10 / 53
第10話:家族は皆私の味方です
しおりを挟む
「ジャンヌ、俺があんな男と婚約させたばかりに、本当にすまなかった。これからはジャンヌが望む様に生きたらいい。そうだ、騎士団に戻りたいのだろう?早速手配をしておくよ」
「お父様、謝らないで下さい。私もシャーロン様との婚約を望んでおりましたので。それから騎士団の件、よろしくお願いいたします。私はやはり、ドレスよりも剣や竹刀の方があっていますわ」
私にはやっぱり、華やかな夜会や美しいドレスや宝石よりも、汗を流しながら体を動かす方があっているのだ。
「ジャンヌ、騎士団に戻るのはいいけれど、あなたは伯爵令嬢なのよ。夜会には定期的に出ないさい」
「ジャンヌはずっと息苦しい生活をしてきたのだから、しばらく夜会はいいだろう。それに騎士団員の中には、貴族であっても夜会にはほとんど参加していない者も多い。現に俺だって…」
「それは私があなたの尻拭いをしているからでしょう?とにかく私はジャンヌの将来を考えて、どう転んでもいい様に色々な道筋を残しておきたいと考えているのです。騎士団の事しか考えていないあなたは、黙っていてください」
「誰が騎士団の事しか考えていないだって?俺はジャンヌの事も、ディーノも事も大切に思っている」
またお父様とお母様が喧嘩を始めたわ。
「お2人とも落ち着いて下さい。気持ちの整理が付いたら、また夜会にも参加いたします。私はこれでも伯爵令嬢ですので。ただ、これからはずっと騎士団員として生きていきたいと考えておりますわ」
もう令息との婚約は懲り懲りだ。それにこんな私を受け入れてくれる殿方なんて、もう現れないだろうし。
「ジャンヌがそうしたいのなら、そうすればいい。ジャンヌ、俺のせいで本当にすまなかった」
お父様が改めて頭を下げて来たのだ。
「何度も言いますが、もう謝らないで下さい。もうこの話しは終わりにしましょう」
無事シャーロン様と婚約破棄出来たのだ。目的は達成した。これ以上過去にこだわっても仕方がない、これからは前を向いて歩きたいのだ。
屋敷に着くと、早速お父様は出掛けて行った。きっと私が騎士団員に戻るための手続きを行いに行ってくれたのだろう。
部屋に戻ると、早速クローゼットの奥にしまってあった騎士団の制服や竹刀などを引きずり出してきた。
もう二度とこの制服に袖を通すことはないと思っていたけれど、また騎士団の制服が着られるのね。でも…
「あれ?入らないわ…」
4年ぶりに騎士団の制服を着ようと思ったのだが、小さくて全く入らない。
「お嬢様、さすがに4年前の制服は、もう着られないのでは?旦那様が新しい制服を手配してくださるでしょうから」
メイドがあきれ顔で呟いている。確かにそうよね、4年前の服はさすがに着られないか。
その日の夜
「姉上、シャーロン殿と婚約破棄をしたと伺いました。シャーロン殿はずっと姉上をほったらかしにして、他の令嬢と仲良くしておりましたものね。今までよく耐えましたね。また姉上と一緒に、騎士団に行けると思うと、俺も嬉しいです」
「ディーノにまで色々と心配をかけてしまって、ごめんなさい。私もまたディーノと一緒に、騎士団の稽古を受けられると思うと嬉しいわ」
「ディーノ、話しは後でゆっくりできるだろう。一度着替えて来なさい」
後ろからやって来たお父様に促され、ディーノが一旦部屋に戻った。その後4人で食事をする。
「ジャンヌ、今回の件、本当にすまなかった。騎士団の件も、今日入団手続きを行って来た。ただ、騎士団の制服の手配等もあるから、入団は少し先になりそうだ」
「あら、制服の手配なんて、そんなにお時間がかからないのではなくって。私、明日から騎士団の稽古に参加したいですわ」
「ジャンヌの気持ちは分かるが、女性の騎士団員はほとんどいないからな。制服は特注になるのだよ。とりあえず明日採寸を行おう」
「あら、それなら男性用の制服で十分ですわ。昔は男性用の衣装を着ておりましたし」
「それは無理だ。ほら、バストとか…納まらないだろう」
お父様が気まずそうに呟いた。そうか、私の体はこの4年で、随分女性らしくなった。確かに男性用の制服は無理か…
「姉上、そんなに慌てなくても騎士団は逃げませんよ。それに今まで色々と大変な思いをしたのですから、どうか入団までゆっくり休んでください」
「そうよ、ジャンヌ。あなたはこの4年、無理をして来たのでしょう。ジャンヌの辛さ、もっと早く気が付いてあげられなくてごめんね」
お母様が私をギュッと抱きしめた。
「ジャンヌ、俺たちはずっとジャンヌの味方だ。もしまた何か困ったことがあったら、すぐに相談してくれ」
「そうですよ、姉上。もしまたシャーロン殿が姉上に絡んで来たら、俺が追い払いますから」
優しい眼差しでお父様とディーノが私を見つめている。
「ありがとうございます。私にはこんなに素敵な家族が、いつも味方でいてくれていたのですね。私、今度こそ幸せに生きられる様に頑張りますわ」
シャーロン様との婚約期間は、辛い事も多かった。でも…
こんな風に私の味方でいてくれる家族の存在を改めて認識できたことは、よかったのかもしれない。大切な家族の為にも、これから私は自分らしく生きないとね。
「お父様、謝らないで下さい。私もシャーロン様との婚約を望んでおりましたので。それから騎士団の件、よろしくお願いいたします。私はやはり、ドレスよりも剣や竹刀の方があっていますわ」
