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第8章 南部動乱編
会議は踊る
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「エンノアに残りましょう!」
「いや、迷惑はかけられん。すぐにここを出るべきだ!」
「オルドウに逃れればいい」
「キュベリッツ王国はレザンジュと友好関係にある。そんな国、危険ではないか!」
「そうだ。レザンジュ王軍がオルドウにやって来れば、オルドウの私兵も我らの敵にまわるぞ!」
「だから、ここに留まればいい。エンノアの民も我らを受け入れてくれる」
「王軍が攻めてきたらどうする? 恩を仇で返すつもりか?」
「地下にいれば問題なかろう」
「いや、そうとも限らん」
「王軍が地下にやって来るとでも?」
「可能性はある」
「可能性など何事にも存在する。我らがどこにいようと、王軍が追ってくる可能性は消せないぞ」
「そうは言っても、エンノアの民を王軍との戦いに巻き込むことは避けねば」
「なら、どうすると言うのだ?」
「オルドウに出た後、レザンジュと国交のない他国に行くしかあるまい」
「ワディナート奪還を諦めるのか!」
「そうは言っておらん。今回は一時の避難だ」
「領都から遠く離れて奪還などできるわけがない」
「それは、お主が腑抜けておるからだろ」
「何だと!」
エンノアに戻って来た俺を待っていたのはこの喧騒。
普段は静かなはずのエンノアの朝に、ワディン騎士たちの声が響き渡っている。
「ふたりとも、落ち着け」
「そうだ。喧嘩をしても何も始まらんぞ」
「……」
「……」
まさに喧々囂々といった様相を呈する室内。
「ところで、他国とはどこに行くつもりだ?」
「……」
「我らを受け入れる国とは、どこなんだ?」
「……潜伏すればいい」
「潜伏ならば、オルドウですべきだな」
「オルドウはレザンジュに近すぎる」
「……」
結論が出ないまま、同じような内容が繰り返されている状況だ。
「近さは味方でもあるんだぞ。何と言っても、すぐにワディナートに向かえるからな」
「いや、危険にすぎるだろう」
「どこに行っても危険など消え去らない」
「危険度が違うんだよ。そもそも近くが良いというなら、エンノアに留まるべきだ」
そんなワディン騎士たちの意見をまとめると。
1、エンノアに留まる。
2、オルドウに隠れ住む。
3、オルドウに出た後、キュベリッツ以外の安全な国を探し、そこに逃れる。
概ね、この3つと考えてもいい。
キュベリッツ、レザンジュの地方都市や村に潜伏すべきという意見もあるが、それについて強く主張する者がいない現状では、この三択ということになるのだろう。
「セレスティーヌ様はどう思われますか?」
「わたしは……。ルボルグ隊長や皆さんの考えを尊重したいと思っています」
そう答える幸奈の声は細いもの。
ただ、その細さの中に、以前とは異なる意志を感じる。
表情も少し変わってきたようだ。
「……」
「……」
幸奈の言葉を聞いたルボルグ隊長は腕を組み目を瞑ったまま。
口を開こうとしない。
「「「「「「「……」」」」」」」
「「「「「「「……」」」」」」」
「「「「「「「……」」」」」」」
ワディン騎士たちも、これまでの喧騒が嘘のように静まり返っている。
そうだよな。
簡単には口に出せないよな。
この場に正解など無いのだから。
「困ったもんだぜ」
一時休憩となった室内。
ワディンの騎士たちから少し距離を置いた位置に席をとるヴァーンの表情も苦い。
珍しいことに判断に迷っているようだ。
「コーキ先生?」
「コーキさん?」
シアとアルも同じく心が揺れているように見える。
「コーキなら、どうするよ?」
「……」
「いや、迷惑はかけられん。すぐにここを出るべきだ!」
「オルドウに逃れればいい」
「キュベリッツ王国はレザンジュと友好関係にある。そんな国、危険ではないか!」
「そうだ。レザンジュ王軍がオルドウにやって来れば、オルドウの私兵も我らの敵にまわるぞ!」
「だから、ここに留まればいい。エンノアの民も我らを受け入れてくれる」
「王軍が攻めてきたらどうする? 恩を仇で返すつもりか?」
「地下にいれば問題なかろう」
「いや、そうとも限らん」
「王軍が地下にやって来るとでも?」
「可能性はある」
「可能性など何事にも存在する。我らがどこにいようと、王軍が追ってくる可能性は消せないぞ」
「そうは言っても、エンノアの民を王軍との戦いに巻き込むことは避けねば」
「なら、どうすると言うのだ?」
「オルドウに出た後、レザンジュと国交のない他国に行くしかあるまい」
「ワディナート奪還を諦めるのか!」
「そうは言っておらん。今回は一時の避難だ」
「領都から遠く離れて奪還などできるわけがない」
「それは、お主が腑抜けておるからだろ」
「何だと!」
エンノアに戻って来た俺を待っていたのはこの喧騒。
普段は静かなはずのエンノアの朝に、ワディン騎士たちの声が響き渡っている。
「ふたりとも、落ち着け」
「そうだ。喧嘩をしても何も始まらんぞ」
「……」
「……」
まさに喧々囂々といった様相を呈する室内。
「ところで、他国とはどこに行くつもりだ?」
「……」
「我らを受け入れる国とは、どこなんだ?」
「……潜伏すればいい」
「潜伏ならば、オルドウですべきだな」
「オルドウはレザンジュに近すぎる」
「……」
結論が出ないまま、同じような内容が繰り返されている状況だ。
「近さは味方でもあるんだぞ。何と言っても、すぐにワディナートに向かえるからな」
「いや、危険にすぎるだろう」
「どこに行っても危険など消え去らない」
「危険度が違うんだよ。そもそも近くが良いというなら、エンノアに留まるべきだ」
そんなワディン騎士たちの意見をまとめると。
1、エンノアに留まる。
2、オルドウに隠れ住む。
3、オルドウに出た後、キュベリッツ以外の安全な国を探し、そこに逃れる。
概ね、この3つと考えてもいい。
キュベリッツ、レザンジュの地方都市や村に潜伏すべきという意見もあるが、それについて強く主張する者がいない現状では、この三択ということになるのだろう。
「セレスティーヌ様はどう思われますか?」
「わたしは……。ルボルグ隊長や皆さんの考えを尊重したいと思っています」
そう答える幸奈の声は細いもの。
ただ、その細さの中に、以前とは異なる意志を感じる。
表情も少し変わってきたようだ。
「……」
「……」
幸奈の言葉を聞いたルボルグ隊長は腕を組み目を瞑ったまま。
口を開こうとしない。
「「「「「「「……」」」」」」」
「「「「「「「……」」」」」」」
「「「「「「「……」」」」」」」
ワディン騎士たちも、これまでの喧騒が嘘のように静まり返っている。
そうだよな。
簡単には口に出せないよな。
この場に正解など無いのだから。
「困ったもんだぜ」
一時休憩となった室内。
ワディンの騎士たちから少し距離を置いた位置に席をとるヴァーンの表情も苦い。
珍しいことに判断に迷っているようだ。
「コーキ先生?」
「コーキさん?」
シアとアルも同じく心が揺れているように見える。
「コーキなら、どうするよ?」
「……」
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