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第26話:グラディオンと一緒の夜会は楽しいです
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「ジャンヌ、大丈夫か?こんな人気のないところにシャーロンと一緒に来るだなんて、何を考えているんだ。確かにジャンヌの方がシャーロンより強いが、それでもあいつは男だ。ホイホイと付いていくべきではないと俺は思う」
「助けてくれてありがとう。そうね、ごめんなさい。シャーロン様がきちんと話をして、前に進みたいというから、つい…私の考えが甘かったわ。以後気を付けるわ」
まさかシャーロン様があんな風に迫ってくるだなんて。
不適な笑みを浮かべ、ゆっくり私に近づいてくるシャーロン様が脳裏に浮かんだ。その瞬間、背筋がゾクリとする。
「ジャンヌ、顔色が悪いぞ。もう帰った方がいい。送って行こう」
「いいえ、大丈夫よ。それよりも、グラディオンが夜会に来るなんて、珍しいわね。一体どうしたの?」
ふとグラディオンの方を見ると、ビシッとスーツを着こなし、髪もしっかりセットしている。こうやって見ると、立派な侯爵家の嫡男ね。
「ジャンヌが夜会に参加すると聞いて、俺もガルディス侯爵家の嫡男だからな。いつまでも貴族世界から逃げていてはダメだと思ったんだよ。だから今日、両親に付いて急遽参加したんだ」
「そうだったのね。今日のグラディオン、とても素敵よ。どこからどう見ても、立派な貴族だわ」
「ジャンヌもその…赤いドレス、よく似合っているよ」
「そう?ありがとう。せっかくグラディオンも夜会に来たのだから、楽しんでいきましょう。そうだわ、一緒にダンスを踊りましょう」
夜会と言えば、やっぱりダンスよね。グラディオンとなら、一緒に踊れる気がするわ。
「ダンスか。俺はあまりダンスが得意じゃないが…」
「あら、私もダンスは得意じゃないわ。でも、いいじゃない。踊りましょう」
ホールまで戻ってきた私たち。そのままグラディオンの手を引き、皆と一緒にダンスを踊った。
「グラディオン、あなた、なんだかんだ言って上手じゃない」
「ジャンヌこそ、上手いな。俺、夜会とかで令嬢とダンスを踊ったのは、初めてだ」
そう言って恥ずかしそうにグラディオンが笑った。
「グラディオンの初めての相手を務められるだなんて、光栄だわ」
私もつい笑みがこぼれる。なぜだろう、グラディオンと一緒だと、苦痛のはずの夜会も、そんなに嫌だと感じない。それどころか、なんだか楽しいわ。
ダンスが終わった後は、2人で食事を頂いた。
「ジャンヌの好きなステーキがあるぞ。ほら、沢山食べろ」
なぜか嬉しそうに、私の好きなステーキを進めるグラディオン。
「あなただって、お肉が大好きでしょう。このローストビーフも美味しそうよ。こっちにはチキンもあるわ。どれから食べようか迷っちゃうわね」
「別に迷う必要はないだろう。こんなにたくさんあるのだから、全種類制覇しようぜ」
そう言って、グラディオンが沢山のお肉をお皿に乗せている。欲張りね。
「ジャンヌ、俺、ずっと夜会なんて面倒だと思っていたけれど、思ったよりも悪くないな。ご飯は美味しいし、ダンスもそれほど苦にはならないし。俺もこれからは侯爵令息として、少しずつ夜会にも参加していく事にするよ」
「それは本当?グラディオンが夜会に参加してくれると、私も嬉しいわ」
そんな話をしていると
「久しぶりだね、ジャンヌ嬢」
話しかけてきたのは、グラディオンのご両親だ。
「ガルディス侯爵、夫人、お久しぶりですわ。今日はグラディオン…様を連れて来てくださり、ありがとうございました。お陰で楽しい時間を過ごせましたわ」
「お礼を言うのはこちらの方よ。ジャンヌ嬢のお陰で、今日グラディオンは夜会に参加したのよ。グラディオンには次期ガルディス侯爵として、夜会には積極的に参加して欲しいのだけれど、生憎社交界には全く興味がなくて…」
「ジャンヌ嬢、グラディオンの事、これからよろしく頼むよ」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
相変わらず感じのいいご両親だ。その後少しだけグラディオンのご両親と話をした。
さらに再び戻ってきたアリスやダン、騎士団員やその婚約者とも話が出来た。
騎士団員の話では、夜会でずっと私に話し掛けたいと思っていたが、シャーロン様の手前、話し掛けられなかったらしい。
さらに騎士団員の婚約者の令嬢からは
「ジャンヌ様は、とても話しやすい令嬢だったのですね。これからは私とも仲良くしてください」
そう言ってもらえたのだ。
今まで夜会では1人でいる事も多かった。辛く寂しい時間を過ごしていた。
でも今日久しぶりに夜会に参加して、夜会も悪くはないと感じたのだ。もしかしたら、グラディオンがいてくれたからかしら?