私にはやっぱり、華やかな夜会や美しいドレスや宝石よりも、汗を流しながら体を動かす方があっているのだ。
「ジャンヌ、騎士団に戻るのはいいけれど、あなたは伯爵令嬢なのよ。夜会には定期的に出ないさい」
「ジャンヌはずっと息苦しい生活をしてきたのだから、しばらく夜会はいいだろう。それに騎士団員の中には、貴族であっても夜会にはほとんど参加していない者も多い。現に俺だって…」
「それは私があなたの尻拭いをしているからでしょう?とにかく私はジャンヌの将来を考えて、どう転んでもいい様に色々な道筋を残しておきたいと考えているのです。騎士団の事しか考えていないあなたは、黙っていてください」
「誰が騎士団の事しか考えていないだって?俺はジャンヌの事も、ディーノも事も大切に思っている」
またお父様とお母様が喧嘩を始めたわ。
「お2人とも落ち着いて下さい。気持ちの整理が付いたら、また夜会にも参加いたします。私はこれでも伯爵令嬢ですので。ただ、これからはずっと騎士団員として生きていきたいと考えておりますわ」
もう令息との婚約は懲り懲りだ。それにこんな私を受け入れてくれる殿方なんて、もう現れないだろうし。
「ジャンヌがそうしたいのなら、そうすればいい。ジャンヌ、俺のせいで本当にすまなかった」
お父様が改めて頭を下げて来たのだ。
「何度も言いますが、もう謝らないで下さい。もうこの話しは終わりにしましょう」
無事シャーロン様と婚約破棄出来たのだ。目的は達成した。これ以上過去にこだわっても仕方がない、これからは前を向いて歩きたいのだ。
屋敷に着くと、早速お父様は出掛けて行った。きっと私が騎士団員に戻るための手続きを行いに行ってくれたのだろう。
部屋に戻ると、早速クローゼットの奥にしまってあった騎士団の制服や竹刀などを引きずり出してきた。
もう二度とこの制服に袖を通すことはないと思っていたけれど、また騎士団の制服が着られるのね。でも…
「あれ?入らないわ…」
4年ぶりに騎士団の制服を着ようと思ったのだが、小さくて全く入らない。
「お嬢様、さすがに4年前の制服は、もう着られないのでは?旦那様が新しい制服を手配してくださるでしょうから」
メイドがあきれ顔で呟いている。確かにそうよね、4年前の服はさすがに着られないか。
その日の夜
「姉上、シャーロン殿と婚約破棄をしたと伺いました。シャーロン殿はずっと姉上をほったらかしにして、他の令嬢と仲良くしておりましたものね。今までよく耐えましたね。また姉上と一緒に、騎士団に行けると思うと、俺も嬉しいです」
「ディーノにまで色々と心配をかけてしまって、ごめんなさい。私もまたディーノと一緒に、騎士団の稽古を受けられると思うと嬉しいわ」
「ディーノ、話しは後でゆっくりできるだろう。一度着替えて来なさい」
後ろからやって来たお父様に促され、ディーノが一旦部屋に戻った。その後4人で食事をする。
「ジャンヌ、今回の件、本当にすまなかった。騎士団の件も、今日入団手続きを行って来た。ただ、騎士団の制服の手配等もあるから、入団は少し先になりそうだ」
「あら、制服の手配なんて、そんなにお時間がかからないのではなくって。私、明日から騎士団の稽古に参加したいですわ」
「ジャンヌの気持ちは分かるが、女性の騎士団員はほとんどいないからな。制服は特注になるのだよ。とりあえず明日採寸を行おう」
「あら、それなら男性用の制服で十分ですわ。昔は男性用の衣装を着ておりましたし」
「それは無理だ。ほら、バストとか…納まらないだろう」
お父様が気まずそうに呟いた。そうか、私の体はこの4年で、随分女性らしくなった。確かに男性用の制服は無理か…
「姉上、そんなに慌てなくても騎士団は逃げませんよ。それに今まで色々と大変な思いをしたのですから、どうか入団までゆっくり休んでください」
「そうよ、ジャンヌ。あなたはこの4年、無理をして来たのでしょう。ジャンヌの辛さ、もっと早く気が付いてあげられなくてごめんね」
お母様が私をギュッと抱きしめた。
「ジャンヌ、俺たちはずっとジャンヌの味方だ。もしまた何か困ったことがあったら、すぐに相談してくれ」
「そうですよ、姉上。もしまたシャーロン殿が姉上に絡んで来たら、俺が追い払いますから」
優しい眼差しでお父様とディーノが私を見つめている。
「ありがとうございます。私にはこんなに素敵な家族が、いつも味方でいてくれていたのですね。私、今度こそ幸せに生きられる様に頑張りますわ」
シャーロン様との婚約期間は、辛い事も多かった。でも…
こんな風に私の味方でいてくれる家族の存在を改めて認識できたことは、よかったのかもしれない。大切な家族の為にも、これから私は自分らしく生きないとね。
180
あなたにおすすめの小説
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。
【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる
kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。
いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。
実はこれは二回目の人生だ。
