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第3話:婚約を白紙に戻したいです
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写真を握りしめ、部屋から出ようと思ったが、今の時間、お父様は騎士団の稽古場に行っている頃だ。
私の父親は現騎士団長、きっとシャーロン様のご両親も、爵位は下だが騎士団長でもあるお父様との関係を強固にしたくて、私とシャーロン様を婚約させたのだろう。
でも、もう私はこれ以上我慢するつもりはない。こんな写真を見せられた今、正直シャーロン様を気持ち悪いとすら感じる。
とにかく私は、一刻も早く彼と婚約破棄をしたいのだ。そうだわ、今まで届いた手紙も全て、お父様に見せよう。正直こんな手紙をお父様が見たらきっと悲しむだろう、そう思っていた。でも今は、この手紙ですら利用したいと考えているのだ。
それにしても、凄い手紙の量だわ。シャーロン様と婚約した当初から手紙は来ていたから、4年分だもの。こんな手紙、捨ててしまおうかとも思ったが、捨てなくて本当によかった。
よし、準備は整った。とりあえず居間に運んでおこう。
居間に大きな箱に入った手紙を運んでいると
「ジャンヌ、一体何を運んでいるの?あら?手紙?」
「ええ、そうですわ。お母様、お父様のお帰りはまだですか?」
「そろそろ帰って来ると思うけれど…」
その時だった。
「お嬢様、旦那様がお帰りになられました」
「そう、ありがとう」
やっと帰ってきたわね。急いでお父様がいるであろう玄関へと向かった。
「お父様、ディーノ、おかえりなさい」
「ただいま、ジャンヌ」
「姉上、ただいま戻りました。なんだか嬉しそうなお顔をされておられますが、何かよいことがあったのですか?」
弟のディーノが笑顔で話しかけて来た。ちなみに3つ下のディーノは今、騎士団に所属しているのだ。
「よい事…はないわね…ただ、お父様。とても大切なお話しがあるのです」
「一体何があったのだい?わかったよ、着替えたらすぐに行くから、待っていなさい」
「分かりました、居間で待っておりますので、すぐに来てくださいね」
お父様とディーノを見送った後、居間でお父様が来るのを待つ。すると、なぜかお母様がやって来たのだ。
「ジャンヌ、わざわざ帰って来たばかりのお父様を呼び出して、一体何の話があるの?私も一緒に聞かせてもらうわね」
どうやらお母様も同席する様だ。しばらく待っていると、お父様がやって来た。
「それでジャンヌ、一体何の話だい?」
「お父様、単刀直入に申し上げます。どうか私とシャーロン様の婚約を破棄してください。お願いします」
お父様とお母様に向かって、深々と頭を下げたのだ。
「ちょっとジャンヌ、あなたは一体何を言っているの?確かにシャーロン様は、あまりジャンヌに興味がないようだけれど、だからって婚約破棄だなんて…」
急に私がシャーロン様と婚約破棄したいと言い出したものだから、お母様が取り乱している。
「少し落ち着きなさい。ジャンヌは、シャーロン殿に好意を抱いていたのではないのかい?彼の為に大好きだった騎士団も辞め、必死に立派な令嬢になれる様に今まで頑張って来たではないか?」
「そうよ、ジャンヌ。シャーロン様との婚約が決まった時、とても喜んでいたじゃない。それなのに、どうして?」
「お父様、お母様、これを見て下さい」
私はシャーロン様と他の令嬢の写真を机の上に並べた。
「これは…シャーロン様?嘘…」
「あの男!不貞を働いていたのか?ジャンヌ、この写真を、一体どこで手に入れたのだい?」
「匿名の手紙に入っていたのです。ここにある手紙の山は、シャーロン様と婚約していた4年の間に、私に届いたものです」
大きな箱に大量に入っている手紙を指さすと、それぞれ両親が手紙を手に取り、読み始めたのだ。
「何なの、この手紙は…酷い…」
「こんなにたくさんの誹謗中傷の手紙が…ジャンヌ、どうしてこの手紙を受け取った時、すぐに言わなかったのだ!シャーロンめ!あいつ、“ジャンヌを絶対に幸せにする”と俺の前で誓ったのに!ジャンヌの気持ちは分かった。シャーロンが不貞行為を行っていた以上、正当な婚約破棄理由になる。早速明日にでも、ディノス侯爵家に出向こう。ディノス侯爵家には使いを出しておくから」
「ジャンヌ、あなたの辛さを分かってあげられなくてごめんなさい。確かにシャーロン様は、ジャンヌに冷たいとは思っていたのだけれど、まさかこんなふしだらな事を行っていただなんて…」
「おい、どういう事だ?シャーロンがジャンヌに冷たくしていたとは!」
「あなたは騎士団の仕事が忙しいからといって、ほとんど夜会に参加しないから知らないでしょうけれど、夜会でもシャーロン様はずっとジャンヌをほったらかしにして、他の令嬢たちと過ごしていたのよ。ただ…2人の問題だからと思っていたのだけれど…」
「どうしてそれをもっと早く言わないのだ!お前はジャンヌがシャーロンに冷たくされていたことを知っていたのに、放置していたのか?」
「あなただって、騎士団の事で頭がいっぱいで、ジャンヌの事を見ていなかったじゃない。そもそもジャンヌとシャーロン様を婚約させたいと言ったのは、あなたでしょう?」
「確かにそうだが、俺は…」
