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第22話:夜会に参加します
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騎士団に再入団してから、早3ヶ月。最初の頃は怪我をしたりして色々とトラブルもあったが、今は随分と落ち着いている。グラディオンは相変わらずお節介で、私の自主練習にも毎日付き合ってくれているのだ。
なぜかあの日以降、グラディオンの事を意識している自分がいるが、きっと気のせいだろう。それにグラディオンだって、私の事を女として見てはいない。私達はただの上司と部下…いいや、昔からの大切な友人なのだ。
これからもグラディオンとは、上司であり友人としてずっと一緒にいられたら、そう思っている。
今日もいつもの様に稽古をこなした後、グラディオンが話しかけて来た。
「ジャンヌが帰り支度をしているだなんて、珍しいな。今日は自主練習をしなくていいのか?」
「今日はグルシュファー伯爵家で行われる夜会に参加するの。私は一応伯爵令嬢だし、お母様にも夜会には定期的に出る様に言われているし。久しぶりにアリスにも会いたいしね」
シャーロン様と婚約破棄をして以降、初めての夜会だ。本当はものすごく行きたくないが、私はこれでも伯爵令嬢。ずっと夜会を避けている訳にはいかない。それに何よりも、嫌だからと言って逃げるだなんて、なんだかみっともない気がするのだ。
私は悪い事をしている訳ではないのだから、堂々と夜会に出ようと思っている。それにグルシュファー伯爵家の令嬢、アリスは大切な友人だし。アリスとも色々と話がしたいと思っている。騎士団に入団してから、忙しくてなかなかアリスに会う機会もなかったのだ。
きっと私の事を心配してくれているだろう。
「でも夜会には、シャーロンもいるぞ…て、すまない。ジャンヌ、別に伯爵令嬢だからと言って、無理に夜会に出なくても俺はいいと思う。騎士団の連中も、貴族が多いが、夜会なんて出ていない者も多い。俺だって、出ていないし…」
「皆はそうかもしれないけれど、私はちゃんと貴族の義務も果たしたいの。居心地が悪い、あの場所には私の居場所はない、そんな不満ばかり言っていたら、もっと居場所がなくなるでしょう。この3ヶ月、騎士団で過ごして思ったの。もう私、何からも逃げたくないって。だから、夜会に参加するわ」
「…本当にジャンヌは強いな…俺がどんなに頑張っても、やっぱりジャンヌには追い付けないや…」
グラディオンが何やら小声で呟いているが、全く聞こえない。一体どうしたのかしら?
「グラディオン?」
「いや、何でもないよ。それじゃあ、気を付けて帰れよ。また明日」
「ええ、また明日」
グラディオンと別れ、お父様とディーノの待つ馬車へと乗り込んだ。
「姉上、本当に今日の夜会に参加するおつもりですか?夜会にはシャーロン殿も来ているでしょうし。あの男、姉上の事を…いえ、何でもありません」
ディーノが何か言いかけて俯いてしまった。一体どうしたのかしら?
「ジャンヌ、俺も無理して夜会になんて参加しなくてもいいと思っている。それにあることない事噂する奴もたくさんいるし、何よりもシャーロンもいる。母さんはすぐにジャンヌに“伯爵令嬢としての務めを果たせ”というけれど、俺はジャンヌが望むなら、結婚せずにずっと騎士団にいたらいいと思っているぞ」
お父様ったら。どうやら私とシャーロン様を婚約させてしまった事に、責任を感じている様だ。
「お父様もディーノもありがとう。でも私は、嫌な事から逃げ出すような人間にはなりたくはないのです。それに私は何も悪い事をしておりませんし、陰口をたたきたい人は、叩いていればいいのです。私は今日、堂々と夜会に参加いたしますわ」
今日の夜会、胸を張って参加するつもりだ。もう誰に何を言われようと、関係ない。私に非はないのだから、堂々としていればいい。それが本来の私だ。
「ジャンヌは強いな。ジャンヌがそう決めたのなら、俺はこれ以上言わない。俺も今日の夜会は絶対に参加しろと母さんから言われているから、参加するし。もし嫌な事があったら、すぐに帰ってこればいい」
「お父様ったら。お気遣いありがとうございます。でも、本当に大丈夫ですから」
お父様に笑顔を向けた。
そんな話をしている間に、馬車が屋敷に着いたので、湯あみを済ませ着替えをする。久しぶりに着るドレス、今日も私の瞳の色に合わせた真っ赤なドレスだ。
赤いドレスを着ると、なぜか気が引き締まる。よし、今日はしっかりと戦って来てやろうじゃない。夜会は令嬢にとって、いわば戦場の様なもの。どんな場所だって、私は絶対に負けない。
