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第36話:随分と遠回りしたようです
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「あの日から俺は、ジャンヌを陰で見守ろうと決めたんだ。俺がジャンヌの代わりに騎士団を盛り立てて行こうとも思った。でも、なかなか上手くいかなくて…やっぱりジャンヌはすごい人なんだって、改めて思ったよ」
「私は全然すごくなんてないわ。私が騎士団に戻って来た時、あの頃と変わらない、仲の良い隊が出来上がっていた。いいえ、あの頃以上に、絆の深い隊が。今の隊は紛れもなく、グラディオンが作り上げた素晴らしい隊よ。きっと私では、あんな素晴らしい隊は作れなかったわ」
グラディオンがどれほど騎士団の、今ある隊を必死に作り上げてきた事くらい、騎士団に戻ってすぐにわかった。あんな素晴らしい隊を作り上げ、その上私よりずっと強いグラディオンに最初は嫉妬した。でも今は、尊敬している。
ただ…やっぱり悔しいから、もう少しだけ彼に追いつきたい気持ちがあるが、それは内緒だ。
「ありがとう、ジャンヌに認めてもらえる事を考えて作ってきた隊だ。今俺の気持ちは報われたよ」
ゆっくりと私から離れたグラディオン。目は赤いが、もう泣いていない様だ。
「ジャンヌ、俺は今でもお前が大好きだ。シャーロンなんかよりも、ずっとジャンヌを深く愛していると言い切れる。ただ俺は、臆病でまたジャンヌを傷つけてしまったら…そう考えると、自分の気持ちを伝えられなかった。その結果、ジャンヌに気持ちを伝えさせる羽目になったんだ。本当に男として情けない。こんな情けない俺だけれど、本当にいいのか?俺と本当に婚約してくれるのか?」
「グラディオンは情けなく何てないわ。あなたは誰よりも優しくて、誰よりも素敵な人。子供の頃からそんなグラディオンを見て来ていたはずなのに。今頃グラディオンの魅力に気が付くだなんて。私の目は節穴なのよ。私もグラディオンが大好きよ。グラディオンと一緒にずっといたい。だから私の方こそ、あなた傍にいさせて」
そう伝えると、グラディオンに抱き着いた。温かくて大きな体が、なんだか落ち着く。
「ありがとう、ジャンヌ。俺もジャンヌを愛している」
ゆっくり私を引き離すと、そのままグラディオンの顔が近づいてきて…
唇に温かくて柔らかな感触が…
「私、誰かと口づけをしたの、初めてよ…」
初めての経験に、ついそんな言葉が出てしまった。
「シャーロンとはしなかったのか?4年も婚約していたのに…」
「ええ、あの人は婚約していた4年間、私に触れてはこなかったから…口づけどころか、ろくに手も繋いだことはないわ。夜会の時にエスコートしてもらうくらい。ダンスも踊った記憶があったかなかったか…」
「そうか、それは良かった。それじゃあ、この前のダンスも口づけも、俺が初めてだったのだな。そうか…」
なぜかグラディオンが嬉しそうに呟いている。その顔が、なんだか可愛い。
「私達、随分と遠回りしてしまったわね。グラディオン、私が鈍くておバカなばかりに、本当にごめんなさい」
「いいや、ジャンヌのせいじゃない。俺がヘタレだったのがいけないんだ。ジャンヌ、これからは俺がジャンヌを守るから。もちろん、騎士団も辞める必要はない。2人でもっともっと第7部隊を盛り立てて行こうな」
「ええ、もちろんよ。ありがとう、グラディオン」
一緒に騎士団を盛り立てて行こうか…私ったら何を心配していたのかしら?グラディオンはシャーロン様とは全然違う。グラディオンは私の好きな事を、取り上げたりなんてしない。
大丈夫よ、きっとグラディオンとなら、幸せになれる。
なんだかそんな気がした。
「ジャンヌ、まだ顔色が良くないな。少し休むといい。それとも体調が悪いのなら、屋敷に戻るか?」
そう言うと、グラディオンがベッドに寝かせてくれたのだ。
「ただの寝不足だから、大丈夫よ。昨日グラディオンと副騎士隊長の話を聞いて、色々と考えすぎちゃって」
「そうか、俺のせいでジャンヌが寝不足になったのか。それはすまなかったな。本来なら早くジャンヌを休ませてやりたいのだが、すまない。気持ちが通じ合った嬉しさから、どうしてもジャンヌから離れる事が出来ない」
グラディオンがギュッと抱きしめてくる。
「私も、グラディオンともう少し一緒にいたいわ」
「ジャンヌ…」
再びグラディオンの顔が近づいてきて、唇が触れようとした時だった。
「コホン」
ん?
