国民的アイドルは乙女ゲームのヒロインに転生したようです~婚約破棄の後は魔物公爵に嫁げ?えー、何でよ?!

むぎてん

文字の大きさ
23 / 38

23 マサヤの遺書 ~レオナルド目線

しおりを挟む

 ~レオナルド目線

「何だと!前世でリンを殺した『マサヤ』が国王だと!?」

「ああ、あいつはリリアのことを『リン』と言った。それに、あの目付き、あの表情は『マサヤ』そのものだ」


リリアの寝室から客室に移動し、俺は『リン』と『摩周』がリリアとトーマスとしてこの世界に転生してからのこれまでと、婚約破棄の計画を詳しく聞いた。


リリアは先ほどまではひどい格好だったが、今は髪もドレスもキチンと整えている。

前世から解放されたリリアが選んだのは、どこまでも抜ける夏空のようなスカイブルーのドレスだった。
髪には俺が贈った真珠の髪飾りを付けている。
その姿は、まるでリリアの晴れ晴れとした心の中そのもののようだと思った。


「リリアは国王が『マサヤ』だと気付いていたのか?」

「いえ、でも改めてトーマスの話を聞くとそんな気もします・・・・・・だからトーマスは最初、国王の手の届かない西の隣国を逃亡先に選んだのね」

「しかし、敵対している西の隣国で暮らすというのは、かなり無理があるだろう」

「まぁな、俺はこれでも一応この国の王太子だったからな、顔も割れてる」

「それで、リリアは俺の元にいるのが一番安全と考えた訳か・・・・・・確かに、このボンディング公爵家なら国王は手が出せない。下手をすると戦争になるからな。大丈夫だリリア。安心しろ、俺がここで守ってやる」

リリアの髪を撫でながら言った俺の言葉に、ナタリーが口を挟んだ。

「安全じゃないよ、国王が本当にマサヤなら諦めないと思う」

それを聞いてトーマスが不満そうに口を尖らせて言い返す。

「ナタリー、何でそんなこと分かるんだよ?確かにマサヤは執念深い奴だったけど、今じゃ、一国の王だ。さすがに国を潰すようなことはしないと思うぞ?」

ナタリーは真剣な顔でトーマスを見つめたあと、小さく首を振った。

「あたしはね、加々美リンが殺されてから一ヶ月後に死んでこの世界に来たの。だから、あの事件の報道はイヤと言うほど見た。国民的アイドル『加々美リン』が国民的アイドルグループ『CRASHのマサヤ』にメッタ刺しにされて、そのマサヤも首を切って自殺した。世間はそりゃもう大騒ぎよ。あたしもリンたんの大ファンだったからね、毎日テレビとパソコンにかじりついてその報道を見てたわ」

「その報道で、俺たちの知らない何かが解ったのか?」

「・・・・・・マサヤはね、遺書を残してたのよ」

「遺書・・・・・・?」

「リン、俺はお前を殺すんじゃない。
これは、俺とリンが新しい世界に行くための儀式だ。
この世界でお前が俺を受け入れてくれないのなら、違う世界に行くしかないだろう?
俺はお前を追いかける。
お前が俺を受け入れてくれるまで。
次で駄目ならその次で。
何度でも、何度でも儀式を繰り返す。
リン、愛してる」

リリアの体が大きく震えた。
俺はそんなリリアの肩を強く抱き寄せて手を握る。

「マサヤが死んだ時にポケットに入ってたらしいの。どっから流出したのか、血まみれの遺書の画像がネットで出回ってた。あたしはそれを何度も読み返したからね。一字一句、間違いないわよ。」

「・・・・・・じゃあ、あいつはリリアを奪いに、ここに来る・・・・・・?」

「それは、あたしにもわからないわ。ただ、簡単には諦めないと思っただけ。そしてもう一つ、マサヤは覚醒剤の常習者だったらしいの。そのせいでおかしくなってた、という報道もあったわね。とにかく、用心に越したことはない。リリアちゃん、気をつけて」


────────────────────
24 あたしは鳴海
       ~ナタリー目線 へ

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】モブの王太子殿下に愛されてる転生悪役令嬢は、国外追放される運命のはずでした

Rohdea
恋愛
公爵令嬢であるスフィアは、8歳の時に王子兄弟と会った事で前世を思い出した。 同時に、今、生きているこの世界は前世で読んだ小説の世界なのだと気付く。 さらに自分はヒーロー(第二王子)とヒロインが結ばれる為に、 婚約破棄されて国外追放となる運命の悪役令嬢だった…… とりあえず、王家と距離を置きヒーロー(第二王子)との婚約から逃げる事にしたスフィア。 それから数年後、そろそろ逃げるのに限界を迎えつつあったスフィアの前に現れたのは、 婚約者となるはずのヒーロー(第二王子)ではなく…… ※ 『記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました』 に出てくる主人公の友人の話です。 そちらを読んでいなくても問題ありません。

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。 「…私、間違ってませんわね」 曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話 …だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている… 5/13 ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます 5/22 修正完了しました。明日から通常更新に戻ります 9/21 完結しました また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。

木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。 本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。 しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。 特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。 せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。 そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。 幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。 こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。 ※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)

転生悪役令嬢は冒険者になればいいと気が付いた

よーこ
恋愛
物心ついた頃から前世の記憶持ちの悪役令嬢ベルティーア。 国の第一王子との婚約式の時、ここが乙女ゲームの世界だと気が付いた。 自分はメイン攻略対象にくっつく悪役令嬢キャラだった。 はい、詰んだ。 将来は貴族籍を剥奪されて国外追放決定です。 よし、だったら魔法があるこのファンタジーな世界を満喫しよう。 国外に追放されたら冒険者になって生きるぞヒャッホー!

悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない

おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。 どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに! あれ、でも意外と悪くないかも! 断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。 ※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。

断罪が行われないってどういうこと!?~一分前に前世を思い出した悪役令嬢は原作のトンデモ展開についていけない

リオン(未完系。)
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生している、そう気が付いたのは断罪が行われる一分前。 もうだめだと諦めるエリザベスだが、事態は予想もしていない展開へと転がっていく…?

悪役令嬢に転生したので断罪イベントで全てを終わらせます。

吉樹
恋愛
悪役令嬢に転生してしまった主人公のお話。 目玉である断罪イベントで決着をつけるため、短編となります。 『上・下』の短編集。 なんとなく「ざまぁ」展開が書きたくなったので衝動的に描いた作品なので、不備やご都合主義は大目に見てください<(_ _)>

処理中です...