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第7章 南部編
暗雲 2
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<セレスティーヌ視点(姿は和見幸奈)>
「ゆきちゃんの買ったあの服、とっても似合ってたよ。今度お出かけの時に見せてね」
「えっ? ……うん」
「そうだ。あれを着てDランドに行こうよ」
「いやいや、ランドに行くなら、もっとラフな格好がいいって」
「大丈夫だよ。ゆきちゃん似合ってるんだし」
「似合ってるとか、そういう問題じゃないから」
「でも」
「でもじゃない」
「う~~」
本当に、このふたりからは元気をもらっている。
とっても新鮮で嬉しい素敵な感情。
この世界に来て良かったと感じてしまう。
だから、今は。
今だけは……。
考えるのを休んで、この時間を享受しよう。
いいよね?
幸奈さん、コーキさん。
「ゆきちゃん、今日はもうお別れだね」
ふたりとの別れの時間。
もうそんな時間。
「じゃあな、幸奈」
「……永理ちゃん、かなちゃん、またね」
「うん、うん、また遊ぼうね」
楽しい時間の後は、和見家の時間が待っている。
分かってはいても、家に近づくにつれ足取りが重くなってしまう。
「はあ……」
この重さは私なのか、幸奈さんなのか。
どっちなんだろ?
今はもう、よく分からない。
「……」
それでも。
ここ数日の和見家は穏やかなものだった。
父の干渉がないと、こうも静かになるんだと驚くくらい。
だから、今日も夕食の時間だけ我慢すればいい。
後は自室で平和に過ごせるはず。
そんな思いで玄関を抜けたところ。
「幸奈、こっちに来なさい」
応接室から命令口調で声をかけてくる父。
「……」
この時間、この場所で呼び止められることなんて滅多にないのに?
不吉な想像が頭に浮かんでくる。
嫌な予感しかしない。
「何をしている。早くするんだ!」
入りたくない。
でも、ここで無視すると後で大変なことになってしまう。
だったら、もう。
頑張るしか……。
ガチャッ。
父の言葉に従ってリビングに足を踏み入れる。
すると、そこには。
「遅いぞ」
不機嫌そうな顔をした父と。
「あの日以来ね、幸奈さん」
「壬生さん!」
異能者壬生女史が、いつものように黒衣に身を包んで父の隣に座っていた。
得体の知れない笑顔を浮かべて……。
「お元気かしら?」
決別宣言をしてから、まだ数日しか経っていない。
それなのに?
わずか数日、たった数日で。
父は壬生さんを呼んで、私に異能を?
「……」
信じがたい事実を前に湧き上がる憤りが、不吉な想像を上書きしていく。
「ふふ。その表情、元気そうね」
「ゆきちゃんの買ったあの服、とっても似合ってたよ。今度お出かけの時に見せてね」
「えっ? ……うん」
「そうだ。あれを着てDランドに行こうよ」
「いやいや、ランドに行くなら、もっとラフな格好がいいって」
「大丈夫だよ。ゆきちゃん似合ってるんだし」
「似合ってるとか、そういう問題じゃないから」
「でも」
「でもじゃない」
「う~~」
本当に、このふたりからは元気をもらっている。
とっても新鮮で嬉しい素敵な感情。
この世界に来て良かったと感じてしまう。
だから、今は。
今だけは……。
考えるのを休んで、この時間を享受しよう。
いいよね?
幸奈さん、コーキさん。
「ゆきちゃん、今日はもうお別れだね」
ふたりとの別れの時間。
もうそんな時間。
「じゃあな、幸奈」
「……永理ちゃん、かなちゃん、またね」
「うん、うん、また遊ぼうね」
楽しい時間の後は、和見家の時間が待っている。
分かってはいても、家に近づくにつれ足取りが重くなってしまう。
「はあ……」
この重さは私なのか、幸奈さんなのか。
どっちなんだろ?
今はもう、よく分からない。
「……」
それでも。
ここ数日の和見家は穏やかなものだった。
父の干渉がないと、こうも静かになるんだと驚くくらい。
だから、今日も夕食の時間だけ我慢すればいい。
後は自室で平和に過ごせるはず。
そんな思いで玄関を抜けたところ。
「幸奈、こっちに来なさい」
応接室から命令口調で声をかけてくる父。
「……」
この時間、この場所で呼び止められることなんて滅多にないのに?
不吉な想像が頭に浮かんでくる。
嫌な予感しかしない。
「何をしている。早くするんだ!」
入りたくない。
でも、ここで無視すると後で大変なことになってしまう。
だったら、もう。
頑張るしか……。
ガチャッ。
父の言葉に従ってリビングに足を踏み入れる。
すると、そこには。
「遅いぞ」
不機嫌そうな顔をした父と。
「あの日以来ね、幸奈さん」
「壬生さん!」
異能者壬生女史が、いつものように黒衣に身を包んで父の隣に座っていた。
得体の知れない笑顔を浮かべて……。
「お元気かしら?」
決別宣言をしてから、まだ数日しか経っていない。
それなのに?
わずか数日、たった数日で。
父は壬生さんを呼んで、私に異能を?
「……」
信じがたい事実を前に湧き上がる憤りが、不吉な想像を上書きしていく。
「ふふ。その表情、元気そうね」
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