誰かが咳払いする声が聞こえたのだ。ゆっくりと咳払いが聞こえた方を振り向くと、そこにいたのは…
「私は全然すごくなんてないわ。私が騎士団に戻って来た時、あの頃と変わらない、仲の良い隊が出来上がっていた。いいえ、あの頃以上に、絆の深い隊が。今の隊は紛れもなく、グラディオンが作り上げた素晴らしい隊よ。きっと私では、あんな素晴らしい隊は作れなかったわ」
グラディオンがどれほど騎士団の、今ある隊を必死に作り上げてきた事くらい、騎士団に戻ってすぐにわかった。あんな素晴らしい隊を作り上げ、その上私よりずっと強いグラディオンに最初は嫉妬した。でも今は、尊敬している。
ただ…やっぱり悔しいから、もう少しだけ彼に追いつきたい気持ちがあるが、それは内緒だ。
「ありがとう、ジャンヌに認めてもらえる事を考えて作ってきた隊だ。今俺の気持ちは報われたよ」
ゆっくりと私から離れたグラディオン。目は赤いが、もう泣いていない様だ。
「ジャンヌ、俺は今でもお前が大好きだ。シャーロンなんかよりも、ずっとジャンヌを深く愛していると言い切れる。ただ俺は、臆病でまたジャンヌを傷つけてしまったら…そう考えると、自分の気持ちを伝えられなかった。その結果、ジャンヌに気持ちを伝えさせる羽目になったんだ。本当に男として情けない。こんな情けない俺だけれど、本当にいいのか?俺と本当に婚約してくれるのか?」
「グラディオンは情けなく何てないわ。あなたは誰よりも優しくて、誰よりも素敵な人。子供の頃からそんなグラディオンを見て来ていたはずなのに。今頃グラディオンの魅力に気が付くだなんて。私の目は節穴なのよ。私もグラディオンが大好きよ。グラディオンと一緒にずっといたい。だから私の方こそ、あなた傍にいさせて」
そう伝えると、グラディオンに抱き着いた。温かくて大きな体が、なんだか落ち着く。
「ありがとう、ジャンヌ。俺もジャンヌを愛している」
ゆっくり私を引き離すと、そのままグラディオンの顔が近づいてきて…
唇に温かくて柔らかな感触が…
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初めての経験に、ついそんな言葉が出てしまった。
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「そうか、それは良かった。それじゃあ、この前のダンスも口づけも、俺が初めてだったのだな。そうか…」
なぜかグラディオンが嬉しそうに呟いている。その顔が、なんだか可愛い。
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「いいや、ジャンヌのせいじゃない。俺がヘタレだったのがいけないんだ。ジャンヌ、これからは俺がジャンヌを守るから。もちろん、騎士団も辞める必要はない。2人でもっともっと第7部隊を盛り立てて行こうな」
「ええ、もちろんよ。ありがとう、グラディオン」
一緒に騎士団を盛り立てて行こうか…私ったら何を心配していたのかしら?グラディオンはシャーロン様とは全然違う。グラディオンは私の好きな事を、取り上げたりなんてしない。
大丈夫よ、きっとグラディオンとなら、幸せになれる。
なんだかそんな気がした。
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そう言うと、グラディオンがベッドに寝かせてくれたのだ。
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「そうか、俺のせいでジャンヌが寝不足になったのか。それはすまなかったな。本来なら早くジャンヌを休ませてやりたいのだが、すまない。気持ちが通じ合った嬉しさから、どうしてもジャンヌから離れる事が出来ない」
グラディオンがギュッと抱きしめてくる。
「私も、グラディオンともう少し一緒にいたいわ」
「ジャンヌ…」
再びグラディオンの顔が近づいてきて、唇が触れようとした時だった。
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