のアントアーネは、いつも以上に美しいな。そのドレス、とてもよく似合っているよ」
「まあ、ブラッド様ったら、お世辞がお上手ですね。ブラッド様、こんなにも素敵なドレスを、ありがとうございます。私には勿体ないくらいですわ」
「勿体ないだなんて、アントアーネは本当に謙虚だね。さあ、行こうか」
差し出された手を、しっかり握る。ブラッド様の手、大きくて温かい。あと何回、彼の手を握る事が出来るのかしら?
そう考えると、胸がチクリと痛んだ。貴族学院卒業まで、もう1ヶ月もないのだ。残り少ないブラッド様の時間を、めいっぱい楽しみたい。
2人で馬車に乗り込み、学院を目指す。
「ブラッド様、今日のエスコート、よろしくお願いします」
「ああ、もちろんだよ。アントアーネをエスコートできるだなんて、本当に光栄な事だ」
「あら、それはこちらのセリフですわ。ブラッド様は本当に優秀ですもの。最後のテストも、学年1位でしたものね」
不正事件というハプニングがあったものの、ブラッド様は最後のテストも1位だったのだ。本当にすごい。
「それをいうなら、アントアーネも頑張っただろう。まさか学年2位だなんてね」
「それはブラッド様のお陰ですわ」
ブラッド様が、つきっきりで勉強を見てくれたお陰だ。ブラッド様が来てから、私の生活はいい意味で180度変わった。真っ暗で絶望だった世界が、一気に明るくなったのだ。本当に彼には感謝してもしきれない。
「アントアーネ、こっちを向いて」
急にブラッド様に呼ばれて、彼の方を振り向く。なぜか真剣な顔をしている。一体どうしたのだろう。
「アントアーネ、どうやらラドル殿はまだ、君を諦めていないようだ。今回も君のエスコートを申し出ていたうえ、ドレスも送って来ていた様だよ。もちろん伯爵が、丁重にお断りしたみたいだが。
もしかしたら、今回の夜会で何らかの動きをしてくるかもしれない。彼は婚約者だったアントアーネを、平気で陥れる様な男だ。どんな手を使ってくるか分からない。いいかい、俺から極力離れないでくれ。分かったね」
真剣な表情で、ブラッド様が私に話しをしてきた。私も薄々は気が付いている。あの男はまだ、私に執着をしている事を。
「ええ、分かっておりますわ。あの人がどれほど卑怯で、卑劣な男か私が一番よく分かっております。極力あの男には、近づかないようにいたしますわ。もちろん、ブラッド様から離れない様にもしますし、人気がないところにはいかない様に心掛けます」
正直これ以上、あの男に引っ掻き回されるのは御免だ。とにかく、あの男が何か仕掛けてこない様に、今日は十分警戒するつもりだ。
「さすがブラッド様が、贈って下さっただけの事はございますわ。今日のお嬢様は、月の女神様みたいですわ」
「あら、お嬢様の笑顔は太陽の様ですから、太陽の女神ですわね」
「もう、皆。お世辞はそれくらいにしてちょうだい。確かに素敵なドレスね。ブラッド様に、お礼を言わないと」
私には勿体ないくらい、素敵なドレスだ。
貴族学院卒業まで1ヶ月を切った今日は、年に一度の貴族学院主催の夜会だ。この日の為に、ブラッド様がドレスを贈って下さった。これがブラッド様と参加できる、最後の夜会だろう。目いっぱい楽しもうと思っている。
「さあ、仕上がりましたよ。ブラッド様が首を長くしてお待ちでしょうから、早く行って差し上げて下さいませ」
使用人たちが、目を輝させている。彼女たちは一体何を言っているのかしら。どうしてブラッド様が、首を長くして待っているというの?そう思いながら部屋から出ると、なんとブラッド様が待っていてくれたのだ。
「ブラッド様、わざわざ待っていて下さったのですか?」
「ああ、もちろんだよ。今日のアントアーネは、いつも以上に美しいな。そのドレス、とてもよく似合っているよ」
「まあ、ブラッド様ったら、お世辞がお上手ですね。ブラッド様、こんなにも素敵なドレスを、ありがとうございます。私には勿体ないくらいですわ」
「勿体ないだなんて、アントアーネは本当に謙虚だね。さあ、行こうか」
差し出された手を、しっかり握る。ブラッド様の手、大きくて温かい。あと何回、彼の手を握る事が出来るのかしら?
そう考えると、胸がチクリと痛んだ。貴族学院卒業まで、もう1ヶ月もないのだ。残り少ないブラッド様の時間を、めいっぱい楽しみたい。
2人で馬車に乗り込み、学院を目指す。
「ブラッド様、今日のエスコート、よろしくお願いします」
「ああ、もちろんだよ。アントアーネをエスコートできるだなんて、本当に光栄な事だ」
「あら、それはこちらのセリフですわ。ブラッド様は本当に優秀ですもの。最後のテストも、学年1位でしたものね」
不正事件というハプニングがあったものの、ブラッド様は最後のテストも1位だったのだ。本当にすごい。
「それをいうなら、アントアーネも頑張っただろう。まさか学年2位だなんてね」
「それはブラッド様のお陰ですわ」
ブラッド様が、つきっきりで勉強を見てくれたお陰だ。ブラッド様が来てから、私の生活はいい意味で180度変わった。真っ暗で絶望だった世界が、一気に明るくなったのだ。本当に彼には感謝してもしきれない。
「アントアーネ、こっちを向いて」
急にブラッド様に呼ばれて、彼の方を振り向く。なぜか真剣な顔をしている。一体どうしたのだろう。
「アントアーネ、どうやらラドル殿はまだ、君を諦めていないようだ。今回も君のエスコートを申し出ていたうえ、ドレスも送って来ていた様だよ。もちろん伯爵が、丁重にお断りしたみたいだが。
もしかしたら、今回の夜会で何らかの動きをしてくるかもしれない。彼は婚約者だったアントアーネを、平気で陥れる様な男だ。どんな手を使ってくるか分からない。いいかい、俺から極力離れないでくれ。分かったね」
真剣な表情で、ブラッド様が私に話しをしてきた。私も薄々は気が付いている。あの男はまだ、私に執着をしている事を。
「ええ、分かっておりますわ。あの人がどれほど卑怯で、卑劣な男か私が一番よく分かっております。極力あの男には、近づかないようにいたしますわ。もちろん、ブラッド様から離れない様にもしますし、人気がないところにはいかない様に心掛けます」
正直これ以上、あの男に引っ掻き回されるのは御免だ。とにかく、あの男が何か仕掛けてこない様に、今日は十分警戒するつもりだ。
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