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第44話:ジャンヌがグラディオンと婚約?~シャーロン視点~
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「ガルディス侯爵家のグラディオン様と、マリアーズ伯爵家のジャンヌ嬢が、来月正式に婚約をするそうよ」
母上があり得ない事を言って来たのだ。
「それは本当ですか?ジャンヌとグラディオンが婚約?そんな…」
「本当よ。ガルディス侯爵夫人が今日、嬉しそうに話をしていたもの。どうやらジャンヌ嬢は、シャーロンと婚約破棄した後、騎士団に戻ったそうね。そこで元々仲のよかった2人が意気投合して、婚約する運びになったそうよ。ガルディス侯爵夫人、よほどうれしかったようで、皆に言いふらしていたわ」
「グラディオン殿は、今までほとんど夜会など社交界の場に出てこなかったものな。ジャンヌ嬢がシャーロンと婚約破棄してから、夜会にも参加する様になったし。もしかしたら、グラディオン殿は昔から、ジャンヌ嬢に好意があったのかもしれないな。シャーロン、ある意味よかったではないか。もういい加減、ジャンヌ嬢の事は諦めて、シャーロンも前に進みなさい」
ジャンヌの事を諦めて、前に進めだって。ふざけるな!僕は誰よりもジャンヌの事を愛しているのだ。グラディオンなんかに、絶対に渡したくない。絶対に!
「申し訳ございません。少し気分がすぐれないので、自室に戻ります」
「待ちなさい、シャーロン。いいか、もうジャンヌ嬢の事は諦めるんだ。お前の不貞によって、婚約破棄されたのだぞ。婚約が決まったジャンヌ嬢の邪魔なんてしたら、今度こそあの不貞写真を公表されるかもしれない」
「そうよ、シャーロン。もうジャンヌ嬢の事は諦めるしかないのよ。お母様がもっと素敵な令嬢を見つけてあげるから」
2人とも勝手な事を言って。僕がどれほど深くジャンヌを愛しているか知らないから、そんな事が言えるんだ。絶対にジャンヌは渡さない。グラディオンになんて、絶対に…
ふと4年半前の事を思い出す。あの時、間違いなく僕たちは幸せだった。
“シャーロン、私を助けてくれてありがとう。あなたは私の恩人よ”
そう言ってにっこり笑ったジャンヌ。その笑顔は、とても可愛かった。あの時ジャンヌは、明らかに僕に好意的だった。
そうだ…
またあの時の様に、ジャンヌを助ければいいんだ。絶体絶命の中で、僕がカッコよくジャンヌを助ければきっと、ジャンヌは僕を選んでくれるはずだ。グラディオンだって、あの時みたいに譲ってくれるはず。
そうだ、そうすればいいんだ。でも、どうやってジャンヌを追い詰めたらいいんだ?
…そうだ、あいつらを使おう。4年半前にジャンヌを陥れたあいつら、あの時の事を持ち出して、僕に協力してもらおう。
協力してくれないなら、あの時の事を全てばらすとでもいえば、頭の悪いあいつらは僕に協力してくれるだろう。
早速当時ジャンヌを陥れた奴らに、手紙を送った。どうやらほとんどが騎士団を辞めて、今は普通の貴族として生活をしているらしい。ただ1人、子爵令息のファビレスだけは、まだ騎士団に残っているとの事。
1人でも残っていれば、ジャンヌをおびき寄せられそうだな。正直あんな奴らがどうなろうと、どうでもいい。
後日、僕の指示で皆を集めた。皆よほどあの時の事がバレるのが怖いのだろう。全員が呼び出しに応じたのだ。
「シャーロン殿、あの手紙は何なんなのですか。あの時の事は、あなたが言い出した事でしょう?それなのに、今さら脅しをかけるだなんて」
「そうですよ、俺たちはもう、騎士団員ではないのです。それに悪い事からも足を洗いました。今は普通の貴族として、真面目に生きているのです。今更ジャンヌに何かしたいだなんて、これっぽっちも思っていません」
口々に僕に文句を言うあいつら。
「僕はね、ジャンヌが欲しいんだ。せっかく婚約できたのに、ちょっとした手違いで婚約破棄をされたうえ、グラディオンに横取りされたんだよ!だから取り返したいんだ。君たちが繋がっていた裏組織の人間にも、話しを付けて欲しい。もちろん、タダでとは言わない。手伝ってくれたら、報酬として大金を渡すよ。犯人は悪党たちにしておけば問題ないだろう?」
「でも…」
「嫌ならいいんだ。あの時の事、皆にばらすから。騎士団長、怒り狂うだろうな。僕は君たちに脅されて仕方なく君たちの言う事に従っただけと、涙ながらに訴えようかな?たとえ騎士団を辞めていたとしても、侯爵令息のグラディオンに酷い怪我を負わせたうえ、裏社会の人間と繋がっていただなんて皆が知ったら、どうなるのだろうね?」
こいつら、バカだからきっとこれで動くはず。
案の定
「分かりました。シャーロン殿の言う通りにします。ただし、今回だけです。次はありませんからね。皆もいいよな」
当時のリーダー格の男がそう言ったのだ。他の皆もしぶしぶ頷いている。
その後彼らに、僕の計画を話した。大丈夫だ、きっとうまく行くはず。待っていてね、ジャンヌ。すぐに迎えに行くから…
※次回、ジャンヌ視点に戻ります。
よろしくお願いします。
母上があり得ない事を言って来たのだ。
「それは本当ですか?ジャンヌとグラディオンが婚約?そんな…」
「本当よ。ガルディス侯爵夫人が今日、嬉しそうに話をしていたもの。どうやらジャンヌ嬢は、シャーロンと婚約破棄した後、騎士団に戻ったそうね。そこで元々仲のよかった2人が意気投合して、婚約する運びになったそうよ。ガルディス侯爵夫人、よほどうれしかったようで、皆に言いふらしていたわ」
「グラディオン殿は、今までほとんど夜会など社交界の場に出てこなかったものな。ジャンヌ嬢がシャーロンと婚約破棄してから、夜会にも参加する様になったし。もしかしたら、グラディオン殿は昔から、ジャンヌ嬢に好意があったのかもしれないな。シャーロン、ある意味よかったではないか。もういい加減、ジャンヌ嬢の事は諦めて、シャーロンも前に進みなさい」
ジャンヌの事を諦めて、前に進めだって。ふざけるな!僕は誰よりもジャンヌの事を愛しているのだ。グラディオンなんかに、絶対に渡したくない。絶対に!
