2 / 53
第2話:もう無理です
馬車に乗り込んだ瞬間、涙が溢れだす。
「私…惨めね…どんなに令嬢らしく振舞っても、他の令嬢から怖がられたり、勇ましいと言われたりして…シャーロン様もきっと、こんな勇ましい女、嫌いよね…」
大好きだった騎士団も辞め、楽しくもない夜会にも参加して、何とか令嬢らしくなろうと今まで必死に頑張って来た。
それもこれも、少しでもシャーロン様の隣に並んだとき、恥ずかしくない様にするため。でも、どんなに私が頑張っても、シャーロン様の隣にはふさわしくないのだ。
現にシャーロン様も、私に寄り付きもしない。こんな状況でシャーロン様と結婚しても、お互い辛いだけ。
シャーロン様が好きだった。だからこそ、自分が嫌われている状況で、彼と結婚なんてしたくない。彼には好きな人と結婚して欲しい。
でも今更婚約破棄だなんて、出来るのかしら?そもそも私たちの婚約は、親同士が決めた事。だからこそ、シャーロン様も私との婚約を断れなかったのだろう。
やっぱりこのまま私は、シャーロン様と結婚するしかないのかしら?親の命令で私と婚約させられたシャーロン様。令嬢たちはもちろん、令息たちからも同情されていると聞く。
いい加減、シャーロン様を解放してあげたい。一度お父様に話しをしてみようかしら?でも、家は伯爵家で相手は侯爵家。我が家から婚約破棄の話をしたら、シャーロン様のご両親もいい気はしないだろう。
本当に貴族というものは、面倒な世界だ。
なんだか今日はどっと疲れた。
屋敷に戻ってきた私は、すぐに湯あみを済ませ、そのまま眠りについたのだった。
翌日
「お嬢様、お手紙が届いておりますわ」
メイドが私に手紙を持ってきてくれたのだ。差出人を見たが、何も書かれていない。
またか…
手紙を開けると案の定、私に対する辛辣な言葉が書かれていた。
“いい加減シャーロン様を解放してあげて”
“シャーロン様がお可哀そう。彼はあなたを嫌っている”
“シャーロン様の前から消えろ”
などなどだ。どうやら私が怖い様で、直接言ってこられない人たちがこのような手紙を送ってくるのだ。この手紙にも随分慣れた。
「あら?これは何かしら?」
手紙のほかに、何枚かの紙が入っていたのだ。
「きゃぁ、何なの!これは!」
それはシャーロン様と令嬢の写真だったのだ。シャーロン様と令嬢が抱き合っている写真、口づけをしている写真、胸に顔をうずめている写真。
それもどれも別の令嬢ではないか。
あまりの衝撃的な写真に、吐き気を覚え、トイレに駆け込んだ。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
メイドたちが心配して私の後を付いて来た。
「ええ…大丈夫よ。ちょっと体調が悪くなってしまって…少し休むわ」
一旦ベッドに横になる。
我が国では、婚約者以外の異性との不貞行為は、貴族世界でも嫌われている。たとえ親同士が決めた婚約だったとしても、不貞を働く事を良しとはしないのだ。
ただ、近年親同士の婚約に反発するため、あえて不貞を働き婚約破棄を狙う人が増えているとも聞いたことがある。要するに、シャーロン様もどうしても私と婚約破棄がしたくて、不貞を働いたという事なのね。
「随分と舐めた真似をしてくれるじゃない!ここまでされたら、さすがの私も、シャーロン様と結婚なんてする事は出来ないわ!」
この4年、どんなに相手にされなくても、彼に近づきたくて必死に頑張って来た。大好きな騎士団も辞め、苦手なマナーレッスンも必死に受け、シャーロン様の隣にいても恥ずかしくない令嬢になるため自分を犠牲にして来たのだ。
もちろん、私にも至らないところがあっただろう。それは分かっている。
それでもまさか不貞行為を働くだなんて。それも色々な令嬢と。さすがに気持ち悪い。
一気にシャーロン様への気持ちが消えていく。そもそも私、どうしてそこまでシャーロン様の事が好きだったのかしら?
そうだわ、騎士団時代、強すぎる私に嫉妬した令息たちに嵌められ、無実の罪を着せられたのだったわ。それをシャーロン様が危険を顧みず、私の無罪を証明してくれたのだ。私を守ってくれたシャーロン様の姿を見て、好きになったのだった。
あの時のシャーロン様は、とてもカッコよかったわ。
でも…
こうなってしまった以上、もう私はシャーロン様の婚約者でいる事なんて出来ない。シャーロン様も一刻も早く、婚約破棄をしたいと考えているはずだろう。
こうしちゃいられない。すぐにお父様に話しをしないと!
