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第40話:何もなければいいのですが
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学院に着くと、貴族たちがおしゃれをして、次々と馬車から降りてくる。婚約者ときている人、友人同士で来ている人、1人で来ている人、さまざまだ。もしブラッド様がいなかったら、私はきっと1人寂しく来ていた事だろう。
「行こうか。それにしても、夜の貴族学院はとても綺麗だね」
「ブラッド様は、貴族学院の夜会は初めてですよね。はい、毎年卒業前は、盛大に夜会が行われるのですよ。とはいえ、私たちが参加する夜会は、伯爵以下の貴族が集まっているホールなので、気楽に参加できますわ」
我が国の貴族学院は、侯爵以上と伯爵以下の2グループに分かれている。校舎はもちろん、学力テストなどもすべて別々。本来ならブラッド様は、リューズ王国では侯爵令息なので、侯爵以上の方に入らないといけないのだが、伯爵家にお世話になっているという事で、私と同じ方に通っているのだ。
貴族世界では中~下クラスの貴族ばかりが集まっている為、比較的気楽に参加できる。
「ブラッド様、ホールに行きましょう。今日は中庭も、綺麗にライトアップしているのですよ」
「ああ、行こうか。なんだか楽しみだな」
ブラッド様と一緒に、ホールへと向かう。ホールに着くと、既にたくさんの貴族たちが集まっていた。その中には、ラドル様の姿も。一気に体が強張る。また何か言ってくるのかしら?
そう思っていたが、ラドル様は何もせず、友人たちの元に行ってしまった。あら?珍しいわね。何もしないだなんて。
「アントアーネ、どうしたのだい?不思議そうな顔をして」
「いいえ、何でもありませんわ」
もう私の事を、諦めてくれたのかしら?いいえ、そんな事はないわ。きっと何か企んでいるのよ。
その後、学院長先生の挨拶が行われ、夜会がスタートした。
「アントアーネ、一緒に踊ってくださいますか?」
「ええ、もちろんですわ」
ブラッド様に誘われ、ホールの真ん中へとやって来た。そして、音楽に合わせて踊る。
「アントアーネはダンスが上手だね。とても踊りやすいよ」
「ブラッド様だって、とてもお上手ですわ。リューズ王国では、沢山の令嬢たちと踊ってきたのですか?」
「いいや、俺は誰とも踊った事がないよ。だから今日が俺の、ファーストダンスだ」
そう言って笑ったブラッド様。
「誰とも踊った事がないだなんて…」
あり得ないわ。こんなに素敵な方なのに…
「そんな顔をしないでくれ。俺はアントアーネ以外の女性と、ダンスを踊りたくはなかったのだよ。だから踊らなかっただけだから」
「ブラッド様…申し訳ございません。私のファーストダンスは…」
「そんな事は気にしないでくれ。俺が勝手にやった事だから。さあ、ダンスに集中しよう。やっとアントアーネと踊れたのだからね。今日はめいっぱい楽しみたいんだ」
「そうですね、今日はたくさん踊って楽しみましょう」
ブラッド様と一緒に、数曲ダンスを楽しんだ。
「さすがに疲れただろう。少し休もう」
「ええ、そうですわね」
「どうぞ、飲み物です」
私達が休憩しようとしたタイミングで、学院側が雇った使用人が、飲み物を持ってきてくれた。早速頂く。
「このジュース、とても美味しいわ」
「本当だね、初めて飲んだ味だけれど、とても美味しいよ。せっかくだから、中庭を見に行ってみるかい?」
「そうですね。見に行きましょう。本当に綺麗にライトアップされているのですよ」
2人でホールを出ようとした時だった。
「ヴォーレル侯爵令息殿、先生が渡したいものがあるため、教室に来て欲しいとの事です」
見た事のない男性が、ブラッド様に話しかけてきたのだ。こんな人、貴族学院にいたかしら?ただ、今回は下の学年の子も来ているから、私が知らないだけかもしれないが…
「教室にかい?本当に先生がそう言ったのかい?」
ブラッド様も、怪訝そうな顔をしている。やはり彼も何やら怪しいと思っているのだろう。
「ええ、そうです。俺は先生に頼まれただけなので。それでは失礼します」
顔色ひとつ変えずに、淡々と話をした後、スタスタとその場を去っていく男性。
「ブラッド様…」
「なんだか物凄く怪しいが…もし本当に先生からの呼び出しだといけないから、ちょっと行ってくるよ。アントアーネ、すぐに戻るから、必ずここにいてくれるかい?絶対に動いてはいけないよ」
「ええ、ここから動かない様にしますわ。人目のあるところにおりますので」
「行こうか。それにしても、夜の貴族学院はとても綺麗だね」
「ブラッド様は、貴族学院の夜会は初めてですよね。はい、毎年卒業前は、盛大に夜会が行われるのですよ。とはいえ、私たちが参加する夜会は、伯爵以下の貴族が集まっているホールなので、気楽に参加できますわ」
我が国の貴族学院は、侯爵以上と伯爵以下の2グループに分かれている。校舎はもちろん、学力テストなどもすべて別々。本来ならブラッド様は、リューズ王国では侯爵令息なので、侯爵以上の方に入らないといけないのだが、伯爵家にお世話になっているという事で、私と同じ方に通っているのだ。
貴族世界では中~下クラスの貴族ばかりが集まっている為、比較的気楽に参加できる。
「ブラッド様、ホールに行きましょう。今日は中庭も、綺麗にライトアップしているのですよ」
「ああ、行こうか。なんだか楽しみだな」
ブラッド様と一緒に、ホールへと向かう。ホールに着くと、既にたくさんの貴族たちが集まっていた。その中には、ラドル様の姿も。一気に体が強張る。また何か言ってくるのかしら?
