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25 あたしとトーマス ~ナタリー目線
しおりを挟む~ナタリー目線
「それにしても、鳴海宗一郎は何で死んじゃったの?あんなに強かったのに」
トーマスの問いにリリアちゃんもウンウンと頷く。
はぁ、リリアちゃんはホントに可愛いわね。
彼女の表情、動作の一つ一つ、すべてが美しい。
悪役令嬢ナタリーとしてヒロインのリリアに嫌がらせをしていた時ですら、彼女の美しさから目が離せなかった。
「事故よ。女の子が轢かれそうになってたから咄嗟に飛び出しちゃったの。鳴海も流石に10tトラックには勝てなかったわね。でも、あの子を助けることができたから後悔はしてないわ」
「鳴海宗一郎って優しい人だったのね!ますますファンになっちゃったわ!」
リリアちゃんってば何てうれしいことを言ってくれるのかしら!
本当に天使のようだわ。
前世のあたしは、小さい頃から周りの子達より身体が大きくて力も強かった。
心は女の子だからそれが嫌で嫌で堪らなかったのに、一旦戦いに火が付くと滾る自分を押さえることが出来ない。
気がつけば無敵の男「鳴海宗一郎」が出来上がっていた。
そんなあたしの心の癒しは乙女ゲームと、大好きなアイドル『加々美リン』の動画を見ること。
フリフリのドレスがよく似合う、お姫様みたいなリンたん。
生まれ変われるならリンたんみたいな可愛い女の子になりたい!
そして、死んで生まれ変わったのは大好きな乙女ゲーム『アレクサンドラ王国の恋する乙女』の世界だった。
可愛い女の子になれたのはいいけど、なんでナタリーなの!
攻略対象、レオナルド・ボンディングでしょ?
あの見た目は、まるで前世のあたしそのものじゃない!
やだやだ!あたしの好みはサラサラの金髪に青い目の優しい王子様よ!
何が悲しくて前世の自分みたいなムキムキゴリマッチョを攻略しなきゃなんないのよ!
って思ってたら、最推しだったトーマスが何故かリリアを断罪してあたしを選んだじゃないの!
もう、ゲームのシナリオはメチャクチャだけど、このまま突き進んじゃえ!
だけど、ゲームの世界もそこで生きればそれが現実。
『残念だよナタリー、さよなら』
トーマスの別れの言葉が冷たく突き刺さった。
やっぱり現実は甘くはないわね。
あたしは結局お姫様にはなれない・・・・・・
だけどあの日
『お前を嫁に貰ってやる』
トーマスがそう言った。
そして約束通り、体調が悪いのに三日も待って迎えに来てくれた。
しかもその三日の間にトーマスとあたしの婚姻届まで提出してくれていたのには驚いた。
だけどトーマスは、ここに来る途中、馬車の中で何度も嘔吐し痙攣し呼吸困難を起こした。
「ごめん、ごめんねトーマス。あたしが我が儘言ったから、三日も足止めさせたからっ、ごめんなさいっ・・・・!」
あたしは必死でその背中を擦りながら泣いて謝った。
「お前を嫁にすると言ったのは俺だ。気にするな」
うさぎのぬいぐるみを握りしめ、息も絶え絶えに脂汗でびっしょりのトーマスが言ってくれた。
だからあたしはトーマスのすべてを受け入れる。
トーマスのためなら、何だって出来る。
だけどトーマスはあたしの前世を聞いてドン引きしちゃった。
流石に元男は・・・・・・もう、駄目かもね。
「実体のなかった俺と、元男のお前、めっちゃ面白れーじゃん! しかもお前、強いし優しいし。俺、ナタリーを嫁にして良かったわ」
ああ!トーマス!
大好きよ!
あたしは絶対にトーマスを幸せにしてみせる!
相手が国王だろうと、例え10tトラックだろうとトーマスとリリアちゃんを守って見せるわ!
「ナタリー!トーマスをよろしくね!」
リリアちゃんが両手を胸の前で組んで嬉しそうに笑った。
なにこれ、どういう生き物なの?!
可愛い過ぎるじゃないの!
「リリア、国王の件が片付いたら俺たちも婚姻の届けを出そう。一年も待つ必要はない」
「レオナルド様・・・・・・はい!うれしいです」
レオナルドの言葉に涙ぐんで満面の笑顔を見せたリリアちゃんは、それはもう、この世のものとも思えないほど美しい!
あんな国王、さっさとやっつけて一日も早くリリアちゃんのウエディングドレス姿が見たい!
その夜、私たちは何とか国王にリリアちゃんを諦めさせる事が出来ないかと、朝まで話し合いをした。
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26 話し合い へ
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