「私…惨めね…どんなに令嬢らしく振舞っても、他の令嬢から怖がられたり、勇ましいと言われたりして…シャーロン様もきっと、こんな勇ましい女、嫌いよね…」
大好きだった騎士団も辞め、楽しくもない夜会にも参加して、何とか令嬢らしくなろうと今まで必死に頑張って来た。
それもこれも、少しでもシャーロン様の隣に並んだとき、恥ずかしくない様にするため。でも、どんなに私が頑張っても、シャーロン様の隣にはふさわしくないのだ。
現にシャーロン様も、私に寄り付きもしない。こんな状況でシャーロン様と結婚しても、お互い辛いだけ。
シャーロン様が好きだった。だからこそ、自分が嫌われている状況で、彼と結婚なんてしたくない。彼には好きな人と結婚して欲しい。
でも今更婚約破棄だなんて、出来るのかしら?そもそも私たちの婚約は、親同士が決めた事。だからこそ、シャーロン様も私との婚約を断れなかったのだろう。
やっぱりこのまま私は、シャーロン様と結婚するしかないのかしら?親の命令で私と婚約させられたシャーロン様。令嬢たちはもちろん、令息たちからも同情されていると聞く。
いい加減、シャーロン様を解放してあげたい。一度お父様に話しをしてみようかしら?でも、家は伯爵家で相手は侯爵家。我が家から婚約破棄の話をしたら、シャーロン様のご両親もいい気はしないだろう。
本当に貴族というものは、面倒な世界だ。
なんだか今日はどっと疲れた。
屋敷に戻ってきた私は、すぐに湯あみを済ませ、そのまま眠りについたのだった。
翌日
「お嬢様、お手紙が届いておりますわ」
メイドが私に手紙を持ってきてくれたのだ。差出人を見たが、何も書かれていない。
またか…
手紙を開けると案の定、私に対する辛辣な言葉が書かれていた。
“いい加減シャーロン様を解放してあげて”
“シャーロン様がお可哀そう。彼はあなたを嫌っている”
“シャーロン様の前から消えろ”
などなどだ。どうやら私が怖い様で、直接言ってこられない人たちがこのような手紙を送ってくるのだ。この手紙にも随分慣れた。
「あら?これは何かしら?」
手紙のほかに、何枚かの紙が入っていたのだ。
「きゃぁ、何なの!これは!」
それはシャーロン様と令嬢の写真だったのだ。シャーロン様と令嬢が抱き合っている写真、口づけをしている写真、胸に顔をうずめている写真。
それもどれも別の令嬢ではないか。
あまりの衝撃的な写真に、吐き気を覚え、トイレに駆け込んだ。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
メイドたちが心配して私の後を付いて来た。
「ええ…大丈夫よ。ちょっと体調が悪くなってしまって…少し休むわ」
一旦ベッドに横になる。
我が国では、婚約者以外の異性との不貞行為は、貴族世界でも嫌われている。たとえ親同士が決めた婚約だったとしても、不貞を働く事を良しとはしないのだ。
ただ、近年親同士の婚約に反発するため、あえて不貞を働き婚約破棄を狙う人が増えているとも聞いたことがある。要するに、シャーロン様もどうしても私と婚約破棄がしたくて、不貞を働いたという事なのね。
「随分と舐めた真似をしてくれるじゃない!ここまでされたら、さすがの私も、シャーロン様と結婚なんてする事は出来ないわ!」
この4年、どんなに相手にされなくても、彼に近づきたくて必死に頑張って来た。大好きな騎士団も辞め、苦手なマナーレッスンも必死に受け、シャーロン様の隣にいても恥ずかしくない令嬢になるため自分を犠牲にして来たのだ。
もちろん、私にも至らないところがあっただろう。それは分かっている。
それでもまさか不貞行為を働くだなんて。それも色々な令嬢と。さすがに気持ち悪い。
一気にシャーロン様への気持ちが消えていく。そもそも私、どうしてそこまでシャーロン様の事が好きだったのかしら?
そうだわ、騎士団時代、強すぎる私に嫉妬した令息たちに嵌められ、無実の罪を着せられたのだったわ。それをシャーロン様が危険を顧みず、私の無罪を証明してくれたのだ。私を守ってくれたシャーロン様の姿を見て、好きになったのだった。
あの時のシャーロン様は、とてもカッコよかったわ。
でも…
こうなってしまった以上、もう私はシャーロン様の婚約者でいる事なんて出来ない。シャーロン様も一刻も早く、婚約破棄をしたいと考えているはずだろう。
こうしちゃいられない。すぐにお父様に話しをしないと!