そう思っていたが、ラドル様は何もせず、友人たちの元に行ってしまった。あら?珍しいわね。何もしないだなんて。
「アントアーネ、どうしたのだい?不思議そうな顔をして」
「いいえ、何でもありませんわ」
もう私の事を、諦めてくれたのかしら?いいえ、そんな事はないわ。きっと何か企んでいるのよ。
その後、学院長先生の挨拶が行われ、夜会がスタートした。
「アントアーネ、一緒に踊ってくださいますか?」
「ええ、もちろんですわ」
ブラッド様に誘われ、ホールの真ん中へとやって来た。そして、音楽に合わせて踊る。
「アントアーネはダンスが上手だね。とても踊りやすいよ」
「ブラッド様だって、とてもお上手ですわ。リューズ王国では、沢山の令嬢たちと踊ってきたのですか?」
「いいや、俺は誰とも踊った事がないよ。だから今日が俺の、ファーストダンスだ」
そう言って笑ったブラッド様。
「誰とも踊った事がないだなんて…」
あり得ないわ。こんなに素敵な方なのに…
「そんな顔をしないでくれ。俺はアントアーネ以外の女性と、ダンスを踊りたくはなかったのだよ。だから踊らなかっただけだから」
「ブラッド様…申し訳ございません。私のファーストダンスは…」
「そんな事は気にしないでくれ。俺が勝手にやった事だから。さあ、ダンスに集中しよう。やっとアントアーネと踊れたのだからね。今日はめいっぱい楽しみたいんだ」
「そうですね、今日はたくさん踊って楽しみましょう」
ブラッド様と一緒に、数曲ダンスを楽しんだ。
「さすがに疲れただろう。少し休もう」
「ええ、そうですわね」
「どうぞ、飲み物です」
私達が休憩しようとしたタイミングで、学院側が雇った使用人が、飲み物を持ってきてくれた。早速頂く。
「このジュース、とても美味しいわ」
「本当だね、初めて飲んだ味だけれど、とても美味しいよ。せっかくだから、中庭を見に行ってみるかい?」
「そうですね。見に行きましょう。本当に綺麗にライトアップされているのですよ」
2人でホールを出ようとした時だった。
「ヴォーレル侯爵令息殿、先生が渡したいものがあるため、教室に来て欲しいとの事です」
見た事のない男性が、ブラッド様に話しかけてきたのだ。こんな人、貴族学院にいたかしら?ただ、今回は下の学年の子も来ているから、私が知らないだけかもしれないが…
「教室にかい?本当に先生がそう言ったのかい?」
ブラッド様も、怪訝そうな顔をしている。やはり彼も何やら怪しいと思っているのだろう。
「ええ、そうです。俺は先生に頼まれただけなので。それでは失礼します」
顔色ひとつ変えずに、淡々と話をした後、スタスタとその場を去っていく男性。
「ブラッド様…」
「なんだか物凄く怪しいが…もし本当に先生からの呼び出しだといけないから、ちょっと行ってくるよ。アントアーネ、すぐに戻るから、必ずここにいてくれるかい?絶対に動いてはいけないよ」
「ええ、ここから動かない様にしますわ。人目のあるところにおりますので」
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