私だってあなたなんて願い下げです!これからの人生は好きに生きます

Karamimi

文字の大きさ
37 / 53

第37話:さすがに恥ずかしいです

「君たち、盛り上がっているところ申し訳ないが、そろそろ仕事をしたいのだが、いいだろうか?」

何と咳ばらいをしたのは、医務室の先生だ。いつの間にか戻って来ていたらしい。

「先生、ごめんなさい。あの、その…違うんです。これには色々と事情がありまして」

先生がいない間に、グラディオンと密会していたと勘違いされたらどうしよう。そう思って必死に弁明しようとしたのだが。

「ジャンヌ殿、そんなに必死に説明しようとしなくても大丈夫ですよ。それにしても、若いと情熱的でいいですな」

そう言って笑っている先生。

「あの…先生。いつからあの場所にいらしたのですか?」

「グラディオン隊長が医務室に入って行って、すぐぐらいからですよ。グラディオン隊長が医務室に入っていく姿を見て、私も慌てて部屋に入ったのだが…まさかあんな情熱的は告白を、この目で見られるだなんて」

という事は、私たちのやり取りを全て見られていたという事なの?さすがに恥ずかしいわ。

グラディオンも頭をかいて、ばつの悪そうな顔をしている。

「おい、ジャンヌが照れているぞ。珍しいな」

「本当だ。まさかグラディオン隊長とジャンヌがくっつくだなんてな」

「何言ってんだよ。俺は最初っから、2人がくっつく事を分かっていたぞ」

「俺もだ、どう見ても2人とも、お互い好き合っていたじゃないか。気づいていないのなんて、お前と当人同士ぐらいだよ」

ん?この声達は…

入り口の方を見ると、何と同じ隊の隊員たちが集まっていた。どうしてみんながここにいるのよ!

「お前たち、なんでここに?」

グラディオンも同じことを思ったのか、皆に問いかけている。

「俺たちはグラディオン隊長が中々戻って来ないから、心配で見に来たんだ。まさかグラディオン隊長とジャンヌの、生チューが見られるだなんてな」

「ちょっと、下品な言い方をしないでよ。せめてその…あの…」

とっさに反論したのだが、これ以上何も言えない。さらに隊員同士が、口づけの真似事までしている。この人たち、私たちをからかって!

「お前たち、いい加減にしろ。まさかお前たちも、先生と同じタイミングで?」

「いや、俺たちが来た時は、ちょうどグラディオン隊長とジャンヌがチューしているところだったよ。ジャンヌの初チューはグラディオン隊長という事も聞いたぞ」

「ちょっと、そんな話はしなくてもいいわよ。お願い、恥ずかしいからやめて」

まさか仲間たちに、グラディオンと口づけをしている姿を見られるだなんて…さすがに恥ずかしくて、倒れそうだ。

「ジャンヌがショックを受けているじゃないか!お前たち、いい加減にしろ。先生、ジャンヌはどうやら寝不足で体調が悪いそうなので、しばらく休ませてやってください。ジャンヌ、ゆっくり休んでくれ。それじゃあ、俺たちはもう行くから」

グラディオンがまだニヤ付いている隊員たちを連れて、医務室から出て行った。

「あの…先生…」

「もう何を言わなくてもいいですよ。ただ、グラディオン隊長は本当にジャンヌ殿の事を思っているのですね。あなたも貴族世界では色々と苦労したと聞きます。どうか今度こそ、幸せになってください。それではゆっくり休んでくださいね」

そう言うと、先生も医務室へと戻って行った。1人ベッドに取り残された私。

せっかくグラディオンがゆっくり休める様にと、気を使ってくれたのだ。少し休んで、早く元気になって皆の元に戻らないと。

そう思い、ベッドに横になり目をつぶる。でも、さっきの出来事が脳裏によみがえり、とてもじゃないが眠る事なんて出来ない。

ダメだわ、興奮して眠れない。それに、なんだか落ち着かない。そもそもあんな光景を皆に見られるだなんて、この後皆にどんな顔をして会ったらいいのかしら?

…て、別に悪い事をしている訳ではないのだから、いつも通り会えばいいのよね。

ふと自分の唇に触れた。この唇に、グラディオンの唇が…そう考えると、また体中が熱くなった。もう、何なのよ、私ったら一体どうしちゃったの?

1人興奮していると…

「ジャンヌ殿、今日はもう屋敷に戻られた方がいいのではないですか?あなたのその興奮状態では、眠る事はもちろん、稽古にも身が入らないでしょう。一度自宅でリセットしてから、明日また新たな気持ちで稽古に参加されてはいかがですか?」

いつの間にか休憩スペースに来ていた先生に、そう言われた。やだ、また先生に変な姿を見られてしまったわ。

「でも、私…」

「今のあなたには、一度冷静になる時間が必要なのですよ。グラディオン隊長には私から話しをしておきますので、今日はもう帰りなさい。これは医者の指示です。私が馬車まで送って行きましょう」

えっ、ちょっと待って。混乱する私を他所に、さっさと馬車まで連れて行ってくれた先生。

「あの、先生。色々とありがとうございました。それから、お見苦しい姿をお見せしてしまい、申し訳ございません」

「私は何も見ていませんよ。ジャンヌ殿、今日はゆっくり休んで…と言っても、今の興奮状態の君では無理かもしれないが。とにかく一度心を落ち着かせてください。それでは、お気をつけて」

