私だってあなたなんて願い下げです!これからの人生は好きに生きます

Karamimi

文字の大きさ
44 / 53

第44話:ジャンヌがグラディオンと婚約?~シャーロン視点~

しおりを挟む
「ガルディス侯爵家のグラディオン様と、マリアーズ伯爵家のジャンヌ嬢が、来月正式に婚約をするそうよ」

母上があり得ない事を言って来たのだ。

「それは本当ですか?ジャンヌとグラディオンが婚約?そんな…」

「本当よ。ガルディス侯爵夫人が今日、嬉しそうに話をしていたもの。どうやらジャンヌ嬢は、シャーロンと婚約破棄した後、騎士団に戻ったそうね。そこで元々仲のよかった2人が意気投合して、婚約する運びになったそうよ。ガルディス侯爵夫人、よほどうれしかったようで、皆に言いふらしていたわ」

「グラディオン殿は、今までほとんど夜会など社交界の場に出てこなかったものな。ジャンヌ嬢がシャーロンと婚約破棄してから、夜会にも参加する様になったし。もしかしたら、グラディオン殿は昔から、ジャンヌ嬢に好意があったのかもしれないな。シャーロン、ある意味よかったではないか。もういい加減、ジャンヌ嬢の事は諦めて、シャーロンも前に進みなさい」

ジャンヌの事を諦めて、前に進めだって。ふざけるな!僕は誰よりもジャンヌの事を愛しているのだ。グラディオンなんかに、絶対に渡したくない。絶対に!

「申し訳ございません。少し気分がすぐれないので、自室に戻ります」

「待ちなさい、シャーロン。いいか、もうジャンヌ嬢の事は諦めるんだ。お前の不貞によって、婚約破棄されたのだぞ。婚約が決まったジャンヌ嬢の邪魔なんてしたら、今度こそあの不貞写真を公表されるかもしれない」

「そうよ、シャーロン。もうジャンヌ嬢の事は諦めるしかないのよ。お母様がもっと素敵な令嬢を見つけてあげるから」

2人とも勝手な事を言って。僕がどれほど深くジャンヌを愛しているか知らないから、そんな事が言えるんだ。絶対にジャンヌは渡さない。グラディオンになんて、絶対に…

ふと4年半前の事を思い出す。あの時、間違いなく僕たちは幸せだった。

“シャーロン、私を助けてくれてありがとう。あなたは私の恩人よ”

そう言ってにっこり笑ったジャンヌ。その笑顔は、とても可愛かった。あの時ジャンヌは、明らかに僕に好意的だった。

そうだ…

またあの時の様に、ジャンヌを助ければいいんだ。絶体絶命の中で、僕がカッコよくジャンヌを助ければきっと、ジャンヌは僕を選んでくれるはずだ。グラディオンだって、あの時みたいに譲ってくれるはず。

そうだ、そうすればいいんだ。でも、どうやってジャンヌを追い詰めたらいいんだ?

…そうだ、あいつらを使おう。4年半前にジャンヌを陥れたあいつら、あの時の事を持ち出して、僕に協力してもらおう。

協力してくれないなら、あの時の事を全てばらすとでもいえば、頭の悪いあいつらは僕に協力してくれるだろう。

早速当時ジャンヌを陥れた奴らに、手紙を送った。どうやらほとんどが騎士団を辞めて、今は普通の貴族として生活をしているらしい。ただ1人、子爵令息のファビレスだけは、まだ騎士団に残っているとの事。

1人でも残っていれば、ジャンヌをおびき寄せられそうだな。正直あんな奴らがどうなろうと、どうでもいい。

後日、僕の指示で皆を集めた。皆よほどあの時の事がバレるのが怖いのだろう。全員が呼び出しに応じたのだ。

「シャーロン殿、あの手紙は何なんなのですか。あの時の事は、あなたが言い出した事でしょう?それなのに、今さら脅しをかけるだなんて」

「そうですよ、俺たちはもう、騎士団員ではないのです。それに悪い事からも足を洗いました。今は普通の貴族として、真面目に生きているのです。今更ジャンヌに何かしたいだなんて、これっぽっちも思っていません」

口々に僕に文句を言うあいつら。

「僕はね、ジャンヌが欲しいんだ。せっかく婚約できたのに、ちょっとした手違いで婚約破棄をされたうえ、グラディオンに横取りされたんだよ!だから取り返したいんだ。君たちが繋がっていた裏組織の人間にも、話しを付けて欲しい。もちろん、タダでとは言わない。手伝ってくれたら、報酬として大金を渡すよ。犯人は悪党たちにしておけば問題ないだろう?」

「でも…」

「嫌ならいいんだ。あの時の事、皆にばらすから。騎士団長、怒り狂うだろうな。僕は君たちに脅されて仕方なく君たちの言う事に従っただけと、涙ながらに訴えようかな?たとえ騎士団を辞めていたとしても、侯爵令息のグラディオンに酷い怪我を負わせたうえ、裏社会の人間と繋がっていただなんて皆が知ったら、どうなるのだろうね?」

こいつら、バカだからきっとこれで動くはず。

案の定

「分かりました。シャーロン殿の言う通りにします。ただし、今回だけです。次はありませんからね。皆もいいよな」

当時のリーダー格の男がそう言ったのだ。他の皆もしぶしぶ頷いている。

その後彼らに、僕の計画を話した。大丈夫だ、きっとうまく行くはず。待っていてね、ジャンヌ。すぐに迎えに行くから…


※次回、ジャンヌ視点に戻ります。
よろしくお願いします。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる

kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。 いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。 実はこれは二回目の人生だ。 回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。 彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。 そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。 その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯ そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。 ※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。 ※ 設定ゆるゆるです。

【完結】見えてますよ!

ユユ
恋愛
“何故” 私の婚約者が彼だと分かると、第一声はソレだった。 美少女でもなければ醜くもなく。 優秀でもなければ出来損ないでもなく。 高貴でも無ければ下位貴族でもない。 富豪でなければ貧乏でもない。 中の中。 自己主張も存在感もない私は貴族達の中では透明人間のようだった。 唯一認識されるのは婚約者と社交に出る時。 そしてあの言葉が聞こえてくる。 見目麗しく優秀な彼の横に並ぶ私を蔑む令嬢達。 私はずっと願っていた。彼に婚約を解消して欲しいと。 ある日いき過ぎた嫌がらせがきっかけで、見えるようになる。 ★注意★ ・閑話にはR18要素を含みます。  読まなくても大丈夫です。 ・作り話です。 ・合わない方はご退出願います。 ・完結しています。

その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*

音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。 塩対応より下があるなんて……。 この婚約は間違っている? *2021年7月完結

殿下、毒殺はお断りいたします

石里 唯
恋愛
公爵令嬢エリザベスは、王太子エドワードから幼いころから熱烈に求婚され続けているが、頑なに断り続けている。 彼女には、前世、心から愛した相手と結ばれ、毒殺された記憶があり、今生の目標は、ただ穏やかな結婚と人生を全うすることなのだ。 容姿端麗、文武両道、加えて王太子という立場で国中の令嬢たちの憧れであるエドワードと結婚するなどとんでもない選択なのだ。 彼女の拒絶を全く意に介しない王太子、彼女を溺愛し生涯手元に置くと公言する兄を振り切って彼女は人生の目標を達成できるのだろうか。 「小説家になろう」サイトで完結済みです。大まかな流れに変更はありません。 「小説家になろう」サイトで番外編を投稿しています。

【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ

・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。 アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。 『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』 そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。 傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。 アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。 捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。 --注意-- こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。 一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。 二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪ ※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。 ※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。

あなただけが私を信じてくれたから

樹里
恋愛
王太子殿下の婚約者であるアリシア・トラヴィス侯爵令嬢は、茶会において王女殺害を企てたとして冤罪で投獄される。それは王太子殿下と恋仲であるアリシアの妹が彼女を排除するために計画した犯行だと思われた。 一方、自分を信じてくれるシメオン・バーナード卿の調査の甲斐もなく、アリシアは結局そのまま断罪されてしまう。 しかし彼女が次に目を覚ますと、茶会の日に戻っていた。その日を境に、冤罪をかけられ、断罪されるたびに茶会前に回帰するようになってしまった。 処刑を免れようとそのたびに違った行動を起こしてきたアリシアが、最後に下した決断は。

処理中です...