鏡に映る自分を見つめ、そう誓った。
「お嬢様、そろそろお時間です」
「ありがとう、それじゃあ、行ってくるわね」
なぜかあの日以降、グラディオンの事を意識している自分がいるが、きっと気のせいだろう。それにグラディオンだって、私の事を女として見てはいない。私達はただの上司と部下…いいや、昔からの大切な友人なのだ。
これからもグラディオンとは、上司であり友人としてずっと一緒にいられたら、そう思っている。
今日もいつもの様に稽古をこなした後、グラディオンが話しかけて来た。
「ジャンヌが帰り支度をしているだなんて、珍しいな。今日は自主練習をしなくていいのか?」
「今日はグルシュファー伯爵家で行われる夜会に参加するの。私は一応伯爵令嬢だし、お母様にも夜会には定期的に出る様に言われているし。久しぶりにアリスにも会いたいしね」
シャーロン様と婚約破棄をして以降、初めての夜会だ。本当はものすごく行きたくないが、私はこれでも伯爵令嬢。ずっと夜会を避けている訳にはいかない。それに何よりも、嫌だからと言って逃げるだなんて、なんだかみっともない気がするのだ。
私は悪い事をしている訳ではないのだから、堂々と夜会に出ようと思っている。それにグルシュファー伯爵家の令嬢、アリスは大切な友人だし。アリスとも色々と話がしたいと思っている。騎士団に入団してから、忙しくてなかなかアリスに会う機会もなかったのだ。
きっと私の事を心配してくれているだろう。
「でも夜会には、シャーロンもいるぞ…て、すまない。ジャンヌ、別に伯爵令嬢だからと言って、無理に夜会に出なくても俺はいいと思う。騎士団の連中も、貴族が多いが、夜会なんて出ていない者も多い。俺だって、出ていないし…」
「皆はそうかもしれないけれど、私はちゃんと貴族の義務も果たしたいの。居心地が悪い、あの場所には私の居場所はない、そんな不満ばかり言っていたら、もっと居場所がなくなるでしょう。この3ヶ月、騎士団で過ごして思ったの。もう私、何からも逃げたくないって。だから、夜会に参加するわ」
「…本当にジャンヌは強いな…俺がどんなに頑張っても、やっぱりジャンヌには追い付けないや…」
グラディオンが何やら小声で呟いているが、全く聞こえない。一体どうしたのかしら?
「グラディオン?」
「いや、何でもないよ。それじゃあ、気を付けて帰れよ。また明日」
「ええ、また明日」
グラディオンと別れ、お父様とディーノの待つ馬車へと乗り込んだ。
「姉上、本当に今日の夜会に参加するおつもりですか?夜会にはシャーロン殿も来ているでしょうし。あの男、姉上の事を…いえ、何でもありません」
ディーノが何か言いかけて俯いてしまった。一体どうしたのかしら?
「ジャンヌ、俺も無理して夜会になんて参加しなくてもいいと思っている。それにあることない事噂する奴もたくさんいるし、何よりもシャーロンもいる。母さんはすぐにジャンヌに“伯爵令嬢としての務めを果たせ”というけれど、俺はジャンヌが望むなら、結婚せずにずっと騎士団にいたらいいと思っているぞ」
お父様ったら。どうやら私とシャーロン様を婚約させてしまった事に、責任を感じている様だ。
「お父様もディーノもありがとう。でも私は、嫌な事から逃げ出すような人間にはなりたくはないのです。それに私は何も悪い事をしておりませんし、陰口をたたきたい人は、叩いていればいいのです。私は今日、堂々と夜会に参加いたしますわ」
今日の夜会、胸を張って参加するつもりだ。もう誰に何を言われようと、関係ない。私に非はないのだから、堂々としていればいい。それが本来の私だ。
「ジャンヌは強いな。ジャンヌがそう決めたのなら、俺はこれ以上言わない。俺も今日の夜会は絶対に参加しろと母さんから言われているから、参加するし。もし嫌な事があったら、すぐに帰ってこればいい」
「お父様ったら。お気遣いありがとうございます。でも、本当に大丈夫ですから」
お父様に笑顔を向けた。
そんな話をしている間に、馬車が屋敷に着いたので、湯あみを済ませ着替えをする。久しぶりに着るドレス、今日も私の瞳の色に合わせた真っ赤なドレスだ。
赤いドレスを着ると、なぜか気が引き締まる。よし、今日はしっかりと戦って来てやろうじゃない。夜会は令嬢にとって、いわば戦場の様なもの。どんな場所だって、私は絶対に負けない。
鏡に映る自分を見つめ、そう誓った。
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「ありがとう、それじゃあ、行ってくるわね」
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