回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。
彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。
そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。
その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯
そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。
※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。
※ 設定ゆるゆるです。
【完結】見えてますよ!
ユユ
恋愛
“何故”
私の婚約者が彼だと分かると、第一声はソレだった。
美少女でもなければ醜くもなく。
優秀でもなければ出来損ないでもなく。
高貴でも無ければ下位貴族でもない。
富豪でなければ貧乏でもない。
中の中。
自己主張も存在感もない私は貴族達の中では透明人間のようだった。
唯一認識されるのは婚約者と社交に出る時。
そしてあの言葉が聞こえてくる。
見目麗しく優秀な彼の横に並ぶ私を蔑む令嬢達。
私はずっと願っていた。彼に婚約を解消して欲しいと。
ある日いき過ぎた嫌がらせがきっかけで、見えるようになる。
★注意★
・閑話にはR18要素を含みます。
読まなくても大丈夫です。
・作り話です。
・合わない方はご退出願います。
・完結しています。
その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*
音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。
塩対応より下があるなんて……。
この婚約は間違っている?
*2021年7月完結
殿下、毒殺はお断りいたします
石里 唯
恋愛
公爵令嬢エリザベスは、王太子エドワードから幼いころから熱烈に求婚され続けているが、頑なに断り続けている。
彼女には、前世、心から愛した相手と結ばれ、毒殺された記憶があり、今生の目標は、ただ穏やかな結婚と人生を全うすることなのだ。
容姿端麗、文武両道、加えて王太子という立場で国中の令嬢たちの憧れであるエドワードと結婚するなどとんでもない選択なのだ。
彼女の拒絶を全く意に介しない王太子、彼女を溺愛し生涯手元に置くと公言する兄を振り切って彼女は人生の目標を達成できるのだろうか。
「小説家になろう」サイトで完結済みです。大まかな流れに変更はありません。
「小説家になろう」サイトで番外編を投稿しています。
【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ
・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。
アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。
『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』
そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。
傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。
アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。
捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。
--注意--
こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。
一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。
二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪
※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。
※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。
あなただけが私を信じてくれたから
樹里
恋愛
王太子殿下の婚約者であるアリシア・トラヴィス侯爵令嬢は、茶会において王女殺害を企てたとして冤罪で投獄される。それは王太子殿下と恋仲であるアリシアの妹が彼女を排除するために計画した犯行だと思われた。
一方、自分を信じてくれるシメオン・バーナード卿の調査の甲斐もなく、アリシアは結局そのまま断罪されてしまう。
しかし彼女が次に目を覚ますと、茶会の日に戻っていた。その日を境に、冤罪をかけられ、断罪されるたびに茶会前に回帰するようになってしまった。
処刑を免れようとそのたびに違った行動を起こしてきたアリシアが、最後に下した決断は。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる