私だってあなたなんて願い下げです!これからの人生は好きに生きます

Karamimi

文字の大きさ
43 / 53

第43話:真実を教えて差し上げました

「ちょっとあなた、飲みすぎよ。グラディオンだって、ジャンヌ嬢を助けたかったに決まっているでしょう」

「そうですわ。そんな言い方をしたら、グラディオン様がお気の毒すぎます」

女性陣が必死に男性陣を止めている。でも…

「助けたかったのなら、なぜ助けなかったんだ。あんなひ弱そうな男に先を越されるだなんて」

「そうだそうだ!」

完全に出来上がっている2人。言っていい事を悪い事がある。もう我慢できない。

「いい加減にしてくださいませ。2人とも何も知らないのに、グラディオンを責めないで下さい!!」

私が急に大きな声を出したためか、皆が一斉に私の方を見た。

「あの時私の無罪を晴らすため、グラディオンは危険を承知で1人、私を陥れた人たちのアジトに乗り込んだのです。あの人たちは悪の組織と繋がっていて、その男たちを倒し、書類を取り返したのはグラディオンなのですよ!そのせいでグラディオンは大けがを負ってしまい…そこにたまたま来たシャーロン様が、グラディオンの手柄を横取りしたのです!」

「ジャンヌ、その事はもういいんだ。過ぎた事だ」

「いいえ、よくありません。グラディオンがどんな思いであの時私を助けてくれたのか、どんな思いで本当の事を話さなかったのか、お父様たちに分かりますか?グラディオンは私の幸せを願って真実を話さず、自分の胸のうちにしまっていたのです。そうとも知らず、私は…」

気が付くと涙が溢れていた。

「ジャンヌ、本当にもういいんだ。俺は今、幸せだから」

涙を流す私を抱きしめてくれるグラディオン。

「ジャンヌ…それは本当か?グラディオン、どういう事だ」

一気に酔いがさめたお父様が、グラディオンに真顔で訪ねている。もうこのまま黙っている事は出来ないと思ったのか、グラディオンがあの時の事をお父様たちにすべて話した。

さらにファビレスから聞いた話も、私が付け加えた。

「そんな…それじゃあ、グラディオンがジャンヌを助けてくれたのか…よく考えてみれば、グラディオンがチンピラと意味もなく喧嘩をするなんておかしいと思ったのだ。でも俺は、シャーロン達の話を鵜呑みにして、ろくに調査をしなかった。なんて事だ…」

その場に座り込むお父様。

「グラディオン、すまなかった。俺は一体何を見て来たのだろう…4年半前、グラディオンがどれほど悔しい思いをしたか、考えただけで申し訳なさすぎる」

「騎士団長、謝らないで下さい。俺は今、ジャンヌと婚約出来る事になって幸せです。遠回りした分、お互いの気持ちを確かめ合う事が出来たと俺は思っております。それに俺も、あの時正直に話さなかったのもいけなかったのですし」

「グラディオン、お前ってやつは。なんていい奴なんだ。それにしてもシャーロンの野郎。許せん!あいつは騎士団で何を学んだんだ。あんな卑怯で卑劣な男に、4年もの間ジャンヌの婚約者にしていただなんて…本当に自分が情けない」

「マリアーズ伯爵、そんなに落ち込まないで下さい。グラディオンの言う通り、2人は結ばれたのですから、いいではありませんか。それにしてもまさか、グラディオンのあのケガは、ジャンヌ嬢を守るためだったなんて。さすが私の息子だ」

「何が“さすが私の息子だ”よ。さっきまでグラディオンの事を罵っていたくせに。でも…グラディオンはやっぱり、ジャンヌ嬢を助けようとしていたのね。その気持ちを、ジャンヌ嬢もしっかり理解してくれている。それが私は一番嬉しいわ」

「そうだな、きっとグラディオンとジャンヌ嬢は、運命の赤い糸で結ばれていたのだな。切っても切れない糸で。いやぁ、めでたい。マリアーズ伯爵、さあ、飲みましょう。ワインを持ってきてくれ」

「そうですな…過去を悔いても仕方がないですな。グラディオン、やっぱり次の騎士団長はお前しかない。俺はもう騎士団長を引退して、グラディオンに譲ろう。グラディオンとジャンヌの婚約と、グラディオンの騎士団長就任間近を祝って、乾杯!」

「乾杯」

お父様とグラディオンのお父様が再び乾杯をして、ワインをぐびぐび飲みだした。

「騎士団長、俺はまだ16歳です。もう少し騎士団長でいてくれないと、困ります」

グラディオンが必死にお父様に訴えているが、全く聞いていないお父様。グラディオンのお父様と楽しそうにお酒を飲んでいる。

さっきまでグラディオンに謝罪していたお父様は、一体どこにいったのだろう…

その後もお酒を飲み盛り上がる男たちに付き合いきれなくなったグラディオンのお母様とグラディオンは、家に帰って行った。もちろん、私とお母様も、部屋から出る。

「あんなに飲んで。きっと明日、二日酔いで動けないわよ。騎士団にはお休みの連絡を入れておかないと」

そう言ってお母様は呆れていたが、お父様のあんな嬉しそうな顔を見たら、なんだか私まで嬉しくなった。それに4年半前の真実も伝えられた。

やっぱりお父様には、真実を知って欲しいと思っていたのだ。ただ…お父様、覚えているわよね?その点だけが、気がかりだった。


※次回、シャーロン視点です。
よろしくお願いします。

あなたにおすすめの小説

【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない

かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、 それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。 しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、 結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。 3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか? 聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか? そもそも、なぜ死に戻ることになったのか? そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか… 色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、 そんなエレナの逆転勝利物語。

