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第10章 位相編
対策
しおりを挟む<古野白楓季視点>
「幸奈さんのことは武志君にお願いしてもいいかしら」
「はい」
「それと、例の結界もお願いね」
「もちろんです」
「頼もしいわ」
今回は前回とは違う。
4人の力を合わせれば勝てる。
きっと勝てるはず。
「古野白、いくぜぇ!」
「了解!」
歩を進める私たちの先には悠然とこちらを眺めている吾妻。
「ふっ……」
その顔には不敵な笑み。
無表情に近い顔の僅かな変化なのに、今は読み取ることができる。
それだけ長く彼を観察していたってこと、か。
嬉しくないわね。
でも、だからこそ。
吾妻の余裕が分かってしまう。
この空間で最初に遭遇した時のような不気味さを感じてしまう。
「……」
さっきは幸奈さんの異能発動が不完全だったと思ったけれど、ひょっとして吾妻は何らかの防止策を立ててきたの?
24時間の間に?
「……」
2人だけで、ここに戻ってきたんだ。
その可能性も考えた方がいい。
でも、どんな対策を?
「もう、いいかな?」
「ああ、今度こそ決着をつけてやるぜ」
「……そうか」
吾妻は五感を奪う驚異の異能保持者。
ただでさえ厄介な敵なのに、その彼が私たちとの戦いに向けて新たな対策を講じてきたとなると。
「武上君、油断しないで」
「するわけねえだろ」
分かってる。
分かっているのに、つい言葉が。
「って、おい! しっかりしろよ、古野白!」
「……ええ」
そうね。
ここで怖気づいてどうするの!
吾妻がどんな手を打ってこようと、することは同じ。
こちらも充分にシミュレーションしてきたのだから。
やれるはずよ。
「吾妻ぁ、喰らいやがれぇ!」
戸惑いに立ち止まっていた私とは裏腹に、戦意に溢れた武上君が攻撃態勢に入っている。迷いのない右ストレートだ。
バシィィ!
距離を詰めると同時に放たれた強烈な右拳。
その一撃を吾妻が手のひらで受け止めた!
「へっ、そうだよな」
昨日の対戦の再現のような光景。
でも、ここからが違う。
「なら、これでどうだぁ!」
受け止められた右拳を広げ、そのまま吾妻の左手のひらに掴みかかる。
成功!
拳を捕らえられていた体勢から一転、武上君の方から吾妻の左手のひらを掴み取っている状態に。
「動けねえだろ」
最高レベルで強化した武上君の力からは、さすがの吾妻も容易には脱出できないはず。
「今度こそ、喰らいやがれ」
右手で吾妻の左手を抑え、動きを制限した態勢での武上君の攻撃。
左拳の突きが吾妻の右脇腹に炸裂……しない!
この体勢でも吾妻が器用に躱してしまった。
「おらぁ!」
けど、まだまだこれからよ。
「だぁ!」
武上君の左脚の蹴り、右脚の蹴り。
「おりゃ!」
左拳の突き。
さらに、蹴り。
連続攻撃が襲いかかる。
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