貴族世界には私の居場所なんてないと思っていたけれど、そうではなかった。これからは、貴族世界でも少しずつ居場所を見つけて行けたら…そう考えている。
その後も時間が許す限り、夜会を楽しんだのだった。
※次回、シャーロン視点です。
よろしくお願いしますm(__)m
「助けてくれてありがとう。そうね、ごめんなさい。シャーロン様がきちんと話をして、前に進みたいというから、つい…私の考えが甘かったわ。以後気を付けるわ」
まさかシャーロン様があんな風に迫ってくるだなんて。
不適な笑みを浮かべ、ゆっくり私に近づいてくるシャーロン様が脳裏に浮かんだ。その瞬間、背筋がゾクリとする。
「ジャンヌ、顔色が悪いぞ。もう帰った方がいい。送って行こう」
「いいえ、大丈夫よ。それよりも、グラディオンが夜会に来るなんて、珍しいわね。一体どうしたの?」
ふとグラディオンの方を見ると、ビシッとスーツを着こなし、髪もしっかりセットしている。こうやって見ると、立派な侯爵家の嫡男ね。
「ジャンヌが夜会に参加すると聞いて、俺もガルディス侯爵家の嫡男だからな。いつまでも貴族世界から逃げていてはダメだと思ったんだよ。だから今日、両親に付いて急遽参加したんだ」
「そうだったのね。今日のグラディオン、とても素敵よ。どこからどう見ても、立派な貴族だわ」
「ジャンヌもその…赤いドレス、よく似合っているよ」
「そう?ありがとう。せっかくグラディオンも夜会に来たのだから、楽しんでいきましょう。そうだわ、一緒にダンスを踊りましょう」
夜会と言えば、やっぱりダンスよね。グラディオンとなら、一緒に踊れる気がするわ。
「ダンスか。俺はあまりダンスが得意じゃないが…」
「あら、私もダンスは得意じゃないわ。でも、いいじゃない。踊りましょう」
ホールまで戻ってきた私たち。そのままグラディオンの手を引き、皆と一緒にダンスを踊った。
「グラディオン、あなた、なんだかんだ言って上手じゃない」
「ジャンヌこそ、上手いな。俺、夜会とかで令嬢とダンスを踊ったのは、初めてだ」
そう言って恥ずかしそうにグラディオンが笑った。
「グラディオンの初めての相手を務められるだなんて、光栄だわ」
私もつい笑みがこぼれる。なぜだろう、グラディオンと一緒だと、苦痛のはずの夜会も、そんなに嫌だと感じない。それどころか、なんだか楽しいわ。
ダンスが終わった後は、2人で食事を頂いた。
「ジャンヌの好きなステーキがあるぞ。ほら、沢山食べろ」
なぜか嬉しそうに、私の好きなステーキを進めるグラディオン。
「あなただって、お肉が大好きでしょう。このローストビーフも美味しそうよ。こっちにはチキンもあるわ。どれから食べようか迷っちゃうわね」
「別に迷う必要はないだろう。こんなにたくさんあるのだから、全種類制覇しようぜ」
そう言って、グラディオンが沢山のお肉をお皿に乗せている。欲張りね。
「ジャンヌ、俺、ずっと夜会なんて面倒だと思っていたけれど、思ったよりも悪くないな。ご飯は美味しいし、ダンスもそれほど苦にはならないし。俺もこれからは侯爵令息として、少しずつ夜会にも参加していく事にするよ」
「それは本当?グラディオンが夜会に参加してくれると、私も嬉しいわ」
そんな話をしていると
「久しぶりだね、ジャンヌ嬢」
話しかけてきたのは、グラディオンのご両親だ。
「ガルディス侯爵、夫人、お久しぶりですわ。今日はグラディオン…様を連れて来てくださり、ありがとうございました。お陰で楽しい時間を過ごせましたわ」
「お礼を言うのはこちらの方よ。ジャンヌ嬢のお陰で、今日グラディオンは夜会に参加したのよ。グラディオンには次期ガルディス侯爵として、夜会には積極的に参加して欲しいのだけれど、生憎社交界には全く興味がなくて…」
「ジャンヌ嬢、グラディオンの事、これからよろしく頼むよ」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
相変わらず感じのいいご両親だ。その後少しだけグラディオンのご両親と話をした。
さらに再び戻ってきたアリスやダン、騎士団員やその婚約者とも話が出来た。
騎士団員の話では、夜会でずっと私に話し掛けたいと思っていたが、シャーロン様の手前、話し掛けられなかったらしい。
さらに騎士団員の婚約者の令嬢からは
「ジャンヌ様は、とても話しやすい令嬢だったのですね。これからは私とも仲良くしてください」
そう言ってもらえたのだ。
今まで夜会では1人でいる事も多かった。辛く寂しい時間を過ごしていた。
でも今日久しぶりに夜会に参加して、夜会も悪くはないと感じたのだ。もしかしたら、グラディオンがいてくれたからかしら?
貴族世界には私の居場所なんてないと思っていたけれど、そうではなかった。これからは、貴族世界でも少しずつ居場所を見つけて行けたら…そう考えている。
その後も時間が許す限り、夜会を楽しんだのだった。
※次回、シャーロン視点です。
よろしくお願いしますm(__)m
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