【完結】時戻り令嬢は復讐する

やまぐちこはる
恋愛
ソイスト侯爵令嬢ユートリーと想いあう婚約者ナイジェルス王子との結婚を楽しみにしていた。 しかしナイジェルスが長期の視察に出た数日後、ナイジェルス一行が襲撃された事を知って倒れたユートリーにも魔の手が。 自分の身に何が起きたかユートリーが理解した直後、ユートリーの命もその灯火を消した・・・と思ったが、まるで悪夢を見ていたように目が覚める。 夢だったのか、それともまさか時を遡ったのか? 迷いながらもユートリーは動き出す。 サスペンス要素ありの作品です。 設定は緩いです。 6時と18時の一日2回更新予定で、全80話です、よろしくお願い致します。

奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました

水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。 それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。 しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。 王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。 でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。 ◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。 ◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。 ◇レジーナブックスより書籍発売中です! 本当にありがとうございます!

婚約者が不倫しても平気です~公爵令嬢は案外冷静~

岡暁舟
恋愛
公爵令嬢アンナの婚約者:スティーブンが不倫をして…でも、アンナは平気だった。そこに真実の愛がないことなんて、最初から分かっていたから。

愛しているなら何でもできる? どの口が言うのですか

風見ゆうみ
恋愛
「君のことは大好きだけど、そういうことをしたいとは思えないんだ」 初夜の晩、爵位を継いで伯爵になったばかりの夫、ロン様は私を寝室に置いて自分の部屋に戻っていった。 肉体的に結ばれることがないまま、3ヶ月が過ぎた頃、彼は私の妹を連れてきて言った。 「シェリル、落ち着いて聞いてほしい。ミシェルたちも僕たちと同じ状況らしいんだ。だから、夜だけパートナーを交換しないか?」 「お姉様が生んだ子供をわたしが育てて、わたしが生んだ子供をお姉様が育てれば血筋は途切れないわ」 そんな提案をされた私は、その場で離婚を申し出た。 でも、夫は絶対に別れたくないと離婚を拒み、両親や義両親も夫の味方だった。 ※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。

【完結】婚約破棄に祝砲を。あら、殿下ったらもうご結婚なさるのね? では、祝辞代わりに花嫁ごと吹き飛ばしに伺いますわ。

猫屋敷むぎ
恋愛
王都最古の大聖堂。 ついに幸せいっぱいの結婚式を迎えた、公女リシェル・クレイモア。 しかし、一年前。同じ場所での結婚式では―― 見知らぬ女を連れて現れたセドリック王子が、高らかに宣言した。 「俺は――愛を選ぶ! お前との婚約は……破棄だ!」 確かに愛のない政略結婚だったけれど。 ――やがて、仮面の執事クラウスと共に踏み込む、想像もできなかった真実。 「お嬢様、祝砲は芝居の終幕でと、相場は決まっております――」 仮面が落ちるとき、空を裂いて祝砲が鳴り響く。 シリアスもラブも笑いもまとめて撃ち抜く、“婚約破棄から始まる、公女と執事の逆転ロマンス劇場”、ここに開幕! ――ミステリ仕立ての愛と逆転の物語です。スッキリ逆転、ハピエン保証。 ※「小説家になろう」にも掲載。 ※ アルファポリス完結恋愛13位。応援ありがとうございます。

元カレの今カノは聖女様

abang
恋愛
「イブリア……私と別れて欲しい」 公爵令嬢 イブリア・バロウズは聖女と王太子の愛を妨げる悪女で社交界の嫌われ者。 婚約者である王太子 ルシアン・ランベールの関心は、品行方正、心優しく美人で慈悲深い聖女、セリエ・ジェスランに奪われ王太子ルシアンはついにイブリアに別れを切り出す。 極め付けには、王妃から嫉妬に狂うただの公爵令嬢よりも、聖女が婚約者に適任だと「ルシアンと別れて頂戴」と多額の手切れ金。 社交会では嫉妬に狂った憐れな令嬢に"仕立てあげられ"周りの人間はどんどんと距離を取っていくばかり。 けれども当の本人は… 「悲しいけれど、過ぎればもう過去のことよ」 と、噂とは違いあっさりとした様子のイブリア。 それどころか自由を謳歌する彼女はとても楽しげな様子。 そんなイブリアの態度がルシアンは何故か気に入らない様子で… 更には婚約破棄されたイブリアの婚約者の座を狙う王太子の側近達。 「私をあんなにも嫌っていた、聖女様の取り巻き達が一体私に何の用事があって絡むの!?嫌がらせかしら……!」

私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです

風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。 婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。 そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!? え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!? ※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。 ※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。 ※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。