先生が笑顔で手を振ってくれる。さすがに帰らない訳にはいかないわね。仕方なく馬車に乗り込み、先生に見送られながら家路についたのだった。

あなたにおすすめの小説

【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない

かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、 それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。 しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、 結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。 3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか? 聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか? そもそも、なぜ死に戻ることになったのか? そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか… 色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、 そんなエレナの逆転勝利物語。

【完結】時戻り令嬢は復讐する

やまぐちこはる
恋愛
ソイスト侯爵令嬢ユートリーと想いあう婚約者ナイジェルス王子との結婚を楽しみにしていた。 しかしナイジェルスが長期の視察に出た数日後、ナイジェルス一行が襲撃された事を知って倒れたユートリーにも魔の手が。 自分の身に何が起きたかユートリーが理解した直後、ユートリーの命もその灯火を消した・・・と思ったが、まるで悪夢を見ていたように目が覚める。 夢だったのか、それともまさか時を遡ったのか? 迷いながらもユートリーは動き出す。 サスペンス要素ありの作品です。 設定は緩いです。 6時と18時の一日2回更新予定で、全80話です、よろしくお願い致します。

奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました

水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。 それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。 しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。 王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。 でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。 ◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。 ◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。 ◇レジーナブックスより書籍発売中です! 本当にありがとうございます!

婚約者が不倫しても平気です~公爵令嬢は案外冷静~

岡暁舟
恋愛
公爵令嬢アンナの婚約者:スティーブンが不倫をして…でも、アンナは平気だった。そこに真実の愛がないことなんて、最初から分かっていたから。

愛しているなら何でもできる? どの口が言うのですか

風見ゆうみ
恋愛
「君のことは大好きだけど、そういうことをしたいとは思えないんだ」 初夜の晩、爵位を継いで伯爵になったばかりの夫、ロン様は私を寝室に置いて自分の部屋に戻っていった。 肉体的に結ばれることがないまま、3ヶ月が過ぎた頃、彼は私の妹を連れてきて言った。 「シェリル、落ち着いて聞いてほしい。ミシェルたちも僕たちと同じ状況らしいんだ。だから、夜だけパートナーを交換しないか?」 「お姉様が生んだ子供をわたしが育てて、わたしが生んだ子供をお姉様が育てれば血筋は途切れないわ」 そんな提案をされた私は、その場で離婚を申し出た。 でも、夫は絶対に別れたくないと離婚を拒み、両親や義両親も夫の味方だった。 ※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。

【完結】婚約破棄に祝砲を。あら、殿下ったらもうご結婚なさるのね? では、祝辞代わりに花嫁ごと吹き飛ばしに伺いますわ。

猫屋敷むぎ
恋愛
王都最古の大聖堂。 ついに幸せいっぱいの結婚式を迎えた、公女リシェル・クレイモア。 しかし、一年前。同じ場所での結婚式では―― 見知らぬ女を連れて現れたセドリック王子が、高らかに宣言した。 「俺は――愛を選ぶ! お前との婚約は……破棄だ!」 確かに愛のない政略結婚だったけれど。 ――やがて、仮面の執事クラウスと共に踏み込む、想像もできなかった真実。 「お嬢様、祝砲は芝居の終幕でと、相場は決まっております――」 仮面が落ちるとき、空を裂いて祝砲が鳴り響く。 シリアスもラブも笑いもまとめて撃ち抜く、“婚約破棄から始まる、公女と執事の逆転ロマンス劇場”、ここに開幕! ――ミステリ仕立ての愛と逆転の物語です。スッキリ逆転、ハピエン保証。 ※「小説家になろう」にも掲載。 ※ アルファポリス完結恋愛13位。応援ありがとうございます。

元カレの今カノは聖女様

abang
恋愛
「イブリア……私と別れて欲しい」 公爵令嬢 イブリア・バロウズは聖女と王太子の愛を妨げる悪女で社交界の嫌われ者。 婚約者である王太子 ルシアン・ランベールの関心は、品行方正、心優しく美人で慈悲深い聖女、セリエ・ジェスランに奪われ王太子ルシアンはついにイブリアに別れを切り出す。 極め付けには、王妃から嫉妬に狂うただの公爵令嬢よりも、聖女が婚約者に適任だと「ルシアンと別れて頂戴」と多額の手切れ金。 社交会では嫉妬に狂った憐れな令嬢に"仕立てあげられ"周りの人間はどんどんと距離を取っていくばかり。 けれども当の本人は… 「悲しいけれど、過ぎればもう過去のことよ」 と、噂とは違いあっさりとした様子のイブリア。 それどころか自由を謳歌する彼女はとても楽しげな様子。 そんなイブリアの態度がルシアンは何故か気に入らない様子で… 更には婚約破棄されたイブリアの婚約者の座を狙う王太子の側近達。 「私をあんなにも嫌っていた、聖女様の取り巻き達が一体私に何の用事があって絡むの!?嫌がらせかしら……!」

私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです

風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。 婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。 そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!? え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!? ※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。 ※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。 ※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。