「お2人とも落ち着いて下さい。私はシャーロン様と婚約破棄出来れば、それで満足ですから!」
私の為に喧嘩は止めて欲しい。
私の父親は現騎士団長、きっとシャーロン様のご両親も、爵位は下だが騎士団長でもあるお父様との関係を強固にしたくて、私とシャーロン様を婚約させたのだろう。
でも、もう私はこれ以上我慢するつもりはない。こんな写真を見せられた今、正直シャーロン様を気持ち悪いとすら感じる。
とにかく私は、一刻も早く彼と婚約破棄をしたいのだ。そうだわ、今まで届いた手紙も全て、お父様に見せよう。正直こんな手紙をお父様が見たらきっと悲しむだろう、そう思っていた。でも今は、この手紙ですら利用したいと考えているのだ。
それにしても、凄い手紙の量だわ。シャーロン様と婚約した当初から手紙は来ていたから、4年分だもの。こんな手紙、捨ててしまおうかとも思ったが、捨てなくて本当によかった。
よし、準備は整った。とりあえず居間に運んでおこう。
居間に大きな箱に入った手紙を運んでいると
「ジャンヌ、一体何を運んでいるの?あら?手紙?」
「ええ、そうですわ。お母様、お父様のお帰りはまだですか?」
「そろそろ帰って来ると思うけれど…」
その時だった。
「お嬢様、旦那様がお帰りになられました」
「そう、ありがとう」
やっと帰ってきたわね。急いでお父様がいるであろう玄関へと向かった。
「お父様、ディーノ、おかえりなさい」
「ただいま、ジャンヌ」
「姉上、ただいま戻りました。なんだか嬉しそうなお顔をされておられますが、何かよいことがあったのですか?」
弟のディーノが笑顔で話しかけて来た。ちなみに3つ下のディーノは今、騎士団に所属しているのだ。
「よい事…はないわね…ただ、お父様。とても大切なお話しがあるのです」
「一体何があったのだい?わかったよ、着替えたらすぐに行くから、待っていなさい」
「分かりました、居間で待っておりますので、すぐに来てくださいね」
お父様とディーノを見送った後、居間でお父様が来るのを待つ。すると、なぜかお母様がやって来たのだ。
「ジャンヌ、わざわざ帰って来たばかりのお父様を呼び出して、一体何の話があるの?私も一緒に聞かせてもらうわね」
どうやらお母様も同席する様だ。しばらく待っていると、お父様がやって来た。
「それでジャンヌ、一体何の話だい?」
「お父様、単刀直入に申し上げます。どうか私とシャーロン様の婚約を破棄してください。お願いします」
お父様とお母様に向かって、深々と頭を下げたのだ。
「ちょっとジャンヌ、あなたは一体何を言っているの?確かにシャーロン様は、あまりジャンヌに興味がないようだけれど、だからって婚約破棄だなんて…」
急に私がシャーロン様と婚約破棄したいと言い出したものだから、お母様が取り乱している。
「少し落ち着きなさい。ジャンヌは、シャーロン殿に好意を抱いていたのではないのかい?彼の為に大好きだった騎士団も辞め、必死に立派な令嬢になれる様に今まで頑張って来たではないか?」
「そうよ、ジャンヌ。シャーロン様との婚約が決まった時、とても喜んでいたじゃない。それなのに、どうして?」
「お父様、お母様、これを見て下さい」
私はシャーロン様と他の令嬢の写真を机の上に並べた。
「これは…シャーロン様?嘘…」
「あの男!不貞を働いていたのか?ジャンヌ、この写真を、一体どこで手に入れたのだい?」
「匿名の手紙に入っていたのです。ここにある手紙の山は、シャーロン様と婚約していた4年の間に、私に届いたものです」
大きな箱に大量に入っている手紙を指さすと、それぞれ両親が手紙を手に取り、読み始めたのだ。
「何なの、この手紙は…酷い…」
「こんなにたくさんの誹謗中傷の手紙が…ジャンヌ、どうしてこの手紙を受け取った時、すぐに言わなかったのだ!シャーロンめ!あいつ、“ジャンヌを絶対に幸せにする”と俺の前で誓ったのに!ジャンヌの気持ちは分かった。シャーロンが不貞行為を行っていた以上、正当な婚約破棄理由になる。早速明日にでも、ディノス侯爵家に出向こう。ディノス侯爵家には使いを出しておくから」
「ジャンヌ、あなたの辛さを分かってあげられなくてごめんなさい。確かにシャーロン様は、ジャンヌに冷たいとは思っていたのだけれど、まさかこんなふしだらな事を行っていただなんて…」
「おい、どういう事だ?シャーロンがジャンヌに冷たくしていたとは!」
「あなたは騎士団の仕事が忙しいからといって、ほとんど夜会に参加しないから知らないでしょうけれど、夜会でもシャーロン様はずっとジャンヌをほったらかしにして、他の令嬢たちと過ごしていたのよ。ただ…2人の問題だからと思っていたのだけれど…」
「どうしてそれをもっと早く言わないのだ!お前はジャンヌがシャーロンに冷たくされていたことを知っていたのに、放置していたのか?」
「あなただって、騎士団の事で頭がいっぱいで、ジャンヌの事を見ていなかったじゃない。そもそもジャンヌとシャーロン様を婚約させたいと言ったのは、あなたでしょう?」
「確かにそうだが、俺は…」
「お2人とも落ち着いて下さい。私はシャーロン様と婚約破棄出来れば、それで満足ですから!」
私の為に喧嘩は止めて欲しい。
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