「申し訳ございません。少し気分がすぐれないので、自室に戻ります」
「待ちなさい、シャーロン。いいか、もうジャンヌ嬢の事は諦めるんだ。お前の不貞によって、婚約破棄されたのだぞ。婚約が決まったジャンヌ嬢の邪魔なんてしたら、今度こそあの不貞写真を公表されるかもしれない」
「そうよ、シャーロン。もうジャンヌ嬢の事は諦めるしかないのよ。お母様がもっと素敵な令嬢を見つけてあげるから」
2人とも勝手な事を言って。僕がどれほど深くジャンヌを愛しているか知らないから、そんな事が言えるんだ。絶対にジャンヌは渡さない。グラディオンになんて、絶対に…
ふと4年半前の事を思い出す。あの時、間違いなく僕たちは幸せだった。
“シャーロン、私を助けてくれてありがとう。あなたは私の恩人よ”
そう言ってにっこり笑ったジャンヌ。その笑顔は、とても可愛かった。あの時ジャンヌは、明らかに僕に好意的だった。
そうだ…
またあの時の様に、ジャンヌを助ければいいんだ。絶体絶命の中で、僕がカッコよくジャンヌを助ければきっと、ジャンヌは僕を選んでくれるはずだ。グラディオンだって、あの時みたいに譲ってくれるはず。
そうだ、そうすればいいんだ。でも、どうやってジャンヌを追い詰めたらいいんだ?
…そうだ、あいつらを使おう。4年半前にジャンヌを陥れたあいつら、あの時の事を持ち出して、僕に協力してもらおう。
協力してくれないなら、あの時の事を全てばらすとでもいえば、頭の悪いあいつらは僕に協力してくれるだろう。
早速当時ジャンヌを陥れた奴らに、手紙を送った。どうやらほとんどが騎士団を辞めて、今は普通の貴族として生活をしているらしい。ただ1人、子爵令息のファビレスだけは、まだ騎士団に残っているとの事。
1人でも残っていれば、ジャンヌをおびき寄せられそうだな。正直あんな奴らがどうなろうと、どうでもいい。
後日、僕の指示で皆を集めた。皆よほどあの時の事がバレるのが怖いのだろう。全員が呼び出しに応じたのだ。
「シャーロン殿、あの手紙は何なんなのですか。あの時の事は、あなたが言い出した事でしょう?それなのに、今さら脅しをかけるだなんて」
「そうですよ、俺たちはもう、騎士団員ではないのです。それに悪い事からも足を洗いました。今は普通の貴族として、真面目に生きているのです。今更ジャンヌに何かしたいだなんて、これっぽっちも思っていません」
口々に僕に文句を言うあいつら。
「僕はね、ジャンヌが欲しいんだ。せっかく婚約できたのに、ちょっとした手違いで婚約破棄をされたうえ、グラディオンに横取りされたんだよ!だから取り返したいんだ。君たちが繋がっていた裏組織の人間にも、話しを付けて欲しい。もちろん、タダでとは言わない。手伝ってくれたら、報酬として大金を渡すよ。犯人は悪党たちにしておけば問題ないだろう?」
「でも…」
「嫌ならいいんだ。あの時の事、皆にばらすから。騎士団長、怒り狂うだろうな。僕は君たちに脅されて仕方なく君たちの言う事に従っただけと、涙ながらに訴えようかな?たとえ騎士団を辞めていたとしても、侯爵令息のグラディオンに酷い怪我を負わせたうえ、裏社会の人間と繋がっていただなんて皆が知ったら、どうなるのだろうね?」
こいつら、バカだからきっとこれで動くはず。
案の定
「分かりました。シャーロン殿の言う通りにします。ただし、今回だけです。次はありませんからね。皆もいいよな」
当時のリーダー格の男がそう言ったのだ。他の皆もしぶしぶ頷いている。
その後彼らに、僕の計画を話した。大丈夫だ、きっとうまく行くはず。待っていてね、ジャンヌ。すぐに迎えに行くから…
※次回、ジャンヌ視点に戻ります。
よろしくお願いします。
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