あなたにおすすめの小説
【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない
かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、
それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。
しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、
結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。
3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか?
聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか?
そもそも、なぜ死に戻ることになったのか?
そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか…
色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、
そんなエレナの逆転勝利物語。
【完結】時戻り令嬢は復讐する
やまぐちこはる
恋愛
ソイスト侯爵令嬢ユートリーと想いあう婚約者ナイジェルス王子との結婚を楽しみにしていた。
しかしナイジェルスが長期の視察に出た数日後、ナイジェルス一行が襲撃された事を知って倒れたユートリーにも魔の手が。
自分の身に何が起きたかユートリーが理解した直後、ユートリーの命もその灯火を消した・・・と思ったが、まるで悪夢を見ていたように目が覚める。
夢だったのか、それともまさか時を遡ったのか?
迷いながらもユートリーは動き出す。
サスペンス要素ありの作品です。
設定は緩いです。
6時と18時の一日2回更新予定で、全80話です、よろしくお願い致します。
奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました
水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。
それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。
しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。
王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。
でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。
◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。
◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。
◇レジーナブックスより書籍発売中です!
本当にありがとうございます!
愛しているなら何でもできる? どの口が言うのですか
風見ゆうみ
恋愛
「君のことは大好きだけど、そういうことをしたいとは思えないんだ」
初夜の晩、爵位を継いで伯爵になったばかりの夫、ロン様は私を寝室に置いて自分の部屋に戻っていった。
肉体的に結ばれることがないまま、3ヶ月が過ぎた頃、彼は私の妹を連れてきて言った。
「シェリル、落ち着いて聞いてほしい。ミシェルたちも僕たちと同じ状況らしいんだ。だから、夜だけパートナーを交換しないか?」
「お姉様が生んだ子供をわたしが育てて、わたしが生んだ子供をお姉様が育てれば血筋は途切れないわ」
そんな提案をされた私は、その場で離婚を申し出た。
でも、夫は絶対に別れたくないと離婚を拒み、両親や義両親も夫の味方だった。
※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
【完結】婚約破棄に祝砲を。あら、殿下ったらもうご結婚なさるのね? では、祝辞代わりに花嫁ごと吹き飛ばしに伺いますわ。
猫屋敷むぎ
恋愛
王都最古の大聖堂。
ついに幸せいっぱいの結婚式を迎えた、公女リシェル・クレイモア。
しかし、一年前。同じ場所での結婚式では――
見知らぬ女を連れて現れたセドリック王子が、高らかに宣言した。
「俺は――愛を選ぶ! お前との婚約は……破棄だ!」
確かに愛のない政略結婚だったけれど。
――やがて、仮面の執事クラウスと共に踏み込む、想像もできなかった真実。
「お嬢様、祝砲は芝居の終幕でと、相場は決まっております――」
仮面が落ちるとき、空を裂いて祝砲が鳴り響く。
シリアスもラブも笑いもまとめて撃ち抜く、“婚約破棄から始まる、公女と執事の逆転ロマンス劇場”、ここに開幕!
――ミステリ仕立ての愛と逆転の物語です。スッキリ逆転、ハピエン保証。
※「小説家になろう」にも掲載。
※ アルファポリス完結恋愛13位。応援ありがとうございます。
元カレの今カノは聖女様
abang
恋愛
「イブリア……私と別れて欲しい」
公爵令嬢 イブリア・バロウズは聖女と王太子の愛を妨げる悪女で社交界の嫌われ者。
婚約者である王太子 ルシアン・ランベールの関心は、品行方正、心優しく美人で慈悲深い聖女、セリエ・ジェスランに奪われ王太子ルシアンはついにイブリアに別れを切り出す。
極め付けには、王妃から嫉妬に狂うただの公爵令嬢よりも、聖女が婚約者に適任だと「ルシアンと別れて頂戴」と多額の手切れ金。
社交会では嫉妬に狂った憐れな令嬢に"仕立てあげられ"周りの人間はどんどんと距離を取っていくばかり。
けれども当の本人は…
「悲しいけれど、過ぎればもう過去のことよ」
と、噂とは違いあっさりとした様子のイブリア。
それどころか自由を謳歌する彼女はとても楽しげな様子。
そんなイブリアの態度がルシアンは何故か気に入らない様子で…
更には婚約破棄されたイブリアの婚約者の座を狙う王太子の側近達。
「私をあんなにも嫌っていた、聖女様の取り巻き達が一体私に何の用事があって絡むの!?嫌がらせかしら……!」
私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです
風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。
婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。
そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!?
え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!?
※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。
※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。